テンプレおじさんVS異世界美少女たち〜決死の忖度サバイバル!〜 作:鷹井オムニバス
深緑の鎧を着た洗脳野郎。
その腕には、白い肌に黒い髪、まるで生気を感じないロリをお姫様抱っこしていた。
やがて門は閉じ、消える。
「ブレイド無事だったのね……!」
「うん。信じてた」
「……その子はなに?」
リーシャとクゥが駆け寄り、ノーリィがロリに対して疑問を呈していた。
ここだ!
「みろ! こいつのこの姿を! 門の中から自分のハーレムメンバーとして、幼い子供を誘拐してきたぞ! これが洗脳の証拠だ……!」
「黙れ」
「うごっ……」
黒い髪のロリに手を向けられた瞬間、喋れなくなってしまった。どういうことだ……!
「事情は聞いてる。私は罪人庭園の管理人。事が終われば帰るつもり。」
どこかホッとしたような表情のリーシャとノーリィ。ミディルは少し脂汗をかいているようだ。
「その男が魔神の化身なのは間違いない。しかも、完全に魔神の精神ごと取り込んで一体化してるからもう切り離せない」
俺が必死に、謎の拘束から逃れようとしている間も、ぺちゃくちゃと喋り続ける。
『太郎〜! 頑張って~!』
うおおおおお! 頑張るぞデメリ!!
「その上で、こいつは3000万以上もの普通の魂を殺めている。良くも悪くもない、普通の魂を。」
「なんだと……!」
「それじゃあ、私たちが魔神を呼び戻そうとしたときに散らばっていた死体の山は……」
黒髮ロリは光を帯びて、その黄金の瞳を輝かせながらこちらを見る。
クソ、なんか不快感がやべぇぞ!
「んんん……っ!(みるな!)」
「ブレイドたちが見ていた死体の山は、この男の故郷で、魔神の力を手に入れたこの男が築き上げたもの。それも魔神以上に無意味に、幼稚に、感情のままに、殺している」
「——そうか。」
黒髪ロリを下ろしたクソ男は、こちらを見て見下してマウントを取っている。どこまで卑怯なんだ!
「この選択は、男の故郷のためでもなく。俺の傲慢だろう。しかし、魔神の力を悪用したのはあくまで彼だ。」
剣を構え、こちらに対峙する最低最悪の洗脳クソ男。その構図は初対面の時のようだった。
「ええ。ブレイドだけに罪は背負わせないわ」
「どこまでもついていく」
「クゥは、ブレイドと一緒なのが当たり前」
不意に、口がふさがれているような感覚が消えて喋れるようになった。
最後のチャンスだ! 洗脳野郎からハーレムメンバーを奪い返してやる……! それで事が済んだら序列決めだ!
「初対面の時から見せつけやがって!!! ハーレムは全員を愛していなければ許されないんだぞ! リーシャ、ノーリィ、クゥ、アムレアス、ミディル! いいのか……! その男には愛がない! 今なら俺のデメリハーレムの末席に置いてやってもいい……!」
「えぇ……。本当に、色々とひどいなお前」
アムレアスがなにか言っていたが無視する。
「貴方にブレイドのなにが分かるというの」
「神……ゴッド。いつも変なことばっかり言って、大変だった。」
「死ね」
なんなんだいったい!意味がわからない!
「というか、わしをブレイドのハーレムにいれるのはやめろ」
「じゃあ俺のハーレム……」
「あほか」
くそくそくそくそくそ!!!ぬ!!!
デメリへの愛で無限の力が湧いてくる! 今行くぞ!
「俺のヒロインはデメリファトスたちだけだあぁぁ!」
『もう! なんなのこいつら! 太郎、こっちにおいで! 私たちの愛を見せつけてやろー!』
「お前ら! 俺とデメリの愛を見ろ! 正気を取り戻せええええええ!!」
全力で腕を広げるデメリへとダイブすると、その身体で優しく受け止めてくれた。
うひひひり……!
「よだれ垂らしながらソファにダイブしてやがる……。こいつ頭がおかしくなりだしたぞ……!」
◇◇◇◇◇
「私は現世の人間を、魔神の化身とはいえ直接連れていく事はできない。」
「わかっている。俺たちの不始末だ。しっかりと俺自身でケリをつけるさ。」
「…………今の彼は、なんの防御もないわ。」
ふと顔を上げると、数多のデメリたちがめのまえにいた。
なーんだ、デメリ以外のたくさんのデメリたち、最初からそこにいたのか。さがしたぜまったく。
デメリ、デメリ、デメリファトスはメインヒロイン。沢山いて、おっぱいが大きくて、心が広くて、グランドマザー!
ゴロゴロゴロゴロ。デメリの上で右へ左へ転がり続ける。
はぁ、これが真実の愛だ……。
デメリこそが俺の世界。俺の……!
「——君は殺しすぎた」
その瞬間、腹を突き破る剣の感触によって、俺は初めて目の前に、始まりのクソ男がいたことに気がついた。
「おまえが、ブレイドか。おまえにとって、ハーレムってなんだ? ……なんでハーレム作ってる?」
「ハーレムを作るんじゃない。彼女たち一人一人を愛しているんだ」
「だったら。俺のほうが……」
「君は少し、客観的に物事を考えた方がいい……」
剣が引き抜かれ、俺は崩れ落ちる。
自分の命の灯火が消えていくのがわかると同時に、心の中にはデメリファトスの笑顔が思い浮かび、そんな彼女への謝罪の気持ちがあった。
すまん、デメリファトス……君を残して俺は逝ってしまう……。
『いいんだよ。私はー、いつでも太郎のこと、包みこんであげるんだから』
ああ、そうか、今までの人生の全ては、デメリのために——
——そして俺はデメリの導きの元で天に昇っていき、たくさんの彼女たちが住まう天国へと……。
◇◇◇◇◇
……ふと気がつくと、赤い沼の中にポツンと一人立っていた。
『嗚呼ぁぁぁぁぁ』
『あいつが悪い……あいつが悪い……あいつが悪い……』
『あたくしこそがシンリ……みんなダマサレているの……』
『ゴミが……』
「うああぁああ!!!お前ら何だよ!何なんだよ……!」
辺り一面に広がる、土黄色で夢遊病のように歩き回る人間たち。
「おれは神ゴッドだ……!」
不快なあまり力を使って消し飛ばそうとするが、なにも起きない。
まるで俺の本来の力が目覚める前に戻ったようだ。
『くくく……お前は馬鹿か……。ここは罪人庭園……その罪を償うまでずっと囚われる地獄なのさ……いや、俺たちは償いが終わっても、永劫に囚われ続けるだろうな……』
全身傷だらけの強面の男が訳知り顔で俺に喋りかける。
気持ちわりぃ! 俺は何でも知ってますとかマウントすんなや!!
「うるせえぇぇぇえ!!! あああぁあぁ!!!!」
世界はどこまでも俺を虐めるようだ。
また、【俺の過酷な運命ノート】を書かないといけない……。
ありとあらゆる全てから虐げられた俺は、ここから真の力が目覚めるんだ……。
【あとがき】
別視点のエピローグに続きます。