テンプレおじさんVS異世界美少女たち〜決死の忖度サバイバル!〜   作:鷹井オムニバス

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第1話 日本壊滅と異世界転移

 

 

 道を歩いていると、道端に倒れている襤褸を纏ったおっさんがいた。

 

「くそやろう!俺の邪魔すんなや!」

 

 蹴飛ばしてやると、そいつは電柱にぶつかり痙攣した後に動かなくなった。

 

——やべぇ。

 

 とりあえず周りに誰も見てなかったからゴミ捨て場に連れて行こうとすると、そいつから謎の光が俺の身体に入り込んでいく。

 

 と、同時におっさん自体は溶けるように消えていった。

 

「な、なんだこれ!きもちわり!」

 

 最初は払いのけようとあちこち体を叩いていたが、やがて力が湧き上がり、全能感が溢れると俺は悟った。

 

「こりゃあ、世界からの祝福だな!」

 

 世界がようやっと、俺に追いついたってわけだ!

 

「最ィィィィィ強! さいっっきょぉぉぉう……!! 無敵ィィィィィ!!!」

 

 今までの虐げてきた奴ら全員、首を洗って待っていやがれ!

 

 小遣いを三万しか渡さない上に1人暮らしの家賃とガス水道光熱費しか払わない親、生活費を俺に渡す際毎回説教してくる妹の彼氏、バイト先の俺が起こした些細なミスをたった数十回しかしてねぇのに注意してくる店長……。

 

 直近はこんな所だが、家に帰って【俺の過酷な運命ノート】を取りに行き、色々と思い出してやらねぇとな!

 

 自宅のアパートに戻ってお気に入りの服に着替え、ノートも手に入れたら……。

 この世界最強の力を使って、幼稚園の頃から溜め込んだ聖なる復讐を開始するんだ……!

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 今まで俺を虐げていた奴らを一人一人、大事なノート——通称【俺酷ノート】の上から順番に片っ端から探し出して対処していき、何もかもを俺は終わらせた。

 

「ざまぁみろ!!! 俺には特別な力が備わってたんだ!!!!」

 

 これだ!これこそが世界のあるべき姿なんだ!

 

「君! 止まりなさい!」 

 

 1台のパトカーと共に、2人の警官が俺に銃を構えながらこちらに警告してくる。

 

「こちら〇〇交番前——」

 

「神の息吹!!!! スゥゥゥゥッハァァァァァァァ!!」

 

 神の息吹とは、力強く指向性をもって力を振り絞りながら叫ぶことで、超音波攻撃ができるようになる俺が開発した技だ。

 

 神の裁きを受けたやつらは耳から血を流して2人とも倒れた。

 

 俺が強すぎたな。やれやれ、ここまでするつもりはなかったんだが……。

 

◇◇◇◇◇

 

 やがて国が俺の力を危険視したらしく、よくわからない理屈を叫びながら、こちらに集団で攻撃してくるようになった。

 そんな中で俺は、装甲車やヘリ、様々な武装した人間たち相手に無双しながら、考え込む。

 

 天誅が終わった後、観光のために首都の各所を色々と見に行ったら、聖なる復讐をしただけのまともな人間を、国は指名手配してやがったからな。

 

 もちろん、なにも悪い事をしていない俺は堂々と観光をしていた。だが、大いなる力に嫉妬した人間どもから妨害が入ったのだ。

 

 国絡みの妨害に対して、一人の日本を憂う人間として、手本になるべく野蛮な人間たち相手に自己防衛を続けながら観光を続けたのだが、つい、力の加減をミスって壊しまくってしまった。

 

 まぁしかし……。

 それについては、そもそも観光中の人間を襲ってくる奴が悪いわな。俺悪くねぇわ。

 

 日本国民として真面目に生きてる俺を殺そうとして来やがったからな。そんな政府や自衛隊たちも、もちろん復讐してやった。

 

 当たり前だ。力を俺が授かったのが運命なら、その力を使ってやり返すのは神である俺の義務だ。

 

 首都もランドマークも壊滅し、インフラも止まっていたが、後悔はしていない。

 

「ざまぁ!!!」

 

 ずっと、虐げられてきた。何もかも奪われてきた。

 

 高校中退後から、社会への正しい知見を与えるために、ネットで貧弱ども相手に複垢を使って指導のコメントをつけまくる義務を遂行していたというのに、開示請求されまくったことでまったく理解されずに家を追い出されて1Kの狭すぎるアパートに押し込まれたんだ。

 

 まじで社会が腐ってやがる。

 

「ちっ……ってあれ、いつのまにこんなになったんだ。脆すぎるだろこの世界!!」

 

 そんなふうにいろいろなことを思い返しながら片手間に息を吹いて台風(ゴッドタイフーン)を巻き起こしたり、たまに足踏みすることで地震(ゴッドクエイク)を発生させたりしていると、周りに立っている人間が誰もいなくなっていた。

 

「くくくっ……」

 

 近くにあるアスファルトのめくれ上がった大地に足を乗せる。

  

「超人無敵!最強伝説!俺が!俺こそが!世界の神!すべての頂点!」

 

 世界に俺を刻みつける。

 

「やれやれ!!! 後悔しても! もう遅い! 俺は世界最強の力を手に入れて、この世界を蹂躙する! はぁ!!! 目立ちたくなかったんだけどなあぁぁぁぁあ!!!!」

 

 笑いがこられきれず、ほんの少しだけ大きな声をあげてしまう。そんな中——

 

 ——突然、世界が揺れて謎の大規模魔法陣が浮かび上がる。

 

「俺の異世界か……! 俺の時代……! 異世界ハーレム!」

 

 

 やがて魔法陣の光に包まれて、消えた。

 

 

 




【あとがき】
子供の頃からしたためていた【俺の過酷な運命ノート】を片手に日本を壊滅させた認知の歪んだおじさんですが、このまま異世界へ出荷完了です。
次回の第2話からは、この厄介すぎるおじさんを押し付けられる、異世界救世パーティーの涙ぐましい介護……の前に、命がけの「忖度サバイバル」をしなければならなくなった理由の回になります。
太郎のイキリ散らかすフリが溜まれば溜まるほど、最終話とエピローグでのカタルシスが大爆発する構造になっております。ぜひお楽しみください。
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