テンプレおじさんVS異世界美少女たち〜決死の忖度サバイバル!〜   作:鷹井オムニバス

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第6話 積み重なる胃痛と異世界無双

 

 ハーレムメンバーと交流を深めて、ついに異世界に踏み出すことになった俺、伊喜利太郎改め神ゴッド。

 

 ノーリィによる転移魔法の力を借りて、5人の悪徳王たちにまつわるトラブルや、それ以外のイベントもスマートに解決していった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「だ……だれか……!だれか助け……!」

 

「——俺が来た。神たる俺が。」

 

 行商の馬車と美少女を襲う盗賊団を殲滅した後のこと。

 近くの町にあると言う商店の一室で、ハーレムのバリエーションを増やすために商人の娘を迎え入れようとした所……。

 

「なぁ、君。俺たちは世界を救う旅をしているのだが、俺を見て何か言うことはないか?」

 

「……は?」

「もしや、照れているのか。しょうがないな……。ハーレムに入ってもいいぞ」

 

「……はい? いえ、あの、助けて頂いたことには感謝しているのですが、私には婚約——」

「——ああっ! そんな! 私達だけでは満足できませんか勇者様……!」

 

 そこに、店の主とかいう男と、どうでもいい報酬の話をしていたリーシャが戻ってきた。

 その隣には俺のハーレム候補の親がこちらを見て佇んでいる。

 

「いやいや、勇者様。ここはひとつ、私に貴方様の武勇伝をお聞かせ願いたい」

「俺は別に「もう! 貴女はこちらに来て! 私たちのルールを守れるならハーレムに入ってもいいから……!」」

 

「は、はぁ?」

 

 リーシャが嫉妬からハーレムを仕切り出す展開があり、その間暇だった俺はどうでもいいおっさん相手に武勇伝を聞かせていた。

 

 ハーレム管理なんて面倒なことは、この際俺に従順なリーシャに丸投げすればいいか。不快なら一発叱ってやればいいだけだしな。 

 

 しかし中々どうして、このおっさん、聞くのが上手いじゃないか。

「流石は勇者様だ。私のような金稼ぎしかできない男とはものが違いますな!」

 

 

——————————————

 

 

「う、うぅ……。勇者様。無念ですが、私は貴方様の救世の旅にはついて行くことができません……」

 

 俺の偉大さを商人のおっさんに言い聞かせた後、リーシャと共に帰ってきた娘のマリはハーレム入りを最初に渋っていた理由を話してくれた。

 

 助ける時の俺の強さや心の強さを深く理解し、何の力もない自分のような中堅商人の娘では相応しくないと辞退したというのが顛末らしい。

 

「もしも、救世の旅を終えたその時は……。勇者様の勇姿を見に駆けつけます……! どうか、旅が終えた後、世界にその名が轟かせますように」

「やれやれ。それならしょうがないな……。ま、お前がその美貌を損なわずにいるならば、席はいつでも空けてるぜ……!」

 

「はい……!」

 

 こうして俺は、いずれ回収するハーレムメンバー候補と別れた。

 

 

「(はぁ……。あの父娘、助けてあげたんだから少しぐらい、まけてくれてもいいのに……)」

「(まぁ、割り切りましょう。2人とも物のように扱われて、あそこまで援護してくれたんだし)」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ふぅ……」

 

 俺はとある街で神ゴッドハーレムメンバーになりたいと言い寄って来たアマンダと、宿で愛し合った後一つ思い付きを実行することに。

 

「あら……?神ゴッド様、どちらに行かれるの……?」

「いや、少し外の空気を吸いに行くだけだ」

 

 そろそろ毎回現地ハーレムで楽しむのではなく、固定ハーレムメンバーをしっかり相手してやらないと、あいつらがかわいそうだ。

 

 毎回行く先々の街でハーレムが増えてしまって、夜は相手にできてないからな。

 

 アマンダには悪いが、ついてこられたら困る。外に行くふりをして、リーシャたちの部屋に入ることにした。

 

 サプライズ故に、こっそりと近寄って、夜でも俺に忘れられている事はないのだと、しっかり教えてやらねば。

 

「……ん?」

 

 ガチャガチャとドアを開けようとするが、なぜか開かない。建付けが悪いのか。仕方ねぇ。  

 

「(……は!? 今日、確かにアマンダさんを付けたはず……!?)」

「(…………うーん、恐れてた事態になった)」

 

 俺の邪魔をするのが悪いから、ひとまずこのドアはぶっ壊す。その際、かっこよく登場するために入場シーンを考えながら——

 

「——待たせてしまったか?」

 

 寝間着のリーシャとノーリィ、毛布に包まって姿が見えないクゥ。

 

 これだよこれ。やっぱこういうプライベートイベントも必要だよなぁ〜。

 

「えーと……、神ゴッド様、今日はアマンダと同衾されているのでは……?」

「ああ、だがいつもお前たちを夜は蔑ろにしていたからな。そろそろ相手してやらねぇとと思って」

「「「(死ね)」」」

 

 感極まったのか、うつむくリーシャとノーリィ。

 眠りながらも俺の言葉に無意識に反応してしまったのか、毛布にくるまりながらもはみ出た尻尾が盛大に揺れているクゥ。

 やはり待っていたんだな。

 

「……………………神ゴッド様! 私たち、勇者様のお気持ちはとても嬉しいのです……! ですが実は……」

 

 そこで聞いた内容は、まじで胸糞が悪かった。

 

 この救世の旅が終わるまでの間、純潔宣誓の祝福という物を受けて力を授かっているため、全員手を出すと肌が爛れて容姿も醜くなってしまうらしい。

 

 はーっ! つっかえ! だるいわ。

 

「もしも今、不貞をしてしまったら肌が一生爛れて神神さまに見せられない体になり、ご奉仕できなくなってしまうのです……(ブレイド以外にやるわけないでしょ)」

「…………とても、かなしい。でも、旅の終わりにはきっと……(はぁ……)」

「(ブレイド……)」

 

 リーシャとノーリィの涙を見て、俺は思い直した。

 そうだわ。封神のしずくを集めて女神復活させたら、全員で愛し合えばいいじゃん。

 

 いわゆる我慢するほど楽しみが倍増するってやつだ。

 

「ふむ……。幸い、現地ハーレムメンバーたちが俺にはいる。いたしかたねぇが、俺のあふれる愛情はそういった短い時間しか会えねぇやつらに分けてやるとするかな……」

「そ、そうですわ……! 私たちはいつでも一緒に旅をしていますので、是非短い時間しかお会いできない方々にこそ、その無限の愛をお与えくださいませ……!」

「そ、そのとおりです……」

 

 そう言えば一つ、疑問があった。

 

「そういえば……、クゥは、というより獣人は主人に対して添い寝をしたがるものじゃないのか……? 大丈夫か……?」

 

 瞬間、クゥの包まっていたベッドが大きく振動し始め、やがて——

 

 ——ベッドから突如飛び出したクゥが、風のように部屋を走り去っていった。

 

「ク、クゥもきっと我慢しているのです。神ゴッド様もクゥのお気持ちを分かっていただけたら……」

 

 ふむ、これ以上この件で突っついたら、クゥは俺に抱きつきたくてしょうがなくなるってことか。

 やれやれ、肌が醜くなってハーレムから外すことにならないように、クゥのためにもここは我慢だな。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「(リーシャ、しずくが次で溜まりそう)」

「(なら、次の王は連続強盗殺人のカンダタにしましょう)」

「(ブフッ……。もう、なんで王なんて名前付けちゃったんだろう……。)」

「(諦めなさい。あの男が喜びそうなものなのは確かなのだから)」

 

 

 次に向かったのは人々を苦しめる悪党のいる暗黒街とかいう、スラムみたいな場所を裏から支配して最近急激に勢力を広げているらしい、美少女たちをコレクションする男。 

 

 許せねぇよ……!俺のハーレムメンバーがいるかもしれねぇだろが……! 

 

「おいテメェら、俺が誰だか分かっているのか……?」

 

「貴方は世界中の処女を拉致して集めてはコレクションをする悪辣非道の盗賊王カンダタ……!」

「は?何ふざけたこと——」

 

 

「——うおおぉお!世界中の美女や美少女は俺のもんだ!!! 必殺のゴッドジャッジメント!」

 

 

 盗賊王カンダタをぶちのめした後、俺が助けた運命のハーレムメンバーがいないか探し回っていた所、カンダタが隠していた封神のしずくをノーリィが見つけ出してくれたらしい。

 

「これが……封神のしずく……!」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 とある美食の街でのこと。

 

 リーシャたちも初めて来るというこの街で、三人が買いたい物があるとかでベンチで待っていたのだが、さすがに退屈になった俺は近くにある食事処に入った。

 

 どの店も一流と聞いていたのだが、少なくとも従業員の教育がなっていなかった。 

 

  食事を終えた後、俺がいつものように指輪を見せて店を出ようとすると呼び止められたのだ。

 

「えーと、お客様。とても見事な意匠なのはわかるのですが……。当店では指輪を翳すだけで支払いを免除していただくようなサービスは行っておりません」

 

「何を言っているんだ? どのお店でも——」

「——神ゴッド様!!! お待たせして本当に申し訳ないのですわ……! それと、このお店は昔ながらの、身分証明サービス実装がされていないお店です……!」

 

 リーシャたちが勢いこんでお店に入場してきた。俺がいないのがそんなに寂しかったのか……。やれやれ、愛される男は辛いぜ。 

 

 だがまぁ何も言わずに離れた事は、ハーレムの主として少しばかり反省だな。

 

 それにしても……。

 

 俺は、リーシャの説明を聞いて故郷の飲食店の事を思い返していた。 

 

 うまい店ほど、こだわりが強くて最新のサービスを導入しない事は日本でも数多くあったからな。

 

 ノーリィが何やら従業員と話をしてこちらに戻ってくる。

 

「どうやら店長さんと従業員で情報の行き違いがあったみたい」

 

「やれやれ……。俺への愛しさからお店に駆け込んてきたハニーたちの愛を感じていなかったら、今頃この店は灰になってたぜ……?」

 

 今の俺は、三人の重い感情をぶつけてくるヒロインを抱える、ハーレムの主だからな。

 

 しっかりと度量を見せて安心させてやらなくては。

 

「まぁせいぜい励めよ。接客業には、俺のような寛容さと慈悲深さ、そして何よりも謙虚さが大事だ。この言葉は子々孫々へと伝える格言にするといい」

 

「は、はぁ……。」

「……っ!」

 

 ノーリィがあまりの感動で近くの椅子に座り込んで俯く。

 すまないな。

 

 

◇◇◇◇◇ 

 

 

「(海賊団と船団の癒着の証拠を見つけたわ。その際に海の種族からの『お願い』をされてしまったから、申し訳ないのだけれど……、内容を詰めるために交渉に行かないといけないの……)」

「(……流石リーシャ。でも、もしかしてそれって……)」

「(…………お願いね)」

 

 

「ゴッドさまー、あの船団全てが海賊王べジャンキーの手下ですー。あの船団全てをぶちのめさないと、人魚姫たちが捕らえられた本船がでてきませんー」

 

「マジ許せねぇなべジャンキー……! ちょっと待ってろ!俺が神の裁きで無双してきてやる!」

 

「…………無双。最強、強い、かみー」

 

「ガハハハ!!!」

 

「(クゥ棒読みすぎ……。リーシャ早く帰ってきて……)」

 

 リーシャと別行動中、ノーリィの必死の懇願と、クゥの声援を背にべジャンキー海賊団を殲滅して、封神のしずくごと、囚われていた人魚姫を手に入れた。

 

「俺はブラダ船団の——」

 

「私はアマンディ船団——」

 

「オメェなんだってんだ——」

 

 なんかやたらとべジャンキー海賊団の部下たちは自分の名前を冠した海賊団を名乗っていたな。

 

 やれやれ、言葉に出しただけでその立場になれるのならば、俺は今頃——

 

 

 

 ——いや、そもそも俺が神だったわ。

 

 

 

「(はぁ……。クゥじゃないけど、私もストレス発散に戦いたくなったなぁ……。でも、下手に戦って目立ったら何されるかわからないからなぁ)」

 

 




 【あとがき】
 リーシャたちの胃の痛みが計り知れない……。クゥもストレスで抜け毛が多くなっています。
 次話からの、雑になって極まっていく忖度と、それに気づかずに操縦される神ゴッドを是非お楽しみいただけると幸いです。
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