テンプレおじさんVS異世界美少女たち〜決死の忖度サバイバル!〜 作:鷹井オムニバス
「ふぅ……」
俺はとある街で、神ゴッドハーレムメンバーになりたいと言い寄って来たアマンダと宿で愛し合った後、一つ思い付きを実行することに。
「あら……? 神ゴッド様、どちらに行かれるの……?」
「いや、少し外の空気を吸いに行くだけだ」
そろそろ毎回現地で楽しむのではなく、固定ハーレムメンバーをしっかり相手してやらないと、あいつらが可哀想だ。
毎回行く先々の街でハーレムが増えてしまって、夜は相手にできていないからな。
アマンダには悪いがついてこられたら困る。外に行くふりをして、リーシャたちの部屋に入ることにした。
サプライズ故にこっそりと近寄って、夜でも俺に忘れられたわけではないのだと、しっかり教えてやらねば。
「……ん?」
ガチャガチャとドアを開けようとするが、なぜか開かない。建付けが悪いのか。
仕方ねぇ。
「(……は!? 今日、確かにアマンダを付けたはず……!?)」
「(…………うーん、恐れてた事態になった)」
俺の邪魔をするのが悪いから、ひとまずこのドアはぶっ壊す。その際、かっこよく登場するために入場シーンを考えながら——
「——待たせてしまったか?」
「■■■■」
勇者パワーを込めて蹴り壊すと、ドアの破片が飛び散ったが、ノーリィが魔法で防いでいた。
やっぱ俺を待ってたのか! そうじゃなければこんなタイミングよく防ぐこともできないよなぁ。
「(なぜハーレムメンバーだと思っている人間に対して、安全確認もせずにドアを蹴り破るの……?)」
「(……子供かな)」
寝間着のリーシャとノーリィ、毛布に包まって姿が見えないクゥ。
これだよこれ。やっぱこういうプライベートイベントも必要だよなぁ〜。
「えーと……、神ゴッド様。今日はアマンダと同衾されているのでは……?」
「ああ、だがいつもお前たちを夜は蔑ろにしていたからな。そろそろ相手してやらねぇとと思って」
「「「(死ね)」」」
感極まったのか、うつむくリーシャとノーリィ。
眠りながらも俺の言葉に無意識に反応してしまったのか、毛布にくるまりながらもはみ出た尻尾が盛大に揺れているクゥ。
やはり待っていたんだな。
「……………………神ゴッド様! 私たち、勇者様のお気持ちはとても嬉しいのです……! ですが実は……」
そこで聞いた内容は、まじで胸糞が悪かった。
この救世の旅が終わるまでの間、純潔宣誓の祝福という物を受けて力を授かっているため、全員手を出すと肌が爛れて容姿も醜くなってしまうらしい。
はーっ! つっかえ! だるいわ。
「もしも今、不貞をしてしまったら肌が一生爛れて神神さまに見せられない体になり、ご奉仕できなくなってしまうのです……(ブレイド以外にやるわけないでしょ)」
「…………とても、かなしい。でも、旅の終わりにはきっと……(はぁ……)」
「(ブレイド……)」
リーシャとノーリィの悲しそうな表情を見て、俺は思い直した。
そうだわ。封神のしずくを集めて女神復活させたら、全員で愛し合えばいいじゃん。
いわゆる我慢するほど楽しみが倍増するってやつだ。
「ふむ……。幸い、行く先々で俺を待つ女たちがいる。いたしかたねぇが、俺のあふれる愛情はそういった短い時間しか会えねぇやつらに分けてやるとするかな……」
「そ、そうですわ……! 私たちはいつでも一緒に旅をしていますので、是非短い時間しかお会いできない方々にこそ、その無限の愛をお与えくださいませ……!」
「そ、そのとおりです」
そう言えば一つ、疑問があった。
「そういえば、クゥは、というより獣人は主人に対して添い寝をしたがるものじゃないのか……? 大丈夫か……?」
瞬間、クゥの包まっていたベッドが大きく振動し始め、やがて——
——ベッドから突如飛び出したクゥが、風のように部屋を走り去っていった。
「ク、クゥもきっと我慢しているのです。神ゴッド様もクゥのお気持ちを分かっていただけたら……」
ふむ、これ以上この件で突っついたら、クゥは俺に抱きつきたくてしょうがなくなるってことか。
俺とクゥはきっと、抱きつくだけじゃ終わらないはずだ。そうなってしまったら最悪な事が起きてしまう。
やれやれ、肌が醜くなってハーレムから外すことにならないように、クゥのためにもここは我慢だな。
◇◇◇◇◇
「(さすがに今夜は踏み越えすぎね。……やろうと思えば排除はできるけれど、今はそうするわけにもいかないし……)」
「(とはいえいい加減、わからせてやらないと。……私に考えがある)」
「(……クゥもやりたい)」
「(いずれクゥにも協力してもらうから、今回は任せて)」
アマンダと改めて愛し合った深夜。
ドアがゆっくりと開く音に気が付き、目が覚めた。
……さすがに我慢できなくなって夜這いしに来たか……。
俺の予想は違わず、ノーリィが寝間着にローブを羽織って、入ってきた。
「神ゴッド様。少し夜空でも見物しながら、ゆっくりお話をしませんか……?」
「ああ、もちろん。直接愛し合えない分、ソフトタッチな交流でお互いを知っていこうぜ」
「ありがとう……。(うわ……胸を見すぎ。どれだけ獣なの)」
ノーリィが持参してきたコップを一つ受け取り、飲み干す。
ぶどうのような味がしてそこそこうまい。
ふふふ……、ネット民、見てるか。これが大人の魅力ってやつよ。
ロマンチックな夜景を見ながら、美少女と杯を交わす。イキリマウントしてきたあいつらの悔しがる顔が目に浮かぶわ……!
「か、か、神ゴッド様、いい飲みっぷりですねー。よければ追加でどうぞー(一気に飲み干して変顔しながら黄昏るのは、やめて……)」
「おお、気が利くな。さすが俺の嫁」
「(死ね)」
やがてノーリィと話しながら飲み交わしていると、意識がふわふわしてきて眠気が襲ってきた。
「ああ、そろそろ寝るわ。あとかたづけしといてくれ……、あれ? あまんまは……?」
「ゆっくりお休みください、神ゴッド様……」
◇◇◇◇◇
ん……? 目を覚ますと俺は草原にいた。辺り一面には、俺のハーレムメンバーの後ろ姿が。
あれはリーシャ、ノーリィ、クゥ、マイ……、他にも立ち寄った街で別れたメンバーたちが俺に背中を向けて棒立ちしていた。
その中には最近仲間になったアマンダの背中まで見えた。
「おい、お前らいったいどうしたんだ……?」
声をかけると、一斉に振り返り……!?!?!?
『『『『『『『『神ゴッド様〜!! 私を愛して〜〜!』』』』』』』』
「気持ちわりぃぃぃい!!!」
全員の顔や体が爛れて、醜く変貌していた。気色悪すぎる……!!
人間では考えられない人体の構造を無視したような動きでこちらに近づいてくるそいつらは、口裂け女のように口が裂けており、目玉は完全に飛び出していた。
「お前ら全員ハーレム解雇だ!!!」
『『『『『『『『そんな〜〜〜!神ゴッド様待ってぇぇ……!』』』』』』』』
ふざけるな! 全員死ね!
ブチギレて力を行使するが何も起こらない。
「やめろ、やめろ、やめろやめろやめろぉぉぉ……!!」
『『『『『『『『神ゴッド様大好き…………!』』』』』』』』
その後気持ち悪いやつらに永遠と集られた俺は、二度とハーレムなんてやらねぇと誓った。
◇◇◇◇◇
「ああぁああ……!!!」
嫌悪感に駆られて突然飛び起きてしまった。
「だ、大丈夫?神ゴッド様……」
横を見ると俺のハーレムメンバーのアマンダ……が……。
「い、いや大丈夫だ」
なぜだかわからないが、あまり顔を見たくなくなって、適当にアマンダと話をした後は、いずれ迎えに行く事を伝えて別れた。
どうしちまったんだ俺は……。
その後リーシャたちとも合流したのだが、この固定ハーレムである女の顔も、見たくなくなっていた。
「今日は体調が悪い。出発は明日にするぞ。救世主の……はぁ。もういいや。寝る」
なにもやる気がなくなった俺は、宿に戻って寝た。
「(かなり効いてるみたいだけど、なにやったの?)」
「(……色々と誇張して幻覚を見せた後に、その幻覚の記憶を消した)」
「(…………ノーリィ、さすが)」
「(……まぁ、これでしばらく様子を見ましょう。やり過ぎるとまた、洗脳能力が暴走するかもしれないから)」
【あとがき】
やる気を失った後、1週間宿屋生活のニート豪遊を続けていたため、お金の浪費に見かねた金庫番のノーリィがリーシャと相談して、適当な娼婦を宛てがった結果すぐに復活しました。