テンプレおじさんVS異世界美少女たち〜決死の忖度サバイバル!〜   作:鷹井オムニバス

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第8話 忖度の限界と疑心暗鬼

 

 

「しゃらくせええええ!」

 

 飛空艇で乗り込もうとした矢先、襲いかかってくるガーゴイルを俺無双で薙ぎ祓い、無事に到着。

 

 天空城はサグラダファミリアのように豪奢だった。

 まぁ俺の隠れ家の一つとして扱ってもいいぐらいには中々いいものじゃないか。

 

「私はここで待っているから、行ってきて〜。頑張ってね神ゴッド様〜!」

 

 手を振りながら見送るヴァイナに華麗に手を振り返して飛空艇に置いていく。

 

 

 

 空での戦いには、ヴァイナはまだついてこられないからな……。

 

 

 

「ゴッド様、ご注意を。空賊王ミディルは遠隔で——」

「は? そんなの必要ないぜ! 俺の力は最強!無敵! 神ゴッド!」

 

 咆哮を上げながら俺は城の中心部に向けて『ゴッドタイフーン・拳圧トルネード』を放った。

 

 この技は神ゴッドの言葉とともに息を前方に吹きかけ、それでいながら拳で正拳突きも同時に繰り出す事で完成される俺の必殺技だ。

 

 これを開発してその理屈を説明した瞬間、常駐ハーレムの5人は皆揃って呆然としていたな。

 

 

 さすがに天才すぎたか……。

 

 

 それはともかく、俺のゴッドタイフーン・拳圧トルネードによって城は崩落し、中が丸見えになっていた。

 

 そしてその中心にいるのは空賊王——ん?

 

「おいリーシャ、なんか美少女がいるぞ。空賊王の被害者か?」

 

 最近の習慣である、わからないことへの解説をリーシャに頼む。

 

「あ……え、彼女は……」

 

 

 

『なんじゃ、お主たち。わしの城に恨みでもあるのか』

 

 ——突然、頭に鳴り響く声が一面に広がる。

 

 

「のじゃロリか……!足りないと思っていたんだよなぁ……! よっしゃ。人に向けていきなり音波攻撃はしちゃいけないよってことを、お兄さんが教育してやらんとなぁ」

 

「ゴッド様お待ちください……!」

「いいぞーもっとやれー」

 

 

「(ちょっとノーリィ!)」

「(私もあいつにされたし……)」

 

 

 腕まくりしながら前に出て、その金髪赤眼の美少女を見る。

 見れば見るほど美しいな。

 

 うん。やはり、俺のハーレムメンバーだ。

 

 

『はぁ……?お前ふざけるのも大概に——』

「ゴッド・愛の鞭!」

 

 

 教育的指導をするべく、その場を踏み込み襲いかかる。まずはお尻ペンペンだ……!

 

 

『我が命じる。伏せよ』

 

 ——瞬間、俺は城の地面にめり込んだ。

 

「な、んだこれ……! 俺は最強……! 無敵……! 美少女……! ハーレム……!」

 

『……ん?』

 

「うぉぉおおおぉぉおお!お尻ペンペンするぞおおおおおおお!!!」

「ブフォッ」

 

 悪いのじゃロリを教育せんと正義の心に燃えた俺は、身体の中心から溢れ出る勇者の力を引き出しながらこの重圧に抗い、そして——

 

 

 ——振り払った。

 

 

「ふー、君が空賊王ミディルだというのはわかった。世界を裏からかき回すのは幾らやってもかまわないが、俺に対するおいただけは教育せんとな」

 

 両手をワキワキとさせながら、ミディルを捕まえるべく飛びかかるが、何度もすり抜けて逃げられてしまう。

 

『なんじゃこいつ。気持ち悪いな……』

「ははは、ミディルちゃんはツンデレさんだったか。」

 

 ここで馬鹿な男ならこのミディルの言葉一つでブチギレるんだろうが、俺にはわかる。

 

 あの瞳の奥に宿る俺を見ているようで見ていない瞳。それはまさしく、リーシャたちが俺を見る時の瞳だ。

 

 つまり——照れ。

 

 恥ずかしさゆえに一線を越えられなくて瞳の奥でさえも謙虚に目そらししている証拠ぉ!

 

 そこから様々なミディルのおいたを諌め、何度も勇者の力を限界突破するはめになった。

 

 だが、無事にリーシャたちが合流してきた後、戦いながらも俺の勇者魂を魅せることで話し合いの余地が生まれた。

 

 ミディルはまじで、好みだからな。

 

 俺の好みで言えば、デメリと同等だ。彼女が巨人族なのを鑑みると、ミディルはデメリ以上の存在になるかもしれん。

 

 手がかるほど可愛いとは、こういうことだったのか。元から神レベルに寛大で優しさに満ちた俺だが、さらに上の領域、もはや神を超越した、まさに超・神ゴッドになってるな。

 

 というか、今思うと現地ハーレムたちは少しばかり俺の格に見合わない部分があるな……。

 

 ミディルは確実に俺の魅力で虜にせんといかん。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 城の応接室。どこか気だるげなミディルが、なぜかノーリィに知り合いのような態度で声をかけた。

 

「はぁ……。ノーリィ。説明せい」 

「えーと……。とりあえず、はい。」 

 

 ノーリィが自分とミディルの頭に手を当てて、双方の額に小さな魔法陣が浮かび上がったかと思うと、しばらくして消えた。

 

「………………………………はぁ。」

 

 しばらくしてミディルは、ため息を吐いてこちらを見つめる。

 

 なんか記憶の共有魔法でもしたんかな。

 俺の偉業の数々を覗いた結果、思わず感嘆の吐息が漏れたように見える。

 

「自己紹介を改めてしようかの。……わしは空賊王ミディルという。だが、今は改心し、この城の中で己の罪と向き合いながら余生を過ごしていたということじゃな」

 

 ふむ。やはり、美少女に根っからの悪人はいないという真理は真実であったか。

 

「おそらくだが……、俺がこの世界に転移してきた瞬間にその存在を感知して、俺に相応しい存在になるために、無意識に償いの意識が生まれたんだと思う……」

 

「ブッ」

「あ?」

 

 なんだぁ……? 俺のハーレムの中で一番下の、ドラゴンの姫だから在籍を許されているにすぎないアムレアスが……、今、俺を鼻で笑ったか……?

 

「そ、そうだと思う。神ゴッド様の偉大さを察知したミディルが……」

「あはは……」

 

 ——というか……、よくよく考えると、なんかおかしいぞ……? 

 

「おい、アムレアスその笑いは何だ……?」

「い、いやぁ、俺もちょっと持病で……」

 

 それの知性を舐めてんのか、テメェ。

  

「ドラゴン族は生まれ関係なしに、どんな環境でも病にならないって、お前の親が言ってたじゃないか」

「ぐっ」

 

 様々な記憶が頭をよぎる。あー、なんだ? まじでおかしいぞ。

 

「後よくよく考えたらノーリィ、お前のむせるタイミングって、いつも俺がなにか喋った時だよな……」

「あ……」

 

 ふと、リーシャとノーリィのいつも大事にしている指輪を見る。

 商人のオヤジが言っていたが、てっきり

 

「というか、リーシャ……。この世界でも薬指は婚約とかの意味があることを教えてもらったんだぞ……。その直後に誤魔化されて今の今まで疑ってなかったが、飲食店でのやりとりも今思い返すと不自然だよな……」

「それは……」

 

 くそ!思い返したらおかしな場面が多すぎる!俺にとってのヒロインは、現地ハーレムたち30人と、クゥとデメリファトスしかいねぇじゃねぇか!

 

 ……いや、そこそこいるか。

 

 いやいや、しかし、こいつらを許すわけにはいかねぇ…………!

 

 

 

「——もうやるしかないのではないか?」

 

 

 

 ……は?

 

 




【あとがき】
 夢の崩壊。おわりの始まり。
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