アテンション・プリンセス~空っぽのワタシ、魔法少女になります~ 作:樫丹鏡花
無人の踏切の音が消えてからも、二人はしばらく、動かなかった。四阿の柱に施された朱色の塗装は闇に沈んで、屋根裏の蜘蛛の巣だけが街灯の光を受けて白く光っている。冷えた地面から立ち上る夜気が、制服の膝を通して伝わってくる。呼気の白さが、さっきよりも濃くなっていた。夜が、いちばん深いところに差しかかっている頃合いだった。梢の向こうに、街の明かりに負けて数を減らした星が、二つか三つだけ見えている。植え込みの外周、環七の方角から届く車の走行音は、間隔が広がっていた。深夜三時を過ぎると、この街ですら音の密度が薄くなる時間帯があることを、サクラはこのひと月で知っていた。
サクラは、何かを言おうとした。喉の奥で、言葉が形になりかけては崩れる。何度か口を開きかけて、そのたびに閉じた。膝から力が抜けていくのが分かった。声を上げることも、涙を流すこともなく、ただゆっくりと、四阿の床に座り込む。膝を抱え、額をそこに押しつけた。指先が震えている。板を切り裂き、家を半壊させたあの夜の爆発とは、まるで違う崩れ方だった。あの時は、外に向かって何かが噴き出した。今は、内側の何かが、音もなく崩れ落ちていく。視界の端が、涙のせいではない理由でぼやけていた。耳の奥で、自分の脈の音だけが、やけに大きく響いている。
「……サクラ?」
タマの声が、少し不安げに揺れた。答えられなかった。呼吸が浅く、速くなっている。胸の中で、何かが渦を巻いている感触だけがあった。冷えたコンクリートの床が、制服の生地を通して太腿にまで伝わってくる頃になって、ようやく身体の輪郭が戻ってきた。
目を閉じたまま、サクラは息を数え始めた。一つ、二つ、三つ――理由は分からない。ただ身体が、そうすることを覚えていた。八つ数えたところで、ようやく肺の底まで空気が届いた気がした。もう一度、今度は十六まで数える。膝の上で、指の震えが少しだけ収まっていく。掌の内側に、爪の痕が四つ、薄く残っていた。手首に指を当てると、脈は、まだ速かった。一分間に何回打っているのか、数える余裕はなかったが、いつもの倍近い速さだということだけは分かった。
胸の中で、堰き止めていたものが、ゆっくりと言葉の形を持ち始めた。
活躍したい。見られたい。ずっと、そう思ってきた。誰かに命じられて抱いた願いではなかったはずだ。文化祭の舞台の上で、拍手が返ってきた時の、あの胸の高鳴り。ネットの記事に自分の戦いぶりが数字で並んだ時の、あの満たされた感じ。あれは全部、ワタシ自身の喜びだと信じてきた。だが今夜、タマの口から聞かされた言葉の数々が、その願いの根元に、別の顔を貼りつけていく。数字が取れなければ打ち切られる。話ごと消される。タマが消える。もしこの願いが、ワタシ自身のものではなく、タマを生かし、委員会に数字を送り続けるために、あらかじめ仕込まれた駆動だったとしたら。あの拍手も、あの数字も、最初から、そのために用意された報酬にすぎなかったのだとしたら。
膝を抱えたまま、サクラは顔を上げた。
「ねえ」
声は、まだ少し掠れていた。
「私が、活躍したいって思うこと。見られたいって、思うこと。あれって……本当に、私の気持ちなの?」
タマは、しばらく答えなかった。前足の先で、地面を小さく二度掻いた。それから、いつもより真剣な、それでいて相変わらず必死な声で言った。
「頑張ってや、サクラ。あんたが動かんと、ワシ、消えてまう」
問いへの答えではなかった。サクラの疑問をすり抜けて、タマ自身の懇願だけが、そのまま返ってきた。
「そうじゃなくて」
サクラは、もう一度言った。
「頑張るって、何のために。誰のために」
「そら、あんたが輝くためやん。あんたの話が、続くためや」
「私の話を、誰が見てるの」
「見てる人らが、おるからや。見てる人がおらんようになったら、話は終わってまう。トラヒックが止まったら、リソースも切られるんや」
「その、見てる人って、誰」
「そこまでは……ワシもよう分からん。せやけど、あんたが見られな、あかんのや。それだけは、確かなことや」
「見られることが」
サクラの声が、わずかに震えた。
「私が生きてることと、同じなの?」
「……せやなあ」
タマは、少し困ったように首を傾げた。
「あんたが見られてる間は、あんたは、ちゃんとおるんや。見られんようになったら――さっきの、あの子の話や。おらんかったことに、なってまう」
「じゃあ、もし私が、今すぐ頑張るのをやめたら」
サクラは、掠れた声のまま、なおも訊いた。
「あなたは、すぐに消えるの?」
タマは、答えるまでに、それまでより少し長く間を置いた。
「……分からへん。すぐか、しばらく先かは、ワシにも読めん。せやけど、いつかは、そうなる」
「その『いつか』は、誰が決めるの」
「決めるいうか……計算されるんや。数字が、勝手に」
意味を尋ねる問いに、タマは仕様で答え続けた。悪意はない。嘘もない。ただ、サクラが求めている答えの形を、タマは最初から持っていなかった。五つ目のすれ違いが終わったところで、サクラは何も言わなくなった。
遠くを、車の音が一つ、通り過ぎていく。イルミネーションの届かない植え込みの奥は、静かだった。タマも、しばらく口を閉ざしていた。前足の毛づくろいをする仕草さえ、今夜は止まっている。耳だけが、時折思い出したように、片方ずつぴくりと動いた。街の音だけが、二人の間を埋めていた。信号待ちのメロディが、遠く風に乗って一度だけ聞こえ、また途切れた。自動販売機の稼働音が、公園の外周のどこかで低く唸り、しばらくしてまた静かになった。
サクラは、ポケットの中の夕刊紙を、指先でもう一度確かめた。折り目の硬さが、まだそこにある。それを確かめてから、タマの丸い目を、正面から見た。
「あなたを生かすために頑張りたいって思う、この気持ちは――ワタシのもの?」
問いを言い終えるまでの数秒、サクラは自分の心臓の音だけを聞いていた。
タマは、答えなかった。前足が、地面の上で止まった。丸い目が、いつもの愛嬌のある丸さのまま、ただ何も映さなくなったように見えた。仕様書のどこにも、この問いの答えは書かれていなかった。
沈黙は長かった。街灯の明かりの下、二人はしばらく、互いの輪郭だけを見ていた。数えていた心臓の音が、二十を超えたところで、サクラは数えるのをやめた。
タマが、ようやく口を開いた時、その声から、いつもの関西弁の抑揚が――人情と商魂が地続きになった、あの独特の節回しが――一瞬だけ、消えていた。
「……ワシは、サクラに、おってほしいだけやねんけどなあ」
短い一言だった。数字の話は、ついていなかった。トラヒックも、リソースも、打ち切りの話も、その一言には混ざっていなかった。タマ自身、その言葉がどこから出てきたのか、分かっていないようだった。言い終えた後、丸い目を、少し不思議そうに瞬かせている。前足の先が、地面の上で、行き場を失ったように小さく動いた。招き猫の意匠そのままに上げていたはずのその足が、今は、誰かを招き寄せるためではなく、ただ持って行き場のない重さを持て余しているだけに見えた。
サクラは、何も返せなかった。タマの言葉に嘘がないことは、分かった。だが、それが答えなのかどうかは、分からなかった。二つの願いが、解決しないまま、四阿の下に並んで残っている。一つは、タマを生かしたいという願い。もう一つは、タマがサクラにそばにいてほしいという願い。どちらも本物で、どちらも仕様の外にはみ出していて、そのはみ出し方は、少しも噛み合っていなかった。
サクラは、膝を抱えたまま、また少し座っていた。タマも、少し離れた場所で丸くなって、動かなかった。二つの輪郭は、近づくでもなく、離れるでもなく、ただ同じ夜の中に置かれていた。四阿の屋根の下、街灯の光の輪の外側で、時間だけが、静かに流れていく。ポケットの中の夕刊紙が、いつのまにか、指先の熱でわずかに湿っていた。
やがて、遠くの線路の方から、いつもとは違う音が届いた。踏切の音ではない。もっと重く、規則正しい響きが、レールの継ぎ目を渡っていく。始発の電車が動き始めた音だった。参宮橋の駅の方角から、次に代々木の方角から、同じ響きが間を置いて二度届いた。空はまだ暗いままだったが、植え込みの向こうの空の端に、わずかに灰色の気配が滲み始めている。どこか遠くで、清掃車のブラシが路面を擦る音が、規則的なリズムで近づいては遠ざかっていった。
サクラは、膝から顔を上げた。何も解決していなかった。問いは、まだ宙に浮いたままだった。それでも、身体は、立ち上がる準備を始めていた。冷え切った脚に、力を入れ直す。指先の震えは、もう止まっていた。
「……行こ」
サクラが言うと、タマは、少し遅れてから、小さく頷いた。二つの輪郭が、四阿を出て、まだ暗い公園の小径を歩き出す。砂利を踏む足音が、二種類、少しずれた拍子で重なった。片方は乾いた靴底の音、もう片方は、湿った草の上を歩いているはずなのに、やはり濡れていない小さな足音だった。息を吐くたび、白い塊が二つ、並んで宙に浮かんでは消えていく。公園の出口に近づくにつれ、街灯の間隔が狭くなり、光の輪が重なり合う場所が増えていった。
十二月十九日、午後二時。大手町から程近い、皇居の堀端に建つホテルの三階、庭園に面した和洋折衷の小部屋だった。予約は、いつも通りクロエ自身の名前では入れていない。東和新聞文化部の別の記者の名を借り、フロントを通さない会員制の予約フォームから、前日の夜に押さえた枠だった。エレベーターは専用のカードキーがなければ三階で止まらない。面会の記録に、自分の名前を一切残さないための、これまで何度も使ってきた手続きだった。
障子の桟越しに、色を失いかけた庭木の輪郭が透けている。松の緑だけが、他の木々より一段濃く残っていた。床の間には、季節外れの椿が一輪、白磁の細い花器に活けられている。誰の趣味かは分からない――このホテルの部屋ごとの意匠は、外部の生花業者に外注されていると、以前どこかの記事で読んだ記憶があった。暖房の吹き出し口は見当たらず、床下からの輻射だけで室温が保たれている。畳の縁を踏む足裏に、その微かな熱がじんわりと伝わってきた。
給仕は一度だけ現れた。茶托を二つ、卓の中央からわずかにずらして置き、湯気の立つ茶碗の位置を確かめてから、一礼して襖の向こうに消える。以後、誰も部屋に入らない。二人分の座る位置は、卓を挟んだ対角線上、庭側にクロエ、床の間側に毛利という配置に、あらかじめ決められていた――どちらが誰の希望かは、もう確かめる必要もなかった。
毛利は定刻の三分前から座っていた。灰色のスーツ、ネクタイの結び目がいつも通りに硬い。名刺は交わさなかった――互いに、名刺を必要とする間柄ではないという前提が、最初から共有されていた。卓上の湯呑みの向きだけが、几帳面に卓の縁と平行に揃えられている。
「あなたの舞台には、中心が空いていましてよ」
クロエは、挨拶の代わりにそれだけを言った。声の質は、いつもの社交の声のままだった。丁寧で、優雅で、格調高い――だが今日は、その優雅さの下に、値踏みの速度が隠れている。
「……どういう意味でしょうか」
毛利は湯気の立つ茶碗に手を伸ばしながら、感情の温度を一切乗せずに問い返した。
「桃の枠が、埋まっておりませんでしょう。手配書の四枠は写真つきで刷り上がっているのに、五枠目だけが、何度差し替えても像を結ばない――ですわよね」
毛利の視線が、茶碗の縁からわずかに上がった。半瞬だけ、動きが止まる。
「情報の出所を伺っても」
「東和ですわ。社会部が、個体識別資料という名の紙束を、後生大事に抱えておりますの。全三十八ページ、桃の項目だけが三枚――目撃報告は九件あるのに、写真として使えるものが一枚もございませんの」
「その紙束の中身を、私に差し上げるおつもりで」
「いいえ」
クロエは、扇子の代わりに指先だけをテーブルの上で軽く合わせた。
「その紙束の代わりに、わたくし自身を、差し上げますわ」
沈黙が、二秒ほど流れた。毛利はまだ、感情語を使わない。
「東和の文化面は、朝刊三十八万部の一角に、選書会議を通さず記事を差し込める裁量を持っております。系列のテレビ局担当役員のラインを使えば、夕方のニュース枠に映像を乗せることも――最終降版は午後十一時、映像の差し替え締切は放送九十分前。この二つの締切さえ押さえれば、明日にでも、望む顔を望む速度で、望むだけの人の目に届けられますの」
「規制法案の審議日程との整合性は」
「今週末の委員会採決に、間に合いますわ。むしろ、間に合わせるために参りましたの」
「桃を、黒に差し替えるとおっしゃる。読者の側は、その差し替えに疑問を持ちませんか」
「持ちませんわ。差し替えではなく、続報として出しますもの。『新たな脅威、判明』――見出しは、それだけで十分ですの。像の結ばない少女の話より、輪郭のはっきりした話の方が、数字は伸びますでしょう」
「輪郭を、どう用意なさるおつもりで」
「顔写真は、いくらでも撮らせますわ。名前も、経歴も、こちらで用意いたします。桃のように、差し替えるたびエラーコードが出るような真似はいたしませんの」
「時期は」
「年明けを待つおつもりでしたら、遅すぎますわ。今週中に、一度。年末の空気が抜ける前に、二度目を」
毛利は、湯気の消えかけた茶碗をようやく口に運んだ。一口含み、置き直す仕草に迷いはなかった。
「桃の枠のデータ不備は、進行管理上、看過できない状態が続いております」
言葉の選び方はいつも通り制度的だったが、語尾のわずかな速さに、苛立ちが乗っていた。クロエはその速さを聞き逃さなかった――この男が唯一、感情語を使わずに感情を漏らす場所は、進行の遅延に触れる瞬間だと、これまでの観察ですでに分類してある。今夜、また一つ、同じ場所で同じ速さが確認された。
「その不備を、埋めて差し上げますわ。桃の代わりに、黒を」
「対価は」
「編集の裁量を、これ以降、わたくしの指示だけで動かせる形に。それから――舞台の袖に、もう一人分の椅子を」
「その椅子の名は」
「今は、まだ」
「匿名の椅子を、私の舞台に置けとおっしゃる」
「置いていただくのではございませんの。もう、そこに座っておりますのよ。あなたが気づいていらっしゃらなかっただけで」
毛利は、卓上の湯呑みの位置を、指先で二ミリほどずらした。整合性を確認する時の癖だと、クロエはすでに知っている。数秒の間があった。窓の外、庭木の影が、日の傾きに合わせてわずかに角度を変えていた。
「整合性が取れれば、問題ありません」
短い返答だった。だがその短さの中に、望んでいた答えの形が、そのまま収まっていた。
毛利にとって、この提案は渡りに船だった。桃の不備という進行上の穴を、黒が自ら埋めに来た――制度の目には、そう映るはずだった。この男の脚本には、いつも敗北と悲劇が相応しい役が必要で、埋まらない枠は、その脚本を止める唯一の要因だった。だから今、目の前で自ら手を挙げた駒を、疑う理由が、この男には最初からない。
だが、クロエの内心の分類は、もっと明晰だった。
この脚本の結末――敗北と悲劇――を、舞台の上に立ってから、書き換える。勝って生き残る主役は、この男の脚本の要件を満たさない。それをこの男は、まだ知らない。テレビの時代の人、とクロエは分類した。一回性の大悲劇を作ることには長けているが、その後も続く日常のことは、最初から勘定に入れていない人。悲劇は、幕が下りた瞬間に完成する。だが幕の下りた後も、舞台の上に立っていた者は、生き続けなければならない――その続きの部分を、この男は台本のどこにも書いていない。
会談は、それ以上長くは続かなかった。毛利が立ち上がり、一礼して部屋を出ていく。足音はほとんどしなかった。障子を閉める最後の一枚まで、几帳面な角度だった。
クロエは、一人になった部屋で、懐から端末を取り出した。ユカリへの連絡は、この面会に来る前に、すでに済ませてある。「あなたは、袖にいらして。幕が落ちる時、わたくしの側に」――短い一文だけを送った、あの時のままの画面を、もう一度開く。既読の表示だけが、変わらずそこにあった。返信はない。ユカリらしい沈黙だった。無理に言葉を返させる必要も、今はなかった。
窓の外、堀端の欅の梢が、風に細かく揺れていた。冷えた空気が、障子越しにもわずかに感じられる。クロエは冷めきった茶碗に一度だけ手を触れ、口はつけずに卓へ戻すと、部屋を出た。
ホテルを出ると、日はすでに傾き始めていた。堀の水面に、対岸のビルの灯りが、まだ薄く映り始める時刻だった。東和新聞ビルまでは、歩いて十五分ほどの距離だった。クロエは車を呼ばず、その距離を歩くことを選んだ。
大手町の交差点に近づくにつれ、街路樹に巻かれた電飾が、次々と灯り始めていく。まだ点灯していない一本の前を通り過ぎる時だけ、足の運びがわずかに遅くなった。息が白く伸びて、すぐに消える。手袋をしていない指先が、コートのポケットの中で冷たくなっていくのを、クロエは意識の隅で確かめながら歩いた。
自室に戻り、机の抽斗から手帳を取り出す。表紙の擦り切れが、また少し進んでいた。開いたページに、以前書いた自分の名前が、丸のないまま残っている。毛利、ユカリ、カノン――丸のついた名前の列の続きに、自分の名前だけが、これまで裸のまま置かれていた。
丸をつける前、ほんの数秒だけ、ペン先を紙の上に浮かせたままにしていた時間があった。桃の枠を埋めるという理屈は、毛利には筋の通った取引に見えたはずだった。だがクロエ自身の理屈は、もう一段深いところにある――中央の空席に、誰かを立たせる側から、自分自身が立つ側へ。その一線を越える重さを、ペン先の止まった数秒が量っていた。迷いは、その数秒にしか居場所を持たなかった。
ペン先を、名前の周りに沿わせる。一画ずつ、円を描く速度は、これまで他人の名前に丸をつけてきた速度と、変わらなかった。だが今夜だけは、ペン先が紙面を離れるまでの間、呼吸を止めていたことに、クロエ自身、後になって気づいた。
丸は、閉じた。舞台に立ってから手に入れる資格のはずだったものが、今、手帳の上に、他の誰の名前とも変わらない形で並んでいる。
窓の外、東和新聞ビルの向かいのビルの電飾が、点滅の周期をようやく揃えていた。クロエは手帳を閉じ、しばらくその光を、見るともなく見ていた。