「ほ、ホントに私がやるんですかっ?!」
「大丈夫だって! あとは詠唱するだけでこの人は生き返るからさ」
杭を抜き、家主である男性を幾何学模様とルーン文字を描いた床に横たわらせた俺はアーシアに魔術の発動するようお願いしていた。
理由は例によって俺だと失敗する可能性があるから。 それともう一つ、
「頼むよアーシア、俺魔術師として
ほぼ嘘だ。 いやー、最近自分を偽る事が多くなった気がする。
俺がこんなに嘘をつくようになったのは神様の所為だ! 神様が悪い! 神様なんか死んじゃえ!! ……すでに死んでたな。
「……わかりました、この方が救われるのであればやってみます」
「ありがとう。 魔力は俺が負担してるからアーシアはさっき教えた通りに詠唱すればいいから」
「は、はいっ!」
緊張した面持ちのアーシアが一つ深呼吸を置き、詠唱を始める。
詠唱が進むに連れて淡い金色の光が部屋に現れ、それらが家主の身体とついでとばかりに部屋の傷付いた箇所に入っていき、傷を修復していく。
『
原作だと死者の体内に黄金を入れ操り人形のように動かす魔術だったが、俺がそれを改良に改良を重ねて編み出したのがこの『
改良と言うより改造し過ぎて完全な蘇生魔術になっただけでなく、対象者と魔術陣の周囲にある生物、無生物、有機物、無機物問わず修復するトンデモ魔術が出来上がった。
なにチート野郎だと? 想像してみろ俺が使って失敗しようものならどんな代償が待ち受けているか。
結局どんなチート魔術を生み出そうが俺が扱えなきゃ意味がない。
そんなことを考えているうちに魔術は完了した。
アーシアの詠唱が終わる間際、金色の光が一際輝き消え失せると新築と見紛うほど綺麗になった部屋と傷一つない男性が居た。
「お疲れ様。 成功したよ」
「はふぅ〜、よかったです」
緊張の糸が途切れたアーシアがへなへなと座り込んで安堵の息をつく。
そう
これでハッキリした。
『無限の可能性』は俺が直接的に行動した場合に発動する。
つまり、間接的ならば発動しない。
俺が確かめたい事とはこのことだ。
これは以前からルフェイに手伝って貰い何度も実験していてようやく実を結んだ。
一番ネックであった直接と間接の線引き。 それも俺が魔術を詠唱さえしなければ、魔術を描こうが魔力を供給しようが直接とは見なされず発動しないと判明した。
うん、改めて『無限の可能性』面倒くせぇ。
「じゃあ終わったことだし帰るか」
「あっ……、」
アーシアの表情が暗くなった。
人殺しを平然とするヤツらの元に帰りたくないのだろう。
「アーシアはどうする? 此処に残って堕天使たちが来るまで待つか? ヤツらの目的は知らないがあまりオススメはしないぞ」
と言いつつ堕天使の目的は大方予想がついている。このまま帰せばアーシアは間違いなく死ぬ。
「私は……、」
そこに俺はある提案をした。
「それか俺んとこに来るか?」
「ふぇ?」
「俺がこの人を蘇生させたのは、蘇生魔術があるのに見捨てるのは寝覚めが悪くなるっていう俺の我が儘だ。 それをアーシアは手伝ってくれた。 だからそのお礼かな。 もちろん行く行かないはアーシアが決めてくれ」
その言葉を受けたアーシアは目を瞑り少しして決心がついたのか目を開け告げた。
「………ご迷惑でなければよろしくお願いします」
「了解。 それじゃあ帰る……前に
忘れてた。 このまま放置したら家主さんがまた殺されちゃう。
さて、どうしよう。
フリードを殺すのは簡単だ。
だが、そんなことをしたらアーシアは俺について来なくなるだろうな。
うーん、それほど脅威じゃないし、そこら辺の路肩にでも転がしとこう。
そう結論づけて、未だ気絶しているフリードを肩に担ぎ上げた俺はアーシアを連れてこの家を出て行くのであった。