アーシアをお持ち帰り(意味深)した次の日。
初めて見る街並みに目を輝かせながら辺りを見回しているアーシアを連れて繁華街を歩いていた。
というのもアーシアは日本に来て日が浅い。 このまま
堕天使の下から連れ出した手前、最低限の責任は果たそうと行動してる訳だ。
「ほら!」
「うわぁホントだ! シスターなんて初めて見たよ」
うん。 目立ってる。
会話する二人組の男子高校生を始め、幾人もの通行人が此方を視ている。
そりゃあ金髪美少女シスターを連れ歩いてたら注目の的にもなるか。
だが、普段から好奇の目に晒され慣れている俺が今更気にするものか。
「それにしても一緒に居る駒王学園の
き、気にするものか。
「さあ? でもどっちも可愛いな。 ……アタックしてみようかな」
「はっ!」
「てめぇ! 鼻で笑いやがったな!!」
「お前があの
…………。
「やろぉぉおぶっくらっしゃぁぁぁ!?」
逃走を開始した一人を追って奇声を上げながら男子生徒たちは走り去って行った。
「…………、」
「カ、カンナさん?」
「アーシア場所移動シヨッカ?」
「は、はいっ!」
この時の俺は無表情で怖かったと後にアーシアは語る。
「アレ? イッセーなんでこんなトコに?」
「イッセーさん!」
「鳴上……、とアーシア?!」
児童公園にてベンチに座り込んでいたイッセーを発見した。
なんでも「傷は完治したとはいえ、命のやり取りをして精神的に参っているはずだから今日は学校を休みなさい」と言われたそうだ。 因みに俺は昨日のうちに休みますとリアス部長と学校側に連絡を入れている。
「どうしてアーシアが」というイッセーの問いに昨日の出来事を大雑把に説明してやると、感涙しながら感謝の言葉を述べてきた。 あと
好感度がアップしたみたいだが男からの好感度が上がっても嬉しくないんだが。
閑話休題。
俺、イッセー、アーシアの三人で街巡りを再開、時間も丁度よかったため近くにあった大手ファストフード店で昼食を取ることに。
その際、アーシアが手を清めるために聖水をだして
その後はゲームセンターを知らないアーシアとレースゲームやUFOキャッチャーや様々なゲームをしまくって遊びつくした俺たち三人。
時刻は夕暮れ。
遊び疲れクタクタになった俺たち三人は休憩するためベンチに腰掛けた。
「そうだった。 アーシア、言いそびれちまったけど脚の怪我治してくれてありがとな。 あれって
「はい。 そうです」
「実は、俺も
確かに初期段階のアレは
「イッセーさんも
「ははは、なんか俺の効果とかまだわからないからさ」
そろそろ自分が持っている
「それに比べて、アーシアの力はすごいよ。 これって、人や動物、俺みたいな悪魔まで治せるんだね」
イッセーが羨望の眼差しで褒めた。
だが、褒められたはずのアーシアは複雑そうな表情を浮かべ、次第に顔を俯かせて涙を零してしまう。
知らず知らず地雷を踏んだイッセーと俺で何とかアーシアを落ち着かせる。
泣き止んだアーシアは自身の生い立ちを語ってくれた。
欧州のとある地方で生まれてすぐに両親に捨てられたこと。 教会兼孤児院で暮らしていた八つの頃、傷ついた子犬を不思議な力で治癒したこと。 それをカトリック教会の関係者に見られ、治癒の力を宿した「聖女」として担ぎ出されたこと。 待遇に不満はなくむしろ自分の力が役に立つのが嬉しかったが心を許せる友人が一人も居なかったことが寂しかったと語る。
「そんなある日。 私は悪魔祓いに追われ深い傷を負った悪魔に出会いました」
アーシアはその悪魔を治癒の力で助けた。 助けてしまった。 その日から彼女の人生が大きく変わる。
『悪魔を癒す魔女』。
聖女として崇められた彼女は、悪魔を治癒できるという理由で『魔女』として恐れられ、呆気なくカトリックから
行き場をなくした彼女を拾ったのは、極東の「はぐれ
一度も神への祈りを忘れたことなどなく、感謝も忘れたこともない。 なのに彼女は捨てられ、堕天使の加護を受けなければならなくなった。
何よりもショックだったのは教会で自分を庇ってくれる人が一人もいなかったこと。
味方は誰もいなかった。
「……きっと、私の祈りが足りなかったんです。 ほら、私、抜けているところがありますから」
アーシアは笑いながら、涙を拭った。
今まで普通の暮らしを送って来たイッセーはアーシアの過去を知り言葉を失っているようだ。
かくいう俺もどう声をかければいいか悩んでいた。 「頑張ったね」「辛かったね」という言葉を掛けるは簡単だ。 だが、そんな言葉を掛けたところで本人には何の慰さめにもならない。 それに、同じ経験をしてない俺が同情するのは失礼に感じた。
「これも主の試練なんです。 私が全然ダメなシスターなので、こうやって修行を与えてくれるんです。 いまは我慢のときなんです」
アーシアは笑いながら自分に言い聞かせるように。
「お友達もいつかたくさんできると思ってますよ。 私、夢があるんです。 お友達と一緒にお花を買ったり、本を買ったりして……おしゃべりして……」
願いは叶うと涙を溢れさせていた。
アーシアは我慢してきた。
ずっとずっと一人で。
そんな彼女にかけるべき言葉は同情から出た言葉じゃない。
そんな
だから。
俺は、俺たちはこう言った。
「「俺が友達になってやる!」」
示し合わせたかの如く一言一句違えず言った俺とイッセー。
若干気恥ずかしい。
「あ、悪魔だけど、大丈夫。 アーシアの命なんて取らないし、代価もいらない! あー、ケータイの番号も教えてやるからさ」
ポケットに手を突っ込みケータイを取り出したイッセーを見て俺はいま思っていることを。
「それナンパみたいだな」
「この場面で茶化すか!? いや字面だけ見ると確かにナンパみたいだけどそんな下心は一切無い!!」
「イッセーが下心ないとか明日には世界が滅びるかもな」
「お前は俺を何だと思ってんだ?!」
「エロ魔人」
「否定出来ない自分が恨めしい!」
間髪入れずに即答してやった。
コレでイッセーは名実ともにエロ魔人になったな。
「……どうしてですか?」
「どうしてもこうしてもあるもんか! 今日一日俺とアーシアとカンナで遊んだろ? 話しただろ? 笑いあっただろ? なら、もう友達だ! 悪魔とか人間とか神様とか関係ない! 俺たちとアーシアは友達だ!」
「……それは悪魔の契約としてですか?」
「俺は悪魔じゃないし、イッセーもさっき言ってたじゃないか。 関係ないって」
アーシアは口元を手で押さえながら、再び涙を溢れ出させていた。
でも、その涙は哀しそうなものではない。
「……私、世間知らずです」
「今日みたいに一緒に色んなものを見て回って知っていけばいい」
「……日本語もしゃべれません。 文化もわかりませんよ?」
「俺が教えてやるよ! ことわざまで話せるようにしてやらぁ! 俺に任せろ! なんなら日本の文化遺産でも見て回ろうぜ! サムライ! スシ、ゲイシャだぞ!」
芸者を入れるあたりがイッセーらしいな。
「……友達と何をしゃべっていいかもわかりません」
「友達と話す内容なんて何でもいいんだよ。 それにもう俺たちと友達と話してるじゃないか」
「……私と友達になってくれるんですか?」
俺とイッセーは一度顔を見合わせた後、宣言するようにアーシアに告げる。
「「これからもよろしくな、アーシア」」
その言葉に彼女は泣きながら笑って頷いてくれた。
まさか、臭い台詞を高校生になって言うことになるとは想いもしなかった。 まあ
あの頃は……、思い出したくない。
さあ、このまま俺たちとアーシアが友達になって大団円。
だったら良かった。
気配は
一人の少女の小さな夢をぶち壊すかのようにソイツは現れた。
「無理よ」
黒髪ロングの女。
彼女を装いイッセーを殺そうとした。
数日前に戦った。
「ゆ、夕麻ちゃん……?」
…………はぁ、なんでこのタイミング?
前回、実力差を知らしめたはずなんだが分からなかったのかそれとも単にバカなのか。
取り敢えず、久しぶりにキレちまった。
覚悟しろよレイナーレ。
はい、カンナくんキレちゃいました。
ということで次回はカンナくんの無双(?)回。
レイナーレは果たしてどうなるのか?
では、また次回。