今回は独自設定が出てきます。
序章を終わらせようと思って書いたら、普段の3、4倍ぐらいの文字数になってしまった……。
後書きの方で、ヒロインアンケートの途中経過上位陣を発表します。
オーフィスちゃんに連れられ、やって来ました北欧デンマーク、イーエスコウ城!!
五百年近く前、湖畔に建てられたルネサンス様式の古城が湖に映る光景は、風情がありますね!
えっ? テンションが高い? 当たり前じゃないか! だって俺、海外来たの初めて! テンションが上がらない訳がない!!
……すいません、目的見失ってました。
観光じゃなくて、右目の回収に来たんだった。
「オーフィスちゃん、少し待っててくれ。 これが終わったら君を家まで送り届けるから」
「ん。 我待つ」
この子純粋過ぎる! 知らない人に付いてっちゃうタイプだよ。 親御さんも心配しているだろうし、早く済ませよう。
俺は湖畔へと足を運び、その場で跪くような格好で両手を湖の水面につけた。
そして、口の中で言葉を紡ぐ。
すると、湖全体が凄まじい蒼の光を放ち、俺の両手で掬った水へと集ま…………らない。
「…………呪文間違えたか? もう一度やってみるか」
呪文が間違ってないか確認し、再度口の中で言葉を紡ぐ。 再び、湖全体が蒼の光を放ち、掬った水へと……集まらない。
「何でだ?」
「そりゃ、お主の目じゃないからのぅ」
――――っ!?
声は俺の
地面に届きそうな程長い白ヒゲを生やし、手には杖、古ぼけた帽子を被ったローブ姿の老人がいつの間にか居た。
そんなことを思っていた俺は、爺さんが眼帯をしていること、神聖なるオーラを放っていることに気づく。
ミミルの泉は、北欧神話の神々が住まう世界、アースガルズなどがある『
そんな北欧神話
「オーディン?!」
「如何にも。 わしの捧げた左目を盗まれんよう張った魔術が反応するから来てみれば。 異世界のオーディン……いや、オティヌスに出くわすとはのぉ」
ヒゲをさすりながら答える爺さん、もといオーディン。
マジかよ。 この世界って神様が普通に登場する世界なのか。……ちょっと待て! 今なんて言った?
「『わしの捧げた左目』……?」
「なんじゃお主、自分が異世界に転移していると気づいておらんかったのか? 此処にあるのはわしの目じゃよ」
なんか嫌な予感が。
「じゃあ、俺の目は……」
「お主のは『お主の世界』にあるに決まっておろう」
つまり、俺の目は転生前の世界にある、と。
…………神様、なぜ俺の右目だけ転生させなかった。 オティヌスを転生特典にするんだったら、そこらへんの設定もちゃんとしやがれ!!
つーことは俺、一生半分の確率で失敗する生活を送ることが確定したのか。 そもそも魔神に寿命なんて概念があるのか? なかったら永遠か。 はっはっはっ……はぁー。
「急に肩を落としよってどうしたのじゃ?」
「少しほっといてくれ。 目を戻さなきゃいけないのに、その場所まで行く……帰る方法が分かんなくて傷心してるだけだから」
「やはり、迷子じゃったか」
迷子……似たようなもんか。
そんな意気消沈している俺に、オーディンは驚くべきことを言う。
「いまのお主には難しかろうが、お主の世界に帰る方法はあるぞい」
「……はぁ? 俺の頭の中に『異世界に渡る』なんて魔術ねえのに、アンタはそんな魔術を持ってんのかよ」
「なわけがなかろう。 あったらわしは、知識欲を満たすためにこの世界を旅立っとるわ」
「じゃあ一体?」
「『槍』じゃよ」
「『槍』って『
「そうじゃ」
確かにグングニルを持てば、俺の失敗する確率が排除され、『百パーセント成功の可能性』しか残らなくなる。 それを使えば元の世界に帰れるのでは? と考えるだろう。
それは間違いだ。
考えてもみてくれ、オティヌスは自身が改変してしまった世界を元に戻した。 だが、百パーセント成功する筈なのに、ちょっとした差異をオティヌスは感じていた。 何万回も何億回も差異を無くそうとしていたが、結局それを消すことは出来なかった。
具体的なことは分かんねぇけど、『百パーセント成功』の可能性にも何かしらかの欠点がある。
『異世界から元の世界に
それに、半分の確率で失敗する生活が嫌だからって、グングニルを持ってしまったら大抵なことは百パーセント成功してしまう。
そんな人生つまらないだろ。
だから、俺は『グングニルの製造』と『元の世界に帰る』ことを諦め、右目を戻して人間に戻る選択をした。 ……まあ右目なかったけど。
しかし、オーディンはグングニルを使えば元の世界に帰れるというのだ。
「まだ気付かんのか? 全知の名が泣くぞい」
「んなもん勝手に泣かしとけ! で、方法は?」
「グングニルの特性を考えればおのずとわかるじゃろ」
まるで、ダメな教え子を見る目をして溜息を吐いたオーディンはそう言った。
ちょっとムカッとしたがいまは抑えよう。
グングニルの特性は、的を射損なうことがない必中と、槍を向けられた軍勢に必ず勝利を
「まさか『自動的に持ち主の手元に戻る』か? でも、俺の世界に帰る方法と何の関係が?」
「グングニルの持ち主をお主の世界にいる誰かに設定すればよい。 グングニルは、持ち主が異世界に居たとしても次元を超えて持ち主の元へ帰ろうするのじゃ。 それに便乗してグングニルを道標に追って行けば、お主は元の世界に帰れるというわけじゃよ」
……グングニルにそんな使い方があったのか。
「でも、グングニルの持ち主の設定はどうするんだ?」
「『持ち主となる者が触れる』か、『持ち主となる者の持ち物をグングニルにつける』かをして、ルーン文字で『f』と刻めばよいぞい」
北欧のルーン文字の『f』って、『財産』を意味する『fé』のことか。
持ち主となる者が触れるってのは出来ないから、俺以外の元の世界に居た人の持ち物をつけないといけない。
そんな物あったか?
俺の恰好が学生服のままなら期待出来たが、見ての通り学生服からオティヌススタイルver.男子になっている。 それでも一縷の望みを込めて俺は袴のポケットを探す。
チャリッ!
「あった! ……ケルト十字?」
ポケットから出てきたのは、ケルト十字のネックレスだった。
俺はこんなのを買った記憶も貰った記憶もない。 なら一体誰の……あれ、これトラックから助けた女の子の物じゃないか? 確か首に掛けてたのに、なんで俺が持ってんだ?
まぁ、お蔭で帰ることが出来るんだが。
「にしてもお主、なぜオーフィスと一緒にいるのじゃ?」
「オーディン。 久しい」
俺の隣に来ていたオーフィスちゃんがオーディンに挨拶をした。
「もしかしなくても、オーディンはオーフィスちゃんと知り合いか! だったらこの子を家に帰すのを手伝ってくれないか?」
「家に帰す……。 お主、オーフィスが何者なのか理解しておらんな」
オーフィスちゃんの正体?
「来たばかりじゃ仕方なかろうとも、
「いや、ちょっと待て! それ、頭がパァンする可能性が!?」
オーディンが呪文を唱えると、白い光が宙に現れ、制止を呼び掛ける俺の頭の中に、スゥッと入った。
瞬間。
一気に知識が、ががががががががががががががががががががががががががががががぁ!!?
「おい、爺さん!! よくもやってくれたな!」
あれから数分、ようやく情報の整理がついた俺はオーディンに詰め寄った。
「口頭で説明するよりも、コレが手っ取り早いとお主も分かっとるじゃろ」
「ああ確かに、悪魔、天使、堕天使の三つ巴の戦争。 聖書に記されし神や魔王の死。 オーフィスちゃんが『次元の狭間』の『無』から産まれた『無限』を司る
けどな、あの魔術は一気に情報を脳に叩き込むから、運が悪けりゃ脳がショートして廃人になる場合があるって知ってるよな! 俺も危うく廃神になるところだったんだぞ!?」
つーか、『聖書の神が死んでる』って部分で思い出した! 此処、ラノベの『ハイスクールD×D』の世界じゃないか!
俺は読んだことがないけど、クラスメイトの
うん、意味不明だ。 あと、オーフィスちゃんを何故知っていたのかという疑問が解消された。 こんな覚え方していてすまなかったオーフィスちゃん。 お詫びとして次、ソイツに会ったらシメとくから。
「でもまあ、一応、礼を言っとくぞ。 ありがとな、爺さんのお蔭で俺は元の世界に帰る方法が分かった」
「……見た目は美少女なのに男じゃからのぉ。 礼を言われても喜べんわい」
こんのジジイ! ……今回は許すけど、次! 減らず口をたたいたらタダじゃおかねえからな!!
さて、あとは……。
「オーフィスちゃんをどうやって家……次元の狭間に帰すか」
次元の狭間ってのは、天使の住む
「お主、早く帰りたいんじゃなかったのか?」
「帰りたいけど、『約束は絶対に守れ』って教えられて生きてきたんだよ。 だから俺は一度した『約束』は絶対に守るって決めてんだ」
「『裏切りの神』が言う
「うっせぇ! とにかく、問題は『グレートレッド』をどうするかだ」
次元の狭間には一体の龍がいる。 名を『
『真龍』とも、『
この世界に居るわけないか。
「オーフィスちゃん、そのグレートレッドって龍を次元の狭間から追い出すのを手伝えばいいんだよな?」
「ん。 我、静寂を得たい。 次元の狭間静か、だけどグレートレッド邪魔」
殺すなんてことになったら流石に止めようかなと考えてたけど、追い出すんだったら……グレートレッドって話通じるかな? 通じるんだったら説得も視野に入れておくか。 なるべく穏便に済ませたいし。
「あっ! 爺さん」
「なんじゃ、というかわしの呼び名はそれで確定かの」
「確定だ。 それより俺の家を用意してくれないか? 出来れば日本が良い」
「……いきなりずうずうしくなったわい。 別に構わんが、お主なら此処デンマークかドイツ辺りを選ぶと思ったのじゃが?」
単純に俺が日本人だからって理由で選んだだけなんだけどな。 見た目オティヌスだから仕方ないか。
「あの極東の島国は、宗教にそこまで明るくない。 そこの方が行動し易いって考えたからだ」
「北欧じゃと、わしが居って動き難いのは確かだしのぉ。 分かったわい、知り合いにでも頼んでみるかの」
「よろしく頼む。 じゃあ俺はもう行くよ、試さなきゃいけない事が色々とあるし」
「我もついて行く」
「あれ? オーフィスちゃんは住んでる場所があるんじゃなかったの?」
「あそこは煩い。 それに魔神、興味がある」
煩い? まあそこら辺は後で訊けばいいか。
「分かった。 オーディン世話になったな」
「まったく、わし
「ああ、肝に銘じておく。 それじゃあな」
俺は三角帽の中から犬が咥えていると似合いそうな、真っ直ぐな形の骨を取り出した。
『
その側面に刻まれた文字を指でなぞる。
失敗した時が怖いが、その時はその時で魔神の力でどうにか乗り越えよう。
行き先は日本。
オーフィスちゃんも連れてレッツゴー!
こうして、『ハイスクールD×D』世界での、俺の新たな人生が始まったのだった。
さて、前書きにも書きましたがヒロインアンケートの途中経過上位陣を発表したいと思います!
第1位は、オーフィス 9票
第2位は、ロスヴァイセ 6票
第3位は、黒歌、小猫 5票
第4位は、ルフェイ 4票
となっています。 まだまだご応募受け付けています!
次回、いよいよ原作突入です! 果たしてカンナ君はレイナーレ戦の戦闘に参加するのか?(しても良いのか?)