ハイスクールD×D 〜北欧の魔神〜   作:LIMITER

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原作突入!

……は、次回からです。
すいません許して下さい、なん(ry


第1章 旧校舎のディアボロス
あれから、一年


 

 

真っ暗だった。

辺りには何もない。 動物も植物も。 山も谷も、海も川も、太陽も月もない。

黒一色の世界が、ただただ果てしなく続いている。

そんな場所を歩いて来た。

必ず誰かが居るはずだ。 きっと何かがあるはずだ。

そう信じて。

 

 

 

「……………………あー、またあの夢か」

 

早朝。 自室のベッドで目覚めた俺はウンザリとした声で呟いた。

転生してから俺は、『オティヌスが経験したこと』を度々(たびたび)、夢で見るようになった。

初めてこの夢から目覚めた時は夢だと理解しているのに恐怖で身体の震えが止まらなかった。

なぜそんな夢を見るのか不明だが、それも何十回と見ていく内に慣れてしまい、いまではご覧の反応。

気分は最悪だけどな。

 

この世界に転生して一年が経とうとしている。

いま、俺が住んでいるのは日本の駒王町(くおうちょう)にある、オーディン(ジイさん)が用意してくれた一軒家。

この一年の間に俺は私立駒王学園(しりつくおうがくえん)に通い始めた。 現在は共学だが、元は女子校だったらしく女子の割合が多いのが特徴の高校だ。

俺は自ら高校に行こうなんて気は無かった。 しかし、オーディンから……正確にはオーディンを介して『この町の管理人』の兄から、ある依頼をされた。 断る理由もなかったし、高校生活をやり直すのもいいかなって思った俺はこの依頼を引き受けて、去年駒王学園に編入した。 ちなみに現在は二年生だ。

それと、もう一つ……これは本人達を前にして説明した方が分かり易いか。 今日も来てるだろうし。

そう考え、寝間着にしているジャージを脱いで駒王学園の制服に着替える。 …………もちろん男子服だぞ。

 

 

 

リビングで俺が目にしたのは、ここ数ヶ月ですっかりと見慣れてしまった面子(めんつ)達。

 

「にゃ! カンナおはよう」

 

最初に俺に気づいたのは、着物を着崩して胸元を大胆に露出させた、黒髪ロングの猫耳美女、黒歌(くろか)だ。 黒歌はとある理由から『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』という、悪魔以外の種族を悪魔に転生させる道具で、悪魔になった転生悪魔。 転生前は、猫又の中でも特別力の強い猫魈(ねこしょう)という妖怪だったようだ。

 

「師匠、おはようございます!」

 

俺のことを師匠と呼んだのは、魔法少女の恰好をした金髪美少女、ルフェイ・ペンドラゴン。 『ペンドラゴン』と言う名から察しの通り、『アーサー王伝説』で有名なアーサー・ペンドラゴンの末裔に当たる。 ルフェイは魔法使いで、ひょんなことから俺が魔術を師事している。

 

「カンナ、起きるのお前さんがビリだぜぃ」

 

カラカラと笑ってそう言ってきたのは、三国志にでも出てきそうな武将の鎧を纏った、爽やか系のイケメン、美猴(びこう)。 『西遊記』でお馴染みの闘戦勝仏(孫悟空)の末裔で猿の妖怪だ。

 

「皆、おはよう。 ……オーフィスとアーサーは居ないのか?」

 

リビングを見渡した俺は二人居ないことに気付く。

 

「オーフィスは『アジト』。 アーサーは剣捜しに出掛けてるにゃん」

 

黒歌が俺の問いに答える。

 

「アーサーは分かるけど、オーフィスがアジト? あそこは『旧魔王派』の連中が五月蝿(うるさ)くて嫌いって言ってたのに珍しいな。 ……何かするつもりか?」

 

少しだけ低い声音を出して訊くと、黒歌と美猴がビクッと反応する。

 

「その反応は当たりだな。 言っても意味ないと思うけど、『犠牲を出すやり方』だったら俺は敵に回るからって伝えとけ」

 

「うっわ、魔神が相手とか悪夢にゃ」

 

「師匠強いですもんね」

 

「強いって次元超えて、ありゃバケモノだぜぃ」

 

「何か言ったかな? 美猴くん」

 

「い、いや何も」

 

俺が笑顔で訊いたら、冷や汗を流して返答した美猴は置いといて。

そろそろ説明した方がいいか。

この場に居る三人に、オーフィスとルフェイの実兄、アーサー・ペンドラゴンを加えた五人が結構な頻度で俺ん家に来るメンバーだ。

生まれも育ちも種族までも違う五名。 一見、接点がないように見えるが、彼らには共通点がある。

それは、多種族で構成されるテロリスト集団『禍の団(カオス・ブリゲード)』に所属しているということ。

俺がさっき言った旧魔王派というのも『禍の団』に属する悪魔達の一派閥だ。

ああ、言い忘れてたけど俺は『禍の団(テロリスト)』じゃないからな。

じゃあ何で、テロリスト達がこの家に来るのか。 それは、転生したばかりの頃に遡る。

 

 

 

オーディンと別れた後、オーフィスちゃんの言っていたことが気になり訊いてみた。

その話の中で、オーフィスちゃんが『禍の団』の親玉(トップ)であることが判明。 でも、政治に興味無さそうなオーフィスちゃんが、政治に不満を持ち暴力で訴える者(テロリスト)には、到底思えなかった俺は更に詳しく訊いてみた。

すると、オーフィスちゃんはどうやら『グレートレッドの打倒を手伝う』という交換条件で、禍の団のトップをやり、『蛇』という自身の力で生み出した、飲み込んだ者の力を増大させる一種のドーピング薬のような物も与えているそうだ。 この話を聞いて、俺はオーフィスちゃんがそいつらに騙されていると確信。 その旨を伝えるが『グレートレッドを倒せるなら、それで構わない』とオーフィスちゃんは言う。 まあ、本人がそう言っているのだからこれ以上は野暮なんだろう。

けど。

 

「なぁ、オーフィスちゃん」

 

「?」

 

「俺と友達になってくれないか?」

 

「友達?」

 

「そう友達。 楽しい時に笑い合い、困ってる時に助け合う、苦楽を共にする者同士のこと」

「それ楽しい?」

 

「ああ、楽しいよ」

「なら我と魔神、友達」

 

「じゃあさ、俺のことは魔神じゃなくてカンナって呼んでくれ」

 

「ん。 カンナも、我をオーフィスと呼ぶ」

 

「了解! 改めて宜しくな、オーフィス!」

 

こうして、俺はオーフィスと友達になった。 そう友達になったのだ。 これで、もし『禍の団』の連中が利用するだけ利用して、オーフィスとの約束を守らなかったら、オーフィスの友達としてそれ相応の罰を連中に与えよう。

もちろん、友達になったのはそれだけが理由じゃない。 なんというか放って置けないのだ。 まるで昔の自分を見てるようで…………。

 

と、ここからが黒歌達が来る原因となった出来事だ。

俺がオーフィスと友達になってから数日後、オーフィスは友達が出来たと『禍の団』の連中に言ってしまったみたいで、その噂を聞き付けた美猴が俺の前に現れた。 「何の用だ」と訊くと、「オーフィスと友達ってことは、それなりの戦闘力はあるってことだろう? だったら俺っちと一戦交えるようぜぃ!」と戦闘狂紛いの発言をした。 この手の輩は闘ってやらないとしつこく挑戦してくるのがセオリー。 仕方ないから闘って半殺しにしてやった。

後日、オーディンから「家の用意が出来た」と連絡を受けて、ホテル暮らしからいま住んでいる家に移った頃、今度は黒歌とルフェイとアーサーがやって来た。「今度はなんだ」と訊くと、黒歌は美猴を瞬殺(殺してはいない)した俺に興味を持ち、ルフェイは俺の扱う魔術を見に、アーサーはルフェイの付き添いで来たと言った。

取り敢えず、魔術を見せれば帰るだろうと『魔女狩りの王(イノケンティウス)』を発動。 その時のルフェイの反応は、

 

「美猴さまから聞いてましたけど、やっぱり魔術の構成が既存のものと違います。 ……ルーン文字が多い?」

 

まさか、そこまで看破されるとは思わなかった俺は驚き、

 

「異世界の魔術をそこまで解析するなんてスゲェな……」

 

と、口を滑らせてしまった。 それを聞いていた三人が俺を質問責めに。 言ってしまった手前、誤魔化し切れる訳がないので、俺が異世界のオティヌスであること、自分の世界に帰るために槍を造っていることを告げる。

三人は更に興味を持ち、面白そうだから『槍の製造』に協力すると申し出た。

『槍の製造』は俺一人でも問題ない。 だが、その場合、槍を体内で造り右目を通して取り出すというかなり痛そう……ってか絶対に痛い方法になるので却下した。 それ以外にも伝承通り『世界樹(ユグドラシル)』の枝から造る方法もあったが、それをしたら『神々の黄昏(ラグナロク)』が起こる時期が早まりそうで、敢え無く却下。 結局、原作通り『グレムリン』がやっていた方法が一番楽だと判り、その方法で行こうとしていた俺にとって三人の申し出は渡りに船。 だから、申し出を受け入れた。

 

 

 

その後、完治した美猴も協力することになって、この家で『槍の製造』に必要な物を話し合っていくうちに、自然と溜まり場と化してしまい、現在に至る。

 

「そういやぁカンナ。 お前さん、制服着て何処か出掛けんのかい?」

 

「ああ。 『悪い女』に引っ掛かったクラスメイトを見物にな」

 

「『悪い女』……?」

 

「そこら辺は帰って来てから教えてやるよ。 と、そろそろ出るか」

 

アイツ、変態だけど律儀だしな。……変態だけど。

 

「いってらしゃいにゃん」

 

「師匠、お気を付けて!」

 

「行ってきます」

 

黒歌、ルフェイ、美猴に見送られて、俺は家を後にした。

 




美猴との戦闘(笑)、ルフェイの師匠になった経緯は、いつか書きたいなと思っています。 だいぶ先になりますが……。

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