星の病と呪いの理〜記憶を持たない転生者たちの新たな戦い〜   作:いくと

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己の力の輪郭と、一年ズの作戦会議

夏油傑との過酷な手合わせから一夜が明けた。

休日の呪術高専は、普段の血生臭い任務が嘘のように静まり返っている。しかし、第2グラウンドには、朝早くから一年ズの五人と、大人組であるグラディオラス、イグニスの姿があった。

特級呪術師の底知れぬ実力を肌で感じた彼らは、自分たちの「特異な力」について、一度徹底的に分析と整理を行う必要性を痛感していたのだ。

 

ノクティス「……ってわけで、昨日の夏油先生との手合わせでわかったんだけどよ。俺たちの力、決して万能ってわけじゃねぇみたいだ」

 

初夏の柔らかな日差しの中、ノクティスが青白い光と共に片手剣を出し入れしながら、伏黒や虎杖たちに向かって口を開いた。その瞳には、かつてないほど真剣な色が宿っている。

 

伏黒「万能じゃない? 呪力から直接武器を生成して、あの速度で空間跳躍(シフト)までできるんだ。それに倒せば倒すほど呪力総量が上がる。控えめに言っても反則に近い能力だと思うが」

 

伏黒恵が腕を組みながら、冷静に事実を並べる。横で聞いていた釘崎も深く頷いた。

 

釘崎「そうよ。昨日だって、あんたたち二人であの特級の呪霊を炎で吹き飛ばしたじゃない。あんな大火力、普通の術師なら一生かかっても出せないわよ」

 

ノクティス「いや、問題はその『炎の結晶石(マジックボトル)』なんだよ。あれ、俺の呪力を極限まで圧縮して直接物理現象の『炎』に変換してるらしいんだけど……とにかく燃費がクソ悪りぃんだ」

 

ノクティスは手のひらを見つめ、昨日の戦闘で感じた急激な呪力の枯渇感を思い出すように眉をひそめた。

 

ノクティス「現状の俺の呪力タンクじゃ、一日で作れる結晶石はせいぜい数個が限界だ。乱発すれば、すぐに呪力切れで動けなくなる。大技ではあるけど、多用はできない」

 

イグニス「ノクトの言う通りだ。私も短剣に初歩的な『炎(ファイア)』を付与できるが、出力には明確な限界がある。それに……我々の能力における最大の懸念事項は『回復』だ」

 

静かに話を聞いていたイグニスが、眼鏡を中指で押し上げながら冷徹な事実を告げる。

 

イグニス「我々の魔法は、炎や爆発といった攻撃的な物理現象に特化しているようで、傷を癒すような治癒魔法は一切使えない感覚がある。敵を討伐すれば呪力は回復し、総量も底上げされる。だが……受けた『物理的な怪我』そのものは自動では治らない」

 

グラディオラス「おう。俺が前に出て盾になるのが基本の陣形だが、俺だって不死身じゃねぇ。長期戦になれば、ジリ貧になるのは確実だ」

 

大人組の冷静かつシビアな自己分析を聞き、釘崎がハッとしたように顔を上げた。

 

釘崎「なるほどね。RPGで言うなら、超火力のアタッカーと鉄壁のタンクはいるけど、ヒーラーが不在のパーティーってわけね。呪術師にとっても、反転術式(回復)を使えるかどうかっていうのは、任務の生存率に直結するのよ」

 

プロンプト「俺の銃もさ、無限に撃ち放題ってわけじゃないんだよね」

 

プロンプトが無骨な銃器を顕現させ、その銃身を軽く叩きながら苦笑いする。

 

プロンプト「弾丸の代わりに自分の呪力を消費してるみたいでさ。遠距離から援護できるのは強みだけど、調子に乗って乱射してると、すぐ弾切れ……じゃなくて、呪力切れになっちゃう。息切れしやすいんだよね、俺」

 

虎杖「でもさ、倒せばレベルアップして回復するんだろ? なら、デカい怪我をする前に、速攻で敵をブチのめせばいいんじゃねぇの!?」

 

虎杖悠仁が拳を打ち合わせながら、至極単純な解決策を提案する。しかし、伏黒が即座に冷や水を浴びせた。

 

伏黒「バカ言うな。いつも格下ばかりが相手とは限らないだろうが。昨日の夏油先生のように、あの炎を完全に防ぎ切る防御力の高い相手や、それこそこの前戦った『未知の毒』を纏った化け物が大群で現れたらどうする」

 

伏黒は厳しい視線をノクティスたちに向けた。

 

伏黒「お前たちの事前の打ち合わせなしで成立する連携(リンクストライク)は見事だ。素人とは思えないほど洗練されている。だが、回復手段を持たない以上、そもそも『ダメージを負わない立ち回り』が絶対に必要になる。……これからは、俺たちの術式と上手く組み合わせて、被弾リスクを極限まで減らす戦術を練るべきだ」

 

イグニス「伏黒君の提案に賛成だ。我々だけの連携に固執するのではなく、君たちの『鵺』や『玉犬』、釘崎君の『共鳴り』といった遠距離・中距離の術式を起点に、安全な立ち位置から敵の態勢を崩すパターンを構築したい」

 

ノクティス「……ああ、わかってる。だからこそ、お前らの力も借りたいんだ。俺たちだけじゃ、補いきれない部分が絶対にあるからな」

 

前世では世界の命運を背負う王として、時に一人で無理をしてしまうこともあった魂。だが、記憶を持たない今、彼は現代の呪術高専という新たな場所で、同世代の仲間たちに自然と歩み寄っていた。

「仲間を信頼し、背中を預ける」という根本的な強さは、世界が変わっても決して失われてはいなかったのだ。

 

プロンプト「うん! 伏黒の影の動物たちと俺の銃撃、結構相性いいと思うんだよね! 虎杖が突っ込んで、グラディオがデカいの一発入れてさ!」

 

虎杖「おっしゃ! なんか燃えてきたぜ! 早速陣形の練習やってみようぜ!」

 

グラウンドには、自分たちの限界を理解し、それを乗り越えようと知恵を出し合う若者たちの活気に満ちた声が響き渡っていた。

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