星の病と呪いの理〜記憶を持たない転生者たちの新たな戦い〜   作:いくと

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chapter.03
特級の分断と、最強の裏工作


けたたましい緊急警報のサイレンが、呪術高専の敷地内に響き渡った。

普段の穏やかな空気を引き裂くようなその音に、グラウンドで訓練を行っていた一年ズと大人組は即座に動きを止め、校舎へと視線を向けた。

 

伏黒「警報……特級クラスの発生か!?」

 

虎杖「特級って、あの新宿でノクトたちが遭遇したのと同じレベルのか!?」

 

そこへ、校舎から夜蛾学長と伊地知が慌ただしく駆けつけてくる。その背後からは、厳しい表情を浮かべた五条悟、夏油傑、そしてアーデンの特級術師三人の姿もあった。

 

夜蛾「状況を手短に伝える。現在、都内の三箇所――新宿、渋谷、池袋において、未登録の特級呪霊に相当する巨大な呪力反応が同時多発的に確認された」

 

七海「……同時多発、ですか。意図的なものを感じますね」

 

いつの間にか合流していた一級呪術師・七海建人が、ネクタイを少し緩めながら冷徹に分析する。

 

伊地知「さらに厄介なことに、観測された反応には、呪霊特有の残穢だけでなく……例の『未知の毒』と同じ波長が混ざっています。それも、以前のものよりはるかに巨大で高密度な波長です」

 

夏油「あの毒を纏った特級クラスが三体……。完全に、我々を都内へ分散させるための陽動だな」

 

夏油が静かに、だが確かな怒りを孕んだ声で呟く。

 

五条「だろうね。でも、放置すれば街がいくつも消し飛ぶ。……傑、アーデン。行くしかないでしょ」

 

五条が目隠しを少し持ち上げ、六眼を光らせながら二人の特級術師を見る。

 

アーデン「やれやれ、本当に人使いが荒い。僕みたいなか弱い教師を特級の相手に駆り出すなんて、学長も鬼だねぇ。……新宿は僕が引き受けようか。あそこの美味しいカフェが潰れるのは困るからね」

 

アーデンは飄々とした態度で肩をすくめた。

だが、その帽子の下で、彼の瞳は鋭く計算を巡らせていた。

(……あの男。僕たち特級を東京の各所に釘付けにして、本命の狙いは別にあるってわけだ。本当に手広くやってくれるじゃないか)

 

夜蛾「よし、新宿はアーデン。渋谷は五条、池袋は夏油が向かえ。……七海、お前は高専に残り、一年ズやグラディオラスたちと共に本校の防衛と待機を頼む。何が起こるかわからんからな」

 

七海「承知しました。特級が三体も動いている以上、こちらにも火の粉が飛んでくる可能性は十分にあります。皆さんは準備を」

 

特級術師の三人が出撃の準備に向かう中、五条は少しだけ皆から離れ、自販機の陰でスマートフォンを取り出した。

コール音が数回鳴り、ひどく機嫌の悪そうな低い声が出た。

 

甚爾『……あ? なんだ、五条の坊ちゃんか。今、パチンコで確変引いてて忙しいんだよ。掛け直せ』

 

五条「つれないなぁ、パパ黒。ちょっと割の良いバイトがあるんだけど」

 

甚爾『バイト? 興味ねぇな。他を当たれ』

 

五条「一千万。……いや、二千万出そうか。僕の個人口座から即金で振り込むよ」

 

電話の向こうで、パチンコ玉のじゃらじゃらという音がピタリと止まるのが聞こえた。

 

甚爾『……話を聞こうか』

 

五条はサングラスの下で薄く笑いながら、周囲の気配を探りつつ声を潜めた。

 

五条「今から僕たち特級三人が、東京の三箇所に同時に出張る。あからさまな陽動でね。僕らがいなくなった後、もし高専本校に『妙な化け物』が来たら……恵たち生徒や、残ってる連中を守ってほしいんだ。君のその『フィジカル』でさ」

 

甚爾『……特級の足止めをしてまで本校を狙う奴らがいるってことか。まあいい、金さえ積めば誰だろうとミンチにしてやるよ。前金で半分振り込んどけ』

 

五条「オッケー、交渉成立。頼んだよ」

 

電話を切り、五条は空を見上げた。最強としての余裕を見せつつも、彼の直感は最悪の事態を想定していた。回復役を持たない生徒たちを、未知の毒から守るための最悪にして最強のジョーカー。

裏工作を終えた五条は、軽やかな足取りで夏油たちと合流し、戦地へと飛び立っていった。




パパ黒生存ルートです。これはアーデンが五条の一個上の先輩でなんやかんやで歴史が変わりました。夏油もアーデンがいることで闇落ち回避です。後々その時のも書きたいけどある程度進んでから書こうかな…
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