星の病と呪いの理〜記憶を持たない転生者たちの新たな戦い〜   作:いくと

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Chapter.01
新たな世界への編入と、揺るがぬ少女の決意


あの夜、特級呪霊との死闘を生き延びたノクティスたちは、胡散臭い男・アーデンの誘いに乗り、新たな世界へと足を踏み入れた。

 

アーデン「さあ、着いたよ。ここが君たちの新しい学び舎であり、職場となる『東京都立呪術高等専門学校』だ」

プロンプト「うわー……! なにここ、山奥すぎない!? っていうかお寺じゃん!」

ノクティス「……階段、長すぎ……だるい……」

グラディオラス「シャキッと歩けノクト。まだ始まったばかりだぞ」

イグニス「しかし、まさか本当にこのような組織が存在していたとはな。我々が覚醒させた力……『呪力』と呼ぶのだったか。それを扱う者たちの総本山というわけだ」

 

緑豊かな山中を歩きながら、四人は目の前にそびえる壮大な木造建築を見上げていた。

あの日、生得領域での絶体絶命の危機から彼らを救ったアーデンは、約束通り彼らを呪術高専へと導いたのだった。

 

アーデン「ノクティス君とプロンプト君は、年齢的にちょうど高校一年生だからね。今日からここの一年ズとして編入してもらうよ。ちょうど今年はおもしろい……いや、元気な新入生が三人入ったばかりでね。君たちと同世代だ」

ノクティス「同世代……ねぇ。普通に高校通ってたはずなのに、いきなり呪いと戦う学校に転校とか、ルナフレーナに何て説明すりゃいいんだよ」

プロンプト「まあまあ! 俺たちの謎の力も、ここなら使い方が分かるかもしれないしさ! RPGの冒険の始まりって感じでワクワクしない!?」

グラディオラス「気楽なもんだな。で、アーデン。俺とイグニスはどうなる? どう見ても高校生には見えねぇだろ」

アーデン「もちろん分かっているとも。君たち二人は大人世代……呪術界きっての貴重な『即戦力の大人』として迎え入れる手はずになっているよ。グラディオラス君のあの大剣の破壊力、イグニス君の冷静な戦況分析と属性付与のサポートは、どちらも一級術師に引けを取らないからね」

イグニス「ほう……我々は教員、あるいは実戦部隊の扱いというわけか」

アーデン「そういうこと。五条悟っていう僕の面倒な同僚や、七海っていう堅物な術師と一緒に任務に当たってもらうことになるかもしれないね。もちろん、可愛い弟分たち(ノクティスとプロンプト)の任務に引率として同行するのも大歓迎さ」

 

それを聞いて、ノクティスとプロンプトは少しだけホッとした表情を見せた。前世の記憶こそないものの、魂に刻まれた四人の絆と連携は絶対だ。大人組の二人がそばにいてくれるのは、何よりも心強かった。

 

「おーい! 五条先生ー! そっちの人たち、新入生!?」

 

ふと、グラウンドの方から快活な声が響いた。

声の主は、桜色の髪をした少年――虎杖悠仁だった。その隣には、気怠げにポケットに手を突っ込む伏黒恵と、興味津々にこちらを見定める釘崎野薔薇の姿がある。

 

アーデン「やあ悠仁君。五条先生じゃなくてアーデン先生だよ。そう、彼らが今日から加わる新しい仲間さ」

虎杖「マジか! 俺、虎杖悠仁! よろしくな! 呪術高専に転校してくるってことは、お前らもなんかヤバい事情とかあんの?」

プロンプト「あ、俺はプロンプト! こっちはノクト! ヤバい事情っていうか……路地裏でいきなりバケモノに襲われて、気がついたら武器が出せるようになってて……」

釘崎「はぁ? なによそのラノベみたいな展開。あんたたち、素人ってわけ?」

伏黒「……いや。素人にしては、妙に洗練された呪力の流れを感じる。それに、後ろの二人の大人は……只者じゃないな」

 

伏黒の鋭い視線が、グラディオラスとイグニスを捉える。あの一戦でレベルアップし、呪力総量を爆発的に跳ね上げた二人の放つプレッシャーは、確かに素人のそれではなくなっていた。

 

グラディオラス「おう、よろしくな。俺はグラディオラスだ。こっちはイグニス。俺たちはこいつらの保護者みたいなもんで、大人組として働くことになった」

イグニス「ノクトとプロンプトはまだ呪術の世界に入ったばかりで不慣れな点も多いだろう。同世代の君たちと切磋琢磨できるなら、これほど心強いことはない」

虎杖「すげー! 大人組なんだ! 七海んみたいな感じかぁ。ってか、グラディオラスさん? ガタイめっちゃいいな! 今度手合わせしてくんない!?」

グラディオラス「ははっ、威勢がいいな。いいぜ、いつでも相手になってやる」

 

虎杖の底抜けの明るさに、ノクティスも自然と口元を緩めた。

 

ノクティス「……ま、悪くないかもな。こういうのも」

プロンプト「だね! 虎杖くんたち、なんか楽しそうだし!」

 

アーデンは、和やかに打ち解け始めた彼らを少し離れた場所から見守っていた。

帽子を深く被り直し、アーデンは誰にも見えないように、口角を微かに上げた。かつて星を救った四人の新たな日常は、呪術全盛の現代において、確実に新しい風を巻き起こそうとしていた。

 

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放課後の教室は、茜色の夕日に染まっていた。

普段なら他愛のない会話で笑い合っている時間。しかし、今日のノクティスはどこか上の空で、気まずそうに視線を彷徨わせていた。

 

ルナフレーナ「……転校、してしまうのですか?」

 

静寂を破ったのは、ルナフレーナだった。彼女の透き通るような青い瞳が、まっすぐにノクティスを射抜いている。

 

ノクティス「あぁ。急な話で悪い。プロンプトも一緒だし、グラディオやイグニスも関わってる仕事みたいなもんだから、心配は要らねぇよ」

ルナフレーナ「心配します。どうして急に? 昨日までは、卒業旅行はどこに行こうかって話していたではありませんか」

 

ルナフレーナは一歩踏み出し、ノクティスの腕をきゅっと掴んだ。その手は、かすかに震えている。

 

ルナフレーナ「行かないでください、ノクト。……何か、ひどく遠いところへ行ってしまう気がします」

 

前世の記憶はないはずだ。だが、彼女の魂もまた、彼が過酷な運命へと足を踏み入れようとしていることを無意識に感じ取っているのかもしれなかった。

ノクティスは小さく息を吐き、彼女の手に自分の手を重ねた。

 

ノクティス「遠くじゃねぇよ、同じ東京だ。……でも、ルナを連れて行くわけにはいかない。あそこは、危険なんだ」

ルナフレーナ「危険?」

ノクティス「ああ。普通に生きてたら絶対に見ないような……ヤバいバケモノとかがいる世界だ。俺たち、それに巻き込まれちまって。でも、なんか俺たちなら戦えるみたいでさ。あのおっさん……アーデンって奴の誘いに乗ることにした」

 

呪術、呪霊、生得領域。そんな言葉を並べても信じてもらえないだろうと思い、ノクティスはあえて簡潔に伝えた。彼女に恐怖を与え、遠ざけるために。

しかし、ルナフレーナの反応は彼の予想を完全に裏切った。

 

ルナフレーナ「バケモノ……ノクトが危険な戦いに身を投じるというのですね」

ノクティス「だから、ルナはここで――」

ルナフレーナ「ならば、私も行きます」

 

凛とした声が教室に響いた。ノクティスは目を丸くする。

 

ノクティス「は!? いや、だから危ないって言ってんじゃん!」

ルナは普通の高校生で……」

ルナフレーナ「ノクトも普通の高校生です。ノクトが危険な場所へ行くというのに、私だけが安全な場所で待っていることなどできません。それに……」

 

ルナフレーナは強い意志を宿した瞳でノクティスを見つめ返した。

 

ルナフレーナ「なぜか、私にもできることがあるような気がするのです。ノクトを支え、共に運命に立ち向かうことが、私の……『使命』であるような」

 

その言葉に、ノクティスの心臓が大きく跳ねた。

彼女の背後に、白いドレスを着て祈りを捧げる姿が、ほんの一瞬だけ幻のように重なって見えた気がしたからだ。

 

ノクティス「ルナ……」

 

連れて行けば、確実に彼女を呪いの世界――死と隣り合わせの日常に巻き込むことになる。だが、彼女のこの強い瞳を見てしまうと、無下に突き放すことがひどく間違っているような気もした。魂の深い部分が、彼女と共に在ることを求めている。

 

ノクティス「……たく。ルナ、昔から一回言い出したら聞かねぇもんな」

ルナフレーナ「昔から?」

ノクティス「いや、なんでもない。……分かった。とりあえずアーデンに掛け合ってみる。でも、戦いには絶対に出ないって約束できるか?」

ルナフレーナ「はい。私はノクトの傍で、ノクトを支えます」

 

ルナフレーナがふわりと微笑むと、夕日に照らされたその笑顔は、ノクティスにとって何よりも眩しく、守り抜きたいものに思えた。

(……まぁ、もしヤバいことになっても、俺が絶対に守ればいいだけだろ)

 

覚醒したばかりの自身の呪力。それがどれほどのものかはまだ分からないが、彼女を守るためなら、いくらでも強くなれる気がした。

こうして、イレギュラーな力を持つ四人と、彼らを支える決意を固めた一人の少女は、呪術全盛の世界へと共に足を踏み入れることになった。

 

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翌日。東京都立呪術高等専門学校の面談室で、ノクティスはアーデンと向かい合っていた。

 

アーデン「……で? 転校の手続きについて、何か不満でもあったかな? 言っておくけど、学生寮は相部屋じゃなくて個室を用意したからね。至れり尽くせりだろう?」

ノクティス「いや、寮とかそういうんじゃなくてさ。……その、ルナも一緒に転校させられないか?」

アーデン「……ん? ルナ?」

ノクティス「俺の彼女だよ。ルナフレーナ。俺がここに行くって言ったら、自分も行くって聞かなくてさ。あいつ、非術師だし戦えないけど……でも、絶対に傍にいるって言い張るんだ」

 

その言葉に、アーデンはこれまでにないほどあからさまに顔をしかめた。

 

アーデン「……やれやれ。君ね、ここをなんだと思っているんだい? 呪術高専はバカンスの滞在先じゃない。常に死と隣り合わせの、呪術師を育成するための機関だ。非術師のお嬢さんを一人、特別枠で匿うなんて……呪術界の上層部が許すわけがないじゃないか。僕だってそこまで権力があるわけじゃ……」

 

「いいんじゃない? 青春だねぇ〜!」

 

突然、面談室のドアが勢いよく開き、長身の男が軽やかな足取りで入ってきた。

黒い目隠しで両目を覆い、不敵な笑みを浮かべたその男の姿に、ノクティスは思わず身構える。

 

ノクティス「……誰だ、あんた」

五条「僕? 僕は五条悟。この学校のグレートティーチャーであり、アーデンの同僚さ!」

よろしくね、ノクティス君」

ノクティス「五条、先生……」

 

名前はアーデンから聞いていた。特級呪術師であり、現代最強と謳われる男。目隠しをしているのに、なぜか全身をくまなく見透かされているような、得体の知れない圧力を感じる。

五条はノクティスの周りをぐるぐると歩き回りながら、楽しそうに口を開いた。

 

五条「んー、なるほどなるほど。君、すっごい面白い呪力してるね! まるで底なしの器みたいだ。アーデンがわざわざ拾ってくるだけはあるよ」

アーデン「五条。勝手に入ってこないでもらえるかな。今、彼には現実というものを教えていたところなんだ」

五条「現実なんてクソ食らえでしょ。彼女ちゃんも一緒に転校? 最高じゃん! 若人の青春は誰にも奪えないからね。それに、君の彼女……ただの非術師じゃない気がするし?」

ノクティス「え? ルナが……?」

五条「ま、僕の六眼(カン)だけどね。なんか、君とセットで運命の歯車が回ってる感じがする。上層部のジジイ共には、僕から適当に理由つけて書類回しとくからさ! 『特異体質のノクティス君の精神安定剤として必要不可欠』とか何とか言って」

アーデン「……五条。君のそういう適当なところ、僕は嫌いじゃないけどね。今回は僕まで面倒事に巻き込まれそうなんだけど?」

 

アーデンはこれ見よがしに大きなため息をつき、肩をすくめた。

(まったく、この男がしゃしゃり出てくると話がややこしくなる。……まあ、彼女を近くに置いておく方が、彼らの精神状態を安定させる上では好都合かもしれないが)一方の五条も、目隠しの下でアーデンを観察していた。

(アーデンのやつ、相変わらず裏でコソコソ動いてるっぽいのよねぇ。何か企んでるのはプンプン匂うんだけど……尻尾を出さないし、証拠もない。ま、今のところは生徒に害はなさそうだし、泳がせておけばなんとかなるっしょ)

 

五条「まーまー! アーデンなら上手く立ち回れるって!」

期待してるよ、裏工作のスペシャリスト♪」

アーデン「……人聞きの悪いことを言わないでくれないか。……はぁ、分かったよ。彼女の編入もなんとか手配しよう。ただし、彼女の身の安全は君自身で守ること。いいね、ノクティス君?」

 

やれやれと頭を掻きながらも、最終的には折れてくれたアーデンに、ノクティスの顔がパッと明るくなった。

ノクティス「本当か!? サンキュー、アーデン先生!」

五条先生も、あんた意外と話通じるんだな! 助かった!」

五条「でしょでしょー? もっと僕を崇めていいんだよ?」

ノクティス「ルナも絶対喜ぶわ。すぐに連絡してくる!」

 

嬉しそうにスマートフォンを取り出し、部屋を飛び出していくノクティスの背中を、二人の特級呪術師が見送る。

アーデン「……まったく。君のおかげで、僕の胃痛の種がまた一つ増えたよ」

五条「あはは! でもアーデン、なんだかんだ言って楽しそうじゃん?」

 

胡散臭い笑みを浮かべる二人の大人は、ノクティスたち「イレギュラー」がこの高専でどんな嵐を巻き起こすのか、密かに期待を膨らませていた。




こんな感じで大丈夫ですかね…
読みにくかったら教えてください(´;ω;`)
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