星の病と呪いの理〜記憶を持たない転生者たちの新たな戦い〜   作:いくと

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地下施設の実験体

扉の向こう。

 

ゆっくりと姿を現したものは、人の形をしていた。

 

しかし。

 

それを人間と呼ぶには、あまりにも歪んでいた。

 

腕は不自然に伸び、皮膚の一部は黒く変色している。

 

呪霊のような異質な気配。

 

それでいて、人間の名残も残っていた。

 

虎杖「……これ、本当に元は人間だったのか」

 

伏黒「分からない。ただ、普通の呪霊じゃない」

 

七海は静かに構える。

 

七海「油断しないでください。あれが何であろうと、こちらに敵意を向けています」

 

釘崎「趣味の悪い研究ね……」

 

ノクトは目の前の存在を見る。

 

怖い。

 

そう感じた。

 

でもそれ以上に。

 

怒りがあった。

 

なぜかは分からない。

 

ただ。

 

命を道具みたいに扱うこと。

 

それだけは許せない。

 

ノクト「……あれは、助けられなかったのか」

 

七海は少しノクトを見る。

 

七海「今は戦うしかありません」

 

ノクト「分かってる」

 

ノクトは武器を出す。

 

手に現れる剣。

 

それを見たシガイが反応する。

 

しかし、それは興味ではない。

 

ただ敵として認識しただけだった。

 

シガイ「……排除」

 

次の瞬間。

 

床が砕ける。

 

シガイが一気に距離を詰めた。

 

虎杖「速い!」

 

虎杖が前に出る。

 

拳とシガイの腕がぶつかる。

 

衝撃で周囲の壁が揺れる。

 

虎杖「重っ……!」

 

伏黒「虎杖、一人で受けるな!」

 

伏黒が式神を出す。

 

しかし。

 

シガイは呪霊とは違う動きをする。

 

攻撃の癖が読めない。

 

人間の身体能力。

 

呪霊の力。

 

その両方を持っている。

 

七海「厄介ですね」

 

七海が距離を詰める。

 

弱点を狙う。

 

しかし。

 

七海「……」

 

七海は一瞬、違和感を覚える。

 

攻撃が通った。

 

だが。

 

傷の再生が異常に早い。

 

七海「再生能力まで付与されている」

 

釘崎「本当に何でも混ぜてるじゃない……!」

 

シガイが腕を振る。

 

その攻撃をグラディオが受け止める。

 

巨大な衝撃。

 

グラディオ「……重いな」

 

イグニス「グラディオ、下がれ。正面から受け続ける必要はない」

 

グラディオ「分かってる」

 

グラディオは力を込める。

 

盾が形を変える。

 

守るための力。

 

その一撃を受け流す。

 

プロンプト「ノクト!」

 

ノクト「分かってる」

 

ノクトはシガイを見る。

 

動き。

 

攻撃の癖。

 

隙。

 

理由は説明できない。

 

でも。

 

戦い方が見えてくる。

 

ノクト「……こいつ、強いんじゃない。無理やり作られてる」

 

七海「……」

 

七海はその言葉を聞く。

 

ノクトは敵の能力ではなく。

 

その存在そのものを見ている。

 

七海「不思議な人ですね」

 

ノクト「?」

 

七海「いえ、今は目の前に集中しましょう」

 

ノクトは頷く。

 

そして。

 

武器を持ち替える。

 

剣。

 

槍。

 

短剣。

 

状況に合わせて変化する武器。

 

シガイが突っ込む。

 

ノクトは避ける。

 

反撃。

 

しかし、倒れない。

 

シガイは何度でも立ち上がる。

 

虎杖「これ、どうやったら倒れるんだよ!」

 

伏黒「核があるはずだ」

 

七海「同意します」

 

七海はシガイを見る。

 

七海「作られた存在なら、必ず中心があります」

 

ノクトは目を閉じる。

 

一瞬。

 

嫌な感覚。

 

でも。

 

逃げない。

 

ノクト「……見える」

 

グラディオ「何がだ」

 

ノクト「こいつの中心」

 

イグニス「ノクト」

 

ノクト「行ける」

 

全員がノクトを見る。

 

その瞬間。

 

ノクトの手に一本の剣が現れる。

 

いつもより強い感覚。

 

ただの武器ではない。

 

自分の意思が形になったもの。

 

ノクトは走る。

 

シガイが迎え撃つ。

 

拳。

 

爪。

 

全てを避ける。

 

そして。

 

ノクト「終わりだ」

 

一撃。

 

シガイの中心を貫く。

 

身体が止まる。

 

黒い呪力が崩れていく。

 

シガイ「……」

 

機械音だけが残る。

 

そして。

 

実験体は消滅した。

 

静寂。

 

誰も話さない。

 

虎杖「……終わった」

 

釘崎「最悪な場所だったわね」

 

伏黒「まだ終わりじゃない」

 

伏黒は奥を見る。

 

伏黒「ここには、もっとある」

 

七海も同じ方向を見る。

 

七海「ええ、これは一つ目の実験結果に過ぎない」

 

ノクトは倒れたシガイを見る。

 

勝った。

 

でも。

 

気分は晴れなかった。

 

ノクト「……」

 

プロンプト「ノクト?」

 

ノクト「いや、ただ、何かを間違えた気がする」

 

誰も答えなかった。

 

この施設で起きていたこと。

 

それは単なる呪霊退治ではない。

 

誰かが。

 

命そのものを研究している。

 

その事実だけが残った。

 

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その頃。

 

地下施設のさらに奥。

 

誰も知らない場所。

 

一人の男が記録を見ていた。

 

アーデン「なるほど、人間に呪霊、シガイの三つを合わせる実験か」

 

画面には、不知の研究記録。

 

アーデンは静かに笑う。

 

アーデン「随分と趣味が悪い」

 

しかし。

 

怒りはない。

 

ただ確認している。

 

アーデン「……これがお前の目的なのか」

 

画面を閉じる。

 

五条にも。

 

夏油にも。

 

誰にも伝えない。

 

まだ。

 

アーデン自身も知らない。

 

この実験が。

 

呪術界全体を巻き込むものになることを。

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