星の病と呪いの理〜記憶を持たない転生者たちの新たな戦い〜   作:いくと

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ルナフレーナの高専到着と、大人組の不穏な気配

ノクティスとプロンプトが無事に夜蛾学長の面談をパスした、その日の午後。

呪術高専の正門へと続く長い石段を、一人の少女が上っていた。ルナフレーナ。

白いワンピースに身を包んだ彼女の姿は、血と呪いの匂いが染み付いたこの場所にはあまりに清廉で、場違いなほどだった。

 

ノクティス「ルナ!」

 

石段の上で待っていたノクティスが、彼女の姿を認めて駆け寄る。その背後からは、一年ズの面々や五条悟の姿もあった。

 

ルナフレーナ「ノクト……! 面談、無事に終わったのですね」

ノクティス「ああ。……変なぬいぐるみに殴られそうになったけどな」

ルナフレーナ「ぬいぐるみ……ですか?」

 

不思議そうに首を傾げるルナフレーナに、ノクティスは苦笑しながら荷物を受け取った。

 

ノクティス「紹介するわ。こっちは同級生の虎杖、伏黒、釘崎。こいつらも呪術師だ」

ルナフレーナ「はじめまして。ルナフレーナと申します。ノクトがお世話になります」

 

丁寧にお辞儀をする彼女を見て、釘崎野薔薇が目を輝かせた。

 

釘崎「ちょっと、あんたの彼女、めちゃくちゃ美人じゃない! しかもお嬢様って感じ! なんでこんなむさ苦しい連中の中に来ちゃったのよ!」

伏黒「……伏黒恵だ。お前らが特異な呪力を持ってるってのはアーデン先生から聞いてる。だが、遊びじゃないんだ。ルナフレーナも、覚悟しておいたほうがいい」

 

伏黒の少し突き放したような言葉にも、ルナフレーナは揺るがない。彼女の透き通るような瞳には、強い意志が宿っていた。

 

ルナフレーナ「はい。私は術式も使えませんし、戦うことはできません。ですが、ノクトを傍で支えたい……その一心で参りました」

五条「はいはい、挨拶はその辺で。ルナフレーナちゃん、君は非術師だからね。学長の許可は取ってあるけど、一応、高専の専属医師である家入硝子のところで簡単な身体検査を受けておこうか」

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医務室。

気怠げに煙草をふかしていた家入硝子は、案内されてきたルナフレーナを一目見るなり、目を丸くして煙草を灰皿に押し付けた。

 

家入「……五条。お前、またとんでもない子を拾ってきたね」

五条「でしょ? 僕の六眼(カン)がビンビン反応しちゃってさ」

 

家入は白衣のポケットから手を出し、ルナフレーナの手にそっと触れ、その脈を測るように目を閉じた。

 

家入「君……本当に呪力が全くないね。それどころか……微弱だけど、すごく純粋な『正のエネルギー』の種みたいなものが眠ってる。私と同じ、反転術式の素質だ」

ルナフレーナ「正のエネルギー……?」

 

ルナフレーナは自分の手を不思議そうに見つめる。

 

家入「人を治癒する力さ。今はまだ眠っているみたいだけど……いずれ、君のその力が誰かを救う時が来るかもしれないね」

 

家入の言葉に、ルナフレーナは静かに胸に手を当てた。

(私に、人を治す力が……? だから私は、あんなにも強く「ノクトを支えることが使命だ」と感じたのでしょうか)

彼女の胸の奥で、まだ見ぬ『神凪』としての宿命が、静かに鼓動を打ち始めていた。

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その頃。

高専の外れにある薄暗い森の中で、大人組のグラディオラスとイグニスは、アーデンと共に事前調査の任務に出向いていた。

 

イグニス「……アーデン先生。窓からの報告では、このあたりに三級呪霊が数体出没しているとのことだったが」

 

イグニスが周囲を警戒しながら、短剣の柄に手を掛ける。

 

アーデン「そうだねぇ。でも……おかしいと思わないかい?」

 

アーデンは落ち葉の上にしゃがみ込み、地面に残された黒いタールのような染みを指でなぞった。

 

グラディオラス「呪霊の気配がしねぇな。……それより、なんだこの嫌な匂いは。鼻の奥がツンとするような、生臭い……」

イグニス「あぁ。空気が異常に淀んでいる。まるで、生命そのものを拒絶しているようだ」

 

それは、呪力から生まれる呪霊の『残穢(ざんえ)』とは全く異なる性質のものだった。

アーデンの瞳が、帽子の陰で鋭く細められる。

 

アーデン「(……呪力ではない。純粋な『悪意』と『毒』の気配。こんなものは、呪術の歴史に存在しない。一体、誰が裏で何を企んでいる……?)」

 

黒幕の存在をまだ誰も知らないこの時点。圧倒的な戦闘経験を持つアーデンの想定すらも超える、未知の異物がこの世界に持ち込まれようとしていた。

グラディオラスたちにはまだ分からない。だが、かつて別の世界で星を喰い尽くそうとした病――あの恐るべき影が、確実に彼らの足元へと忍び寄っていた。

静かな高専の夜の裏側で、彼らを待ち受ける過酷な運命の歯車が、音を立てて回り始めていた。

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深夜。高専の外れ、結界の境界線ギリギリの場所。

アーデンは、暗い霧の中に佇む影へと歩み寄っていた。その人物――額に不気味な縫い目を持つ男は、闇の中で怪しく微笑んでいる。

 

アーデン「そうだねぇ。でも……おかしいと思わないかい? 報告通り、例の未知の『異物』を仕込んでみたけれどねぇ。特級の肉体を持った人間を一人沈めるのすら、無駄足に終わっちゃったよ」

 

アーデンは深い帽子の庇を指先で軽く押し上げ、大袈裟に肩をすくめてみせた。

 

謎の男「……フン。そうか。あの娘にそんな力があるとはね。計算外だよ」

アーデン「やれやれ、手厳しいねぇ。まあ、君の言う通りに動いてあげたんだから、僕への文句はナシにしてほしいな。はいはい、次は何をやればいいんだい?」

 

気怠げに、どこか投げやりな「従う側」のノリを崩さないアーデンに、そいつはフッと目を細める。

 

謎の男「相変わらず不真面目だね、アーデン。だが、君のその力には期待しているよ。あの生意気な王子たちの処遇も含めて、ね」

アーデン「任せておくれよ。僕だって暇じゃないんだ、君のその大層な計画とやらに付き合ってあげてるんだからさ。……それじゃ、おやすみ」

 

ひらひらと手を振りながら、アーデンは背を向けて歩き出す。

だが、そいつから見えないその瞳の奥には、すべてを見透かしたような底知れぬ冷徹さと、鋭い警戒心がギラリと渦巻いていた。

(……僕を都合のいい駒だと思っているなら、大間違いだ。君のその退屈な筋書き、僕のノリでどこまで壊せるか、試させてもらうよ……?)

 

男が闇に溶けていくのを気配で感じながら、アーデンは低く独りごちて、夜の闇へと姿を消した。

明日の高専は、いつも通りの穏やかな一日を迎えようとしている。だが、その足元で、何かが静かに、確実に侵食を始めていた。




各々のキャラの口調とか大丈夫かな…
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