星の病と呪いの理〜記憶を持たない転生者たちの新たな戦い〜 作:いくと
翌朝、呪術高専のグラウンド。
昨夜の重苦しく淀んだ空気とは打って変わり、澄み渡るような青空が広がっていた。しかし、教員である五条悟とアーデンの二人が並び立っているその空間には、確実にピリついた緊張感が漂っている。
彼らの前に集められたのは、高専一年ズの虎杖悠仁、伏黒恵、釘崎野薔薇。そして、新しく加わったノクティスとプロンプト。少し離れた場所には、大人組として高専に所属することになったグラディオラスとイグニス、それを見守るルナフレーナの姿もあった。
五条「はーい、みんな注目ー! 今日はね、新入生の戦力調査を兼ねて、さっそく実戦任務に行ってもらいます!」
五条悟の軽いトーンでの宣言に、虎杖悠仁が「おっしゃ! ついに合同任務か!」と拳を突き上げる。
五条「今回は人数も多いし、効率よく二つのチームに分かれてもらうよ。ファーストチームは僕が引率する、一年ズ全員。つまり悠仁、恵、野薔薇に、ノクティス君とプロンプト君を加えた五人班だ」
ノクティス「五条先生と一緒か。……なぁ、ルナは?」
ノクティスが少し心配そうに視線を泳がせると、五条悟は目隠しの奥でニカッと笑った。
五条「彼女ちゃんには、高専の結界内で安全にお留守番してもらいまーす。実戦の場に非術師を連れて行くわけにはいかないからね。硝子のところで医療の基礎でも手伝ってもらうさ」
ルナフレーナ「いってらっしゃい、ノクト。私はこちらで、自分にできることをして待っています」
ルナフレーナが優しく微笑みながらノクティスの手をそっと握ると、ノクティスも「……おう。絶対無茶すんなよ」と小さく頷いた。
アーデン「そして、セカンドチームは僕が引率する、グラディオラス君とイグニス君の『大人組三人班』だ。君たち一級術師レベルの力、僕の目でしっかり見極めさせてもらうよ」
グラディオラス「おう、任せとけ。あの新宿の一戦以来、腕が鳴ってしょうがねぇんだ。俺の大剣が鈍ってないところを見せてやるよ」
イグニス「アーデン先生の足手まといにならぬよう、全力を尽くそう。ノクト、プロンプト、そちらも油断するなよ」
プロンプト「はーい! イグニスもグラディオも気をつけてね!」
それぞれのチームが、支給されたばかりの呪具や自身の呪力を確認し、出撃の準備を進めていく。
ノクティスが自身の呪力を集中させると、手元に青白い光の粒子が収束し、片手剣が静かにその姿を現した。その隣でプロンプトも無骨な銃器を顕現させ、銃身の具合を確かめるように鋭い視線を向けている。
その様子を眺めていたアーデンは、深い帽子の庇を指先で少しだけ引き下げた。
彼の脳裏には、昨夜の結界ギリギリの場所で行われた、あの額に縫い目を持つ男との会話が、気怠い残響として残っている。
『……次は、君がよく知るあの子に少し強めの毒を添えてあげよう』
アーデンは心の中で小さく、ため息をついた。
(はいはい、本当に人使いが荒い黒幕さんだねぇ……。君の退屈な筋書き通りに動いてあげるフリをするのも、そろそろ飽きてきたんだけどね)
アーデンはポケットに手を突っ込み、グラディオラスたちの元へと歩き出す。
黒幕の正体も、目的の全貌も、高専側はまだ誰も掴んでいない。ただ、アーデンだけがその不気味な掌の上で踊る「従順な駒」を完璧に演じながら、牙を剥く瞬間をじっと見定めている。
五条「それじゃあ各班、目的地に向けて出発! 派手にいこーか!」
五条悟の号令とともに、二つのチームは異なる死地へと向かって歩み始めた。
かつて別の世界で星の病を祓った王と仲間たち。彼らの力が現代の呪術と交わる初めての任務が、ついに幕を開ける。