「あ、おはようございます」*1
「おはよう、ところで今日は役所仕事無いよな?」
「ありませんね。どうしてですか?」
「ちょっと部屋に籠るから」*2
てことであのバカに電話しなくちゃ。
prrrrr・・・prrrrr・・・
『おう、どうした?あんたが電話してくるなんて珍しい事もあったもんだな』
「それより今日一日お前の時間を貰っても構わないか?」
『構わないが、なんに使う予定だ?』
「お前の魔法を覚える。かつてLSWでお前が作り出した浄滅魔法三種を、全て」
『へぇ・・・何かあったのかい?』
「ゴブリンに襲われた女性が受精した。彼女を殺すのは忍びないがかと言ってお前はMCOやってないだろ?だから俺が覚えるしか無いのさ」
『だがあの時もあんたは覚えられなかっただろ・・・?』
「魔法陣は覚えているよな?ならそこから逆算する。お前は知らないだろうが、LSWに於いて対魔法最強も俺なんだよ」
『そうか、なら私の病院に来い。そこでみっちり教えてやる』
「おう、ありがとう。んじゃ、すぐに行く」
てことでちゃちゃっと準備して
「あら、お出かけですか?」*3
「ああ、夜までには帰る。少し勉強してくる」
「そうですか、いってらっしゃいませ」*4
「おう」
てことで1時間くらいで着いたのはここら辺で一番デカい病院。
「すみません、久遠医師にアポとってあるのですが何処に向かえばよろしいですかね?」
「今確認しますね・・・お名前は?」
「高邑 閻魔です」*5
「・・・・・・確認取れました。3階のミーティングルーム4へお向かいくださいませ」
「ありがとうございます」*6
「よう、リアルで会うのは久しぶりだな。出産バカ」
「そもそもあんたは怪我も病気もしないし男だからな。私と会わないのも当然さ、魔法バカ」
ミーティングルームに入ると居たのは長い赤い髪をポニーテールにした美女。・・・なんだけど内面はコイツクソだろ。外見だけなら120点なんだけどな・・・
「それで、三種全て覚えたいんだったね?」
「ああ、逆算した上で分からないところは聞いていく。固定化はしなくてもどうにかなるだろ」
「そっか、ロサワの頃から世界は変わってないんだね」
「消音の呪いは俺が消したんだが【黒髪】【異界渡り】【隔壁】【流転】は残ってる。まぁ、実害があるタイプの呪いは黒髪だけだし対処はされてるから問題ないんだが・・・それが魔法陣か」
「そ。どう、逆算出来る?というか逆算って?」
「未知の魔法陣はそのままコピーするより逆算した方が理解できるし即座に打ち消すことができる。コレを俺はプレイヤースキル【リジェクト】と定めている」
「へぇ・・・」
「んじゃちょっと集中するから・・・3.3.6→5.5.5→8.3.9.4・・・5?5か。んで7.3.3→4.4.6→0.0.5・・・なるほど、そんでこっから・・・ここまではエコーか。んで、ならこっからは・・・聖属性メインか?8.8.と来て4?おい久遠」
「何かしら?」
「左の魔法陣、左下の接合部おかしくないか?なんでそこを繋げてる?繋げるとしてももうちょい上か下じゃないか?」*7
8.8.は繋げるとしたら3か5だもんな。4だけはない。
「だって元の魔法が浄化よりも聖別だもの。浄化方向に持って行くならここでバグらせる必要があったの」
「ん?・・・あぁ、なるほど。ここで8.8.4にしておくことで次の7.9.9.5が機能するのか。んで、対象の選択式は・・・マジ?α-2式とかよく突っ込めたな」*8
「私にはコレが馴染んでるの。別にγ-4とかΔ-7式でも通るわよ」
「そうか。・・・こうか。おけ、ならもう使える」
「あら、向こうで試さなくて良いの?」
「俺のギアは改造してある。向こうの体験全て余すことなくフィードバックしてる影響で脳内の物理演算が若干バグってる*9んだよ」
「そ」
「んじゃ二つ目に入る・・・今何時だ?」
「まだ12時過ぎた辺りね」
「なら間に合うか。2個目以降は覚えやすいだろうからな」
「受精してから何時間くらいなのよ」
「今日の03:44に受精確認。03:00の時点ではまだ未確認だったが故にその間だろうな」
「ならタイムリミットは・・・」
「「23時」ね」
これがギリギリなんだよな・・・
「ところでなんであの魔法を三種も組んだんだ?別に浄滅だけで良いだろ」
「それじゃ使うタイミングが少ないからなんとなくで増やしたのよ。別に本来の使い方するなら1個目だけで十分。ほら、パピー特攻が二つ目で、死者蘇生が三つ目だから」
「・・・・・・確かにそうだな。まぁ覚えて行くが」
「ところで妊娠したの誰なのよ」
「女王蜂のところの受付嬢。薬草取りに南の森に入ったところで拉致られた。なんならスタンピードだからこの後リャン・・・俺らで言うところのゴブリンの村まで進んでとある武器を取りに行く必要がある」
「あの館まだ続いてたのね。ところで楽しいの?MCOは」
「俺だから楽しめてる。何せ背景事情の理解度が違うからな。だから一般人視点は知らん」*10
「他の人達は?ひょろのっぽとか。」*11
「MCOの一陣に居る旧プレイヤーは俺だけだな。お陰で魔法開拓者取れたんだよ」
「おめでとさん。ちなみに作った魔法は?」
「称号取った時にはゼロポイント作った。その後は
「ま、それはそうよね。初めからあの魔法使えたらつまらないもの」
「よし、覚えた。理論も理解した。これで一件落着したら製本化出来る。ところで久遠はやるつもり無いのか?」
「ええ、今の所は。ところで今は魔法使いやってるのかしら?」
「いや、魔法剣士だな。と言ってもまだ始まりの剣だけど」
「貴方の剣って儀礼剣よね?*12そもそもあそこまでで取れたかしら・・・」
「エリュシオンがなんか持ってるらしいんだよな」
「あらそう、なら問題ないわね・・・ところで、どう?」*13
「その話は断るって何度言ったら・・・」*14
「でも私もそろそろ・・・ね?」*15
「俺は誰かを娶る事はしない。それは万人に対して平等である為だ。だから俺はお前を娶るつもりはない。というか俺より良い男は幾らでも・・・ではなくとも一応いるだろ」*16
「でも貴方程度よ?」*17
「話し方も戻りやがって。その喋り方はやめろって・・・」*18
「いいじゃない、別に。それに今なら誰も見てないし・・・」*19
「やめろ、それだけは。俺に軽蔑されたくなったらソレだけはやめろ。俺はお前を殺したくはない」*20
「分かってるわよ、そんな事」*21
「ならなんで・・・」
「いいじゃない。気が変わってるかな、なんて試しても」
「はぁ・・・なら俺のいる高みに戻ってこい。メイドの奴からもせがまれてんだよ。遺伝子残しやがれって」*22
「あら、何の気変わり?」
「全てがめんどくさくなった。俺にはやっぱあの世界でしか生きられないんだよ」
「そう、なら二陣には参加しようかしら。ソレでも間に合うものね」
「お前らなら誰であろうと天辺に戻って来れるだろ。ちなみに仕様諸々はロサワの頃から変わってないから掲示板に顔出しておけ。ロサワがサ終した訳ではないからまだマルチ遊べるしな」
「そ、なら暇な時にでも勘を取り戻しておこうかしら」
「そうしとけ」
てことで病院から去って家に戻って。
「あれ、早かったですね」*23
「初めの一歩が難しいだけでそこさえ超えれば後は簡単だった。てことでまた潜ってくる」*24
「忙しいですねぇ・・・」
「MMOは誰もが自由に動ける代わりに自らが動く代償が必要だ。俺はある種の最前線を走ってるからイベントの処理に忙しいんだよ」
「そう言うものなんですねぇ」
てことで部屋に戻ってMCOにログインして。
『すまない、今戻った・・・予想以上に進行してるな』
まだ16時だぞ?タイムリミットには程遠いじゃないか・・・!
「間に合うのか・・・?」
『大丈夫。覚えてきた』
描くはかつて覚えられなかった魔法陣。理解出来なかった分野。今なら分かる。これは産婦人科とかじゃない。一種の儀式だ。
外殻、起動。対象指定、状態レッド、承認完了。神に問い掛ける。コレは人の所業ではないと。故に人が救うのだと。人を殺すのが死神ならば人を救うのもまた死神でいいじゃないか。
その光がセレーナの身体を包み込むと、膨らんでいた腹は引っ込んだ。成功した証だ。・・・ふぅ、成功してよかった。固定化してなかったから若干不安だったんだが・・・
「わ、私・・・」
『胎の中のゴブリンは滅ぼしました。今の魔法は浄滅といいまして、貴方のようにモンスターに孕まされた人の胎内からモンスターを浄化し滅ぼす魔法です。ただ若干どころじゃないほどにめんどくさく難しい魔法なので当時ですら使える人は限られてました。俺が今回覚えられたのも奇跡に近いですしね』
「それでも、それでも・・・ありがとう、ございます・・・!ありがとう、ありがとう・・・!」
『それじゃ俺は迷い森に行ってきます、武器を取り返さなくちゃ』
「分かった。前日には戻ってこいよ?」
『ええ、分かってます』
久遠 麗奈
年齢:高邑と同い年らしい。
身長:187cm
体重:ヒミツ
3サイズ:ヒミツではあるが、リアル峰不二子とはよく言われるらしい
出身:とある因習村。
好きなもの:出産という行為
嫌いなもの:趣味を邪魔してくる存在、概念
出産バカ。コイツは子供を産む行為に何か神聖さを感じている訳ではない。子供を、どんな生物であっても、子供を母体から取り出すあの瞬間だけが好きなのだ。別にそれで胎児が死んでようと何も思わない。取り上げれたならヨシ、なのだ。故にコイツは母体の過去とかは何も気にしない。背景事情も関係ない。母体が産みたいのだと言えば何が何でも出産させるだけである。ただ取り上げる行為が好きなだけでその後のことについては何も気にしない。子供がどれだけ虐待されようと、殺されようと、善良に育とうと、その全てがどうでもいいのだ。ハッキリ言おう。クズであると。社会に制裁を受けてない理由は「出産という行為を汚してはいない」からだと思われる。まぁ、LSWのガチプレイヤーなんて社会に適応してる訳ないんだから当然である。
大学の頃に高邑と初めて会った。実はLSWのガチプレイヤーの中で唯一リアルの繋がりがある。リアルじゃない繋がりなら掲示板とかディスコとかあるんだけど。あとは・・・一時期肉体関係を作ろうとした過去あり。酒に溺れさせれば、なんて考えてたのだ。あの頃は焦ってた、なんてのは本人談。というか酒に溺れてもなお私に食いつかないアイツの方がおかしくない?とも言ってる。それはそう。高邑はアレで女性恐怖症じゃないんだからおかしいんだよ。