城門の衛兵からシーツを貰って、ギルドに急ごうとしたのだが・・・
「おい貴様!」
はぁ・・・プレイヤーに絡まれた*1よ・・・めんどっ・・・
「聞いているのか!」*2
いいや、さっさと無視して進むとするか。
『彼の事は無視して進みます。いいですね?』
「あ、はい。お願いします。・・・彼とは因縁が?」
『無いんですよねぇ、それが。まぁ妬みでしょうね』*3
んじゃさっさと行くかぁ・・・そういやLSWの頃のあの仕様って残ってるのかな。試してみるか。
んーと、ノックバック特化って名前なんにしてたっけな・・・仲間内では相撲魔法なんて呼んでた*4から正式名称思い出せない・・・なら放置しておくしかない*5か。ただ地上歩くのは時間がかかるな。まぁ緊急事態って事でこの魔法使うのを許してくれ。
「浮いてますよっ!?」
『そう言う魔法ですからねぇ。今は緊急事態って事で街には目を瞑って貰いましょう』
割と扱い辛いんだよな、歩行式浮遊は。それこそ箒式とか舞空術式ならもっと操作しやすいんだけど。でも今箒持ってないし舞空術式はちょっとインパクト強いし・・・
お、着いた。んじゃ受け付け行って・・・
『すまない、奥のスペースを貸して貰えないか?事情含めそこで話す。今一言で済ませるならスタンピードだ』
「なっ!?*6わかりました。奥へどうぞ」
ギルド奥のスペース。所謂解体とかやる場所なんだがここはその関係で割と頑丈*7なんだよな。
『まずはこの空間を貸してくれる事に感謝する。私はリューク。旧人類だ。さて、どこから話すべきか・・・』
「何故スタンピードだと?兆候こそあれどまだ確定はしてない筈だ」
『貴方は・・・ギルドマスターかな?』
「む、自己紹介を忘れていた。いかにも、俺は王都のギルドマスターをやっているガイルと言う。宜しく頼もう、リューク」
『南の森の奥にかつて罪人を捉えていた離れの牢がある事はご存知ですよね?そこにモンスターマザーとヒューマノイドイーターが出現していました。彼女・・・セリーナをこちらに運ぶ必要がありましたし、今の私では倒すのにかなりの時間をかける必要がある*8ので一旦無視して戻りました』
「そうか、マザーとイーターが・・・ランクの確認はしたのか?」
『してはいませんが・・・あの感じで顕現失敗はないと見ていいですね。なのでちゃんとしたスタンピードが起きます』
「しかし何故旧人類たるリュークがスタンピードについて知っている?君達はつい最近現れ始めたばかりではないか」
『言ったでしょう?旧人類だと。俺はあの時代、世界から音が失われていた時代の人間ですよ?そりゃあスタンピードも経験済み*9です』
「なるほど・・・彼らのような記憶を失った旧人類*10ではない、本物か」
『ええ。まぁ、制約は彼らとなんら変わりませんが・・・それでも文字は覚えてますし・・・1番変化に驚いたのは貨幣制度ですよねぇ・・・いつの間に変わってたんですか。10枚一括りになってたとは』
「む、そう言えばかつては6枚一括りだと聞いた事がある。なるほど、それは混乱するだろうな・・・と、いかん。本題に戻ろう。何故イーターやマザーを発見したのかの経緯を聞いても?」
『ええ。私は南の森の夜に湧くレッサーゴーストからドロップする霊石(劣悪)を集めたくて向かいました。その際スタンピードの兆候が現れていたのは確認していましたがギルドの掲示板にはスタンピードが発生する事は書かれてなかったのでまだ調査中だと判断、そのまま進む事にしたのです。その先でレッサーゴブリンの群を発見、リーダーたるノーマルゴブリン共々討伐した際、彼らが離れの牢から出てきた事を察して牢に入りました。中には苗床となり既に死亡している8名の女性と唯一の生存者たる彼女、セリーナが居ました。彼女がゴブリンを孕んでいない事を私の魔法で確認したので、こちらに運んできた次第です』
「なるほどな。しかし、孕んでいるかどうかを判別する魔法があるのか?」
『かつてはあったんですよ。あくまで個人間でしか取引してなかった魔法なので魔導書には残ってませんが・・・魔法陣をここで書きましょうか?というか書くので紙ください』
「分かった」
『ああ、後47時間程彼女はこの部屋から出さないように。まだ孕んでないだけで襲われては居ますから今後孕む可能性があります。私もなるべくこの部屋に居るようにしますが、出来るだけ女性の職員か冒険者も配備して下さい。私では彼女のメンタルケアまでは出来ませんから・・・あ、配備する人はMP50は欲しいです。固定化してない状態の判別魔法がMP50消費だったので』
「分かった、ではこの紙に書いてくれ」
『了解です』
静かになった部屋で、セリーナが「あの・・・」と質問をしてきた
「私。これからどうなるんでしょうか・・・?」
「先程彼が言った通り、これから47時間はこの部屋にいて貰います。必要な物があれば言ってください。こちらで用意します。47時間が経過したら・・・というかリューク、何故47時間なんだ?」
『ゴブリンに一度襲われただけなら孕むまでの時間は最も遅くて60時間。最後にゴブリンが産まれてから襲われたと証言し、その部屋を確認したら凡そ12時間は経過していたので残り48時間、それから1時間経過しているから47時間ですね。それが過ぎたらそれ以降孕むことも無いので解放して問題ないです』
「そうか、ありがとう・・・というかリューク、君は両利きなんだな・・・」
『魔法陣組みながらの会話には必須ですよ、この技能』
「ああそれと。他の被害者は離れの牢に?」
『いいえ、アイテムボックスに入れてあります。ついでに恐らく彼女たちのものであろうアイテムポーチも、ここで出しますか・・・っと、完成しました』
「確認しよう・・・む、これは・・・少々複雑ではないか?」
『ここまでしないとMPがもっと持っていかれるんですよ。色々省略しようとした末の複雑さです』
「まぁいい・・・マリアを呼んできてくれ!」
『ああそうだ、今のうちにギルドに登録したいのですが。ついでにゴブリンの落とした良質な魔石も売りたいですし、ゴブリンの討伐証明って当時右耳だったんですけど変わってませんよね?』
「色々そうだな。登録書は今持ってくる。魔石の売却額から登録金を引く形でいいか?あとモンスターの討伐証明は一度も変わってない」
『そうですか、ではこれどうぞ。レッサーゴブリンの右耳10個と良質な魔石、ゴブリンの右耳です』
レートは変わってるかもだしなぁ・・・
「うむ、確かに預かった」
そう言ってギルマスは部屋を去っていった。さて、そろそろ1時間経つから確認しておくか
・・・うん。まだ孕んでない。
「ど、どうでしたか・・・?」
『まだ大丈夫ですね。しかしここでまぁ大丈夫だからと解放するわけにはいきません。なので申し訳ないですが辛抱してください』
今の内にゴブリン倒して上がったレベルの分のポイント20を割り振るか・・・POWでいいな。というかマザーはともかくイーターはSTRが足りてないがそもそもアイツ倒すのにSTRが当時ですら3桁は必要だからなぁ・・・キビシスの出番か?マザー?マザーは
「リュークさんって、魔法使いなんですか?」
『私はどちらかと言うと魔法剣士ですね。本業は剣士なので。これでも当時は有名だったんですよ?』*11
まぁ実際この世界で語り継がれている英雄たる103って俺の事だしな・・・
「じゃあスタンピードもどうにかしてくれるんですか?」
『マザーは。イーターに関しては今の私だと・・・先ほども言った通り時間がかかりすぎるので・・・』
そもそも始まりの剣だからな。これがもし普通の店売りの剣ならまだ時間は短くなるしそれこそ儀礼剣なら余裕。でも儀礼剣って必要ステータス50×5の250だから・・・簡易儀礼剣なら30だから×5しても今なら持てるけど・・・そもそもあのイーターがゴブリンへの恨みで作られたのだとしたら属性って風か?だとしたら最悪だな・・・
「待たせたな。確かに確認した。登録書は書き終わったか?」
『ええ。こちらでよろしいかな?』
「・・・・・・うむ、確認した。それでは、リューク。君を歓迎しよう。ようこそ、ギルドへ。それでこれが登録金を引いた12500Gだ」
『マジ?魔石が大体8000、レッサーゴブリンが200×10=2000だとしてノーマルゴブリンが3000の価値あったのかよ』
「あの状態ならばかなり育っていたのだろう?ならばこれくらいが妥当だとさ」
『そうか、ならばありがたく受け取っておこう』
「ついでに彼女も紹介しておこう。入れ!」
そう言われて入ってきたのは黒い髪に透き通るような瞳を持つ美女だった。・・・ん?この世界の黒髪って確か厄ネタ*12だったはず・・・
「彼女がマリアだ。今ギルドに滞在してる冒険者の中ではかなりの上位だから安心してくれ」
『・・・分かった』
そういうとギルマスは去っていった。
『まずはこの魔法を共有しておく。モンスターを孕んでいるかどうか調べられる魔法だ。これを1時間おきに使ってくれ。次は30分後だな。俺はもう一度離れの牢に行く。イーターの属性を確認しておきたいからな。隣の部屋に死体とポーチを並べておくから確認しておいてくれ』
「分かった。・・・貴様は私の髪を見ても何も思わないのか?」
『いや、思う所はあるぞ?だがそれは俺が勝手にそう思っているだけだ。過去の因習に囚われているだけだ。もしかしたら現代では違うかもしれないのだが・・・その感じだとまだ呪いは残っているのか』
「ああ、かつてあった五つの呪いの内勇者は消音の呪いを自らの命と引き換えに解呪した。しかし他の四つの呪いは未だ解呪されていない・・・」
『まじか。1番厄介な呪いが消えてるんだから他の四つも消えてていいと思ったんだが残ってたのか・・・』
「ああ、しかし知っているのだな。他の旧人類は知らないようだったが・・・」
『俺は覚えているタイプの旧人類だからな。だから初めて見た時は身構えたぞ?しかし一応の対抗策はあるのか・・・そのブレスレットだな?』
「ああ、街の中にいる間だけたこのブレスレットがあれば相殺出来る。街から出たら意味無いがな」
『へぇ・・・流石に進化してるんだな・・・っと、行ってくる』
「一人で大丈夫か?」
『俺は覚えてるだけの旧人類、死んだら噴水の前に現れるんだから気にしないでくれ。何せ旧時代における旧人類だからな』
多分エルフを除くと俺が最古の人類*13じゃないか?エルフ?アイツら数万年を生きるらしい*14し例外。んじゃさっさと確認しに行くか。風だったら最悪だし・・・
「む、どこに行くんだ?」
『イーターの確認に。俺の天敵だったら準備したいしな』
「そうか・・・ところでその剣で充分なのか?」
『いや?全然そんな事ないが。スタンピード以外ならコレでもリャンまではいけるんだがイーターには使えない。壊れないから使い続けられるんだが・・・時間がかかる理由の一つはこの武器だぞ』
「ならば武器を買い換えてからにするべきでは?」
『俺の欲しい武器の必須ステータスが足りないのよ』
「ちなみに何か聞いても?」
『ん?闇の儀礼剣。アレが1番しっくりくる』
「アレか・・・!しかしアレを持つ事ができる存在はもう居ないんじゃないか?」
『え?新しく作ってないの?鍛治のやり方忘れたのか?』
「失伝したそうだ。*15故に今残っているのはリャンの西にある【夜龍の迷い森】の果てに残っているとされている一振りだけだ」
『・・・簡易版は?流石にアレまで作れないわけじゃないだろ』
「それなら教会に行けばあると思うが・・・まぁいい、昼に尋ねるといい」
『そうする。なに、今挑むわけではないから安心してくれ』
さて、向かうとしますかね。今度こそ・・・プレイヤーに邪魔されたくないな・・・
『あ、ならクエスト発行してくれないか?大義名分が欲しい』
「分かった。それはこっちでやっておこう」
ステータス変化
POW:250→270