「詩乃、詩乃おーいついたぞ」
場所に着いたのはいいのだがボーッとしているのかはたまた気絶しているのかわからないが和人の呼び掛けに応じる気配がない。
「・・・・・・・」
和人のジャケットをかけられたときから和人に包まれているようでなにも考えられないでいた。こんな感じで受験に合格できるとは思えないのだが、きっと詩のは合格するのだろう。
「し・の・さ・んつきましたよ~」
和人がもう一度呼び掛けをすると別の世界から帰ってきたのか、普段詩乃が出すよな声とは考えられない声を出して反応した。
「へ、あ、ありがとう」
「大丈夫か?俺といるときボーッとしていることがあるけど」
「大丈夫よ」
「俺と一緒にいるとボーッとして危ないから一緒にいないほうが・・・」
さっきの表情はどこへ言ったのか恐る恐る聞いているのがわかるぐらいの顔をしている。
「そんなことないっ!」
和人がいない生活なんて生きている意味がないくらいに和人が大事だから
「そうか、よかった」
安堵の表情を漏らし、なにか胸のうちから込み上げてくるものがあり簡単にしか答えられなかった。
「それに私を一生守ってくれるってBOBの時にいってくれたじゃない。あれは嘘だったの?」
「嘘じゃない、だけど怖いんだ。何か嫌な予感がするんだ」
ブルブルと効果音が聞こえるぐらいに和人はおびえ始めた。
「怖い?何が?」
こんな和人を見たことがない詩乃はどう対応したらいいのかわからなかった。
「詩乃が、詩乃が俺のそばからいなくなるんじゃないかって思うと・・・」
ついに涙腺は崩壊し始めた。きっと詩乃がいなくなったあとの生活を想像したのだろう。
「だから自分の方からいなくなればいいやと思ったのね」
そのあと詩乃はお母さんのように和人を優しく抱き締め呟き始めた。
「バカね ずっとあなたのそばにいるわ だって私の命はあなたのものよ和人」
「俺だって俺の命は君のものだ詩乃 だから君のために使う、最後の瞬間まで一緒にいる」
安心したのか泣き止み始め、プロポーズともとれることを言った。後にしっかりとプロポーズはするのだが
「和人が泣きたければあとで私のところでおもいっきり泣いていいからとりあえず合格できるように頑張りましょ」
そう言われ和人は上着の裾で目元をごしごし拭いてなるべく詩乃に心配をかけないように
「そうだな、じゃあまた後で」
「がんばりなさいよ」
「そっちこそ」
受験会場に向かおうとしたとき後ろからすごい勢いで走ってくる人影が見えた。
「ぜーぜー 和人何で電車に乗ってこないのよ!」
「だってバイク持ってるし」
「アンタのせいでギリギリになっちゃったでしょ!」
「いや、俺のせいって言われても・・・」
「そうよ、もう1本早い電車にのって来ればいい話じゃない」
「うぐぅぅ・・・も、もう時間じゃない?早くいこうよ」
「あ、話変えた」
「そうだな、また後でな詩乃、あと里香も」
「じゃあ後で和人、それに里香も」
「あたしはついでかい!」