『大切な人を救うために死に戻る能力』   作:破れ綴じ

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[18:06] 想定通りであれば

「──というわけで、一限は自習とする。各自、課題を進めるように」

 

 現象対応の職員会議……まぁ、そりゃそうなるか。

 物理的問題じゃないから休校にはならなかったが、とりあえず授業はしにくいよな。挙手させようにも指名しようにも数字が邪魔で見にくいんだから。

 

 そして、こんな超常現象の起こった日に、担当教員も出て行った自習時間。

 勿論、好奇心旺盛な高校生達が大人しくしていられる訳もない。

 

 ──「よし、集中して勉強できるぞ……!」

 

 ──「委員長の好感度60きっかりだ……これで10人連続だぞ」

 

 ──「マジ? 俺70だったぞ。その割には前カラオケドタキャンされたけど」

 

 ──「へぇー、写真だと撮った時の好感度になってんじゃん。こわ」

 

 ──「そんなアリ? 絵とかでもいけるのかな」

 

 ……まあ、大方予想通りだな。

 

 辻セイラは音もなく教室から逃亡、行き先は桐島ミオのクラスだろうか、バレなければいいから早々に確認に行ったんだろう。

 隣のハルキは自習と聞いて小さくガッツポーズ。君だけだぞ、そんな平常運転は。ある意味、この教室で一番の大物かもしれない。

 残りはまあ……少なくとも自習という単語は三秒で蒸発してる。まあ今日この空気で数学と向き合える人間の方はいないからな。隣にいるが。

 普段なら僕も注意していただろうが、今回は「課題を進めろ」としか言われてないし、自習に関する校則は無い、今は一旦後だ。

 

 この喧騒なら、僕が机で紙をめくっていても、全員他人の頭の上しか見ていない。

 課題も終わらせたし、辻セイラ謹製・百人分の資料とじっくり向き合うとしよう。

 

 紙束の構成枚数は1、2、3……計11枚。

 表面に10人の情報が書かれた紙が10枚に、追加指示や行動方針について書かれた指示書が1枚。裏が白で一切何も書かれていないのは、この資料を持って回っても周囲から分からないようにするためか。

 あと、追加で渡された謎の紙袋。こっちには何が入って……。

 

「……うわ」

 

 いつぞやのプリペイド携帯じゃないか。

 

 まあ……うん。

 緊急連絡用に、僕が携帯を持っていないから、ということだな。

 今回は仕方ないから、一応容認するが。それでもできるだけ使わないように尽力させてもらうぞ。連絡手段が必要なのは分かるが、校則違反だからな。

 

 とりあえず、本題はこっちだ。

 まず、百人は物理的に無理。僕の体は一つで、休み時間は数分しかない。百人のリアルタイム管理なんて、警備会社でも断る案件だろう。

 上位を優先管理、下位は遭遇した時だけ対処する。並びはダメージを受けやすい順に、優先度はそのまま警戒度として使える。授業中は生徒も出歩かないから今は大丈夫なはずだし、この自習時間で上から頭に叩き込もう。

 

 ……で、一番の危険は『彼』か。

 

 ──『日高アサヒ』

 

 警戒度一位。

 バスケ部で、クラスは廊下の反対側の端。活発な性格で最近は「手品」に興味がある。

 

 彼だけ明らかに情報量がおかしい。休み時間の行動パターン、購買に行く曜日から放課後の練習時間。そして、「今日実際にどう行動するか」まで。もうこれストーカーだろ。

 他の人達は顔写真と名前と一言メモ程度なのに、彼だけ身辺調査の報告書みたいだ。しかも赤色で『絶対に会わせないこと』なんて注記までついている。

 

 つまり彼が噂の『桐島ミオの片思い相手』ということだな。

 ていうかそうはっきり書いてあるし。

 

 絶対会わせるなとまで書かれている、それはつまりそういうことだ。

 仲のいい友達同士なら50前後は出るもの。でも、恋をしている側が見たいのはその先。

 数字がきっかり「友達」の位置で止まっていたらその瞬間、脈なしが数値で確定してしまう。今日だけは曖昧さも希望的観測も許されない。逃げ場のない答え合わせになる訳だ。そして結果はおそらく……。

 他の人を防ぎ切れても、彼一人の数字を見るだけで結果は覆りかねない。

 

 日高アサヒだけは絶対に近づけない。これは徹底だ。

 次の休み時間、さっそく彼に接触しに行こう。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

「君が日高アサヒか」

 

「お? 誰?」

 

「アサヒ、知り合い?」

 

「んにゃ? オレは知らねーぞ」

 

「瀬尾マコト。向こうのクラスの学級委員長だ」

 

 この異常現象を前に、友人達と歓談に勤しむ男子生徒集団。

 その一角に佇む、一際目を引くこの男。

 

 1. 僕の質問を否定しない。

 2. 友人からアサヒと呼ばれている。

 3. 顔写真と一致している。

 運良くすぐに見つかったぞ。彼が日高アサヒだな。

 彼さえ桐島ミオのいる教室に近づけなければ、問題はかなり簡単になるはずだ。

 1限終わりの休憩15分間は辻セイラが標的につきっきり。携帯にも何の連絡も来ていない。まだ桐島ミオとは合流していないはず。他のリストの人物は辻セイラがある程度対応してくれることを祈り、今は彼を誘導することに集中すればいい。

 

 しかし、こういう手合いに「理由は聞かずにあの教室に近づかないでくれ」「今日は部活も諦めて早く帰ってくれ」なんて正面から言ったところで「何で?」で詰むのは目に見えてる。桐島ミオの片思いのことなんて倫理的に口が裂けても言えないし、あの女の事情についてはもっと無理。

 

 だったらあの資料に載っていた「手品」で彼に気に入られるのが一番手っ取り早い。

 要は、凄いことをして見せればいいんだろう。今の状況を楽しんでいるような人間なんだ、能力だろうがイカサマだろうが、不思議だと思えるような見世物をすれば楽しんでくれる。

 

「今から芸をする。見てくれないか」

 

「芸?」

 

 そして偶然、一つだけ手がある。

 今日しかできない手が。

 

「へぇー、何見してくれんの?」

 

「おー、気になる気になる。俺らにも見せてよ」

 

「バカ止めろ、オレに見してくれるっつってんだ、引っ込んでろ……で、なんだって?」

 

 乗ったな? ありがたい。

 これで「は? 何言ってんだお前」とか返されてたら相当困ったぞ。

 策が一つしか準備できてないのは情けないが、こちとら時間が無くてな。ぶっつけ本番、話し始めたら後は流れで行かせてもらおう。

 

「まず、いくつか質問に答えてくれ──校則を破ったことはあるか?」

 

「校則? あー、まあ……ないとは言えねーかも」

 

「法律違反をしたことは?」

 

「そりゃねーよ。これでもマジメに生きようとは心がけてっから」

 

「母親のことはどう思っている?」

 

「いやぁその節はつい最近長い反抗期が終わったところで……」

 

 よしよし、素直だ。きちんと応えてくれている。

 別に嘘をついていてくれても構わない。僕は全て事実だとして考えさせてもらう。

 回答は非、是、是。各ルールの重さによって軽視したり重視したりと対応は異なるが、母親を大事にする気持ちはしっかり持っている好青年、といったところか。

 

 

 

 

 

「君に対する僕の好感度は──50⇒45⇒50⇒60と推移した。違うか?」

 

「おおっ!? す、すげえ!! ぴったりだ! お前すげえぞ!?」

 

 

 

 

 

 お。僕への好感度が『興味無し』クラスの10から、一気に50近くまで上がったな? 

 僕はルールに従順だ。勿論自分の好感度でさえ、一定のルールに従っている。そんな面倒な性格を、僕自身が一番良く知っているからこそできる芸当。

 

 1. 僕はどんな人間に対しても、一定の経緯を払って接すると決めている。

 故に深く知り合った存在でないのなら、0(興味無し)ではなく50からスタートする。

 

 2. ルールを破るような真似をしないだけでさらに僕からの認識は向上する。

 校則を破らないか、法律を守っているか、それぞれ±5近くの変動を既に確認済みだ。

 

 3. そして何よりも、「母親を大事にしているか」。

 これだけで一気に10は上昇する。母を大事にする人間に性根まで悪い人間はいない。

 

 4. そして、見た目や口調や性格、多少の事前情報だけで数値が変動することはない。

 自分で見て知ったものでもない限り、それを先入観に相手を否定することは絶対しない。

 

 つまり、初対面は50。規則を破っていない知り合いは一律で60。

 そして、「この人は信用できる」と思えるような友人は総じて70前後。

 例外は付き合いの長い家族やハルキ、外れ値の辻セイラ含む不良達のみだ。

 

 自分の頭の上は自分じゃ見えないが──自分の好悪の基準くらいは分かってる。

 今の発言が嘘だとしても、必要なのは「僕が日高アサヒに思う好感度」だから、真偽が分からなければ結果には影響しない。その上で、僕の中の好感度がどう変遷するかぐらいは既に複数人に聞いて検証済みだ。

 自分ルールに忠実でいればこういう恩恵があるんだぞ。

 

「もっかいやって! 他の奴にもできんの?」

 

「初対面で、校則に違反しない見た目をしているのなら可能だ」

 

「へぇー! じゃオレの隣のコイツはどうよ」

 

「え、俺? ……あー、げふんげふん。実は母親なんてどうでもいいと思っている」

 

「君はクズだ。1すらくれてやるつもりはない。母親に感謝して生きろ」

 

「うーわ0だすげえコイツ……嘘だってそんな睨むなよ!」

 

 ……あまり母親のことで嘘をつくのはよろしくないと思うが。

 

 しかし、僕は見逃さなかった。いくら嘘とはいえ、僕を試すために放った友人の一言に日高アサヒは少し苦い顔をしていた。気が早いが、彼は信用に値する男だ。もう僕の好感度は70ぐらいまで上がってるかもしれない。

 なんだか急にイケメンに見えてきたな……。

 

「でもすげーわ、なんで分かんの?」

 

「自分の性格が面倒だと自覚しているからだ。丁度いいので逆に利用しようと」

 

「あっはは、何だそれ! お前何者? おもしれーじゃん」

 

「学級委員長だ。二回目だぞ」

 

 お、おお……? なんで全員爆笑してる。何がおかしい。

 いや、とにかく楽しんでくれたようで何よりだ。彼の僕に対する好感度も60近くまで上がっている。おそらく桐島ミオもこの辺りなんじゃないだろうか。そして彼女の望む数値はもっと上だった……と。

 

 何はともあれ、芸には成功した。

 日高アサヒ一人だけでなく、その友人も巻き込んでの好感度当てクイズ。複数人相手に成功している以上その信頼性は確たるものであるし、目の前の集団全体からの好感度も上昇気味だ。順調に進んでいる。

 

 今なら、頼みを聞き入れてくれるかもしれない。

 

「ここで唐突なんだが、一つ頼みがある」

 

「おー、何?」

 

「今日は──放課後になったら早めに帰ってくれないか」

 

「……ん? えっと、オレだけ? コイツらも?」

 

「君だけでいい。理由は聞かないでもらえると助かる。埋め合わせはするから」

 

「なん……あっ、理由は聞いちゃダメなのか」

 

 いや別にダメじゃないが。僕に「君が理由を知りたいと思う権利」を邪魔することはできないが。ただこっちが聞かないでほしいと言うだけで。

 ただ今日のお祭り的な雰囲気に乗せられて、「まーそんなこともあるか」ぐらいの雰囲気で流してくれたらいい。僕からの好感度は高くなっているんだし、疚しい意図がある訳ではないことは分かるはずだ。

 

「んー……まーいーぜ、面白そうだし」

 

「ほ、本当か!」

 

「おう。つか今日、数字が邪魔でどうせ部活なんか集中できねーし。何時に帰りゃいい?」

 

 ……え、いいのか? そんなあっさり? 

 いや確かに、こんな日にバスケなんか無理だよな。チームメイトの頭の上に数字がちらついてる状態でパスなんか出せるかどうかも怪しいし、運動系の部活自体が今日は半壊してそうだ。早く帰る口実としてはむしろ好都合か。

 勿論、それ以上に彼が良い人間ということもあるのだろうが。女子人気が高いとしても頷ける。

 

 もし六限目が終わってすぐ帰ってくれるなら、タイムリミットの時間まで最大の爆弾が盤面から消えた状態を維持できる。それまでの時間は僕と辻セイラで見張っていれば対応できるし……これは大きいぞ。

 

「六限が終わり次第すぐだと助かる。それ以降は好きにしてくれていい」

 

「おっけ、いいぜ。皆どうするー?」

 

「えーマジか。まあ俺らもどうせ部活どころじゃねーしなー……」

 

 ……よし。

 よし! 

 

 一番の強敵は対策できた。

 後は辻セイラが桐島ミオの視線を誘導し、僕が極力教室に近づく人間を減らせばどうにでもなる。

 学校に残らない以上、帰る時間になって鉢合わせる可能性は大幅に減るし、辻セイラが引き留めさえすればさらなる安全性を確保できる。

 後はタイムリミットまで二人がどれだけ桐島ミオのダメージを抑えられるかが全てだ。

 

 そろそろ二限も始まる。

 1回目の休憩時間にしては相当な功績だ。誇っていいぞ、瀬尾マコト。

 もしループが解決すればその時は日高アサヒとも友達になろう。交友関係を広めるのは悪いことじゃないし、今日の感じであれば普段の僕でもきっと仲良くなれるはず。

 

 そのためにも、次の休憩時間に備えなくては。

 

 

 

 

 

「あっ、ところで寄り道はしちゃってもいいのか? 委員長のマコトくんよー」

 

「構わない。寄り道に関する校則はない」

 

「あれ思ってた反応と違うな……」

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

「あの……そこ立たれると邪魔なんですけど」

 

「ん? 君は……ああ君は駄目だ。僕を殴ることも容認するから今だけは遠回りしてくれ」

 

「えぇ何この人……」

 

 ……ふぅ。

 いやあ、長い一日だった。

 

 日高アサヒ問題を解決できたからといってそれで全てという訳じゃない。以降の休み時間でも、桐島ミオの友人は何度も現れる。リストの上位が廊下ですれ違いそうになったのを咄嗟に話しかけて引き留めたり、購買の列で桐島ミオのすぐ後ろに並びかけた奴の肩を叩いて別の用事を作ったり。

 全部が全部完璧にできた訳じゃないが、辻セイラが遠巻きに視線を誘導したり、逆に彼女が近くにいない瞬間に壁役として機能したり。桐島ミオの様子にも大きな変化は無かったし、致命的な接触は防げたはずだ。

 

 五限と六限の間に辻セイラとすれ違った時も、『今日は前の周の10%近くに抑え込めてる……いけるかも』との評価を頂けた。消耗してるのは隠せてなかったが、あの女から見ても今回の試行はかなり希望的な結果に終わっているということだよな。

 逆にこれでダメなら正直どうすればいいか分からない。かなり理論値に近い動きができていると思うし、学校にいる間はSNSなどを見ないように辻セイラが話を遮っていた、他に好感度を見る機会はほぼ無かった……と思う。もし朝の内にダメージを稼ぎ切っていたのなら、早い段階で条件が満たされて死に戻りが発動する。そうならないということは、朝、辻セイラと合流するまでの間に致命的なダメージは受けていなかったはずだ。

 

 よくよく考えたら学校でSNS見れるっておかしいな。

 携帯を持ち込んでいる状況が常態化していることに対して僕はもっと怒るべきなのでは? 

 

 ──「なんかウチ、今日あんま人と会わなかったー」

 

 ──「朝がピークだったかもね~。皆飽きちゃったのかな?」

 

 ──「きっとそう。こんなカス能力、さっさと消えてくれた方が世のため」

 

 ──「なんかセイラってたまに凶暴化するね。ウチは好きだけど」

 

 ──「個性だね~」

 

 ……教室に残っているのはもうあの三人だけ。窓近くの席で今日の想いでを駄弁るのみ。

 入口にはバレないように見張っているこの僕。初めは上手くいかなかったがもう慣れた。

 タイムリミットまではあと数分程度しかない。学生達は次々と正門を抜けて行っている。

 

 ……勝ったな。

 

 ほぼ完璧な一日じゃないか、これ。

 犯罪も犯してないし、校則も破ってない。規則の範囲内で人命に貢献できたんだぞ。今回は胸を張っていいだろう。前回前々回の前科持ちからすれば大進歩じゃないか。

 教室に近づく人影もほとんどいない。リストに載っていた人間もほとんどが階段を下っていくところを既に目撃済みだ。その中には日高アサヒも含まれている。

 

 後はもう何もしなくていい。残り数分、何事もなく時間が過ぎればそれでいい。

 何か見落としていたことなんて……無かった。

 

 無かったはずだ。

 無かったよな? 

 

 ──「あっ」

 

 ──「ん?」

 

 ──「どしたの、ミオ」

 

 待て。

 窓近くの席? 

 

 ──「いや……今日は部活しないのかな?」

 

 あの窓は──正門の方向を向いている。

 正門には、僕が帰るよう促した……。

 

 ──「ほら、あそこ。あそこに、アサヒ……が……」

 

 ──「あ、ホント、アサヒ君だ……ってあれ、ミオちゃん?」

 

 ──ガタンッ! 

 

 ──「ってあれ、セイちゃん?」

 

 

 

 

 

「好感度教えて! 早く!」

 

「うおっ!?」

 

 

 

 

 

 な、何だ辻セイラ!? 

 いつの間にこっちまで──いやそれどころじゃない! 

 

 しまった! なんてこった、僕としたことが! 

 僕が、「今日は早く帰れ」なんて誘導してしまったせいで……。

 

 桐島ミオが──日高アサヒを目撃してしまった! 

 

「失敗した! すまない、辻セイラ──」

 

「いいから! 今! いくつ!」

 

「ま、待て動くな! 読みにくい!」

 

 -23。

 -23だ! 

 

「-23だ! これが、何の──」

 

「くっ……!」

 

「あっおい……辻セイラ!」

 

 い、いやしかし、落ち着け。

 まだ死に戻りが確定したとは分からないじゃないか。

 確かに、繊細だというならたった一人分見てしまっただけで心に傷を負ってしまう可能性だってあるかもしれないさ。でも、最後にたった一人見ただけだぞ? それで人間不信になるだって? 

 

 最後の最後に日高アサヒを目撃してしまったが、数値まで見えたとは限らない。

 見えたとして、その数値がどこまで悪いかどうかだなんて分からない。

 これでダメージが限界を超えてしまったかだなんて分からない。

 

 君の中で、『桐島ミオが日高アサヒを見ること』は明確に終わりを意味するのか? 

 

「……セ、セイラ! 急にどうし……って、邪魔!」

 

 っ、おっと! 

 桐島ミオ! 

 

「まっ、待て!」

 

「きゃ……何すんの!? 話して!」

 

 マズイ、桐島ミオが出てきてしまった。あの女が急に教室を飛び出すからだ! 

 

 見ろ、彼女の様子を! 確かに、少しショックを……いや結構ショックを受けているように見えるが! それ以外は何の変哲もない、ショック以上に君を心配する親友の姿そのものじゃないか! 

 確かに、数値は予想以下だったのかもしれない。今この瞬間に失恋してしまったのかもいれない。だが、本当にダメージが限界を迎えていれば、今この瞬間に死に戻りが発生しているはずだろう。

 しかし、時間は巻き戻っていない。だから、大丈……。

 

 ……何の変哲もない? 

 

「……待って、アンタ」

 

「いや、おかしい。そんな……」

 

 

 

 

 

 数字が──見えなくなっている。

 

 

 

 

 

 ……待て! 

 もしかして、死に戻り発動は──

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

『-23』

 

「……は?」

 

『……何で上がってんの。そんな訳ないのに』

 

「なんの……話だ」

 

『いいから。後で使うし、さっさと学校来て』

 

「お、おい。説明ぐらいはだな……!」

 

 

 

 

 

 ……切られた。

 今何時だと思ってるんだあの女は……。




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