『大切な人を救うために死に戻る能力』   作:破れ綴じ

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[18:08] ツーショット

 来た。

 ついにこの時が。

 

 ──「アサヒー! やっほー!」

 

 ……廊下の反対側まで響いてるぞ、あの声。

 ほら、教室中の視線が入口に向いてるじゃないか。当の桐島ミオは、まるで気にしてなさそうだが。

 

 僕と辻セイラは隣の教室の入口の陰に、距離にして教室一つ分といったところ。

 聞き耳を立てるには少し遠いが……あの声量なら問題ないな。問題があるとすれば、むしろこちら側の空気の方か。

 さっきから辻セイラが一言も喋っていない。さっきの「大丈夫か」以来、ずっと。震えは止まったようだが、代わりに纏っている空気が張り詰めすぎている。

 観察対象は桐島ミオのはずなのに、隣のこの女から目を離す方が怖い気がしてきたぞ。

 

 ……ん。彼が日高アサヒだな。

 辻セイラの話によれば、桐島ミオの片思い相手。バスケ部で活発的な性格。一年の時は同じクラスで、それで仲良くなったとか。

 

 ──「お、桐島じゃん。どしたん?」

 

 反応は……至って普通。

 

 ──「いやさ、ほら、今日って例のアレの日じゃん? だからせっかくだし、色んな人の見て回ってんの」

 

 ──「あー、はいはい! 面白いもんな、これ。で、結果は?」

 

 驚いてはいるが、嫌がってはいない。

 去年同じクラスだった知り合いが騒がしく訪ねてきた、それ以上でもそれ以下でもない自然な距離感の声に聞こえるぞ。

 僕に面識はないが、去年同じクラスだった友達にも即座にこの反応を返せるのは、それだけで一種の才能だな。

 これだけで分かる、彼は人当たりが良いんだろう。

 

 ──「んー? ……42かぁ。あんま高くないんだね」

 

 ──「デカい声で読み上げんなよ。生々しいんだって」

 

 ──「えーごめーん」

 

「(直球すぎるだろ!)」

 

「(うるさい)」

 

 いやそうは言うがな。見た数字をそのまま本人に言う奴があるか。

 嘘が大嫌いな僕でさえ、相手が高すぎたり低すぎたりすれば取り繕うと思うぞ。数字の差なんてものは、優しい嘘で均しておくのが人付き合いというものだろう。この裏表のなさはいっそ清々しいが。

 

 だがまあ確かに。

 今、笑ってはいたが……声のトーンが微かに落ちたような。

 直前の「アサヒー!」と比べれば明らかだ。知りたくない事実を知ってしまったような。

 それに、数字を見てから口を開くまでの、あの一拍。あれは数字を読む時間と──受け止める時間だったんじゃないか。

 

 ──「でも50以下? ウチら友達じゃないのー?」

 

 ──「あー……いや、その。悪い」

 

 

 

 

 

 ──「俺、彼女いるからさ。多分そのせいで、他の子への数字ってあんまり高くならないんだよ」

 

 ──「えっ」

 

「(えっ)」

 

「(えっ)」

 

 ……か、彼女? 

 

 

 

 

 

 ──「…………」

 

 ──「いや、ごめんな。なんか言い訳みたいだけど」

 

 ……な、なるほど。

 日高アサヒの数字を見てショックを受けることは知っていたが、理由はそれだったか。

 確かに、彼はどこからどう見ても好青年。多分初対面の僕とでも仲良くなれるだろう。

 彼女の一人や二人いてもおかしくない。もし二人いたら生徒指導室に連れて行くが。

 

 桐島ミオも当然驚いてるが……隣で辻セイラまで目を見開いてるぞ。

 それもそうか、彼女は今まで桐島ミオと日高アサヒを接触させないように立ち回って来た訳だし、数字の見た/見ないはあったとしてもここまではっきり会話を許したのは初めてだったんだろう。

 これまでも特に言及することは無かったが、好感度という指標が前面に出てきたせいで、今初めて明らかになった新事実……と。

 

 ──「えっ!? うっそ、彼女いたの!?」

 

 ──「な、なんだよーその言い方。オレに彼女はできなさそうってか」

 

 ──「えー、じゃあ何、彼女いたのにウチとツーショット撮ってたのー? わっるいやつだー!」

 

 すご。一瞬で立て直したぞ。

 落ちてたトーンも錯覚かと思うほど元の明るさに戻ってるし。

 

 大げさに騒いで、からかう側に回って、動揺ごと冗談に変換して空気を維持する……取り繕うのが上手いと辻セイラから言われるだけはある。

 いやしかし、ツーショットか。普段から距離が近かったのか? それで好意が募っていったのか。

 

 ──「あれ去年の学園祭のやつだろ? 打ち上げの流れで、みんなで撮った中の一枚じゃんか。あの時はまだ付き合ってなかったし」

 

 ──「そーだっけ?」

 

 ──「そうだって」

 

 ──「そっかー。ウチの記憶、美化されてたかー」

 

 ああ……そういう。

 これは、聞いていてキツイな。

 

 その写真は、片方にとっては「みんなで撮った中の一枚」。

 もう片方にとっては、一年経っても引っ張り出せる一枚な訳だ。

 同じ写真の話をしているのに、乗っている思い出の重さがまるで違う。

 それでも、日高アサヒは何一つ間違っていない。誠実に、軽やかに、思い出を思い出として扱っているだけだ。

 

 ……そのはずだ。

 

 そのはずだが……やっぱりおかしいぞ。

 

「(思ったより、反応が薄くないか)」

 

「(う、うん。ミオ……もっと気落ちすると思ったんだけど)」

 

 そうだ。

 数字にも、彼女の存在にも、桐島ミオは確かにショックを受けている。それは間違いない。

 多分、この後教室を出たら露骨に気を落とすだろうということは目に見えている。

 

 だが──それにしては反応が小さい。

 落ち込んでいる/いないじゃなくて、驚きが少ない。

 

 てっきり、僕はここが今日一番の山場になると思っていたんだぞ。

 7周ものあいだ守り続けられてきた接触だ。ここで感情が決壊するなり、立ち尽くすなり、何かしら大きな反応が出てくれれば、それが解決の糸口になると踏んでいた。

 なのに、立て直す速度も立て直した後の反応も他の友人と何一つ同じだ。これじゃあ他の相手と変わらないように見える。

 それに、あの一拍の短さも気になる。数字を見てから「あんま高くないんだね」までの、あの淀みのなさ。ショックの薄さと、反応の速さ。

 

 ……まるで、低いことを初めから知っていたみたいじゃないか? 

 

 元々この状況が根本的な原因じゃないのは分かってる。

 しかし、ここまで他と変わらないものなのか? 辻セイラをして「繊細」と言わしめる彼女が。

 それとも、今の姿も全て取り繕っているものなのか? 

 いや、それはあり得ない。辻セイラだって怪訝な顔をしているんだから。

 

 ──「ウチ、うるさいってよく言われるんだけど。やっぱそんなカンジする?」

 

 ──「は? いや別に。桐島はそういうキャラじゃね。去年もそれでクラス盛り上げてたじゃんか」

 

 ──「そういうキャラ、かー……」

 

 あくまで自然な会話に聞こえる。

 好感度を気にしているような風に聞こえなくもないが、今日という日ならこんな会話があってもおかしくない。

 

 ──「そっかー! じゃ、彼女さん大事にしなよー! じゃーねー!」

 

 ──「うぃーす」

 

「(っ、せっかく接触させたのに、もう終わってしまったぞ)」

 

「(……)」

 

「(なあ、何か分かったのか)」

 

「(……分からない)」

 

 ……マズイ。

 手掛かりは、掴めずじまいで終わってしまった。

 辻セイラも不気味なほど黙り込んだまま、僕もこのザマだ。何も進展していない。

 それどころか、桐島ミオは「数値が低いことを知っているようだった」という新たな謎まで追加されている始末。

 

 夕方4時半。

 数字が消えるその瞬間は、僕達の都合なんて待ってくれない。

 答えが出ないまま、時間だけが過ぎていってしまう。

 このままでは……。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 4時21分。

 ……本格的にマズいぞ、これは。

 

 中庭を挟んだ向かいの空き教室。ここからなら窓越しに、桐島ミオの教室の中がよく見える。

 当の彼女は窓際の席で三好ルナと喋っているが。向かいの教室から僕と辻セイラに凝視されているとは夢にも思わないだろう。

 

 今でもこうしているということは、つまり──収穫はゼロ、ということだ。

 あの休み時間から何時間も追いかけ回して、廊下を歩き、移動教室を先回りして、昼休みまで使い切って、その成果がこれ。

 

 時計を睨んだところで針が僕に忖度してくれるわけもないが、睨まずにはいられない。

 あと10分そこらで、この世界から数字が消えてしまう。

 

「辻セイラ」

 

「……」

 

 そして、この女はずっと黙ったまま。

 目には分かりやすく焦りの色が滲んでいるし、さっきからしきりに爪を噛んでは止めたり。

 

「一つ、仮説を立ててみたんだ。『桐島ミオは自分の態度を気にしていた』というものだ」

 

「……うん」

 

「彼女は、普段の自分の態度が好感度低下に繋がるのでは、と考えていた。数字が見えなくなって以降はその印象が固定されてしまった」

 

「……ん」

 

「だから、人間不信というより、徐々に人を避けるようになるという……」

 

 原因は失恋じゃなくて、普段の自分に対する自己嫌悪の方。

 数字が見えれば皆多少なりとも本音を取り繕い始めるし、そうでなくても桐島ミオは自分がうるさいのではないかと気にしていた。事実、大きな声に驚いた友人の好感度は少し下がっていた。

 それでも数字が見えている間は、まだ改善の兆しがあるかもしれない。時間をかけて何度も試せば、素の自分でも大丈夫、数値は変化しないと確証が持てたかもしれない。

 だが、WPPOの解決が早すぎたせいか。その確証も持てないまま数字は見えなくなり、「もう確かめることができない」と悟って彼女は素の自分を抑えるようになってしまうんだ。

 

 そして孤立する。

 次第に親友二人も信じられなくなって……。

 

「……」

 

「……分かってる、忘れてくれ。今の仮説には穴が多すぎる」

 

 でも、もう考えることができないんだ。

 

 確かにそうさ。

 自分の振る舞いが原因だとか、周囲の数字が答え合わせになって……という流れならやはり複数人との接触は必須。

 対策は結局「周囲の人との接触を絶つ」に収束する。あるいは「好感度の高い親友二人の数値を見せ続ける」だ。

 そしてそれをやった周では、同じ時刻にきっちり発動した。

 

 もし僕の仮説が正しいのであれば、「桐島ミオはいつの時点でその情報を手に入れたのか」の説明ができない。

 日高アサヒ含め、今日桐島ミオが会いに行った友人は全て前の周で防衛に成功しているというんだから。

 結局ここに行き着くんだ。「接触をほぼ完全に断ち切った周」と輝かしい検証結果があるが故に全ての論理が破綻してしまう。

 

 4時25分。

 

 このまま、何も分からずにタイムリミットが来るのか。

 数字が消えて、桐島ミオの中で何かが壊れて、辻セイラの脳が潰れて死ぬ。

 8回目の死だ。

 あのなんとも悪趣味な死を、何の成果もなく、ただもう一回積み増すだけ。

 

 ……冗談じゃないぞ。

 

 大体、君は今日まで7周、この11時間を走り続けてきたんだろう。

 うち3周で協力している僕が、今回は隣で腕を組んで唸っているだけで終わるのか? 

 それで本当に良いのか。学級委員長の名が泣くぞ。

 いや、学級委員長は関係ないな。シンプルに僕の名が泣く。

 

 何か見落としているはずなんだ。今日一日を頭から浚え。

 あの教室の前。

 声のトーン。

 一拍の短さ。

 42という数字。

 桐島ミオのキャラ。

 去っていく背中。

 

 何かが僕の目の前を通り過ぎた、絶対に通り過ぎたんだ。

 それは、一体……。

 

 

 

 

 

「──ツーショット」

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 おい、ど、どうした。

 なんで、急に眼を見開いた。何か、分かったのか。

 ツーショット? 

 学園祭で撮ったというツーショットか、それがどうしたんだ。

 

「まっ、待って。私の考えが先走ってるだけ、かも。一緒に考えて」

 

「ああ、任せろ」

 

「まず、WPPOは、一週間前にこの能力のことを予告してた」

 

 え、えっと。考えればいいんだな? 

 

 確かにそうだ。

 WPPOはこの能力の発生を一週間前から予告してる。普通にテレビやニュースを見ている人であれば誰でも気づくであろう事実だ。

 それで? 

 

「この能力は、画像や映像でも例外なく反応する」

 

 ……そうだ、確かにそうだった。

 

 今朝見たテレビのニュースキャスターの頭上にもゼロ。一限の自習時間中に似たようなことを言っていた生徒がいた気もする。

 直接対面で見る必要はない。その人の画像か映像があれば、撮影当時の好感度が表示される。

 

「ミオの性格なら、能力が発動した瞬間に、一番見たいものを見るはず」

 

 一番、見たいもの。

 

 はっきりしてる方が好き。曖昧なのはキライ。自分から能動的に確かめに行く。

 事前に知らされていた朝5時、世界中の好感度が見えるようになったその日に、彼女が真っ先に確かめるものは……決まっている。

 

 片思いの相手だ。

 手元に残してある、去年の学園祭の、日高アサヒとのツーショット。

 

 桐島ミオは既に──42に近い数字を知っていた。

 

 友達の写真だって沢山持っているだろうし、SNSならもっと沢山見つかる。

 複数の写真の前後を見比べれば数値の変化は分かるし、自分のせいで好感度が下がったかどうかはすぐに分かる。

 あの時、自分が何をしたから数値に影響したかどうかだなんて、繊細で気にしがちな彼女なら覚えていてもおかしくない。

 

 直接会う必要なんてない、朝の時点で失恋は終わっていた。

 それでも会いに行くのは、過去と今で数字が変わっていないか知りたくなったからで……。

 

「それが……それが原因か!」

 

「そうだよ、なんでこんなことに気づかなかったんだろ」

 

 だから、無駄だったのか。全部。

 朝起きて携帯を見る、ただそれだけだ。所要時間にして、ほんの数分。僕達が教室と廊下で何十時間費やして精神を保護しようが、たった数分スクロールすれば先んじて知ることができる。

 日高アサヒを遠ざけても、接触を絶っても、カーテンを閉めても、僕達が今日一日をどれだけ完璧に立ち回っても、意味なんて最初からなかった。

 原因は布団の中のスマホ一つで完了していた。僕達は、とっくに開いていた傷口の周りをぐるぐる警備していただけだ。

 

 どうりで、驚かないはずだよ。

 42は初見で見た数値じゃない。今朝、布団の中でとっくに読み終えていた答えの、ただの再確認。

 三好ルナと笑うあの姿も、教室でのあの完璧な立て直しも、全部「答え合わせが済んだ後」の桐島ミオだったんだ。

 

 そうだ、どうして僕はこんな単純な仕組みに気づかなかった。

 それにこれなら──さっきの僕の仮説だって証明できる! 

 

 解決の糸口が見えるじゃないか! 

 

「それなら、スマホを見なければいい。良かった、解決だ。電話一本入れれば、後は一日中警備するだけで……」

 

「何、言ってんの」

 

 ……え? 

 

 

 

 

 

「私のループは5時半から。数字が見えるのは、5時から」

 

 あっ……。

 

 

 

 

 

 数字の能力の発動は日本時間の朝5時。

 辻セイラが朝起きて僕に電話してくるのは朝5時半。

 桐島ミオに「写真を見るな」と告げるには……既に、時間切れになっている。

 30分、間に合わない。

 

「待ってくれ、それじゃどうすればいいんだ」

 

「どうしようもない、どうしようも……」

 

 そんな……まだ諦めるには早いだろ。

 

 例えば、大きな声が大好きな人間を呼べばいいんだ。素の桐島ミオでも好感度が上昇する人間がいれば、彼女だって自分を受け入れることが……。

 いや、無茶だよな。そんな都合の良い人間なんてそう簡単に見つかる訳じゃない。

 数値の高い二人が慰め続ける……も効果がないことは実証済みだ。既に数値の高い人からの評価では当てにならないんだ。

 繊細な人間が「都合の良い側面」だけを受け入れる訳がない。印象に残るのは良いことより悪いこと。今朝知ってしまった事実が消える訳じゃない。

 

 ああもうなんでこんな能力が発動してるんだ。

 頭上に好感度が出てるせいで皆が気を遣おうと精神を消耗するから、一切変化しないなんてのは特殊な人間でもないと無理なんだぞ。

 現にあの辻セイラだってコロコロ変わってしまう。こんな変わりやすい値なのに、人ってのはそれを大袈裟な効果としてに捉えてしまうんだ。

 

 そもそも桐島ミオが写真を見るのはもっと後かもしれない。5時じゃまだ寝てるかも。

 いやでもどうだ? ずっと気になっていたことが、知りたくないけど知りたかった事実が分かる。それも、ご丁寧に日本時間で指定までされた上で。

 あの能動的な桐島ミオが「見るのは後でいいや」なんてなるか? もし僕が同じ立場なら我慢なんてできないかもしれない。わざわざ意味も無いのに30分も放置する理由があるか? 

 30分って結構あるぞ、この時計にして半周分も……。

 

 

 

 

 

 4時29分。

 

 

 

 

 

「カーテンを!」

 

「は、え、なに」

 

 時間切れだ──! 

 数字が見えなくなるまであと数秒しかない!

 

 原因、原因は分かった! ループの原理も分かった! 

 自分の態度を気にしていた桐島ミオが、ネガティブな感情を抱えたまま、結果を確かめられる時間の終わりを迎えてしまったから! 

 

 少なくとも、一歩前進だ! 

 問題はループ前から発生しているなんて詰みの状況を知ってしまっただけだがな! 

 解決するには既に存在している桐島ミオの心の不信感をひっくり返し、ポジティブな希望を持ってタイムリミットを迎える必要がある……それも11時間以内で!

 無茶だ!

 

 それより、今は辻セイラを周囲から隠さないと。

 射線を切るんだ、これから起こることを桐島ミオがもし見てしまったら──そんなこと僕がさせない。

 

「辻セイラ、次の僕に伝えろ! きっと協力する! 一人で背負い込むなよ! 今の好感度は……」

 

 ──ピシッ

 

「……アンタって、ほんと──」

 

 

 

 

 

 ──バキィッ! 

 

 

 

 

 

「-2! なにちょっと好きになってんだ君は!」

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

『-28』

 

「……は?」

 

『……そんな訳ない。絶対に-2なんかじゃない』

 

「……ん、暗号?」

 

『ごめん、ちょっと一人で、考える……』

 

「お、おい、大丈夫か……?」

 

 

 

 

 

 ……四則演算? 

 -28-2=-30って返さないとマズかったか?




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