──「九条さんって家どっちの方面? 電車通学?」
──「はい。三駅先から乗り換えなしです。通学はかなり楽をさせてもらっています」
──「ね、九条さんって漫画読む? 私の推し、今度アニメ化するんだけど!」
──「漫画は読みますよ。ただ、推しの話はお互い長くなってしまうので……また今度、ゆっくり」
──「前の学校の友達と離れてさ、寂しくない?」
──「寂しくない、と言えば嘘になりますね。ただ、こうして皆さんが話しかけてくださるので、思っていたより平気です」
うーん。
やはり手馴れているな。
転校して初の水曜日、昨日クラスに紹介があってからもう早1日になるのに。
あの人だかりは崩れる気配が一切なさそうだな。休み時間が来る度に物珍しさから人が集まって来て……当の本人が一切嫌な顔をしないものだから、列が途切れることなく続くのも頷けるが。
なんだか記者会見みたいだ。
九条ノドカも九条ノドカで、角の立たない答えを返し、長引きそうな話題は畳んで、質問を返して主導権ごと相手に渡す。転校生の模範解答集があるなら巻頭に載せたい出来栄えだ。そういった問答まで既にマニュアルがあるのだろうか。
あの喧噪が週明けには落ち着くのか、それとも彼女の「調査」とやらが終わるまでこの調子で続いてしまうのか。どちらにせよ、僕の胃には良くなさそうだが。
だって、彼女のただの雑談は「業務」の可能性があるんだ。
本当は調査に集中したいだろうに、そういうプロトコルだから仕方なくやっている……そういう可能性を否定することはできない。どんな質問が来ても即座に「準備されていたかのような」満点の回答ができるあたり、楽しい会話はできるが会話を楽しめているかどうかは疑問が残る。
もしそんな社畜のような思考回路をしていたとすると……クラスメイトの皆が報われないし、正直九条ノドカ自身も可哀想だ。実は見た通りに学生生活を謳歌できていると良いんだが。
「しっかし、こんな時期に転校って大変だよなー。二学期の終盤だぜ?」
「そうだな……手続きだって楽じゃないだろう。守るべきルールが多そうだ」
「そこかよ委員長」
そうじゃないのか?
こうして友人達と駄弁りながら、遠巻きに様子を見ているだけの僕には到底分からないが……実際、転校というのは大変どころの話じゃないだろう。こうして実際に目にして気づくことも多い。
授業の進度、人間関係、通学経路。その全部がリセットされて、しかも周りは出来上がった空気の中だ。高校生活の折り返しで環境を丸ごと入れ替えるなんて、僕なら考えたくもない。
「てかあの子、受験どうすんだろ。今から進度ずれてるのって、まずくない?」
「委員長も大変だな、世話係ってやつ。あれ、勉強まで面倒見るのか?」
「必要があれば。今日も放課後、授業内容の擦り合わせを行うつもりだぞ」
校舎の案内や教科書の受け取りは月曜火曜に済ませているしな。提出書類の出し先やら購買の営業時間やらを一通り聞かれて付き合っている。
となると、次にすることは学習の理解度を現在の授業水準に合わせることだし。
「それもどうせ自主的にやってんだろ? 頑張るねー」
「君達も来るか?」
「おっと遠慮する。俺が本気出すのは年越してからだ」
いいのかそれで。君達にも受験の話は他人事じゃないだろう。
僕は学級委員長かつ余裕があるから面倒見るのが当然なのであって、別に君達が一緒に勉強する分には何も問題無いんだぞ。
しかし、実際に彼女が勉強で遅れを取ってしまうとは思わない。
カリキュラムの穴は自力で埋めるしかないし、この時期の編入が内申でどう扱われるかは学校側の裁量次第……とはいえ、WPPO側から用意された人材だぞ。編入試験を平気で通ってくる学力がある上にあの要領の良さ、僕が心配するまでもなく本人が涼しい顔で対処するだろうさ。
それより、僕が気になるのは……。
「転売、かぁ……」
今日も今日とて様子のおかしい辻セイラだ。
彼女の「問題」とやらが何なのか気になる。気になるが……話しかけに行けない。
今教室には、まさにあのWPPOのエージェントが調査という名目で着席中。僕が不用意に近づけばその分だけ、九条ノドカの視界に辻セイラが入ってしまう。
あの二人を引き合わせない──そう決めたのは僕自身だ。教室にいる限り、できるのは遠くから眺め、問題を推測する……あるいは僕には無関係と切り捨てることぐらい。
今朝だってそう。登校した時からずっと、机で携帯に齧りついて何かを調べていた。
当然、それを僕が黙っている訳もない。校内における携帯電話の使用は厳禁。いつも通り注意をして、それでもどうせ彼女は片付けたりしないんだろうなと思っていたら……。
あの女、この世の終わりみたいに嫌そうな顔をして──それでも、片付けたんだ。
……やっぱり理解できない。
ループ中の辻セイラなら、そんなことはしないはずだ。
僕の注意なんて生返事で聞き流して、必要なら校則の百や二百は平気で踏み抜く。あの女の優先順位はいつだって明確で、『大切な人』の命の前では、僕の説教なんて道端の小石以下の扱いなんだから。
だが今回は嫌々でも、従う余裕がある。そこまで切羽詰まってはいない。
つまり、本当にループではない……?
それに、アクセサリもだ。
耳のピアスも、手首のじゃらじゃらしたやつも、普段より明らかに少なくなっている。
校則違反要素が減るのは非常に良いことだ。初めに気づいたときは感動した……が、全部が無くなった訳じゃない。あれは「校則違反だから外した」のではなく、他の目的があって外したに過ぎないんだ。
何が起こっているのか皆目見当もつかない。だが何かが変化していること自体は確かだ。
あの様子が始まったのが月曜なら、その「何か」は今も進行中……少なくとも、終わってはいないと見るべきだろ──
「──受験と言えば、マコトは行く大学、もう決めているんだろう?」
……。
……ん?
あ、ハルキ。
ああ、僕か。
今僕に聞いていたのか。
しまった、隣に親友がいるのに少しボーっとしてしまっていた。
「僕は桜台大学だ。自転車で通える国立の法学部だな」
「出た、委員長の中の委員長みたいな進路だ。わーわー」
「なんだそれは。褒め言葉として受け取っておくが、いいな?」
あんまりおかしい選択じゃないだろう。
自慢じゃないが僕は成績優秀だし、それを生かせるなら生かすべきだ。
国立大学なら学費が安いから家計への負担も小さい。貧乏という訳ではないが裕福という訳でもない我が家にとってそれは大きな利点の一つになる。一応保険に私立も併願するが。
それに僕は条文を覚えるのが得意なんだ。適材適所というやつだな。
将来は弁護士か、法務か、公務員か。その先の解像度はまだ低いが、進む方向さえ決まっていれば、途中の分岐は追々選べばいい。順番の問題だ。
そして何より……。
「桜台なん? 理由聞いていい? 偏差値? 就職?」
「家から近いからだよ。マコトはマザコンだから」
「ハルキ……」
「止してくれ。そんなに褒められると照れるじゃないか」
「マザコンを誉め言葉だと思ってるの君だけだからね。僕も君以外に使わないけどさ」
ハルキが何を言っているか分からないが……前半は彼の言う通りだ。
家を出るという選択肢は、僕の中には最初から存在しない。母さんの体のこと、アラタのこと。通える距離に大学があって、そこに法学部まである。なら僕にとって、これ以上の答えは無いだろう。
あの人は体が弱いからいつ何が原因で体を壊すか分かったものじゃない。側にいられる時間は多いに越したことは無いんだ。
そして、ハルキは瀬尾家の事情を知っているから、僕の志望理由も把握している。
流石は僕の親友だ。なんて心の友を僕は持ったのか。
「僕もマコトと同じ桜台で考えているよ。あそこの偏差値は高いからね」
「相変わらずハルキは勉強一筋だな」
「俺は絶対家出るぞ! 一人暮らしで自由を満喫するんだ」
「お前それ、三日で餓死するやつじゃん」
「アタシは専門も迷ってるんだよねー。ネイルの」
ふむふむ。他の皆も思い思いの進路があるようで何よりだ。
出るぞ出るぞと言っている奴ほど出ないというのが僕の見立てだが、まあ言わぬが花か。
ハルキも僕と同様に成績優秀だし、学習する習慣については誰よりも身についている。僕と同じ志望先なんて、特に苦でも何でもないだろう。
「楽しみだね、大学。きっと今より勉学に集中できそうだ」
「気が早くないか、ハルキ。まだ二年の12月だぞ」
「そうでもないさ。勉強不足の不良達はきっと合格できないし、これで安心できる」
「?」
*
そして放課後には九条ノドカと理解度のチェックを行う訳だが……。
「──まあ概ね、予想通りだな。以上で全教科、確認は終わりだ」
「ありがとうございました。お手数をおかけしました」
「手数というほどのものでも無かったが……」
こうなるだろうとは思っていた。
数学は既習範囲の最後まで穴が無い。英語も古典も、進度のずれを埋めるどころか、埋めるべきずれそのものが見当たらない。理科と社会と情報と能力に至っては、うちの授業より半歩先を歩いている。少なくとも、これから授業が始まったところで困ることは無いだろう。
職務としての確認はこれで終わり……結論は「問題無し」だ。本当に、綺麗に何も無い。
昨日授業を普通に受けられていた時点で杞憂だったのかもしれないが、期末考査でもクラス平均を大きく上回るだろうな、これは。僕はといえば世話係というより答案の丸付け係だ。
……委員長の職務としては誇らしいはずなのに、なぜか達成感より先に不安が来るぞ。
世話係の仕事が無くなれば、残るのは──「調査対象と調査員」の関係だけなんだから。
「これも全部、うちの授業に合わせてから編入してきたのか?」
「その通りです。本来の目的は調査ですから、他で躓く訳には」
「なら今日は帰ろう。時間を作りたいなら穴を作るべきだったと思うぞ」
「では追加で教えてほしいところができました。助けてくれますか、委員長?」
「……かかってこい」
さて、困ったぞ。
どうせこれから聞かされる「教えてほしいところ」なんてものはあらかじめ用意されていた、時間を作るための口実に過ぎないだろう。僕の学力で困るような問題が出される訳もない。
しかし、放課後の専用自習室に二人きり。外から人が入るようならすぐ分かる。そんな場所で、二人で残る用事がある……つまり、探りを入れられてしまうことは確定だ。
面倒なことになった。ここで回答を間違えれば辻セイラまで辿り着かれてしまうかもしれない。
数少ない救いは、辻セイラがとっくに下校していることと、逆に僕が九条ノドカから情報を探り返すことができるかもしれない……そんなところか。あまり僕には有利じゃないな。
そもそも未来予知能力者が内部にいるのに、どうしてこんな真似をしているのかと思わなくもないが。
「なあ、九条ノドカ。世話係として……いや、調査対象として、聞きたいことがあるんだが」
「はい、何でしょう」
「調査というのは、具体的に何をするんだ? 僕を観察するのか、それとも聞き込みか」
「基本は観察と定期報告です。日々の行動に能力の兆候が無いかを確認し、週次で本部に報告書を提出します。必要に応じて、本人や周囲の方々への聞き取りも行います」
「……普通に答えたな」
「こう見えても我々は皆様の信頼を得るために必死なんです。開示しても影響のない情報は開示許可が下りています」
ふーん。
なんだかいいことが聞けてしまった。
つまりあれか。今君がこうして話してくれているのも、WPPOに好印象を持ってもらうためにできる限り教えていこうという試みなのか。本当に問題のある情報についてはばらさないように指示があると。
それもそうか。もし重要な部隊の持つ能力を悪意ある組織に売り飛ばされでもすれば世界的に危険だからな。渡す情報はどうしても制限をかける必要があるということか。
これは他にも適用できるな。
例えば数字現象の際にも見られたあの公式声明。正直、もう少し教えてくれたっていいんじゃないかと思いもしたが……そういった情報は開示することでデメリットが発生すると分かっていたからあえて伏せていたと。
「なら調査の範囲は? 学校の中だけなのか。それとも家族や、交友関係にまで及ぶのか」
「あくまで他の方々にも確認できる範囲に収められています。緊急性がある場合を除き、自宅や自室、交友関係等を無断で監視することはありません」
「それもWPPOの配慮というやつか?」
「その通りです」
ふむふむ。
つまりは、「今すぐにでも脅威が迫っている!」という状況でもない限り、僕が誰と何をコソコソ話していようと調べるつもりはないと言っているんだな? 調べる範囲はあくまで学校やバイト中、監視カメラなどの「僕が映ってもいいと判断した部分」に限られると。それ以上のプライバシーは守ると。なるほどね。
となると、もし大事件が起こったりする訳でもない限り、携帯の会話内容や密会の情報を強引に抑えられることは無いのか。ずっと見張られる恐れが無いなら、人目に付く場所でなければ辻セイラと会話できる可能性は十分にありそうだ。
「なら、判断基準は? 何をもって『能力者ではない』と判定されるんだ。調査終了の条件、と言い換えてもいい」
「申し訳ありません。判定基準の詳細は、非開示情報です。基準を知られてしまうと、判定を誘導できてしまいますので」
「総合的な判断、というやつか」
「はい。複数の観点から、総合的に」
まあ、それもそうだな。
僕はWPPOを完全に信用しきっている訳ではないが、正統に働いている組織であればそういった情報を迂闊に開示できない気持ちも分かる。
そういう規約なんだろう。意図は理解できた。了解だ。
となると、今回の収穫で得られたのは「これまで通りの接触であれば辻セイラまで行きつく可能性は低い」ということだろうか。
ループ発生時には、僕達が極秘に落ち合い、周囲の目を憚りながら情報交換する。こちら側に隠そうとする意思がある限り、WPPO側はそれを強引に調査する気はない。
うん。
結構大変そうだとは思っていたが、少しだけ制約が緩くなりそうだ。
「そうか。参考になったよ」
「恐縮です。では、次はこちらから伺っても?」
「ん? ああ、構わないが」
「9月の三日間について、改めて確認させてください」
……おっと。
そこは、もう調査済みのはずでは。確認? 今更?
噂の構造から拡散経路、制作意図まで読み切った調査資料を、初日に本人の目の前で暗唱してみせたじゃないか。今更、僕の口から聞くことなんて残っているのか?
「記録のためです。ご本人の供述として残すことと、供述の一貫性を確認することは、別の作業ですので」
「……なるほど?」
「規定ですから」
「そうか。なら仕方ないな」
つまり、僕が同じ質問に同じ答えを返せるかどうかを見たいと。
一貫性の確認、というやつだな? 取調べの基本だとは聞くが、まさか放課後の学校で実践される日が来るとはな。
しかしいいだろう。
幸い、僕の答えは初めから決まっている。本当のことしか言わない。言えないことは「言えない」と言う。それだけだ。嘘はつかないから、供述なんて何度取られても同じになる。それだけだ。
「噂を作ったのは、いつですか」
「9月14日の土曜日だ。広まったのは16日の敬老の日だが」
「あら、そうだったんですか。お一人で?」
「作ったのは僕一人だ」
「広めた経路は」
「SNS、地方局への投稿、あとは電話と、口コミだな。広めた知人の名前も覚えているぞ」
「目的は」
「言えない」
ふむ、ただの答え合わせだな。緊張する要素も無い。
電話をかけた知人のリストも、投稿の文面も、どうせ向こうの手元にはとっくに揃っているんだろうしな。答案用紙が僕の口、というだけの話だ。
「では……その噂の作成は、誰かに頼まれてのことですか?」
……だが、こういう質問はマズい。
今のは、これまでと質問の向きが違う。
僕という個人を調べる質問じゃない。僕の「後ろ」に誰かがいないかを探る質問だ。矢印をまっすぐ、辻セイラの方向へ伸ばそうとしている。
だが、通す訳にはいかない。この線の先にあの女がいる限り、僕は一歩も引かないぞ。
「僕の意思で作ったな。頼まれても頼まれなくても、取った行動は同じだったと思うぞ」
うん。事実だ。
僕は辻セイラの協力者として自分の意思であの怪異を作った。
別に彼女の提案はロジックに筋が通っていたし、筋が通っている以上僕は自分の意思でそれを承認する。「筋が通っているか否か」を知りもせずに、頼まれただけでやることはない。後で辻セイラが「やっぱなし」と言っていても、その「やっぱなし」の理由が曖昧であれば僕が作戦を指揮していただろう。
そして、協力者の存在を否定はしていないが、あくまで協力を要請されたようには聞こえない言い方をすればいい。嘘は言っていないぞ。
「なるほど。そのまま記録します」
「……ああ」
「本日はここまでで十分です。ありがとうございます」
……あれ。
食い下がってこないのか。
助かるが……この引き際もどうせマニュアル通りなんだろうな。
深追いのラインまで規定で決まっていて、それに沿って──
「では明日は、『101匹の送り人面犬』案件当時に瀬尾さんが滞在されていたという同級生の辻セイラさんに聞き取りを行わせていただきます」
──えっ。
「待っ……」
「どうかされましたか?」
「……いや」
ま、待て。落ち着け。
確かに九条ノドカは「必要に応じて、本人や周囲の方々への聞き取りも行います」と宣言していた。そして、WPPOを出動させた当日に僕が辻家にいたことは紛れもない事実だ。
別に監視なんかしなくたって、僕が当時辻家に入り浸っていたことは色々な人が知っているし、僕だって隠すべきことだとは思わなかった。その情報に行きついてもなんらおかしくはない。
それが、原因で、辻セイラに行きついたと。
そして、それをここで止めようとすれば……。
「?」
「い、いや。気のせい、だ。急に聞き覚えのある名前が出て」
「ご安心ください。同意が得られない場合は聞き取りも致しません。知人の方に危害を加えることはありません」
「あ、ああ……」
もし止めようとすれば、それは僕と辻セイラが繋がっていることを明示してしまう。
九条ノドカを止めれば、そこに何かあると示すことになってしまう。
どうする? 後で電話や……明日の朝にでも辻セイラに口頭で教えるか?
辻セイラに、「急に転校生から話しかけられたら急いで会話を拒否し逃げろ」とでも言うべきか?
僕はまだWPPOを信用しきれていない。辻セイラが九条ノドカと出会ってしまうことは後戻りできないイベントになるかもしれない。WPPOに「死に戻り認知」の機会を与えてしまうかもしれない。
きっと彼女のことだから、いつも通り排他的な対応を取ってくれるだろう。だが、「まぁ、いいよ。さっさと終わらせて」と質問を受け、ボロを出してしまう可能性が万一にも無いか?
しかしWPPOの発言が罠かもしれない。
実は端から僕が誰かと急いで接触を取ろうとする瞬間を狙っていて、後からその証拠を押さえるつもりなのかもしれない。今この会話だって、僕を信用させるために都合の良いことを繰り返しているだけの可能性だってあるんだ。
迂闊に連絡し……それが結果で辻セイラへの疑いを深める、そんなことが起こらないと、果たして僕は言い切れるのか?
それに、たとえそうしたとして──彼女から逃げる?
それが本当に可能なのか?
「じゃあ、明日……本当に、会うのか?」
「はい。何か不都合が?」
いや、会ってほしくないんだよ。
僕は、それを防ごうと思って行動していた訳で。
でも、それを言う訳にはいかなくて。
つまり、何が言いたいかと言うと……。
「彼女は……学内一の不良だから、心配だったんだ」
「ふふふ、ありがとうございます。でもいざというときは『これ』がありますから」
……綺麗な両目だ。
おかげで心臓が止まったかと思ったよ。
でも、そうだよな。
君にはその目があるから……。
僕は、「明日が無事に終わること」を祈るしかできないんだ……。
遅くなってごめんなさい(´;ω;`)
感想やご意見をお待ちしていますのでよろしければ……(´・ω・`)
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