「もうこのパーティーが唯一の望みになってしまったんだな……」
「アンタにとってはね。私もここで解決してくれれば嬉しいけどさ」
「君はループできるからそんなこと言えるんだ。僕にとってはこれが最後なんだぞ」
「はいはい。アンタの犠牲は無駄にしないって」
この女の中でもう僕は犠牲になる予定なのか。
まあ、もし犠牲になっても無駄にはならないと考えれば、良い方なのかもしれないが。
いやこの女に良い方に捉えてもらったら困るな。ちゃんと僕の貢献を無駄にしろよ。
僕の貢献が多ければ多いほど君との関係性が発展しかねないんだからな。
にしても、しかし。
辻セイラが「うっかり落としてしまった12台のカメラ」。
まさか、あれが……。
「5台も壊されてるなんてな」
「ね」
翌日の12月22日に回収に行って、あれを見た時の衝撃といったら。
映ってる、映ってない、汚れてる、傾いてる、見つからない……色々な顛末を二人で考えながら探しに行った訳だが。まさか、ご丁寧に踏み潰されてるとは想像していなかった。
しかも、5台は全部SDカードを抜いた状態で破壊されている。自分が映っている可能性を理解している人間のやり方だ。何が映っていたのか……もう僕達には確認ができない。
数少ない新事実は、手法が同じだから全てが同一犯によるものだろうということ。
こうなってしまった原因は明白だ。
「やっぱりセンサー系はダメだったね。フラッシュ焚くタイプじゃなかったんだけど」
「撮影の瞬間ちょっと光ってたからな。次隠すなら工夫が必要だぞ」
あのトレイルカメラ、センサーが反応した瞬間に本体の赤いLEDが点く。
ごく僅かな光で、夜の屋外にいる人間が気づけるような明るさじゃない。
だが、影中トオルは能力、そしてずっと潜伏して活動している都合上、光には人一倍敏感な人間のはずなんだ。体を影に変えて移動する以上、どこにどれだけ光があるかはあの男にとって地形そのもの。歩き慣れた地形に見慣れない光が一つ増えたら、気づかれるのも当然だった。
光を出す機械で、光に一番敏感な能力者を見張ろうとしていただなんて。
少し考えれば分かることだったのに、どうして二人して気づかなかったのか。直後に現れた桐島ミオの衝撃に全情報が吹き飛んでしまったとでもいうのだろうか。
残りの7台は無事だったが、一切何も新情報は得られなかったし。せいぜい映ったのは猫か風で揺れる枝くらいだ。もし映っていたとしても破壊されてしまうんだから、どちらにせよ成果は見込めない。
「でも、5台壊れてるってことはさ」
「そうだな。あの男は、その5箇所を確実に通っている」
つまり、僕達の推論は当たっていたんだ。
光の分布に縛られて、三好家の南側に拠点がある──そこまでは合っていた。壊された5台が、その答え合わせそのものだ。一切事情を知らない人間であれば、普通素通りするか遺失物として扱うのが一般的だろうし、わざわざSDカードを抜いてカメラごと踏み潰す人間が同じ夜に5人もいたとは考えにくい。
問題は、合っていたのに、証拠だけが一枚も残らなかったという事実だが。
こんな微かな情報で「あの辺りにいるはずだ」なんて通報してそれが通る訳もない。
しかも、壊された場所が5箇所に散らばっているのが一番面倒だ。
もし、一箇所に居着いている可能性が高いなら、カメラに映っていようがいまいが「あの場所で指名手配犯を見つけた」と通報をすれば実際に捕まえることができる。
しかし、一晩のうちに5箇所を回っているなら、拠点も頻繁に変更していると考える方が自然だろう。ピンポイントで「今日はここだ!」と指を差せる場所が存在しない。今回何も無かった7箇所でさえ、別日にはあの男のテリトリーかもしれない。
そう考えれば、「場所を特定しよう」という試みは現実味が無いことがはっきりした。
通報で終わらせる道は、現時点では潰えてしまった訳だ。
「……しかも絶対気づかれてるよね。見られてるって」
「気づいただろうな。カードを抜くくらいには」
きっと影中トオルも、あのカメラが警察によるものなのか、個人によるものなのか、そこまでは判別できていないだろう。だが「誰かが自分を探している」という認識は確実に持っただろう。問題はその先だ。
辻セイラが見た全6回の襲撃は全部、誰にも探されていない上での行動だったはず。
だが今夜は前提が違う。追われていると知った人間が、それでも同じ手順を踏むのか?
時刻をずらすかもしれない。
ルートを変えるかもしれない。
より慎重に間合いを測るかもしれない。
あるいは、探している人間を先に潰しに来るかもしれない。
もしかしたら、三好ルナを襲いに来ないかもしれないし、今までとは全く別の作戦でやってくるかもしれない……そう考えると、ただいたずらに相手の警戒を引き上げてしまっただけのようにも思える。
仮死魔霊故はまだやりやすかった。
あれは極めて都合の良い自分ルールとはいえ、一応は決まりに縛られていて、決まりを読めば先回りできる動き方をしていた。強くはあったが、対処はできる存在だった。
夏祭りの男もそうだ。感情だけで動く素人だから、緊急事態を想定して柔軟に対応できず、感情に呑まれて簡単に挑発に乗せられてしまう。計画性だって無い。
だが、この男は違う。
能力を使いこなす、非常に強力な存在でありながら……しっかり知力と思考を持ってこっちの手を認識し、その上で臨機応変に対応を変えてくる。
思った以上に強敵だ。一つの変化から色々なことを想定して、こちらの意図を読み取ろうとしてくる……。
「大体アイツは21時20分くらいに来るから、一応はそれを目安に」
「解散の雰囲気が出てくる頃だな。ズレは?」
「毎回5分も無い。どれだけ逃げても大体そのぐらいの時間に来る」
怖あ……。
しかし、この一応の目安もそこまで安心できないな。
もし今日もこの時刻通りに来てくれるなら、「今日は犯行を見送った」「人目が多いから怖気づいた」「明日以降はイルミネーションが激減するから狙いにくい」と安心できるんだが。
今夜はそれが維持される保証がない。向こうは探られていることに気づいていて、それで対応を変えてくる可能性がある。もし時刻がずらされていた場合、いつまで警戒し続ければいいかこちらには判断できない。家の中にいたとしても襲われているのだから、「帰宅できたから大丈夫」ともならない。
ただ、それでもやることは変わらないんだ。
人目を切らさないことと、三好ルナを一人にしないこと、怪しい人物を見逃さないこと。この人数がこの部屋に居続ける限り、実体に戻って刃物を振るうハードルは高い……はず。
「そろそろ挨拶回りに行っている九条ノドカが戻ってくる。君も離れろ」
「ふーん。あの女と随分仲いいんだ」
「委員長の宿命だな。友人が増えるのは良いことだ」
「そっか。じゃ、私、ルナのとこ行って見張りしてくるから」
「頼む」
もし現れたとしても九条ノドカがあの男を両目で視れば話は変わる。
今はそれに縋るしかない。
壁の時計は8時10分過ぎ。
……あと1時間と少し。
*
「さっき辻さんと話してました?」
「話してたが」
「私、避けられているみたいで。漫画を頂いたお礼をしたかったんですけど……」
「仲良くなれるまでは接触しない方が良いんじゃないか」
「じゃあどうやって仲良くなるんです……?」
さあ?
僕としては君と辻セイラが仲良くなってしまったら困るから早く諦めてもらえると助かるんだが。
しかし……あらためて見回すと凄いな。
クラスメイトの顔もちらほら見えるし、別のクラスの顔も多い。イブの夜に予定の無い高校生がこんなに揃うはずがないから、元からあった予定を蹴ってまで来てくれた人間が相当数いるんだ。桐島ミオの人脈と、それをたった数日で動かす行動力に正直驚きしかない。
三好ルナも……よし、ちゃんと桐島ミオが隣についてるな。その斜め後ろには辻セイラ。見張りというより世話係に見えなくもないが、あの位置取りなら文句は無い。
作戦が提案されたのはたった3日前なのに、レンタルスペースの全体に人が……大体40人くらいか? この規模の集まりが、3日間で集められるだなんて誰が信じられる。
この場所だって3日前に予約したんだろう、よく空いてたな。相当広い……教室二つ分ぐらいあるぞこれ。名義とか、金銭とか、どうやって工面したのだろうか。三好ルナと協力して?
うーん……。
この一件が無事で終われば、費用に応じて僕も出費することを彼女に提案すべきか……。
「──おっ、ヒーローじゃん」
ん?
「……日高アサヒ?」
「あれ、オレら初対面じゃなかったっけ」
「そうだが……ヒーロー?」
「あっ……ごめん、今の無し! 忘れてくれ」
「瀬尾さん? お知り合いですか?」
「いや、知り合いというか……」
……初対面、だよな。彼の言う通り。
……ど、どういう状況だ?
いや待て、整理しよう。
僕は君のことを知っている。というか今年の夏以降から何度も言及する機会があった。
桐島ミオの想い人である──日高アサヒだ。バスケ部に所属していて、彼女がいる。
数字現象の時に、辻セイラから過去のループの情報について説明された上で何度も上がって来た名前……だから僕は君のことを知っている。ループによっては会話した周が存在したかもしれない。
しかし、どうして彼がここに?
何故声をかけてきた?
どうして僕のことを知っている?
というかそもそも……ヒーローとは?
「ごめんごめん。お前、あの噂の委員長だろ? 実はオレ、ちょっと気になっててさ。それで偶然見かけたからつい声かけちまって。だけどよ」
「……だけど?」
「いや。委員長、なんかその噂広めてほしくなさそうだったから。触れちゃいけねーなと思って……」
……!
なるほど、そういうことか!
つまり彼は、辻セイラを正当防衛で守り切った僕の噂を聞いて、僕に興味を抱いていたということか。しかし、僕が当時あの噂を払拭するために動いていたことが働き、今日この場まで僕に話を聞くことを控えていたと。
なるほどなるほど。すべて理解できたぞ。
そして、桐島ミオに呼ばれたこのパーティーで偶然その姿を発見し、つい無意識のうちに「ヒーローじゃん」と話しかけてしまった。だから、急いで彼は「忘れてくれ」と訂正を入れたんだ。
謝るのが随分早かったぞ。しかも謝る矛先が「ヒーロー呼ばわりされて嫌な僕」の方にきちんと向いている。流石桐島ミオが惚れるだけはある、悪い人間ではなさそうだ。
「気にしなくていい。瀬尾マコトだ。話すのは初めてだよな?」
「そーそー初めまして。オレは日高アサヒ。向かいのクラスなんだが……そっちはどうしてオレのことを?」
「知り合いの知り合いというだけさ。桐島ミオから話をよく聞いている」
「あーね。桐島とダチなんだ、納得」
「ふむふむ。お二人は交友関係が広いのですね」
前々から思ってたけどやっぱり君は天然だよな、九条ノドカ。「自分の知り合い」と「自分の知り合いの知り合いの知り合い」がこうして会話しているすぐ横で、スナックをかじりつつ平然とその光景を眺められるんだから。
何の話題かも分からないはずだし、僕達の関係性も知らないはずなのに……一歩も引くことなくむしろ近づいて興味深そうに口を挟めるのは結構強心臓だぞ。
しかし、やっぱりどうして彼がここにいるのかは謎のままだな。
彼には彼女がいたはずだ。クリスマスイブの予定なんて一択じゃないのか?
彼女もここにきているというのなら納得できるが……見たところ彼は一人だ。彼女がいるのにクリスマスイブで、他の女性が主催したパーティーに出席? 僕の思うイメージとは少し異なるぞ。
「んで? そっちの子は彼女?」
「いえ、私は最近転校してきた九条ノドカと申します。瀬尾さんのお友達をやらせて頂いてまして」
「ほーん……ああ、委員長と転校生だからか! 理解理解」
「彼女と言えば君もそうだろう。イブの予定は大丈夫だったのか?」
「あっいやオレ、昨日彼女と喧嘩別れしちゃって」
えっ。
「まあ。ご愁傷様です」
「その……失礼した。触れるべきでないのはこっちも同じだったみたいだ」
「いや、そんなんじゃなくて……まー確かにショックだったけどさ」
……な、なんてことだ。
随分失礼なことを聞いてしまった。12月20日の時点で彼に彼女がいることを知っていたから、今この瞬間も当然そうなのだと思っていたが……まさか別れていただなんて。
大丈夫か今の僕?
聞かれても無いのに相手の彼女に言及して、「今別れてショック引きずってるんです……」って相手に謝罪するぐらいしかできないだなんて。彼のような男が事情も無く彼女を放置するなんて考えにくいのに……なんて配慮の欠けた質問だったのだろう。
「うちの、束縛強くてさ。原因はしょーもないことなんだけど、売り言葉に買い言葉っていうか。そのまま仲直りできてなくて。そしたら今日ぽっかり空いたとこに、桐島から『クリパやるから来なよ』って」
「そういった事情が……」
「それは仲直りできないのですか?」
「いーやどーだろ。オレも結構酷いこと言っちまったし……」
ああ、それは災難だろう。
その「束縛」とやらの強さがどの程度なのか、交際経験の無い僕には判定基準が無いが……イブの前日に喧嘩というのは、時期だけ見ても相当に応えるはずだ。本当に気の毒だ、本当に。
……いやしかし待てよ?
今の状況は桐島ミオにとってチャンスでは?
彼女持ちで望み薄、のはずだった片思いの相手。
それが今、彼女と喧嘩の真っ最中で、桐島ミオが主催するパーティーに、桐島ミオ本人の誘いで来ているんだぞ。おいおい、これは……彼女にとって、かなりの好機なのでは?
勿論、日高アサヒには申し訳ないが、僕が義理を立てるべき相手はどちらかと言えば桐島ミオの方だ。この会場の人数は彼女の人脈そのものだし、三好家を説得して会場まで整えたのも桐島ミオ本人。
僕自身、彼女を応援するために夏からの関係を開始したんだ。横恋慕を全肯定する訳じゃないが、ここでほんの少しの橋渡しもしないのは逆に筋が通らないだろう。
大丈夫、日高アサヒに「前の彼女と仲直りするな」「諦めろ」「次の恋を探せ」と命令する訳じゃない。ただ一言、「桐島ミオと話してみたらどうだ」と提案してみるだけでいい。
傷心中の彼に友人の慰めの言葉は沁みるだろうし、そこからどうするかは二人次第。ただ僕は、少しだけ機会を作ってやるだけ。それだけだ。
「なあ、日高アサヒ──」
──ブツッ……
え?
*
「は? なんだこりゃ」
「? 停電でしょうか? 急に真っ暗になりましたが」
は……?
どうしてライトが全部消えた? どうなってる? 何も見えないぞ。
……あっ。
もしかして──これは辻セイラの作戦か?
時計は……見えない。ああもう。
しかし、1時間近く経っているんじゃないか。本来のタイムリミットはもうすぐだ。
電気がつかなくなれば、明かりは一切なくなる。ろうそくをつけている訳でもないし、窓が開いたりもしていない。外から光が入ってくる可能性はゼロだ。
するとここは「暗いだけの部屋」になり、「光があるから生まれる影」は一切なくなってしまう。彼が能力を発揮する瞬間は一切存在しなくなり、生まれるのは「大量の人間がいる部屋」という結果だけ。三好ルナの周囲には事情を知っている桐島ミオが張り付いているし、辻セイラだってすぐ彼女の警備に戻るだろう。
影中トオルが三好ルナを襲おうとしても、何処に誰がいるか分からなくなるし、狙いだって定まらないはず。もし対象を探そうとして、あるいは影を作ろうとして手元に明かりでもつけようものなら、即座に自分の居場所を知らせることになる。
だから、これは辻セイラの作戦じゃないか?
なら次に僕は、彼女の元まで移動するべきで……。
──シュゥゥゥ!
は。
──「わ! なんだこれ!」
──「瀬尾! 来て!」
──「ちょっ、なにこの光!」
──「マコっち! 助けて!」
──「火気厳禁だろ! 誰だよ!」
発炎筒?
「っ! 分かった!」
違う!
これは罠だ!
「おい委員長! 何が分かったんだ!?」
「瀬尾さ……えっ、な、なんで引っ張っ──」
マズイ、余計なことを考えていたせいで完全に初動が遅れてしまった!
これは作戦ではあるが立案者は辻セイラじゃない──影中トオルだ! 何を油断しているんだ僕は!
──シュゥゥゥ!
──シュゥゥゥ!
──シュゥゥゥ!
……っ!
一本だけじゃない!
「君、夜目は効くか?」
「はっ、はい。片目は常に閉じてますし、視界に映りさえすればいいので」
そうか! 聞けて良かった。だが、状況は絶望的だ。
影中トオルが自分に不利になることをするはずがない、そう思い込んでこのザマだ。
あの男は今の状況が仕組まれた、「計画を実行するには難易度の高い状況であること」を事前に把握していた。影は多いが、目撃者が多く、女子高校生とはいえ周囲には護衛だっている。どう考えても作戦には不向きな状況。
だから影中トオルは──この建物を無理やり停電させたんだ。
レンタルスペースなら電気線が共通だから、部屋に直接アクセスしなくても強引に停電を引き起こせる。停電が起これば、明かりが消えるから影は無くなってしまうが、同時に犯行を目撃することもできなくなってしまう。
そして、影がなくなったとしても自分で新規の光源を持ち込めば、対象の捕捉も、影の確保も出来てしまう。当然だ、真っ暗な部屋なら光るものが一つあるだけで影は沢山生まれるんだから。
その上、自分の位置を知らせてしまうという欠点も──光源を複数投げ込むだけで解決できる! なんでそれに気づかなかったんだ僕は!
完全に油断した。影中トオルは、「目撃されるリスク」と「戦闘しにくい環境」を天秤にかけて、リスクを減らすために電気を消した……そうじゃない。
リスクを減らした上で、自分が好きに使える影だけを発生させた!
「九条ノドカ、怪しい人間は見えるか!」
「ま、待ってください。一体何が、どこを見れば、教えてくれないと──」
──ザシュッ!
『俺を監視していたのはお前だな?』
は──?
あれ、なんで、僕。
息が、できな、血が。
──「どっ、どうして。今日は、上からは、何も……! 瀬尾さん、瀬尾さん!」
──「ルナ! こっち来て! 部屋から出て! 早く!」
──「おい! 何が起こってんだ! この火つけたのは誰がやった!」
──「なに!? 誰か早く電気つけて! ちょ、押さないで!」
──「マ、マコっち、いた、見つかった! ねえ、セイラが、セイラが!」
あれ? 桐島ミオ?
どうして? 警備は……。
というか、僕は?
「ルナが、ルナが刺されて! セイラはっ、頭が、なんか、ばっ、爆発し……ひっ!?」
……僕、生きてる、よな?
じゃあなんで、こんなに、苦し──
*
「──何だいそれ。どうせまた意味不明なこと言うんだろう」
「いや、マコっちに言えば通じるって言われて」
……辻セイラから伝言?
いやしかし、まだ2週間すら経っていないんだぞ。
なあ、嫌な予感がするんだが……。
「──『クリパなんてもう一生やりたくない』だって」
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