帰り道。
都市部に戻る山道。
私はいろいろなことを考えていた。
送られていた総監部からのメールを確認する。
渋谷事変。
東京渋谷区の東急百貨店東横店を中心に半径約400mの帳が下ろされたのが始まり。
その後、内部で呪詛師夏油傑を始めとする敵対勢力と、多くの術師が戦闘を繰り広げた。
現在の渋谷を調べたが、とんでもないことになってた。
穴が空いていた。
いや、正確には、そこだけ真っ黒だった。
なんでも虎杖君の中の両面宿儺が起きて、領域展開したらこうなったらしい。
最終的に、夏油傑の皮を被った加茂憲倫(と思われる人物)が1000万体の呪霊を放った。
これによって東京23区は事実上壊滅し、東京は呪霊蔓延る人外魔境となった。
「……引っ越した方が良いのかなぁ」
私たちの家は千葉にある。
でも、近い以上飛び火はあるかもしれない。
というか疑問がある。
なぜ私は渋谷事変の時呼ばれていないんだ?
自慢じゃないけど私は一級術師だ。
それだけの戦力を普通呼ばずに放置とかありえない。
メールや電話の一つさえ来ていないんだ、明らかにおかしい。
……って、そんなこと関係無いか。
私はとりあえず、引っ越しの計画を
「っ、電話?」
突然スマホが鳴った。
しかも相手が分からない。
不審だけど、高専関係のことに使うスマホに来た以上、多分仕事関連の話だろうか。
「はい、もしもーーー」
『やっ、久しぶり』
「っ!?」
私は気付けばスマホに殴りかかろうとしていた。
あの、腹立つ、嫌に陽気な声。
聞き違えるはずも無い。
これは、五条悟だ。
「……なんで……?」
『ちょっとお願いがあるんだ』
「待て待て、なんで通話できてるんだ、封印されてーーー」
『あっ、これ録音だから。僕の信頼できる奴に頼んで流してもらってるから会話はできないよ〜』
そういうことか。
じゃあなんでそんなのが私のスマホに来てんだ。
『一応、僕が何かしらの理由で動けなくなったら送られるようになってるんだ。何があったか知んないけど、ドンマイ未来の僕!』
「あぁもう切りたい」
いちいちうるさい。
何なんだこの最強は。
『じゃあ、そろそろ本題に入るよ』
声が変わった。
『まずお願いっていうのは、僕の生徒を御森に頼みたい』
「……はっ?」
何、言ってんだ?
『別に守って欲しいんじゃない、面倒を見て欲しいんだ』
「何で私なんだよ」
『御森が選ばれた理由としては、
・実力があること
・規定側の人間じゃないこと
・その他の面で信頼できること
・暇だろうこと
の条件で探したら0秒で御森が選ばれたからですっ!
因みに御森が渋谷に呼ばれなかったのも、万が一死なないように僕が根回ししたから!!』
「クソが」
確かに全部当てはまるけど。
しかも渋谷呼ばれなかった理由お前かよ。
答え合わせどうもありがとう。
『それと、彼女さんのことに関しても安心してくれて良い』
一瞬、思考が止まった。
『こっちの知り合いにお願いして、安全な場所で保護する』
『だから、受けてほしい』
「………はぁ」
最悪だ。
こいつは、信用できる。
そして、恩もある。
受けない理由がない。
「………分かったよ、その話受けて」
『返事は出来ないから気をつけてね〜 >v<』
「もう死ねっ!!」
まぁ、結局それが終わったら電話が一方的に切れた。
場に静寂が残る。
「……電話、しよう」
私はスマホで惑花に電話した。
「もしもし、惑花?」
『あ、先輩?実は』
「引っ越しでしょ」
『知ってたんですか?』
「いろいろあってね。それでーーー」
私は、伝えることを伝えた。
『……分かりました。暫く会えないのは辛いですけど、その分後で埋め合わせてくださいね?』
「当たり前だよ。だから、改めて……行って来ます」
『はい、行ってらっしゃい』
私は電話を切った。
精一杯伸びをする。
「よーし……虎杖君たちは……多分東京かな?」
渋谷事変の話からして、あの3人も渋谷にいたのは分かっている。
そして虎杖君に死刑が出された以上、逆に人外魔境は一番の安全地帯になる。
ならば恐らく3人は東京にいる可能性が高い。
「さくさくっと助けて、惑花とたくさんラブラブしますか」
私は軽い足取りで、再び山道を進み始めた。
渋谷事変での被害者数、簡単な計算してみたら最悪約900万人はいるって知って慄いてます。
あくまでも呪術世界の2018年時点での人口が現実と同じだったらの場合ですが。
ようやく始まって来たなって感じ。