もう打ち切りだと思ってた人もいるのでは?
活動報告で暖かいアドバイスをいただきまして、それでよく考えた結果、
取り敢えず呪術に専念してそれ以外の更新はその後にすることにします。
東方模倣魔女も終わり次第更新を再開しようと思っております。
重ね重ね、待ってくれていた方々がいたとするなら(そもそも望まれてたかどうかの自信が持てない)、本当に申し訳ありませんでした。
「リンゴン!リンゴン!リンゴーン!」
「うわうるさっ」
唐突な騒音に耳を抑える。
私は今、京都結界の前に立っていた。
京都結界は日本各地に10個存在する結界の内、読んで字の如く京都にある結界だ。
比叡山・延暦寺がおよそ結界の中心と推測されており、その影響力から内部の泳者に何かしら、他の結界とは違う変化がある可能性も指摘された。
とりあえず、他の高専術師がここに来たという話は聞かなかったので、来てみたわけだが。
「うるさいとは初っ端からひっでぇなぁ」
「実際うるさかったじゃん、というか誰だよ」
変なうるさいのがいた。
なんだこいつ。
「俺の名前はコガネ!この中でやってるゲームでお前たちに一体ずつ配られる式神さ!」
あぁ、伏黒君が言ってた式神か。
「なるほどね。それで、なんの用?」
「おっほんっ、この先では死滅回游っつう殺し合いのゲームが開催中だ!一度足を踏み入れればお前も泳者!それでもお前は
「もちろん」
私は黒ずんだ結界の外壁に歩を進める。
「私はそのためにここに来たんだから」
「分かった!じゃ、健闘を祈ってるぜ!!」
死滅回游に私が泳者として登録された。
これで私も殺し合いの仲間入りだ。
コインはもう投入された。
あとは、始めるだけだ。
「ゲームスタートっ」
私はそう呟いて、結界に侵入した。
どぷん。
そんな音と同時に結界へ入った私は。
「ん?なんかふゆーかぁぁぁぁん!?」
なんか落ちた。
めっっちゃ浮遊感する。
両手足がふわふわして風ものすんごい。
「どうにかなるけど予告ぐらいはくれよぉぉぉっ!!」
私はこの状況を呪いながら、術式を発動する。
その瞬間、私を受け止めるように空気が硬度を得る。
そして私が接触した瞬間、空気は爆発して私を吹き飛ばした。
「おっとぉっ、よっしゃ」
私はそれを利用して姿勢を起こし、自身の足元に同様の効果を齎す。
私の左足が空気を踏みしめ、私が足を離した瞬間に、それを後押しするように爆発が起きる。
これを利用して、マグマの上のボートジャンプのようにぴょんぴょんと空中を走る。
徐々に硬度を下げて行って、大丈夫そうな高さから飛び降りれば解決だ。
「……でも面倒臭いな…もっと早く降りたいのに……」
正直言って時間がものすごーくかかる。
下手に高度をつけて飛び降りて空気に降りれば、その爆発で自身が洒落にならないことになる。
だからなるべくゆっくり高度を落とすしかないのだ。
「あーめんどくさ…せめて地面の上なら楽なのにな……」
私はそうぼやいた。
その瞬間、体が急激に方向を変えて吹っ飛んだ。
近くの団地?に突っ込み、そのまま廃れた廊下に投げ出される。
「いっつ、なんだぁ…?」
「仕留め損なったか、まぁ良い。次で殺す」
そのまま立ち上がって前を見れば、なにやら男が立っていた。
その背からは、少なくとも眼前の男には似合わぬ、美しい4枚の羽が生えていた。
「…その翅、呪力?トンボみたいな翅だねぇ」
「正解だ。褒美にサクッと点に変えてやる」
翅は超高速で振動を始める。
独立した動きはまさしくトンボのそれで、動き出せば全てにおいて高い飛行能力が存分に発揮されるだろう。
「……ま、それがなんだっつー話ではあるか」
私は小さく溢した。
少なくともここが床であるならば、私の独壇場だ。
トンボ野郎の飛行速度は、さっき喰らった体感かなり速い。
そもそもトンボ自体速いのだから当たり前と言えば当たり前か。
「悪いけど、速さで負ける気はしないよ」
「面白い冗談だな」
その瞬間、男の影が動いた。
私は術式を発動し、速さ勝負に打って出る。
衝突まで、あとーーー
◇ ◇ ◇ ◇
無謀な奴もいたもんだ、この俺に真正面から挑むなんて。
俺の術式を使えば、時速60kmは出せる。
こいつが何かする前に、速度で潰す!!!
その時、女が口で何か言った気がした。
口元の動きが目に入る。
『お そ い』
おそい?
んな訳…ん?
なんで、俺、アイツの口の動きを認識して……
「せいっ」
吹っ飛ばされた。
そこに、なんの訳も理由もない。
ただ、俺の体は吹っ飛んだ。
「おがぁっ、……なんだ、と?」
「遅いよ、キミじゃ私に追いつけないね」
俺を多分吹っ飛ばしたであろう女は、俺から5mは離れた廊下の途中にいた。
「私の術式、どうせ言っても分かんないから開示しちゃうね」
女はベラベラと喋り始めた。
それは隙と言うにはあまりに堅く、けれど構えてると言うには酷く無気力だった。
「『投射呪法』。1秒を1/24してその中に予め作った24個の静止された動作を挿し込む」
何言ってんだ?
「早い話がパラパラ漫画とか、アニメーションだよ」
そう言って女は手を振るが、ただ手を振ってるようにしか見えない。
「んー、ダメそうだね。要は少し特殊な高速歩法ってこと」
その瞬間、女の影は目の前にあった。
拳があまりにも早い速度で飛んでくる。
あ、これ、死ぬのか。
俺は、拳を真正面から受けてーーー
◇ ◇ ◇ ◇
「全然起きない、どうするよこれ」
私は座ってトンボ野郎の目覚めを待っていた。
流石に出会い頭で殺すのもあれだ、情報くらいは貰ってから生かすも殺すも決めた方がいい。
けど全然起きないのだ。
流石に強くビンタしすぎたか…?
顔半分がエグい腫れてるけど、死んではないはずだ。めいびー。
「ーーふぁっ!?俺、死んでーーっ」
「いきてるよ〜」
「うわぁぁぁっ!?」
ようやく起きやがった。
「まぁ安心せい、お前を殺すことは今んとこないからな」
「はっ、はいっ」
「だから情報が欲しいのよこちとら」
「なんでもっ、知ってることっ、なんでも言います!!」
虐めたらすーぐ従順になっちゃう。
こういうやつは大好きだ。
と、いう訳でこの結界の情報について幾つか聞いた。
まず目の前のトンボは覚醒型。
受肉じゃないらしい。
ここ、京都結界では最初の3日間で激しい戦闘行為が各地で起きていた。
ただし、4日目で完全にに膠着状態になり(または戦闘する術師の数が減ったか)、現在は極めて平穏を保っているらしい。
となると殺害で得られるポイントは当てにならない。
念のため私も、点数は稼いでおこうと考え直したのだが。
術師の数がそもそも少ない可能性がある以上、たくさんぶっ殺して最低100点稼ぐ!は無理がある。
しゃあない、伏黒君の言ってた「なんとかします」を信じて待つかぁ……
あと、ここの結界内における実力者の何人かは京都市に集まっているらしい。
やはり全国第8位の政令指定都市なだけはあって、物資なども集まっているのだろうか?
私は奈良方面から結界に侵入したから…まぁ、徒歩でも明日までには着くか。
情報をあらかた引き出したのち、トンボはまた気絶させといた。
また追っかけてきて不意打ちとかは面倒だ。
私は新しい目的地を定めて、步を進め始めた。
もちろん、階段を使った。
飛び降りる訳ねーだろ!(誰についた悪態なのかは私も知らない)
主人公はちぃっとばかし悪いやつです。