今日変な夢を見た。
めちゃくちゃ強い武人の女性にボコされる夢。顔ははっきりとは思い出せないけど、めちゃくちゃにボコされたのは覚えてる。
自分が弱すぎるせいで向こうは終始遊び……色々と情けなくなってくる。
ずっと弱い自分にも、こんな弱い俺が序列1位になってしまっている『星導館』の現状にも
「綺優、顔色がずっと優れませんが何かあったのですか?」
一緒に綺凛を迎えに駅にやってきたクローディアに心配されるぐらいだ
「……いやなんかもう色々と情けなくて。俺もっと強くなれるように頑張るよ」
「い、いきなりなんですか? 具合でも悪いのですか?」
「成す術もなく負けたよ……」
「……は? あなたが何もできずに負けた?」
「ああ。完敗だよ完敗。終始向こうはお遊びって感じで」
「沖田さんに?」
「ううん。知らない女性」
「いったい──」
クローディアが何か言いかけたが到着した電車の音によって聞き取れなかった。
聞き返したかったけど、綺凛を迎えるのが最優先。
扉が開くなり綺凛が俺に駆け寄って来る。どうやら降りる前から俺たちに気づいていたみたいだ
「お兄様!」
俺の胸に飛び込んできてくれる綺凛。
少し見ない間にまた成長していた。非常に男性の視線を集める身体になりつつある。お兄ちゃん心配
「んんっ。初めまして刀藤綺凛さん。あなたのお兄様の同級生の、クローディア・エンフィールドと申します」
「は、初めましてです! 刀藤綺凛です……そ、そのエンフィールドさんたちの1回戦をリアルタイムで見ました!
エンフィールドさんの指示に皆さん迅速に対応してて凄かったですし、何より瞬時に判断するエンフィールドさんがとてもカッコよかったです!」
「まあ! 刀藤さんありがとうございます。
運良く勝てただけですので、あまりご期待なさらないようにしてください」
クローディアは今回優勝する気がないことを知っているのはおそらく俺だけだ。
なので当然綺凛はクローディアは《
そんな綺凛にクローディアは内心申し訳ないのだろう。
綺凛は関所に向かい荷物検査やらの手続きが残っているため一度分かれる。
するとクローディアがこんなことを俺に言ってきた
「事前に知ってはおりましたが、本当に貴女の妹なのか疑いたくなるぐらい可愛らしい方ですね」
「だろ? 綺凛は大天使の生まれ変わりだよ。
綺凛のいうことは絶対であり正義。俺は綺凛のためならなんでもするよ」
「シルヴィアに聞いていた通り、相当シスコンを拗らせているんですね……」
この時、俺は言い返したかったけどクローディアの表情を見てあることを察した。悪夢のことだ
「あの綺凛は絶対にお前を殺すことはない」
「失礼。顔に出てましたか?」
「あの子にも殺されたんだよなぁ、って感じで」
「……妹さんをそんな目で見て不快にさせましたね……申し訳ございません」
「確かにいい気分じゃない……だけどクローディアの事情も知ってる。だからそれで謝らなくていいよ。
その代わり綺凛と仲良くしてあげて欲しい」
「ご理解いただきありがとうございます……そしてもちろんですよ。
将来『星導館』に来てくださるのですから」
今回綺凛を特別に寮での宿泊を許可する代わりに、将来『星導館』に入学してもらう契約をクローディアの母であるイザベラさんと交わした。
これで俺は綺凛と学園生活でも一緒にいられることが決まった。
手続きを終え昼食を摂りに店へ移動する。焼肉だ。
シルヴィも呼んで一緒に食べた
「うぅ……私も綺凛ちゃんと一緒に寝たかった」
「あら? でしたら明日は刀藤さんさえよろしければ、明日は私の部屋でお泊まりしますか?
それならシルヴィアもこっそり泊まればよろしいでしょ?」
「いいのクローディア!? ありがとう〜!」
「え、えっと私はそれで構いませんが……」
いやダメだろ。ペトラさんが絶対許可しないでしょそれ。
それにクローディアって《
「もう〜相変わらず心配性だよね! 大丈夫だよ綺優。バレなきゃいんだからバレなきゃ」
「そこは親のコネを使って1番広い部屋を使わせていただいておりますからご安心を。3人で泊まっても十分広いです」
親父、俺の周りの女性はみんな強かだったよ。
そして綺凛、見習っちゃダメだからね? 反面教師にしてくれ
「「綺優にだけは言われたくない
「え、え? えっ? に、兄さん! 私は兄さんのこと尊敬してますっ! 少なくとも私の知る兄さんは最高です!」
(濡れた跡がある)
アスタリスクって変人しかいないのかな?
綺凛はシルヴィと一緒にクローディアの試合の観戦に行ったため、俺は1人アスタリスクを歩き回っていたら声をかけられた
「──誰かと思えば……久しぶりだね。綺優じゃないか」
相手は去年夏に帰省するとき空港で仲良くなったアーニーだった
「誰かの間合いに入ったと思ったら君だったのか」
どうやらアーニーは俺が最近試みている、意識の拡張に気づいたらしい。
まだまだ稚拙で感知できてもそれが誰なのかは分からないレベルだ。
不快にさせたと謝罪をした
「気にしなくていいとも。むしろその姿勢を私も見習わないと思ったぐらいだよ。
そういえば、本日はエンフィールド嬢の試合があったはず……応援には行かないのかい?」
これには返答に困った。だってクローディア勝つつもりがないから応援に行ってもなぁ……って。
そんなことは言えないのでとりあえずクローディアのことは信じてるとだけ
「へぇ……でも意外だったよ。私がエンフィールド嬢なら、是非とも自分のチームに君を誘っていた。
本当に勝ちたいなら……ね?」
アーニー。本名、アーネスト・フェアクロフ。
『ガラードワース』の序列1位で《
流石の俺にも分かった。アーニーはクローディアを怪しんでいる。俺だってアーニーの立場ならそう思う。
だってその学園の序列1位と普段から交流があって、
ただ俺はこのとき感心していた。アーニーにじゃない……クローディアにだ。
クローディアとは事前に他学園の生徒にこういったケースの場合どうするか話し合っていた。
その証拠にシルヴィにもアーニーにも聞かれている。なぜ出なかったの? と
「俺の望みは2つ」
「……聞かせてくれ」
「1つは
「当然はそれは誰かに話すものではない。だったらもう1つの方を教えてくれるというわけか」
「俺のもう1つの望みは──」
ここで俺は堪らず《
「──《
「……ッ!!」
クローディア曰く、俺がオーフェリアと喧嘩したことでこれは信憑性が高いらしい。
なんでもアスタリスクに住む学生でそれを知らない人はいないとのこと。
なんでオーフェリアと喧嘩したらそうなるのか分からないけど……100歩譲ってそれはいい。
でも気に食わないのが、俺がオーフェリアに喧嘩をふっかけたことになっている。解せん。
そんなわけで優秀な人ほど信じるらしい。よく分かんないけど。
賢いクローディアがそう言ったのならそうなんだろう
「は……はは! そうか……やはり君も内に秘めていたか。その獰猛な《鬼気》を」
……んー? なんかアーニーもすっごい悪い顔してた。
「《白夜叉》……なるほど君にピッタリの渾名だよ綺優」
「えっ? あー……うん。ありがとう」
「確かに最強を証明するなら《
「うん。でしょ?」
「なら君は《
「いや……違うけど」
「っ……! まさか、ヘルガ・リンドヴァル女史の記録さえも越えるつもりだと言うのかい?」
「待ってそこまで狙って──」
「《
「……そうだ」
なんかもうアーニーが暴走しだした。
訂正するのもめんどくさいからもうそれでいいやって頷いた。
一回優勝したらもう
未来で何か言われてもそれは未来の自分がなんとかしてくれるだろうし。
頑張れ俺。日記見直してキレんなよ。これぐらいなんとかしろよな。
そのあと、シルヴィや綺凛と合流してアスタリスクを歩き回った。
綺凛の英語の流暢さに感動した。妹をみんな褒めてくれて嬉しいかぎり。
ああ、あとそういえばあれ誰だったんだろうな。
アーニーと話してるとき、意識の拡張……とりあえず間合いでいいか。
間合いに1人誰か居たんだけど、突然気配消えたんだよな……ま、いっか
クローディアのチームが遂に負けた。
相手はアーニーたちだ。チームワークの練度差に負けてしまった
「《
隣でシルヴィがそう呟く。
でも俺はアーニーのことを手放しに強いと認められなかった
「兄さんそれは──フェアクロフさんに違和感を感じるから……ですか?」
どうやら綺凛も気づいたらしい。
シルヴィは首を傾げている。剣士じゃないから気づかなくても無理はない
「どういうことなの?」
「えっとですね、あくまで私も印象の部分……感なのですが、フェアクロフさんの剣は美しさを追求しすぎてるんです。綺麗で澱みなく、洗練された剣です」
「それっていいことじゃないの?」
「この場合なんと言いましょうか……」
「アーニーの振るう剣は戦闘向きじゃないんだよ。剣舞みたいな、見せ物の剣を極めた感じだね」
「そうなの? でもすごく強くない?」
「強いよ。でも怖くない。アーニーと剣を交えてヤられる、って感覚はないかな」
「……なる、ほど?」
シルヴィにはピンと来なかったみたい。
でも綺凛は隣で頷いてくれた。こればっかりは剣士にしか伝わらないんだろうな
「つまりですよシルヴィア。アーネストの振るう剣は楽譜をなぞった、審査員から点数の取れる歌。本当の意味で誰かの心を震わせる歌ではない──ということです」
そのあと、合流したクローディアにそう説明されて俺たちはピンと来た。流石クローディアだな。
当然アーニーの剣に感動するものだっている。でもそれは果たして個性と言えるのだろうか?
少なくとも俺は違うと思う。これでアーニーがやりたくてそれを振るってるなら俺も素直に認めてたと思う……だけどアーニーはあの剣を仕方なく振るっているようにしか俺には見えなかった。
とりあえずこの話はここまでしよう。
そのあと、クローディアは2人から労いの言葉を貰ったり慰めて貰ってたけど、表情を崩すことなく受け答えしてたクローディアに俺は感心していた。
流石生徒会長様だ
クローディアのやつあんな興奮してどうしたんだ?
《
「頑張ってますね綺優。これ差し入れです」
訓練所で特訓しているとクローディアが差し入れを持ってきてくれた。
最近、俺が訓練所を使うと必ず一緒に居てくれる。
本当にクローディアは優しいやつだな。きっと俺が寂しくないようにそばにいてくれるんだろう
「ふふふ。綺優は思ったよりフラワーガーデンなんですね」
「ん? ああ、いろんな剣技取り入れてるから珍しいとは思うよ」
「……はぁ、もういいです」
よく分からないけど……まっいっか。
ああ、そう。意識の拡張、間合いを広げるようにしてから使える剣技が増えた。
当時対戦した時、見た時は原理が分からなくて真似できなかったけど、今は使えるようになった。
思えばこの剣技を見てからだよな。クローディアの様子がおかしくなったの
「──!? あ、綺優! その剣技はどこで!?」
クローディアが驚いていた。
この剣技は昔、アスタリスクにやってきた時、とある女性生徒と剣を交えた時に知った剣技だ。
当時、俺はこの剣を再現できなかった。限りなく近い……いやこれは見栄だな。お粗末な真似事しかできなかった。
でもこの知覚を広げた間合いのおかげで、再現できた
「その女子生徒の名前を教えてください」
「えっと……ああ、そうだ。遥さん。天霧遥さんだよ」
「ッ……! ありがとうございます。綺優。私急用ができましたのでこれで」
そう言ってクローディアのやつは訓練所から出て行った。
どうしたんだろうなあいつ。
そのあとも幾つか、天霧辰明流を試してみた。
なるほど、この意識の拡張が鍵だったのか。
明日も色々試してみよう
天霧綾斗。それがクローディアの運命の人
どうやら昨日の俺が再現した剣技はクローディアの意中の男が扱う剣技と酷似していたらしく、あのあと調べたら遂に見つけたらしい。
少し複雑だが、クローディアの役に立てて良かったと思う
「綺優、あなたが使える天霧辰明流を全て動画を撮らせていただいてもよろしいですか?」
「別にいいけどなんで?」
「綾斗に特待生枠の招待状を送るつもりですが、どっかの誰かさんの時のように断れた時の保険ですよ」
ごめんって。まだ根に持ってるのかよ。女ってこわ。
でもクローディアはご機嫌になってくれて、夜ご飯を奢ってくれた嬉しい。
もう少ししたら冬休み。早く実家に帰って綺凛や家族に会いたいな
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回で中等部3年に突入し、後半の王竜星武祭まで行くと思います。
早く原作に入りたいので駆け足気味ですがご了承ください