まだ頬が熱い。考えないといけないことが沢山あるけど、まず日課の日記を書こうと思う
《
試合に勝ったのは綺優。だけど最後の最後で綺優は力尽き気絶してしまい、最後まで立っていたのはオーフェリアだった。
それにオーフェリアが規定以上の《
ルールが無ければオーフェリアの勝ちだった。
ルールなしならば綺優も最初から《
そもそもルールの中で勝つのが
ひとまずそれはおいといて……私は同じ《
「希望の花は枯れ、命の灯火は潰え、世界は静寂へ沈む
魔女は願う。勇者たるものよ、私に永遠の夢を
《
悔しいけど……魅入ってしまった。
それほどまでにオーフェリアの想いが込められた一撃だった。
綺優もそれに気づいていたからこそ、真正面から受け止めたんだと思う。
自慢の
よし。今度は綺優と結ばれた記念日……それについて書こうかな
あの後、綺優が目覚め少しの休憩を挟んでからすぐに表彰式が行われた。
満身創痍にも関わらず、立てると判断すればすぐに行う。もう少し労わって欲しい
「──刀藤綺優選手、《
「ありがとうございます……それじゃあ、早速。失礼します」
綺優はそう言い残すと私の目の前に来て膝をついた。
この時、突然のことに私を含めてみんなが動揺していた。
綺優はポケットから小さな箱を取り出して、それを開けながら私に一言
「──シルヴィ。俺と結婚してくれ」
「っ……! 喜んで!」
直後に会場からは悲鳴やらなにやらとてつもない声で包まれた。
嬉しかった。迷う暇もなくすぐ綺優に左手を差し出して、薬指に婚約指輪をはめてもらった。
今日記を書いてるけど、ずっとはめている。
お互いにまだ結婚できる歳じゃない。結婚できる歳なったらすぐに結婚しようって、みんなの前で誓っちゃった。
そのあとは綺優の優勝者インタビューとして、最後の決勝戦について語った。
纏めるとこんなことを綺優は話した
「自分は最後までオーフェリア選手を上回ることができませんでした。
正直、オーフェリア選手に自信持って勝ったと胸を張ることはできなさそうです。
それでも沢山の人に支えられ、応援して頂き最後まで諦めずに戦い抜くことができました。本当にありがとうございました」
その後、大会運営を任せられているマディアスさんの宣言をもって《
そのあとは取材の荒らし。綺優にはもちろん私にも沢山の人が来た。
──アイドルなのに男性の方とお付き合いをするのですか?
予想はできていた。それに対してペトラさんはこう答えた
「私の事務所に所属しているタレントの皆様には、恋愛は自由に謳歌していいと最初に話しています。
現に事務所の方針にも恋愛を制限するような事は書かれておりません。自由恋愛となっております
その代わり、ファンの皆様に色恋営業と見なされる行為は絶対しないようにと厳命してあります。
なのでシルヴィアには常にファンたちとの間に一定のライン引きを設けてきました」
そのまま私は引き継いで話した
「ご理解頂けないファンの皆様がいらっしゃると思います。ですが皆様への感謝の気持ちは本物です。
それでも裏切られたと感じる方がいらっしゃると思います……大変申し訳ございませんでした。
それでも……それでも私の口からも言わせてください。
私は刀藤綺優さんを、1人の異性としてとても魅力的に感じており、愛しております。
出来ることなら私たちの幸せを応援してくださると嬉しいです。よろしくお願いします」
深く。深く深く私は頭を下げた。
2年前綺優とのすれ違いで、クローディアの助力もあり仲直りした時に、ペトラさんに「事務所の契約書ちゃんと読みましたか? 恋愛を禁止にはしていませんよ」と言われ、私はその時から覚悟していた。
私を非難する人は当然多い。スマホの通知がそれなりに響いていて開くのが億劫になるぐらいには。
なので今はプライベート用の端末だけそばに置いている。
ただ祝福してくれる人たちもいるから嬉しい。
なによりも指輪見てるだけで勇気と元気がもらえる。
最悪アイドルを辞めることになっても私は構わない。
アイドルは大好きだし続けたい。でも綺優を手放す選択だけはできない……そう思えるぐらいには綺優のことを愛しているの。
ひとまず今日はお互いに会うことは避け、明日こっそり会って話すことになっている。
今後どうなるかはまだ分からない……それでもこの薬指にはめられた指輪を見ると、なんでもできそうな気がしちゃうね。
それぐらい女の子にとって、指輪は何よりも強い装備なんだ。
──君とならなんだって乗り越えれるよ
……なんちゃって
今日は1日中幸せいっぱいだった。
まず朝起きた時。左手にはめられた指輪を見て、夢じゃなかったんだって、朝から幸せな気持ちになった。
昼から綺優の祝勝会が開かれる予定だったから、身支度をしながら恐る恐る仕事用の端末を開けると、沢山の通知が入ってて、誹謗中傷が書かれたり、大炎上している。
本当にみんなごめんなさい……でも綺優のことは諦められないの。
今後活動にも支障は出るのは間違い無いけど、私は私らしくやっていく
「ん? ……シルヴィア防衛戦線? なにこれ」
今日のトレンドの1番上に
シルヴィア防衛戦線
気になるトレンドが1番上にあったの。
気になって押して見てみると……とんでもない動画が拡散されていた
「もう……なにしてるのさ」
『《
自分のせいでシルヴィが傷つくことになると思います。そしてその原因は自分にあります。なので彼女を傷つけるような事はしないでください。言いたことは自分にお願いします。
シルヴィを傷つけるというのであれば……大切な人を、愛する人を守るために自分は動きます』
次に別の動画で、《
『《
本当に笑っちゃうよね。
あとで綺優に合流した時に聞いたら、昨日のうちに《
どうしよう。日記だから書くけどすっごく頼もしいや。やっぱり不安はあったからね
「それでは皆さまお飲み物をお手に。
我ら『星導館学園』、刀藤綺優の《
この時、クローディアが私の方を一度見た
「シルヴィア・リューネハイムとの婚約を祝して……さあ、綺優」
「……かんぱい」
「「「かんぱ──ーい!」」」
──コツン。
小気味いいグラスのぶつける音が響いていた。
周りには当然、『星導館』の生徒ばかり。
それ以外で言えば、私と綺凛ちゃんとお義母さんに義叔母様の4人だけだった。
綺優は私たちのいるテーブルへとやってくる
「お兄さん改めて優勝おめでとうございます! それにシルヴィ姉さん、これからもよろしくお願いします」
「綺優本当にかっこよかったわ! お母さんドキドキしちゃった! シルヴィちゃん、綺優のことよろしくね?」
「まだまだ未熟者だがよろしく頼むぞ」
綺凛ちゃん、お義母さん、義叔母様にそう言われた。
私の方こそよろしくお願いしますって感じなんだけどなぁ。でも親公認ってことだから嬉しい
「おいお〜い綺優〜。おまえいつから我らが《歌姫》シルヴィアちゃんとそんな仲良くなったんだよ?」
「夜吹離れろ。次話しかけたら蹴る」
「俺の扱いひどくね!?」
夜吹くんと呼ばれた綺優の同級生くんはいいリアクションをしていた。
私は中々こうして綺優が他の人たちと交流を持つところを見たことがなかったから、新鮮だった。
するとユリスさんがやってきて綺優にオーフェリアのことを聞いていた
「綺優、《
「オーフェリアは……《
期間やら金額のところはまだ決まってなく、今統合企業財体の方で議論してるみたい」
「そうか……せっかくの場の雰囲気を壊したな。すまない」
「いや、いいよ。友人として気にするのは当然だよ」
「そう言ってくれると助かる。なにはともあれ優勝おめでとう」
「サンキューユリス」
こんな感じで綺優の祝勝会はみんなが楽しく無事に終わった。
そしてその後、綺優と一緒に綺凛ちゃんたちを見送って私たちは2人で海に足を運んだ
「シルヴィ、手繋いでもいい?」
「ふふふ。もちろん!」
指を絡ましてお互い離れないよう痛くならない程度にギュッと握る。
私よりも大きな左手。そして家族のために鍛えてきた硬くなった手のひらのマメ。
好きな人と一緒に眺める冬の海はとても綺麗で、沈もうとする太陽に照らされる指輪に、お揃いのブレスレットが嬉しくて、時々肩なんかも触れたりしてすごく幸せな気持ちになった
「綺優今後はどうするの?」
「どうって?」
「だってもう
「……ウルスラさんに会ってみたいから──」
「──ダウト」
「……」
「私のため、でしょ?」
「……ほんの少しだけ」
「だめ」
綺優が少し申し訳なさそうにしていて、ちょっと心苦しかった。でもしょうがないよ
「綺優。本当にそれが綺優の心からの願いなら止めないよ。でも私のために、って思ってやるならやめて」
「シルヴィ……」
「正直嬉しいよ。でも自分の願いは自分で叶える。違う?」
「そうだけど……」
「はぁ、もう。じゃあ考えてみて? 私が綺優の代わりに
「それは……」
「素直に喜べないでしょ? 今回の《
「……気づいてたんだ」
「当然」
すると綺優は立ち止まった。
海の向こうに沈む夕日を見つめていて、言おうかどうか悩んでるみたいだった。
私は急かさず綺優から話してくれるのを待った
「オーフェリアは……俺より強かった」
「……そうだね」
オーフェリアは《
しかし最後に放った大技は最強の魔女の名に相応しい物で、綺優の全力をぶつけても相殺がやっと。
そして綺優は力尽き気絶。
もし失格になってなければ綺優の負けで《
「……うん。そうだね。わかったよシルヴィ。変なこと言ってごめん」
「ううん。嬉しかったのは本当だよ?」
「ならいいんだけど……でも本当に俺も会いたくなったらその時は勝手にやらせてもらうからね?」
「うん! その時はもちろんだよ」
その後、コンビニで食べ物を色々買ってきて夜の海を眺めながら2人で過ごした。
さっき綺優に寮に送って貰って今この日記を書いてる。
そろそろシャワーして私もゆっくり休もう
綺優は学校から3日ほど休日を貰い実家に帰った。
父親が釈放されたことで、家族との時間をと『銀河』がプレゼントしてくれたらしい。
今まで空いた時間を徐々に埋めていって欲しい。私もいつか挨拶に行きたいと思う。
さてと。私の仕事についても書こう。まず幾つかアイドルとしての仕事が中止になった。
ファンクラブの退会者、CD不買運動、それとやはり誹謗中傷もまだ続いている。
これらは当然のことで予想できてたことだから落ち込まない。
同時に嬉しいこともあった。
擁護してくれる人たちの存在に、恋人やカップル向けのCMを私で撮りたいという企業様からご連絡を頂けた。
火に油を注ぐ形になるかも知れないから、保留にさせて貰っている。
あとはファッション雑誌のモデルの仕事も増えた。
悪いことばかりではないので、前向きに頑張ろう
(濡れた跡がある)
春休み。来学期は遂に私たちも高等部。もう3年経とうとしている……早いね。
今日は……綺優が私のお父さんとお母さんに挨拶したい、会いたいってことで、今日は久しぶりに家に帰ってきていた
「初めましてです。シルヴィアさんとお付き合いさせて頂いてます、刀藤綺優と申します。
本日は娘さんとの婚約を認めていただきたくご挨拶しにお伺いにきました」
綺優ってばまだ私たち子供なのにスーツなんか着て……控えめに言ってめっっっちゃかっこよかった。私の彼氏がカッコ良すぎて困る
「……シルヴィ、少しだけ席を外してくれるかい?」
お父さんにそう言われて私は自分の部屋に入って、音楽を聴いていた。
耳がいいせいで聞き取れちゃうからヘッドホンをつけて。
私のお父さんとお母さんは《
私が《
別に両親が嫌いとかじゃない。でも気を遣うようになって着て、アスタリスクに来てからはあまり家に帰らなくなったけ
「シルヴィ、2人が呼んでる」
部屋に来た綺優にそう言われて今度は私が両親と話す番になった
(濡れた跡がある)
「シルヴィ。私やお母さんがシルヴィのことを怖がっていると気づいてたね」
「……うん」
「シルヴィ。まだ幼い君を傷つけてしまってごめんなさい」
「私もごめんなさいシルヴィ……」
「ううん! 大丈夫だよお父さんお母さん。気持ちは分かるから」
すると私のことを両親が抱きしめてくれた
「我慢ばっかりさせたね。甘やかしてあげれなくてごめんね」
「っ……お父さん」
「お母さんとお父さんはね、あなたのことを怖がってたけど、決してあなたの存在が疎ましいなんて思ったことはないの」
「お母さん……」
「「愛してる
「っ……! ────!」
(濡れた跡がある)
その後、私がなんて言ってたのか分からない。
いや覚えてるけど恥ずかしいから日記に残したくない。
あーあ、めちゃくちゃ泣いちゃったし、綺優に全部見られたし恥ずかしいや。
今日は家で泊まって、明日は綺優の家に行く。そして明後日にはアスタリスクに帰る予定だ。忙しない弾丸スケジュール。
もう少しゆっくりすればよかったって思う
「綺優、ありがとう。私これからはもっと家に帰るようにする」
「どういたしまして。俺も義父と義母にご挨拶できてよかったよ」
「なんか照れるなぁ。そういえば2人とは何話してたの?」
「シルヴィに愛情を注いであげれなかったから、今までの私たちの分まであの子のことを愛してあげてください、って。愛されてるねシルヴィ」
「……もう、涙一生分出るかも」
ありがとう。綺優。私、綺優と出会えてよかった。
幸せになろうね
《
使われたステージは崩壊の二文字に相応しい荒れようだった。
そこに1人の男性がケースを片手に、ステージを眺めていた。
「──素晴らしい。2人とも実に素晴らしい力を持っている」
『……おい、テメェそんなことよりちゃんと回収できたんだろうな?』
「心配しなくとも彼のサンプルは全て回収した」
『じゃあささっと出ていけよ。今見つかったらいくらお前でも言い逃れは難しいだろうが。なあ? ──マディアス』
「ふふ、そうだね。誰かが来る前に行くとしよう」
以前マディアスは街中を歩いている時に、彼の娘である天霧遥の気配を感じた。
それはあり得ないことだった。娘は今眠っていることをマディアスは知っていたから。
いったい誰が? と思いその気配の持ち主を探すと、アーネストと話している人物だった。
その人物こそが刀藤綺優。どうやら彼は人の技を模倣することができるのだとマディアスは知った。
そしてそんな彼とオーフェリアの戦い、そこでマディアスは閃く。
人としての道を踏み外した最悪と呼ぶべき手段を
「……もう少しだ。あともう少しで全てが終わる」
マディアスはそう言い残し暗闇の中へと消えていった
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回はついに!やっっと!原作突入です!と言っても後半部分でですが!次回は綺優の日記で前半でお父さんと会って、綾斗が来るまでの流れを〜してからって感じで後半に綾斗君くん降臨です
それと前話を改めて読んだのですが……これを超える戦闘シーン自分にかけるのか???汗…今後の星武祭や戦闘描写を書くのが心配になってきました…
それでは次回もよろしくお願いします!