広げる湖。足元には満天の星が映し出され、その奥には鎖があり、顔を見上げると真っ黒な太陽に、晴れた青空。
ここは以前、にも来たことがある……気がする?
──よう、マスター。聞こえるな?
声が聞こえた。目の前には刀が刺さっていた。
俺はその刀を知っている──《
──俺を使ったことでやっと聞こえるようになったわけだ
「──……?」
話しかけようとしたけれど声が出なかった。
首を傾げると、ジャラリ、まるで──そう。鎖が擦れるような音が聞こえた。
視線を自分の身体に向けると、椅子に座っていることに気づき、しかも体中に鎖が巻かれていた。
口は開けるのに声がでない。この鎖のせいだろうか?
──正解。その鎖は昔、《
必死に昔の記憶を思い出すけれども心当たりがなかった。
そんなことよりもこの鎖はいったい何なんだ? どうして俺を縛っている? 前に来た時はこんな物なかったはずなのに
──その鎖はマスターの身体に溶け込むように細工されていた。マスターの《
《
それを聞いて俺はここ最近、体の不調がこの鎖のせいだと分かった。
《
この鎖はいつ解けるんだろうか?
──残念だが多分解けないぞマスター
「……!?」
──むしろその鎖はどんどんマスターのことを縛っていく。
全力を出せば出すほど鎖は徐々に、ある一定までマスターを縛っていくだろうな。
《
最悪だった。それはつまり今後制限された状態で戦わなければならないってことだ。
しかも体の欠損が許されないなんて……いやまあそれが普通なんだけどそれ以外の戦い方は正直慣れてない。
でもまあ、別にいいか。もう
──だといいなマスター。でも×&:);@/@‘byvh?
上手く聞き取れない。なんて言ってるのだろう
────!!
何か伝えようとしているのは分かる。だけどそれが何なのか聞き取れなかった
『──ゆ。あゆ。綺優!』
そして誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。身体も揺らされている気がした。意識が浮上しようとしている
「綺優? 起きてってば綺優。着いたよ」
目を覚ますとシルヴィの顔がそこにあった。
どうやら俺は眠っていたようで、目的地に着き起こしてくれたらしい
「ここは──」
「──もう、日本に着いたよ。早く行こ? きっと綺凛ちゃんたち、もう空港に着いて待ってるよ」
そう。今日は家族に──親父に会いに帰ってきていた
家に帰る。家に親父がいる。
当たり前の日常、この間休みを貰って、家に帰った時に親父の姿を見て泣き崩れてしまったけど、今日も泣いてしまった
「おかえり綺優。自慢の息子とこうしてまた暮らせて嬉しいよ」
どこがだよ。俺なんて不出来もいいとこだ。
実家を捨て他の剣術を継ぎ、親父が辛い思いしてるのに好きな人を作ってしまって……でも頑張ったな、と親父は言ってくれた。
親父と2人でお風呂に入った。前回だけじゃ話し尽くせなかったら、いっぱい話した。
親父が笑ってくれる。それだけで本当に幸せな気持ちになれた。
ああ、俺は償えたんだなって。こんなこと言ったら違うと言われるだろうから、心の中でそっと呟いた
「シルヴィアちゃん? だったか。とてもいい子だね」
シルヴィのことを褒められると俺も嬉しくなる。
お風呂から出るとシルヴィや綺凛たちも済ませたようで、そのまま食事となった。
そこで色々と話して楽しい時間を過ごせた。
すると落ち着いた頃に叔母様がこんな事を言った
「綺優、そしてシルヴィよ。婚約のことだが──嫁入りするのか? それとも婿として出て行くのか?」
「叔母様今それは──」
「──私が嫁入りします」
「え? シルヴィ??」
「嫁入りするという事は……意味は分かっているようじゃな?」
「はい。私の両親とも話しました。私は綺優と将来結婚したら刀藤の者として恥じない嫁になろうと思っています」
「そうか。綺優が当主の席を降り綺凛に譲ったのは聞いておるか?」
「はい。聞いております」
「じゃがシルヴィや。嫁入りした場合、お主らの2人の間にできた子が次世代の刀藤家当主になる可能性もある……分かってくれるか?」
「勿論です」
「……そうか。私から始めた話じゃが、まだまだ先の話、もう少し悩みなさい。そうすぐに決断することでもない」
叔母様の言う通りだ。俺たちはまだ中学生……いやもう高校生だけど未成年だ。子供だ。
でも家のことを考えないといけない叔母様の気持ちもわかる。
シルヴィにはこんな柵に巻き込んでしまい申し訳ないばかりだ
「ああ、でもそう。名前ぐらいは残しても良いかもしれんな」
「……名前、ですか?」
「シルヴィア・L・刀藤。刀藤・L・綺優。うむ。悪くないのではないか?」
「っ……! ありがとう、ございます」
「叔母様……ありがとうございます」
「気にするな。寧ろ巻き込んでしまい申し訳ないな」
うちの家族が頭の固い人たちじゃなくてよかった……叔父様は少し硬いけど、なんだかんだ話せばわかる人だしきっと理解してくれるだろう。
そのあとは普通に話して、お父さんを中心に盛り上がった。
俺は明後日夜にはアスタリスクに帰らないといけない。
シルヴィは仕事で明日の昼には空港から別の国に向かうらしい。
お互い忙しいな。俺なんかと比べるとアレだけど。
今日は綺凛とお父さんと俺の3人で寝ることにした。
ファザコンと呼びたければ呼ぶが良い。家族が好きで何が悪いんだ
よし。今日から再スタートだ。
余裕を持って朝シルヴィを送り届けたあと、家帰ってきて道場の稽古を眺めてた。
一緒に混ざろうと門下生たちに誘われたけど、俺は丁重にお断りした。気持ちは嬉しかったけどね
「悩み事か? 綺優」
「親父……いや、アスタリスクに戻ったら何をしようかなって」
当然シルヴィのことは支えたい。ならボディガードとして雇ってもらうか? でも学生の身でそれは無理だろう。
アスタリスクに残りたくないとかそう言うのじゃない。
今まで
その次の目標がなくなって若干、モチベーションの低下がしている
「何を言ってるんだ。来年から綺凛も入るんだよ。兄として綺凛を捧げてあげなさい。そしてシルヴィちゃんをちゃんと愛してあげれば良いじゃないか。それに大切な仲間たちもいるんじゃない?」
「……そうだった。忘れちゃいけなかったのに」
綺凛やシルヴィのことは当然支えて護るつもりだった。
それと同じぐらいに俺はやらなければならないことがあった……クローディアだ。
クローディア、アイツは死のうとしている。俺には理解できないし、したいとも思えないバカな考えだ。
でもクローディアにとってそれは何よりも大切なことになっていて……だけど絶対死なせたくない。
クローディアは大切な初めてできた友達なんだから
「親父……ありがとうございます」
「少しは父親らしいことができたかな?」
「いつも親父は立派な父親だよ……稽古、俺も混ぜてください」
そのあとは稽古に混ざった。
これでも一応《
「……? お兄様、お身体の調子が悪いのですか?」
「……ちょっとね」
打ち合ってる時に綺凛に気づかれた。
身体の調子は悪くない……だけどあの鎖のせいで制限されてる。
それにしても綺凛はすごいな。
制限されてるといっても全力が出せないだけで、稽古中に軽く打ち合う分には支障がない。
なのに気づくなんて……自慢の妹だよ本当に
「──そこまで!」
叔母様の合図で今日の鍛錬はおしまいとなった。
それにしてもこの鎖厄介だな。
何か方法はないか考えないと……帰ったらクローディアに相談するか
「──《
昨日アスタリスク帰ってきて、今日すぐにクローディアと会って話を聞いた。
基本的に《
「聞いた話で言うならば、その鎖はすでに綺優の《
「そうだな」
「ならあなたの意思で解除することも可能な筈ですよ」
「いやできないんだって。一昨日の稽古の時も、昨日も、ちょっと本気を出そうとしたんだけど無理だったんだよ」
「んー、そうなると……待ってください。昨日、再開発エリアで廃ビルが崩れたと聞きましたが……まさか」
「あ、いや……お、おれじゃないよ?」
「こ、の……っ」
「クローディア!?」
クローディアが突然お腹を抑えながら倒れた。
俺は焦ってすぐに医務室へと連れて行き先生に診てもらった。
どうやら過度のストレスにより胃痛が起きて倒れてしまったらしい。胃薬を処方されていた。
まったく、クローディアのやつ頑張りすぎだよな。もっとまとまった休みを取って欲しいものだ
「なっ! ……はぁ、もういいです」
クローディアのやつ最後様子が変だったな。
それはそうと俺の意思でか……色々試行錯誤してみよう
なんか俺副会長になってた。
クローディアの頼みだし元々やるつもりではあったけど、来年からって言ってたのにクローディアのやつ勝手にもう俺を副会長に任命してやんの。
自由だよなぁ……職権濫用すぎない?
綺凛がついにアスタリスクへやって来た。
今日から『星導館』の寮生活だ。
明日は始業式。
《
ちょうどいい。俺もみんなに言いたいことがあったからな。
夜ご飯は綺凛と2人で食べた。綺凛は相変わらず可愛い
よし。今日の日記も長くなりそうだ
『──それでは最後に前年度の
会長のクローディアに促されて俺は壇上に登りマイクを手に取った。
俺から新入生たちに送る言葉なんて決まっていた
「紹介にありました高等部1年の刀藤綺優です。まずはご進学おめでとうございます。
既にお気づき方もいらっしゃると思いますが、僕の妹でもある刀藤綺凛が皆さんと一緒に『星導館』へと入学しました。そんな皆さんに言っておきたいことがあります──綺凛を傷つける人は誰が相手でも絶対に許しません。斬ります
それを踏まえて楽しい学校生活を送ってください。
以上、刀藤綺優でした」
決まった。完璧だった。俺の中で手応えは完全にジャストミート。もうこれ以上の激励はないだろう。
そう思ってたのに
「こっの! お馬鹿は!! あなたは時と場を考えない阿呆なのですか!?」
生徒会室で綺凛の目の前でクローディアに思いっきり叩かれた。
正直理解に苦しむ。俺は兄として綺凛を守るべく行動しただけだ。悪い虫がつかないように
「刀藤さんの肩身が狭くなるかも知れないのですよ? もっと考えてものを言ってください」
「か、会長、私は大丈夫ですから。それに兄さんが私のことを想ってくれてすごく嬉しいです」
「刀藤さん……あなたがそう甘やかすからこのシスコンはあなたのためなら何でもする、って危ない思考をしてるのですよ?」
「お、お兄ちゃんが私のためになんでも!? ……はうぅ」
「おいクローディア、綺凛がショートしたじゃないか。いじめんなよ。幾らお前でも斬るぞ」
「……はぁ、もういいです。私疲れました」
クローディアが机に突っ伏して頭を抱えながらそんなことを言っていた。
その時、クローディアのクローディアがとても窮屈で……やめとこ。シルヴィにバレたら殺される。
日記見られたらどうしよう……いや流石に日本語読めないよね?
「ふぅ……綺優、刀藤さん。本題に入りたいのですが構いませんか?」
クローディアは切り替えて真剣な表情を浮かべていた。
そう、クローディアが俺たちを読んだ理由は今後のことで、やらなければならないことがあったからだ
「──え、明日兄さんと序列戦を皆んなの前で、ですか?」
「はい。理由はやはりあなたのお兄さんが大きいです。綺優の妹、好奇の目に晒されるでしょう。また我々『星導館』も刀藤さんには期待しています」
「あ、ありがとうございます」
「ですから、明日実際に綺優と戦って刀藤さんあなたの強さを見してください。全員に」
「……兄さんじゃないとダメなんですか?」
「いえ別の人でも構いませんが、戦うならやはり我が校の1番強い生徒と。その結果あなたの兄になっただけですよ」
「……わかりました。兄さん、明日全力で挑まさせていただきます!」
綺凛が笑顔を浮かべてそう言ってくれた。
嬉しかった。強くなったと思った。でも同時に巻き込んでしまって申し訳ない気持ちにもなった。
その後、明日の流れを打ち合わせしたあと綺凛は先に帰った
「……綺優、ごめんなさい。あなたたちを巻き込んでしまって」
「俺はいい。でも真実を知った時、綺凛は傷つくだろう。だからクローディア、その代わりに絶対おまえの望む未来を作れよ」
「……はい」
「俺も同罪だからこんなこと言う資格はないけど……綺凛を巻き込んだのに望む未来を迎えられなかったら──俺はお前を許さない」
「約束します。必ず」
……はぁ。本当にごめんな綺凛。
クローディアを絶対に救うなら、クローディアの望む未来を作り、それを壊す──死なせないのが1番だ。
絶対死なせないからな。
願わくば……そう。綺凛が俺のことを超えて欲しいな
綺凛との序列戦が本日、学園にある庭園で行われた。正直に言って本気の綺凛は強かった。
だけどまだ負けることはないなとも思った。
今日は純粋な剣技だけで戦った。絡め手などは一切使わず
「おいおいマジかよ。妹さん《白夜叉》と互角だぜ」
「でも《白夜叉》は《
「そりゃお前、あのオーフェリアが反則負けになった技を斬ったんだぞ? 《
「惜しいけど違うぜ。どうやら刀藤先輩の《
「なるほど。だから《
観客たちがそんなことを話しているのが聞こえてきた。
《
でもその噂が広まってくれればこちらも好都合なので、《
ちなみに《煉獄》はいつでも取り出せるように、腕輪に偽装してもらっている。
師匠から貰った刀はオーフェリアとの戦いのあと、修復することができなかった
「綺凛、今から本気の抜刀で終わらせる。行くぞ」
「……ッ! はい!」
頃合いになったので俺は納刀し構える。当然《
そう決意を見せ、踏み出した次の瞬間──
「──ッ! お兄様!?」
『校章破損・勝者・刀藤綺凛』
口から血を吹き出し俺はその場で倒れた。
その際に事前に破損するように細工しており、自然に破壊して綺凛の勝利で決闘を終わらせる。
すぐにクローディアが救急車を呼んでくれて、病院へと搬送してくれた。
先生にも協力してもらい、診断の結果、オーフェリアの毒がまだ体内に残って混ざり合っており、《
「ど、どうしましょう。私が序列1位なんかに……早く兄さんにお返しします」
「……いや、綺凛。少しの間、序列1位の座に座ってみたらいい」
「え? それはどうしてですか?」
「序列1位になれば色んな生徒からその座を狙われて決闘を申し込まれる。
実戦経験を積むことを考えれば、とても便利称号だよ。だから……そうだね、3ヶ月。3ヶ月間、その序列1位の座を死守してみるといいよ
それができたら今よりももっと成長できてるよ」
「で、でも私は実力で兄さんから勝ち取ったものじゃないですから……」
「俺もどっちにしろしばらくは戦えそうにないから。もうすぐ序列戦が始まるし、誰かに奪われるぐらいなら綺凛に守って欲しい」
「……」
浮かない顔をしている綺凛を抱き寄せて俺は頭を撫でた。ごめんな綺凛。本当はこんなことさせたくないのに
「嫌か? 綺凛」
「うぅ……お兄ちゃんずるい……わかりました。兄様から頂いたこの1位の座、守って見せます」
なんとか第一関門突破というところだ。
その後、形だけ薬を貰いしばらく安静にして過ごすようにと注意してもらった。
寮に戻るとクローディアが部屋にいて、報告をし今後のことを話した
「すみません綺優……」
「俺も同罪だからいいよ。とりあえずこれで、お前がみた夢の通り綺凛が序列1位になったわけだ」
「はい。あとは綾斗が来月に転入し」
「6月に綺凛に勝って序列1位になる……ね。最低な兄貴だな俺は」
「……本当に感謝しかありません。ありがとうございます」
「昨日も言ったけどその代わり確りやってくれればいいよ。もう言わなくてもわかるよね?」
「もちろんです。あなたが刀藤さんをどれだけ愛しているのかは重々承知しております。
それとこの部屋はそのままお使いください。それから信憑性を増すためにも1ヶ月ほどは休学なさるように」
「序列外になったのに? てか1ヶ月も休むと学業の方が心配になるんだけど」
「《
それにこれから毎日、私が当日の授業の範囲まで教えにきます。だから安心して休みを堪能してください」
クローディアがここまで言ってくれたので俺は大人しくそれに従うことにした。
それと最後に
「ところで綺凛は二つ名は着くの?」
「おそらくそうなりますが……何かご希望ありますか? それぐらいでしたら私の方から根回ししておきますよ」
「だったら、疾風刃雷、で。さっき戦ってる時によぎったから」
「ええ、分かりました。安心してください」
クローディアはそう言い残すと部屋を去っていった。
綺凛本当にごめんな
今日は1ヶ月、この部屋で過ごすわけだけど……しばらくは部屋の中で身体を鍛えて、瞑想の時間を増やすことにした。
それと綺凛の2つ名が希望通り《疾風刃雷》に命名された。
《白夜叉》直々の命名、と大々的に公表されている。
そして案の定チャンスだと思い、綺凛に挑む生徒が現れた。
綺凛は真面目なのでその全ての決闘を挑み、全勝していた。
その数、13試合。その内《
綺凛がお飾りの序列1位だと誰も思わなくなったことだろう
あれから1週間が過ぎた。
その間に綺凛がした決闘の数は50を超える。そしてその全てに勝利。
まるで《白夜叉》を彷彿とさせる剣速と言われているらしい。
俺たちは、剣の鬼で《剣鬼》、剣の姫で《剣姫》なんて《けんき》兄妹と呼ばれるようになってしまった。
たった1週間ですごいものだ。
それとユリスが綺凛と一緒に見舞いに来てくれた。
どうやら寮の入り口でばったり遭遇したらしい。
騙してるいるので少し心苦しかったけれども、見舞いに来てくれて嬉しかった。
その後はクローディアが勉強を教えに来てくれた1日が終わった。
ちなみにクローディアも《
今でもクローディアの初めての序列戦は忘れられない……未来視が強すぎる
「──綺優大丈夫!?」
そう勢いよくドアを開けて入ってきたのはシルヴィだった。
心苦しいけどシルヴィにも大丈夫だと話しておいた。
一緒にペトラさんもきていて、顔に疲れが見えていたのできっと無理言って来てくれたんだろう
「大丈夫大丈夫。少しの間安静にしてればいいって」
「そういうことはちゃんとメールで言ってよ!! なんで黙ってたの!? しかも序列1位が綺凛ちゃんになってるし! もう色々びっくりしたんだから! 仕事どころじゃなかったよ」
「ごめんごめん。シルヴィも忙しそうだったからさ」
「あなたたち毎日連絡を取り合っているのではないのですか?」
「もちろん取り合ってるよ。でも綺優と話すのは、今度ここ行きたいね〜とか、これ食べたいねとか、そう言う話ばっかだもん。アスタリスクの話なんか全然してないよ」
「はぁ……なら生徒会長になったのですからちゃんと自分でも情報収集はしてくださいシルヴィ」
「は〜い。ペトラさんってば毎日こうなの」
「シールーヴィーア?」
「きゃー! ペトラさんが怒った! 助けて綺優!」
どさくさに紛れてシルヴィが飛び込んできた。
嘘とはいえ一応病人ってことになっているんだけど、忘れてるのかな?
ペトラさんはもう何回目になるか分からないため息を吐いていた。
ご心中お察しします。でもまぁ……シルヴィが楽しそうだし、まぁ〜、よかった……のか?
学園祭も無事終わりあれから1ヶ月が経つ。
俺は復帰したわけだけど、ドタバタした1日だった。
まず朝俺は、天霧綾斗を迎えに駅へ向かった。
でも約束の時間になっても出てこなくて、一度連絡するべきかと悩んでいると、寮の方から爆発音が聞こえて来た
「今のはユリスのだよな? ……おいおい、まさか」
嫌な予感がして俺は急いで向かったわけだけど、案の定そこには元凶のユリスと、天霧綾斗がいた。
生綾斗を見れて感慨深くなり、2人の決闘を眺めていた。
すると綾斗に違和感、まるで全力を出したいのに出せない、俺と同じ鎖に縛られているかのような動きをしていて……いやそれはひとまずどうでもいい。
問題はその2人の決闘に乱入が入って、誰かが横槍でユリスを狙って弓を放って来た
「……ッ!! 危ない!」
「なっ!?」
そんなユリスに抱きついて守った綾斗。かっこいいな。女の子のために身を挺するなんて……ユリスの胸を鷲掴みにしてなければ完璧だったよ
「ッ……!! いいだろう、消し炭にしてやる」
「ちょ、ちょっと待って!? 今横槍があって」
「ふん。それぐらい分かっている。それに綺優が既に防いだ」
「え? 綺優……って、まさか刀藤綺優?」
「ユリスも平気そうでよかった。初めまして天霧綾斗くん。僕は刀藤綺優ですよろしくお願いします」
「うっ……綺優、おまえが敬語を使うと鳥肌がすごいな」
「うっさい。初対面だろ。丁寧に挨拶してんだよ」
「2人って仲がいいんだね? えっと、俺のことは綾斗でいいよ。同級生だし」
そんな訳でひとまず綾斗と呼ぶことにした。
俺のことは綺優って呼んでもらうことに。
そのあとはクローディアがやって来て、決闘を中止にし解散となる。
決闘の乱入者は誰か分からないけど……なんか変な気配だったんだよな。
人じゃない、機械みたいな?
「とりあえずそれも含め調査を進めましょう。綺優、ひとまず今日は早退してお休みください。念のため」
「……そうだな。そうしとくよ」
「あと……改めてよろしくお願いします」
俺はそれに頷いてその場から去り、さっき寮に帰って来た。
さて、遂に始まる。クローディアの馬鹿らしい物語が。
でもまぁ、これからが楽しみだよ
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回から本格的に原作入りです…長かった
次回もよろしくお願いします