刀藤綺凛の兄の日常記   作:綺凛*凛綺

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女狐の日常記その4

 

 

 

✳︎月*日

 

 

 

 

 ついに綾斗と出会えました。

 ユリスと決闘が始まったのは想定外でしたが……これでようやく始められます。

 後は綺優の存在がどんな影響を及ばすかですが……彼も協力的ですしおそらく大丈夫でしょう。

 

 綺優には体調優れないことになっているので、本日のところは早退していただきました

 

 

 

 

✳︎月*日

 

 

 

 

 綾斗に《黒炉の魔剣(セル=べレスタ)》の使用申請書を持っていきました。

 早速ユリスや沙々宮さんと仲良くなってましたね。いい傾向です。

 正直いえば私も混ぜて欲しかったのですが残念です。

 ユリスに言われ、綺優が訓練場を使用していることに不安を覚えて訪ねることにしたんです

 

 

「お邪魔します。今日も精が出ますね綺優。刀藤さん」

 

「会長! お疲れ様です!」

 

「クローディア……綾斗たちならもう行ったよ?」

 

 

 どうやら綺優は私が綾斗を探しに来たと勘違いしているみたいでした。

 あなたが悪さをしているかどうか心配できたとは言わず、綺優の勘違いに乗っかることにしたんです。

 いくら綺優とは言え、疑われていい気持ちにはならないでしょうから

 

 

「あら、入れ違いでしたか……残念です」

 

「か、会長は天霧先輩のことが……その、す、好きなんですか?」

 

「ふふ。さぁ? どうでしょうか」

 

「綺凛、こいつは綾斗Loveだからな」

 

「ら、らぶ!?」

 

「あら、あなたの刀藤さんに向ける愛には負けますよ」

 

「は、はうぅ……」

 

「クローディア、綺凛をいじめるのはやめてくれ」

 

「失礼。反応が可愛いものだったのでつい」

 

 

 頭を撫でてあげると困ったような顔をしてて、ぐっとくるものがありました。

 綺優が大事にする理由がわかります。

 その後、2人の訓練を眺めいてると遠くから轟音が聞こえて……反射的に綺優の方を見てしまいました

 

 

「……俺じゃないよ?」

 

「……わかってますよ。つい」

 

 

 やらかしたのは沙々宮さん、ユリス、綾斗の3人でした。

 ただ、これに関しては不可抗力ですね。

 3人組に襲撃されたところを夜吹くんが確認しておりましたから……その際に綾斗が2人のあられもない姿を見て照れていたことも聞きました。

 うぶで可愛いですね

 

 

 

 

✳︎月*日

 

 

 

 

 ……。悩んでも仕方ありません。書きましょう

 

 本日は綾斗の《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》の適合率検査を行いました。

 綾斗の前にマクフェルくんが先に《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》のシンクロ率を測り認められず失敗……拒絶されても尚、無理矢理に従わせようとする姿勢に《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》が不機嫌になり一悶着ありましたが、見事綾斗が無事に解決。

 また80%超える97%のシンクロ率を記録し、所有者として認められました。

 手続きがあるのでお渡しするのは明日以降になります。

 

 綾斗にお願いして先程、私の部屋に訪ねてきて貰いました。

 今我が校の生徒、《鳳凰星武祭(フェニクス)》に出る予定だった生徒たちが何者かに狙われ、負傷し出場が難しくなっています。

 その事での調査と有力であるユリスの護衛を任せました。

 その際にちょっと揶揄ったのですが、どうやら刺激が強かったらしく逃げられてしまいましたね

 

 

「あら、残念」

 

「……俺の知ってるクローディアとは別人だな」

 

「ふふ、そうですか? だとしたら、今まで私を引き出してくれる素晴らしい殿方がいなかったんですよ」

 

 

 部屋から綺優がバルコニーへと出てきました。

 綺優には部屋に隠れていて貰い綾斗との会話を聞いてもらっていたのです

 

 

「数日過ごしてどうですか綾斗は」

 

「いい奴だと思うよ。四色の魔剣に認められて、実力もあるし、クローディアが夢の中で惚れるだけのことあると思う」

 

「納得、いかないご様子ですね」

 

「クローディアが命を賭けるほどの人間には見えない」

 

「……それを判断するのは私ですよ」

 

「もちろん。あくまでも俺の感想だよ」

 

「……協力して……くれますよね?」

 

「ああ」

 

「っ……」

 

 

 この時、の綺優の表情を私は一生、死ぬ時まで忘れることがないと思います。

 あれをなんと表現すらばいいのか私には分かりません。

 昔、綺優がシルヴィアのことで悩んでいた時に見た表情と似ていた気がします

 

 

「クローディア?」

 

「っ……! な、なんでしょう?」

 

「いや、反応がなかったから。大丈夫か? 何か考え事か?」

 

「……いえ、綾斗と同じで綺優にも何か褒美を与えるべきかと考えておりました。何かありますか?」

 

「……そうだなぁ」

 

 

 悩み始めた綺優。その姿が何かおかしくて私は綺優にも少し揶揄いたくなりました。

 綾斗の時と同じように、しかし身体には触れないように、少し肌を見せながら彼に迫ってみたのです

 

 

「私、とかどうですか?」

 

 

 綺優の照れた顔を期待しました。彼も綾斗と同じような反応をするのだと思って……。

 でも綺優は表情を変えることなく、どこか寂しそうに笑いながら、私がきていたローブを着直しして下さりこんなことを言ったのです

 

 

「クローディア。風邪引くぞ……それにもっと自分を大事にしてよ」

 

「あ、ありがとうございます。流石想い人がいらっしゃる方は余裕が違いますね」

 

「……? 何言ってるんだ。おまえは十分魅力的で、普通に困るぞ」

 

「……!?」

 

「シルヴィが居なかったらクローディアのこと好きになってたかも」

 

「────」

 

「おやすみ。何か思いついたら言うわ。クローディア、いい夢見ろよ」

 

 

(濡れた跡がある)(紙が握り潰された跡がある)

 

 ……最後まで走ると決めたのです。振り返らないと……あんな問題ばかり起こす人なんて……それにしても綺優も人が悪いです。

 私が《パン=ドラ》と契約してるせいでいい夢なんて見れる筈がないですのに。

 そうですね……せめて楽に死ねる夢を願いましょう

 

 

 

 

✳︎月*日

 

 

 

 

 老衰死の夢を見ました。

 仲間に囲まれ、大切な人に手を握って貰い迎えた天寿を全うした人生。

 その夢の中の私は幸せそうに最後を迎えておりました。

 ……《パン=ドラ》の性格の悪さに笑うしかありません。ええ、そう。そうに違いありません……そうじゃないと……(乱暴に消された跡がある)

 初めてでした。こんな死に方は。

 久しぶりでした。朝はこんなにも晴れやかなものだったことを思い出したんです。

 ……考えちゃダメです。揺らいでしまいますから

 

 

「──クローディア大丈夫か?」

 

「……誰のせいだと思ってるんですか」

 

「え?」

 

「はぁ。綺優、私のことはいいですから、しっかり綾斗とユリスの方を見てください」

 

 

 夢のことで色々と悩んでいると綺優に顔を覗かれました。心臓に悪いのでやめて貰えませんか? 

 ユリスが綾斗を連れて都市を案内することを知っていたので、私たちは2人が何者かに襲われないか見守るため着いて行きました。

 シルヴィア直伝の変装をし、ハンバーガーを嬉しそうに食べているユリスを遠目で見ていたのです

 

 

「ユリスってお姫様だよな?」

 

「ええ。それはもう立派な」

 

「最近のお姫様はジャンクフードに齧り付くのかぁ」

 

「あら、偏見は良くないですよ綺優。お姫様である前に人なんですから。何が好きかはその人の自由なのでは?」

 

「それはそうなんだけどさ。さっきの見てた感じ、お店決めたのユリスだよね? 

 もっとこう、上品なお店を好むかと思ってさ」

 

「先入観に囚われすぎです。何を選択するのかはその人の自由なのですから。数ある中から選んだ物、この場合は食べ物ですが、それがユリスにとって好きな物だっただけですよ」

 

 

 すると綺優は考え込む仕草を見せました。

 急にどうしたのでしょうね? 

 

 

 

「数ある選択肢から選ぶ……クローディアありがとう。見えたかも知れない」

 

「……? お力になれたのならよかったです?」

 

 

 よく分かりませんが、役に立てたのであれば光栄です。

 さて。その後、ユリスと綾斗がマクフェルくんに絡まれておりましたが、公共の場で堂々と襲う人物ではないことはわかっておりましたし、例の襲撃犯がこんなに目立つことはしないでしょうから、眺めておりました

 

 

「綾斗やるな」

 

「何かわかったのですか?」

 

「遠くに居るから全部は聞き取れなかったけど、上手いこと挑発して相手の口から引き出していたよ」

 

「何がですか?」

 

「襲撃犯の正体はサイラス・ノーマン。レスターが決闘の隙を伺う様な真似、する筈がない、だってさ」

 

「なるほど。ニュースではユリスが襲撃者を退けたこと、そしてその際に沙々宮さんと一緒にいたことしか書かれていませんでしたからね」

 

「決闘も未遂で終わったらしいからな。あの時、2人の近くにいないと分からないことだ」

 

「さすが私の綾斗です」

 

 

 夜吹くんにその事を伝え、『影星』の方で監視して頂くことになりました。

 ノーマンくんの《魔術師(ダンテ)》の能力ならば十分襲撃は可能。

 そして彼の能力、物体を動かす力を考えるに裏で協力しているのは

 

 

「アルルカントですかね」

 

「そうなの?」

 

「ええ。ほぼ間違いないでしょう。と言っても、2択なんですよ」

 

「それはどうして?」

 

「『クインヴェール』と『ガラードワース』は言うまでもなく、『界龍』は戦闘狂の集まりなので。

 そうすると残る2学園の『レヴォルフ』か『アルルカント』になり、そのどちらかがノーマンくんと裏で繋がっていることになります」

 

「やっぱりすごいなクローディア」

 

「生徒会長ですからこのぐらいは」

 

 

 その後、綾斗たちはレヴォルフの生徒に襲われていましたが、ブラフも兼ねているのでしょう。

 そしてまたしても謎の存在に襲撃される事態に。

 問題なくその場は切り抜けられましたので、私たちも戻ることにしました。

 そろそろこの騒動も終わらせましょうか

 

 

 

✳︎月*日

 

 

 

 余裕がありますし日記でも書きましょうか

 

 つい先ほど夜吹くんと一緒にいる綾斗を見かけたので声をかけると、ユリスがどうやら血相を変えて帰ってしまったとのこと。

 そこに綺優がちょうど来たのですが

 

 

「ユリスならさっき玄関で紙を広げたあと走って行ったけど」

 

「っ……! 綺優! どうして追いかけなかったんだ!?」

 

 

 綾斗が焦った口調でそう言いました。

 どうやら綺優はそれをユリスへのラヴレターだと勘違いしたらしく、状況を説明しました

 

 

「……ごめん。勘違いしてた」

 

「い、いや俺の方こそいきなり大声なんか出してごめんよ。

 でもどうしてユリスは何も言ってくれなかったんだろう……俺は信用されてなかったとして、綺優にも言わないなんて」

 

「それは違うと思う綾斗」

 

「え?」

 

「綺優の言う通りです。逆なんですよ綾斗。ほら前に言ったでしょ? 

 あの子は自分の手の中にものを守るのに精一杯なのだと」

 

 

 きっとその中に綾斗も入っているのでしょう。

 綺優もその中に入っているのかも知れませんが、綺優の場合だと彼に力を借りているようじゃ、星武祭(フェスタ)で勝つ事などできない、なんて考えていそうですね

 

 

「……そうか、あの時は分からなかったけど……俺行くよ!」

 

「あ、綾斗!」

 

「っ! 姉さんの剣……ありがとうクローディア!」

 

 

 綾斗はそう言い残し走り去っていきました

 

 

「……綺優、お願いしてもいいですか?」

 

「わかった。夜吹はどうする? 友人か影か」

 

「そうだな〜正直過剰戦力だと思うから友人として残りたいんだが……ねぇ〜?」

 

「夜吹くんもよろしくお願いしますね?」

 

「影の方ってことですね……会長がそう言うなら仕方ありません。りょーかいです」

 

 

 そして2人も向かってくれました。

 それにしても綾斗ったらあんなに焦って、高いところから飛び出していくなんて……少し妬けますね。

 さて、私もそろそろ私も向かうとしましょう

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「──ごめん、遅くなった」

 

 

 ユリスを捕らえ襲いかかる自動人形(パペット)を天霧綾斗が両断し救う。

 そんな天霧綾斗の登場にユリスは驚きながらも、彼を守るため1人この場へと向かった決意が意味をなさなくなったため、声を張り上げた

 

 

「綾斗!? お前なぜここに!」

 

「助けに来たんだけど?」

 

「ッ……! これは私の問題でお前にはなんの関係もない筈だ! それなのにわざわざ危険な目に遭いに来たと言うのか!?」

 

「ユリスのことは誰が守るの?」

 

 

 ユリスは自国の孤児院のため戦っている。大切な存在を守るために。

 しかしそんなユリスを守る存在はいない。

 誰がユリスを守るのか? 天霧綾斗はそこに答えを得た

 

 

「俺の為すべきことを見つけたんだ。俺はユリスの力になりたい。そのための力が俺にあるなら、ユリスに使いたいんだ」

 

「なっ!? お前何を馬鹿なこと──」

 

「──お話は終わりましたか? 天霧綾斗くん?」

 

 

 サイラスは己が操る自動人形(パペット)を伴って2人の前に立ちはだかる

 

 

「それが《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》ですか。なるほど、確かに厄介だ。ですが先ほどはたまたま不意打ちが成功しましたがそれだけじゃ私には勝てませんよ? 今度は──」

 

「──黙れ。不意打ちしかできないのはあなただろう? サイラス・ノーマン」

 

 

 綾斗から放たれた《鬼気》に襲われサイラスはたじろぎ一歩後ろに下がる。

 それが自身のプライドに触れ、彼は怒りを露わにした

 

 

「くっ。ふ、ふふ。いいでしょう。なら正々堂々私の力で、100体を超えるこの人形たちであなたを完封なきまでに叩き潰しましょう!!」

 

 

 自動人形(パペット)たちが一斉に天霧綾斗へと襲いかかる。

 全部が《煌式武装(ルークス)》を装備しており、ユリスや倒れているレスターもあまりの数に驚く。

 銃弾が襲うがユリスを抱えて天霧綾斗は避けた

 

 

「内なる剣を似て星牢を破獄し、我が虎威を──解放す!」

 

 

 天霧綾斗が自身の姉、天霧遥の《魔女(ストレガ)》の力で封印された鎖を無理矢理に断ち切る。

 それによって眩い《星辰力(プラーナ)》が溢れ出し、その可視化された奔流する《星辰力(プラーナ)》の勢いにその場にいた全員が驚いた。

 直後、天霧綾斗の姿がブレる。そして次の瞬間には数十体の自動人形(パペット)たちが一刀両断され地面へと転がる

 

 

「なっ!?」

 

「綾斗お前……いや、そんなことよりも早く私を降ろせ! 足手纏いになるつもりはない! それにその《純星煌式武装(オーガルクス)》は片手で扱える代物ではないだろ!」

 

「ごめんだけどもう少しだけこのままで居て。俺は大丈夫だからさ」

 

「だが!」

 

「それに、今ユリスを1人にしたらきっと大半の人形を使って狙ってくる」

 

「っ……!」

 

「だからもう少しだけね?」

 

「人の前で惚気るとは……いいでしょう! 我が《無慈悲なる軍団(メルツェルコープス)》の精髄をお見せ──」

 

 

 ──コツン。コツン。コツン

 

 

 突如、廃ビルの中を鳴り響く足音。

 喧騒の中に居たにも関わらず、全員が動きを止めその足音に意識を向けた

 

 

「……なぜ、なぜですか」

 

 

 その足音は力強く、聞く者全てに緊張が走る。

 絶対的強者。尋常ならざる《星辰力(プラーナ)》の気配。天霧綾斗は敵であるサイラスを憐れんだ。

 今から彼が相対するでろう相手の圧倒的な理不尽さに

 

 

「なぜあなたとあろう者が! この様な幕間劇に上がるのですか!? ──《白夜叉》!!」

 

「……喚くな」

 

「ッ!?」

 

 

 刀藤綺優から放たれる《殺気》。

 心を持たない自動人形(パペット)たちですら、それをなんらかの攻撃として感知し主であるサイラスの前に壁となり立ち塞がる。

 サイラスはそれを見て余裕を取り戻す。優秀な自動人形(パペット)たちがいるのだ。うまく立ち回れば勝てると。己ならやれると

 

 

 

「残念です《白夜叉》! あなたがそんな低俗な者達の味方をするなんて! ですが今、私側に着くと言うのであれば! そこにいる天霧綾斗を斬れば、許してあげましょう! こう見えても私はあなたのファンですので。傷つけたくはありません! ですから早くそこの──」

 

「──2回も言わせるなよ」

 

「え……?」

 

 ──チャキン

 

 

 刀が納刀される音が響く。

 100を超える自動人形(パペット)が瞬く間に斬られ至る所で破壊音が鳴り響く。

 この場にいる全員が刀藤綺優の恐ろしいまでに速い剣技に圧倒されていた

 

 

「い、今のは!? 何をした《白夜叉》ァァァァア!?」

 

「……綾斗見えたか?」

 

「うん……今のは《流星闘技(メテオアーツ)》だ」

 

「《流星闘技(メテオアーツ)》だと!? そんな馬鹿な! その筈はない! あいつが1度に放たれる斬撃は30までだった筈だ!」

 

「放った斬撃の数は、30だったよ……」

 

「いやだが! 現に今壊された人形は──」

 

「──放った斬撃に斬撃を当てて2つ、4つ、にして、増えて弾かれた斬撃たちが一斉に人形に襲ったんだ」

 

「なっ!? そんなことが可能なのか!?」

 

「俺には無理……だけどできちゃうのが綺優なんだよ」

 

 

 天霧綾斗の言った通り、刀藤綺優は《流星闘技(メテオアーツ)》で放った斬撃に、誤差でずらして放った斬撃を後からぶつけることで複数に分割させた。

 威力は当然落ちるが自動人形(パペット)を斬るには十分なものだった

 

 

「おいキノコ。お前の声は不愉快なんだ。ここは響くせいで余計に。だから静かにしろよ。誤って斬るかも知れないだろ」

 

「っ!? う、うわぁあぁぁぁぁ! わ、私を守りなさいクイーン!!」

 

 

 床を突き破り巨大な自動人形(パペット)が現れる。

 その隙にサイラスは壊れた人形を操り自身を乗せてその場から逃亡した

 

 

「綾斗、ユリス。任せてもいい?」

 

「当然!」「もちろんだ!」

 

「息ぴったり。それじゃあ頼んだ」

 

 

 刀藤綺優が残った自動人形(パペット)を相手にして、逃げ出したサイラスを天霧綾斗とユリスの2人が追いかける

 

 

「綾斗間に合うのか!?」

 

「ちょっと怪しいかも! だからユリスここで待っててほしい」

 

「言った筈だ! 足手纏いになるつもりはないと! 咲き誇れ、《極楽鳥の燈翼(ストレリーティア)》!」

 

 

 天霧綾斗の背中にユリスの力によって炎の翼が生える。

 突然浮遊したことで動揺した天霧綾斗をユリスが笑った

 

 

「心配するな! 操作は私がする! だからお前は今度こそあの性根の腐ったキノコに止めを刺せ!」

 

「腐ったキノコって……お姫様があんまりそんなこと言っちゃダメだよ」

 

 

 天霧綾斗は苦笑いしながらもこの状況を心のどこかで楽しいんでいた。

 すぐにサイラスの元に辿り着き、今度こそ終わらせるべくその剣を振り下ろす

 

 

「ま、まって!」

 

「反省するんだな。はぁぁぁぁぁあ!」

 

 

 自動人形(パペット)が斬られサイラスは叫び声を上げながら地へと落ちていった。サイラスも《星脈世代(ジェネステラ)》。これぐらいでは死にはしないことを天霧綾斗は分かっている。

 その直後、天霧綾斗の身の回りに魔法陣が浮かび上がった

 

 

「う、うわぁぁぁぁ!? ああああああああああ」

 

「綾斗!? どうした綾斗! これは《魔女(ストレガ)》の力か!?」

 

 

 魔法陣から鎖が浮かび上がり天霧綾斗の体を縛る。

 そして鎖が完全に天霧綾斗の捕縛を完成すると消えていった。

 同時に天霧綾斗は意識を失ってしまうのだった。

 そしてその頃、地上に落ちたサイラスを待ち受けていたのはクローディアと夜吹英士郎の2人。

 遅れて刀藤綺優も合流した

 

 

「あらら、随分と天霧と綺優の2人にボコられたみてぇだな。ったく、戦って勝てる訳もねぇのに。わかんねぇかな?」

 

「我が『星導館』が誇る2人の特待生を相手にしたのですから、あまりそう言わないであげてください」

 

「だってよ……って、聞こえちゃいねぇか」

 

「クローディア、こいつどうするんだ?」

 

「そうですね。『影星』に一度預けて尋問し洗いざらい吐いてもらいましょ」

 

「喋るのか?」

 

「もう、綺優。喋るか喋らないか、じゃないですよ? 喋るまでやるんです」

 

 

 笑顔を浮かべながらそう答えるクローディアに刀藤綺優と夜吹英士郎は、サイラスに今後待ち受けるであろう苦難を考え同情するのだった

 

 





最後まで読んでくださりありがとうございます!

評価の一言見れるの知りませんでした!たくさん書いてくださってて嬉しいです!ありがとうございます泣。まさかこんなに心待ちにしてくださった方がいらっしゃるとは思っていませんでした…

またいつも、そして今まで誤字脱字報告してくださった読者の皆様、ほんんんんとうに感謝です…助かっております泣


それでは次回もよろしくお願いします
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