刀藤綺凛の兄の日常記   作:綺凛*凛綺

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妹の日常記その2

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 今日は天霧先輩と決闘させて頂きました。

 兄さんとの訓練の時間の前に身体を解しておこうと思い急いでいたら、ぶつかってしまいました。

 避けようとしたのですが、天霧先輩も同じ方向に避けてしまって……私がもっと落ち着いていれば……うぅ

 

 

「いたた。えっと、刀藤さん大丈夫?」

 

「はいぃ……天霧先輩前方をちゃんと確認してなくてすみません。お怪我はありませんか?」

 

「あ、うん。俺も大丈夫だよ。えっと……ちょっと体勢を直して貰えると嬉しいんだけど」

 

「え? はうぅぅっ」

 

 

 私ははしたなく膝を広げて尻餅をついてしまい、スカートの中が見える状態になってしまいました。

 兄さんが中に短パンを履くようにと入学する際に仰ってたので、下着が見られることはなかったのですが恥ずかしかったです

 

 

「お、お見苦しい物をお見せしました」

 

「い、いやいや! 俺の方こそ気の利いた言い方できなくてごめん!」

 

「そ、そんな天霧先輩が謝る必要なんて! 私がしっかりしてれば」

 

「それいうなら俺もだよ。だからごめんね」

 

「いえ! 私が!」

「いや! 俺が!」

 

「……」

「……」

 

「っ……ふ、ふふ」

 

「あはは。何してるんだろうね俺たち」

 

 

 おかしくなって私たちは思わず笑い出してしまいました。日本人特有のあれでしたね。

 私たちは歩きながらあらためて自己紹介をしました

 

 

「えっと、改めまして俺は天霧綾斗。よろしくね刀藤さん」

 

「は、はい! すでにご存知だとは思いますが、刀藤綺凛です! よろしくお願いします天霧先輩」

 

「こうやって2人で話すのは初めてだね」

 

「はい。でも兄さんからは天霧先輩のことをよく聞いてます。すごい剣士だって」

 

「え、綺優が? 照れるなぁ。それを言ったら俺も刀藤さんのことは綺優からいっぱい話を聞いてるよ」

 

「お、お兄様からですか?」

 

「うん。いつか俺よりも、誰よりも強くなる剣客だって。自慢の妹だって嬉しそうにね」

 

 

 兄さんは……いつも私を褒めてくれます。もちろん悪いことしちゃった時は叱ってくれます。

 そんな兄が私はとても大好きで誇らしいです……ですが私はずっと兄さんと比べられてきました。

 

 刀藤綺優はもっと凄かった。《白夜叉》はもっと強かった。

 

 私なんかが兄さんと比べられるなんて烏滸がましいことは分かっております……でも、序列1位を死守するよう言われ、ずっと戦い続けてきましたが、全員が言うのです。兄はもっと凄かったのだと。

 悔しい……兄さんに劣るのがではなく、私が皆さんの期待に応えられないせいで、兄までも小言を言われることが悔しいのです

 

 

「……天霧先輩、1つワガママを言ってもよろしいでしょうか?」

 

「ん? 俺だけよければいいよ。何かな?」

 

「ありがとうございます。では……私は天霧綾斗先輩に決闘を申請します」

 

「なっ!?」

 

「受けて頂けないでしょうか?」

 

「ど、どうして決闘なんかを……俺は刀藤さんと……っ……この決闘は刀藤さんにとって意味のあるものなんだね?」

 

「はい」

 

「ふぅ……決闘を受諾する」

 

 

 私の決意が通じたのか、天霧先輩は応えてくれました

 

 

「それでは……参りますッ!」

 

「ッ……はやいっ!」

 

 

 姿勢を低くし天霧先輩の懐に入り下段から上段に振り上げた一振りを難なく避けられました。

 大抵の者がこれで終わり、続いて追撃による刺突も身体を捻り避けられました。

 更に追撃を試みたのですが天霧先輩の《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》に阻まれ距離を取ることを選択。

純星煌式武装(オーガルクス)》以外が触れれば斬られてしまうため、家宝であるこの《千羽切》を折られる訳にはいかなかった。

 今度は天霧先輩の出方を伺おうとしましたが……言ってはなんですが、雑とも捉えれる突進で無理矢理距離を詰めてきました

 

 

(焦っている……? なぜ……?)

 

 

 天霧先輩の実力は私に勝るとも劣らない物で強敵でした。

 劣勢と言うわけでもない、むしろ私の攻撃を全て見切れる動体視力に、触れることすら許されない《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》による攻撃。

 私の方が寧ろ劣勢だったのですが、勝負を早く終わらせようと詰めてきたのです。

 その焦りから生じた隙を狙い《校章》を斬り落としました

 

 

「天霧先輩……どうして」

 

「ッ! 綾斗早くこっちに来い。悪いな刀藤。こいつは連れて行く」

 

「ユリス……ごめんね刀藤さん。また時間が合えば話そう!」

 

 

 そう言い残し2人はいつの間にかできた観客の間をぬって足早に去っていきました。

 その後は兄さんと合流して、この事を報告したのですが……《千里眼》で見てみるべきだったかも知れません。

 明日もう一度、兄さんと一緒に天霧先輩の元へ訪れることにしました

 

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 

「──つまり、綾斗おまえは姉の天霧遥さんによって力を大幅に抑え込まれている状態で、全力で戦えるのが5分なのか」

 

 

 兄さんと一緒に訓練中の天霧先輩とユリス先輩に訪ねました。

 昨日の決闘のことで話を聞くと、衝撃の事実を教えていただきました。

 ただ驚いたのはこれだけじゃなくて……

 

 

「綾斗、もしかしてこの鎖ってそうなのか?」

 

 

 突如、兄さんの周りに魔法陣が浮かび上がりそこから鎖が出てきて兄さんの身体を縛っております。

 それを見た私たちは、特に天霧先輩は驚いた表情を浮かべました

 

 

「どうして綺優に姉さんの鎖が!? まさか」

 

「多分そう。5年前に仕込まれていたんだと思う……お前の姉さんやってくれるな」

 

「いや待て。そうなると綺優、貴様はオーフェリア相手に全力を出さずに勝ったと言うことか?」

 

「違うよユリス。この鎖はどうやら俺の《星辰力(プラーナ)》と完全に結びついた時に発動するように仕込まれてたんだ……それが完成して縛られたのは《王竜星武祭(リンドブルス)》が終わった後だよ」

 

「じゃあ私が度々兄さんの不調を感じていたのは……」

 

「うん。そうだよ。今の俺は全力を出せない。しかも《星辰力(プラーナ)》を使えば使うほど力が縛られて行くらしい。今じゃ1日に使える《超速再生》も2回まで。3回目からは縛りが強くなるらしいんだ」

 

「……ごめん綺優。俺の姉さんが」

 

「お前が謝ることじゃないだろ綾斗。気にしなくていいよ」

 

 

 兄さんは笑っていました……私の兄は本当に強いです。

 今まで自分が積み重ねてきた物が、他人の手によって封じられ制限される。

 研鑽を積めば積むほど弱くなって行く……かと言って何もしなければそれも……

(濡れた跡がある)

 

 私は兄さんの期待に応えなければならない……そう思いアスタリスクへ来ましたが、今は違います。

 私は兄さんの期待に応え恩返しをしたい。

 だから星武祭(フェスタ)で勝つ。勝って勝利を兄さんに捧げるのです。ありがとうって。

 きっと兄さんは喜ばないかも知れません……でも私は恩返しがしたい。

 お父さんを救わないといけなかったのは私。でも兄さんが代わりに戦って救ってくれた。

 なら私は兄に返さなければならない。期待に応え恩を返す、それが私のすべきことです

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 朝。日課のランニングをしていると天霧先輩と会いました。

 いつも走っている道が通行止めになっていた、ため変えたのですが、その先で会いました。

 せっかくなのでと朝の訓練を一緒に行おうと言うことで、今日は天霧先輩と一緒にやりました

 

 

「刀藤さんお疲れ様。朝いつも訓練してるの?」

 

「天霧先輩もお疲れ様です! はい! 朝練は欠かしてません」

 

「綺優は一緒じゃないんだね」

 

「兄さんは昔から朝に弱くて……前にお姉ちゃんとのデートに遅れて怒られてました」

 

「へー! 以外だね」

 

「なのでこうして一緒に訓練できるの嬉しかったです!」

 

「ならもし刀藤さんさえよかったら俺と朝練一緒にやらないかい?」

 

「よ、よろしいのですか!?」

 

「もちろん」

 

 

 明日からもまた天霧先輩と一緒に朝練をすることになりました。

 1人でやるのに限界を感じていたので嬉しいです! 

 兄さんにこのことを報告したら、誘ってくれれば俺が毎日付き合ってたのに、って。

 それもとても魅力的だったのですが、朝は天霧先輩と夕方は兄さんとすることで、より多くの経験が積める気がするので、別々でお願いしました。

 明日からが楽しみです

 

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 

「──え!? 兄さん《鳳凰星武祭(フェニクス)》に出るんですか!?」

 

「うん。紗夜と出ることになった」

 

「兄を借りるぞ刀藤」

 

 

 放課後になり兄と剣を交えていると、紗夜先輩がやって来て《鳳凰星武祭(フェニクス)》に向けた訓練をしようと訪ねて来ました。

 その時に初めて知ったのです。兄が星武祭(フェスタ)に出ることを

 

 

「ずるい……私だってお兄ちゃんと出たかったのに」

 

「え、そうだったの? 言ってくれれば出たのに」

 

「だってお兄ちゃんもう星武祭(フェスタ)には出ないって……」

 

「い、いや……ごめんな綺凛。そうだ……じゃあ来年の《獅鷲星武祭(グリプス)》に一緒のチームで出るか?」

 

「え!? いいの!?」

 

「もちろん。綺凛さえ良ければ」

 

「出る! 《獅鷲星武祭(グリプス)》お兄ちゃんと一緒に出る! 約束だよ!?」

 

「もちろん。でも綺凛、お兄ちゃんって呼んでいいのか? 紗夜は日本人だから日本語全部わかるぞ」

 

「あっ……」

 

「刀藤可愛いところある。お兄ちゃん大好きなんだな。私のことは紗夜って呼ぶといい。その代わり私も綺凛って呼ばせてもらう」

 

「は、はうぅ……お、お見苦しいところをお見せました紗夜先輩」

 

 

 みんなの前では絶対お兄ちゃんって呼んでるところを見られたくなかったのに……恥ずかしい。

 で、でも来年《獅鷲星武祭(グリプス)》を一緒に出る約束して貰ったからよし! 

 あと3人誰になるかな? あ! 天霧先輩と会長も同じチームだったら嬉しいなぁ。

 来年が凄く楽しみです

 

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 

 いつものように天霧先輩と一緒に朝練しているところを、何者かに襲われました。

 大きなトカゲ? みたいな可愛い造形物に襲われ、バラストエリアに一緒に落ちてしまいました。

 私は泳げないので天霧先輩に助けて頂いちゃって……情けないです

 

 

「すみません天霧先輩……私の代わりに戦って頂いて。反動がキツイ、ですよね……」

 

「い、いやいいんだよ。そ、それよりも前……ちょっと困るって言うか」

 

「え? はぅぅ」

 

 

 服が水浸しになり下着が透けてしまってて、その場で座り込んでしまいました。

 このままだと風邪を引く恐れがあるので、すごく恥ずかしかったのですが服を乾かすため脱いで……はぁ。もう本当に恥ずかしい。

 気まづい空気を変えたくて天霧先輩にどうしてアスタリスクに来たのか聞きました

 

 

「俺の為すべきことを探しにだよ」

 

「為すべきこと、ですか?」

 

「うん。それで見つけたんだ。為すべきことを、この力で守りたいって思える人を、ね」

 

「リースフェルト先輩ですか?」

 

「うん。そうだよ」

 

 

 会話はそこで終わりまた気まづい雰囲氣が流れかけたのですが、今度は天霧先輩が私に質問しました

 

 

「刀藤さんはどうしてここで戦ってるの?」

 

「……私は兄さんに恩返しがしたいんです」

 

「綺優に?」

 

「はい。5年前、私と父が居た店に強盗が入ったんです……人質捕らえられた私を助けるためにその強盗を……本当なら正当防衛だったはずなのですが」

 

「強盗は一般人でお父さんは《星脈世代(ジェネステラ)》だったってことだね」

 

「はい。私でも抜け出せたはずなのに……それが許せなくて。何よりも辛かったのは、その日、兄さんは家で休んでて何も悪くないのに自分を責めたんです」

 

 

 未だに忘れられません。兄さんが涙を流しながら自分を責めていたことを。

 

 ──綺凛ごめん。俺が一緒に居てあげなかったせいで。俺が、お兄ちゃんが守らないといけないのに。俺のせいで親父も綺凛もこんな目にあって……ごめん。弱くてごめん

 

 兄さんはその日、体調を崩してて家で休んでいました。だから何も悪くないのに……ずっと自分を責めてるのが辛かったのです。

 それから兄は変わりました。家を出て京都へ行き限界まで追い込むようになったのです。

 みんなから言われておりました。修羅のような子供だと。力に飢え取り憑かれ呪われている子供だと

 

(濡れた跡がある)

 

「そして兄は私の代わりに《王竜星武祭(リンドブルス)》で優勝してお父さんを救ってくれた……わ、私は! 私のせいで……大切な兄の時間を奪ってしまったのです……恩返しがしたい。お兄ちゃんの期待に応えたい。だからアスタリスクにやって来ました」

 

「それは違うよ刀藤さん。綺優は自分の時間を奪われたなんて考えてない。まだ会って1ヶ月ちょっとだけど綺優はそんなことを考えるお兄さんじゃないよ」

 

「はい。わかってます。お兄ちゃんは凄く優しいんです。だからこそ私にも為すべきことがあります。

 私のお兄ちゃんで居てくれてありがとう。私のために戦ってくれてありがとう。兄の期待に応え、恩を返す。それが今の私がアスタリスクで戦う理由です」

 

「刀藤さん……」

 

 

 その直後でした。上から兄が降りてくるのが分かりました。

 天霧先輩は遅れて気づいたようで一瞬構えましたが兄だと分かり気を抜きました。

 でも言っておくべきでした

 

 

「綺優! 助かったよ。助けが来なくてもう──」

 

「──おい……綾斗、お前何で綺凛と裸でいるんだ?」

 

「い、いや! 待って! これには事情があって! てか裸は語弊がある!! 下着は着てるじゃないか!?」

 

「うるさい。どんな理由だと綺凛の素肌を見ることは許されないだろ。服を脱がせるなら目をくり抜け。おまえ舐めてんの?」

 

「わ、悪かったから! そんなに怒らないで! 本当にごめんって」

 

「……次はないからな。綺凛俺の服羽織れるか?」

 

「はい兄さん。ありがとうございます。天霧先輩、言い忘れてましたが私の兄は、私のことを凄く愛してくれてるんですよ」

 

「……分かってたつもりだけど、改めて痛いくらい分かったよ」

 

 

 私のピンチに絶対に駆けつけてくれる。私を守ってくれる。大切な()。いつもありがとうお兄ちゃん。

 私決めたよ。お兄ちゃん。だから少しだけ待ってて

 

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 

 今日は2度目の天霧先輩との決闘でした。

 もう1度、今度は天霧先輩を知るためではなく、改めて私が一歩を踏み出すために必要だと思い挑戦させて頂きました。

 ただ兄はそれが疑問に思った様です

 

 

「どうして綾斗なんだ?」

 

「天霧先輩は……ここに来て為すべきことを見つけたと言いました」

 

「うん。そうみたいだね」

 

「私もそうなんです兄さん。アスタリスクに行くの正解、兄さんがいるからそう考えていました。自分のすべき事は兄さんの期待に応える事なんだと」

 

「いや、綺凛そんな必要はないって言ってるだろ。別に期待に応えようとしなくてもいいんだ。

 綺凛は十分頑張ってるし自慢の妹だよ」

 

「えへへ。分かってますよ。でも見つけちゃったんです為すべきことを! 私がしたいって思えることを」

 

「……そっか。それがなんなのか聞いてもいい?」

 

「え、えっとその……ま、まだ内緒です!」

 

「わかった。じゃあ待ってるよ」

 

 

 兄さんが私の頭を撫でて下さりました。凄く気持ちよくて、兄さんに頭を撫でて貰える時がとても幸せです

 

 

「ここに来て為すべきことを見つけた綾斗。そして綺凛も同じ。だから綾斗に挑むってことか?」

 

「それとお互いに年上の姉、兄を持っているからっていう共通点もあるので……おかしいですか?」

 

「いいや。何もおかしくないよ。綺凛がそう思ったならそうするべきだよ」

 

「……兄さんは昔から私を否定しませんよね。やってみるべきだって」

 

「勿論。綺凛が考えて出した答えなら試してみるべきだ。やる前から違うって決めつけるのは誰でもできる。やって見てから決める。知る。また考える。

 そうやって綺凛がしたいことをして、成長してくれたら俺は満足だよ」

 

「っ……はい!」

 

「よし。やるからには勝ってくるんだ! 《疾風刃雷》刀藤綺凛、刀藤流次期当主として恥じない戦いを。全力で挑みなさい」

 

「行って来ます」

 

 

 兄さんに最後の一押しをしていただきステージへ上がりました。

 既に綾斗先輩は準備万端、いつでも始められるという状態でした。

 決闘前に少し言葉を交わしたあと、位置につきます。

 そして試合開始の合図と同時に、私たちは獲物を抜き交えました

 

 

『えー、こほん。今回、刀藤綺凛さんと天霧綾斗くんの決闘の実況をする生徒会長のクローディアです。そして……やっと来ましたね。こちらは』

 

『はぁはぁ、ふぅ。遅れてすみません。副会長をやらせて頂いている刀藤綺優です』

 

『さて、副会長。この勝負はどう見てますか?』

 

『どちらが勝ってもおかしくはありません。ただ今回の場合……天霧綾斗くんに分があると思っています』

 

 

 兄さんの言う通りかも知れません。

 私は今回の決闘、天霧先輩のリミットである5分以内に決着をつけるつもりで挑みました。

 刀藤流は本来、短期決着ではなく相手に隙ができるまで攻め続け、崩すのが主流です。

 今まで自分と同格以上の剣客を相手に、短期決着を試みた事がないので戦術の組み立てが難しかったです

 

 

「刀藤さん……っ! なんか悪いね! ふぅ。俺の土俵に合わせて貰っちゃって」

 

「いえ。全力の天霧先輩に勝ってこそ意味があると思ってますから……引き続き参ります!」

 

 

 今回天霧先輩は《黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)》ではなくて《煌式武装(ルークス)》を使っての対戦でした。

 理由は私の展開の速度について行くためとのことでした

 

 

「くっ! さすが、だね!」

 

「はぁぁ! ッ!? 分かっては居ましたが《星辰力(プラーナ)》量がとてつもないです。まるで鋼を突いたかの様でした」

 

「君のお兄さんと比べられたら微々たるものだけど、ね!!」

 

「ご謙遜を。それに《連鶴》をここまで受け切る人も兄以外で初めてです!」

 

「言っちゃなんだけど綺優の《連鶴》の方がもっと鋭かったからそのおかげだよ! 普段から見てるからね」

 

「兄の《連鶴》をですか? なら、もう1段階《連鶴》を上げても良さそうですねッ!」

 

「ッ……! これ、は! 綺優と同じ!?」

 

 

 普段兄さんが使う《連鶴》は《千里眼》を併用した先読みを混ぜた《連鶴・改》です。そこに《識》が加わると《連鶴》の到達点、《連鶴・極》に。

 しかし疲労が凄まじいため《連鶴・改》でとどめていると聞きました。

 私自身、まだ《千里眼》を併用しての《連鶴・改》には慣れてないため数分がやっとのとこ。条件的に言えば天霧先輩と同じでした

 

 ──このまま押し切れる! 

 

 そう思った時でした。《流星闘技(メテオアーツ)》の不発を利用して手にしていた《煌式武装(ルークス)》を破損させて煙幕を展開されました。

 そしてその煙の中から槍の《煌式武装(ルークス)》による攻撃をされます

 

 

「槍術!?」

 

「天霧辰明流・槍術・壬雲蜂! 少しは驚いて貰えたかな!」

 

「はい! ですが奇策は奇策。全てこの《連鶴・改》で斬り捨てます!」

 

「奇策は重ねてこその奇策だよ!」

 

「槍を手放した!?」

 

「天霧辰明流・小太刀術! 士茅薙!」

 

「……! 見え、てますっ!」

 

 

 剣を受け流そうとしましたが視えていた私は逆に利用し、捻りを加え天霧先輩の小太刀を受け流しました。

 勝ったと確信したその瞬間でした

 

 

「天霧辰明流・組討術・刳輪祓!!」

 

 

 右腕と首を掴まれそのままステージへと叩きつけられ、そのまま掌底で校章を破壊され負けてしまいました。

 槍も小太刀も全てが囮、完全に天霧先輩のペースで決闘を展開されてしまい完敗。

 でもやり切ったので晴れやか気持ちです

 

 

「大丈夫かい? 刀藤さん」

 

「はい……全て天霧先輩の思惑通りに進められちゃいました」

 

「そんな事ないよ。刀藤さんは本当に強かった。悔しいけど純粋な剣技だけの勝負じゃ俺は勝てないと判断したんだ。剣客としては完敗さ」

 

「あ、ありがとうございます……でも私のセリフです。参りました。完敗です」

 

 

 試合時間は約3分。今思えばあと2分猶予がありましたからもう少し余裕を持っても良かったかも知れません。反省ですね。

 一度お互いの控え室へと戻りました。少し休んでいると兄さんと会長が来てくださりました

 

 

「お疲れ様綺凛。いい勝負だったな」

 

「刀藤さんお疲れ様でした。かっこよかったですよ」

 

「兄さん会長……ありがとうございます。でもごめんなさい。兄さんから3ヶ月、預けて頂いた序列1位を最後の最後で守りきれませんでした」

 

 

 本当は来月になって兄さんに1位の座を返した後に、天霧先輩と戦っても良かったですが、こっちの方が緊張感があり私のためにもなると思ってやりました。それに

 

 

「あー、うん。そう言えばそんなことも言ってたね。でも気にしなくていいよ」

 

「……兄さんならそう言ってくれますよね」

 

「うん。だって別に序列が全てじゃないからね」

 

 

 兄なら気にしないと思いました。

 兄さんが序列にこだわっていない事は分かっておりましたから

 

 

「兄さん、1つわがままを言ってもいいですか?」

 

「なんだ?」

 

「そ、その……来年の《獅鷲星武祭(グリプス)》に天霧先輩を誘ってもよろしいでしょうか!? も、もちろん天霧先輩が参加するかどうかは分かりませんが誘うだけでも!」

 

「……」

 

 

 すっっっごい嫌そうな顔をしているお兄ちゃん……すると隣にいた会長も口添えして下さりました

 

 

「いいですね! 私も混ぜて頂いてもよろしいですか?」

 

「え!? 会長も参加してくださるんですか!? 嬉しいです!」

 

「クローディアはいいけど……綾斗かぁ」

 

「む。綺優、綾斗のどこがご不満なんですか?」

 

「いや、綺凛の近くに男を置きたくないからさ。5人でしょ? ならあと2人はユリスと紗夜でよくない?」

 

 

 すると会長が真剣な顔つきになって佇まいを直しました

 

 

「……《獅鷲星武祭(グリプス)》のことで皆さんに言わなければならない事があります」

 

「「……?」」

 

「明日にはアスタリスクは勿論、世界中全土で《獅鷲星武祭(グリプス)》のことで発表があります」

 

 

 結局それは話してくれませんでした。

 明日には知れるとのことで楽しみに待つようにと。

 兄さんと顔を合わせなんだろうかな? と思っていると

 

 

『刀藤さん、入ってもいいかな? ユリスと紗夜もいるんだけどもし良かったら一緒に』

 

 

 部屋の外から天霧先輩にそう声をかけられました。

 兄さんと会長に確認したら構わないとのことでしたので、3人を部屋の中へ入れました。

 改めてお互いにいい試合だった労い、今後また一緒に訓練をしようとのお誘いでした。

 私としても嬉しかったので頷いたのですが、話が全部終わったあと

 

 

「おい綾斗」

 

「まってまって!? 綺優本当にごめん! 悪気はなかったんだ!」

 

「へ〜? 心当たり、あるんだな?」

 

「最後の刀藤さんへの攻撃のことだよね!? あれは本当に不可抗力というか、あれしか勝ち筋がなかったんだよ!!」

 

「……この間は綺凛の服をひん剥いて下着姿にして、今日は綺凛の胸を堂々と触ってその言い訳か?」

 

 

「なに!? 綾斗!!」「なっ!? 綾斗!!」

 

 

 リースフェルトさんと紗夜さんが同時に声を上げました

 

 

「説明を求む綾斗。リースフェルトと綺凛の胸を揉んで、私の胸を揉まないのはなぜ?」

 

「そうだ綾斗……って沙々宮きさま!? 何を言っている!?」

 

「リースフェルト一々うるさい。なし崩し的にでもここは胸を揉ませるべき」

 

「それは横暴だばかたれが!!」

 

 

 リースフェルト先輩の叫びに私と兄さん、会長の3人は笑い天霧先輩は困った表情を浮かべておりました。

 

 長くなりましたがこれで今日の日記はおしまいです。

 また明日から私の為すべきことのため頑張ろう

 

 

 

 

⚡︎月*日

 

 

 

 

『──よって、来年度の《獅鷲星武祭(グリプス)》から参加する1チームのメンバーを5人から6人へと引き上げます』

 

 

 昨日会長が言っていたのはこれだったんですね。

 前年度の《獅鷲星武祭(グリプス)》を優勝したアーネスト・フェアクロフさんが、星武祭(フェスタ)を優勝した際の望みとして、次からの《獅鷲星武祭(グリプス)》に参加するチームメンバーの人数を引き上げさせることを頼み、来年度から5人ではなく6人での参加になります。

 

 となると、兄さんと私と会長、そして天霧先輩に兄さんが仰ってたリースフェルト先輩と紗夜先輩の6人になるのでしょうか? 

 ……考えるだけでわくわくしてきました

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

『──おい、綺凛に手、出したな。このカメラ撮ってるんだろ? アルルカントしかいないよなあんな生物作り出すの。

 前言撤回だ。俺も《鳳凰星武祭(フェニクス)》に出る。ご自慢の無駄な労力のかかったガラクタ出してこいよ。八つ裂きにしてスクラップにしてやるから』

 

 

 そこで映像は途切れている。

 この動画は刀藤綺凛と天霧綾斗が朝の訓練としてランニングをしている時に、バラストエリアへと落ちた時のものだ。

 そしてその2人を探しに来ていた刀藤綺優も襲撃に合い、辺りを探ったところカメラを見つけた。

 そして先程のメッセージを残す。

 それを見たエルネスタとカミラは、動画に映った刀藤綺優を睨んだ

 

 

「上等じゃん《白夜叉》。返り討ちにしてぶっ潰してあげるよ」

 

「ああ。どこまでも舐めたやつだ。後悔させてやる」

 

 

 エルネスタとカミラは刀藤綺優という人物を分かっていた気でいた。

 しかしそれは彼女たちの勘違いであり何も分かってなどいなかったのだ。

 彼女たちは触れてしまった。刀藤綺優が最も大切にしてる2人の存在の1人に。

 そして《鳳凰星武祭(フェニクス)》で思い知ることになる。刀藤綺優の怒りを

 





最後まで読んでいただきありがとうございました。

これにて原作2巻、終了です……駆け足すぎますかね?(遠い目)
いやでも自分の性格上、ぜっっっったい失踪する。だってもう3回目のやり直しですから泣。なのでモチベがある内に駆け抜けたいんです!進めるところまで進めたいんです!泣

長くなりましたが今回もありがとうございました。
そしてそして!感想と誤字脱字報告、ほんんんとうにありがとうございます!励みになります〜泣

また次回もよろしくお願いします!
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天剣へと至る愚者(作者:一般通過害悪)(原作:無職転生)

ルーデウス・グレイラットの双子の弟は転生者である。▼後世には『天剣』として伝えられることになる。▼これは、彼が生前に書いた日記を辿っていく物語。▼※アンチ・ヘイトとクロスオーバーは念の為。


総合評価:3169/評価:8.27/連載:9話/更新日時:2026年08月08日(土) 21:40 小説情報

アストレア家の長女(作者:slo-pe)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

▼ラインハルトに二つ上のお姉ちゃんがいたら。▼平和なアストレア家になってほしいなぁと。▼pixiv▼https://www.pixiv.net/novel/series/15971207▼


総合評価:2737/評価:8.64/連載:28話/更新日時:2026年08月13日(木) 15:00 小説情報


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