シュビアがシルヴィアだった。
何を書いてるのか理解できないかもだけど、俺は勘違いをしていた。
シュビアの
シルヴィアの護衛を始めてから約20日が経った。
そんな今日、あのドク・ズーデスがシルヴィアを拉致監禁、そしてあろうことか俺の実家を襲いやがった。
あんなカスを落ちるところまで泳がせていた統合企業財体には少し怒りを覚える。
オーフェリアが俺の電話番号をなぜか知っていて、シルヴィアを連れて行かれるところを目撃し、それを教えてくれた。
前回いきなり襲ってきたのは許そうと思う。
……本題はシルヴィアとの関係だ。
彼女はいつか世界的アイドルになる存在。俺なんかが近くにいるといつか必ず負担をかけることになる。
なら、取る手段は1つだけ……だよな
(握りつぶされた跡がある)
……よし、日記書くか。
ちょっと長くなるけど……今日あったことはちゃんと書かなくちゃダメだ。
きっと今日の俺はやっと1歩を踏み出せた気がするから
俺はシルヴィアの護衛を辞めることにした。
表向きの理由は実家が危険な目にあったため、統合企業財体が信用できなくなったから。
クローディアの母親である、イザベラさんは特別にこれを許可。違約金も無しとのこと。
その代わりドク・ズーデスの件は水に流せってことなんだろう。
「綺優、本当に宜しいのですか?」
生徒会室で久しぶりにクローディアに英語の勉強に付き合ってもらっていると、そう聞かれた。
何を? なんて聞かなくても分かった。シルヴィアのことだ
「シルヴィアはアイドルでしょ。友達だからって俺が近くにいるのは色々まずいって」
「だから距離を置くと?」
「そう。それがいいよ」
「本当にあなたと言う人物は自分勝手な人ですね」
「……好きに言ってくれ」
「ええ。そうさせてもらいます。シルヴィアのことを勝手に勘違いして、彼女が離れてくれなんて頼んだないのに彼女ためだと言いながら、離れようとする。そんなこと一言も言われてないのに」
この時、クローディアの言葉はやけに心に重くのしかかった
「私からすればいい迷惑ですよ。今まで仲良くしてくれてたのに、いきなりあなたと私は住む世界が違うので距離をおきますね〜さようなら。なんて」
シルヴィアの姿が浮かんだ。いつも楽しそうに笑っていて、美味しそうに食べていて、目を輝かせてはしゃぐ彼女の姿が
「そんなにあなたから見えるシルヴィアはバカですか?」
「……は?」
「だってそうでしょ? あなたの言い分はつまり、シルヴィアは自分の危機管理ができないバカだから俺がしてやる……違うのですか?」
「クローディア、話を過大解釈しすぎだ」
「どう解釈するか私の自由ですが……確かにその通りですね。流石に言いすぎました。ですがシルヴィアはあなたの選択に酷く心に傷を負ったでしょうね」
「……」
「あなたが最後に見たシルヴィアは、どんな表情を浮かべておりましたか?」
「っ……!!」
泣いていた。涙を流していた。
いつも嬉しそうに、楽しそうに、幸せそうに、笑顔を浮かべていたシルヴィアが泣いていたんだ
「綺優、怖いのでしょう?」
「……」
「本当は気づいていたけど否定していたのではありませんか? シュビアとシルヴィアが同一人物であると」
「……」
「でも気づかないふりをして自分を誤魔化していたのではありませんか? 彼女がシルヴィアと知った時、距離ができてしまうかもしれないと。だから自分から距離をとって誤魔化しているのではありませんか?」
「……違う。違うんだクローディア」
シュビアとシルヴィアが同じ存在……そう疑う、いいや気づきそうになったことは何度かあった。
でも知らないふりをした。
シルヴィアが変装している時はただの女の子で、彼女も1人の普通の女の子として、友人として接してほしいことが求めていたのが分かっていたから。
そう俺は怖かった。
もしシルヴィアが俺のせいで誰かに襲われたら?
彼女はアイドルなんだ。恋人じゃなくても親しい男性がいるとファンにバレたらどうなる?
考えたくもない。親父の時のようにまた大切な人を守れない。犠牲にしてしまう。自分のせいで
でも離れたくなくて……気づいてないふりをしてた。クローディアの言う通り本当に自分勝手なやつだ
「それが嫌なんだ……クローディアの言う通りだよ。俺は怖い。シルヴィアが俺のせいで傷つくのが……また大事な人を守れない自分が嫌なんだ」
「……なら守ればいいじゃないですか。今度こそあなたがその手で」
「……俺なんかが彼女を守る資格はないよ」
「はぁ……だそうですよ? あなたはどう思いますか? 入って来てくださいシルヴィア」
「え……?」
クローディアの扉の向こうにそう声をかけると、ゆっくりと扉が開く。
すると扉の向こう側からペトラさんとシルヴィアの姿が現れた。
ペトラさんは外にいると言い、シルヴィアは遠慮がちに部屋へと入ってくる
「……綺優、私のこと嫌いになってないの?」
「えっ。嫌いになる理由なんてない、けど」
「だってずっと……正体を隠してたから。誤魔化してから……嘘をついてたんだから」
「いや全然。寧ろもっと早く気づいてあげれなくてごめん……言い出し辛かったよね」
「うん……正直」
ぎこちなく笑うシルヴィア。違う。そんな顔にさせたい訳じゃない。
重い空気が場に漂う。クローディアはため息を吐き、2人だけにするからと部屋を出ていった。
俺は正直に話した。さっきクローディアに話したことを。シルヴィアに。
俺にとってシルヴィアはもうかけがえのない大切な友人で、大事な存在だと言うことを
「うん……嬉しいよ綺優。本当に嬉しい。私も綺優のことが大事。だからね……すごく怖かったんだよ?」
「……そっか」
「そうだよ。綺優ってば前に聞いた時、距離を取るとか言うんだもん。私別にそんなこと望んでないのになんで? って」
「……ごめん」
「だから綺優に本当のことを話すのが怖くなった。綺優も私から離れていくなんて絶対に嫌だったから。そしたらこんなことになって……もう訳わかんないよ」
「……」
「綺優、お願い私から離れないで……ずっと一緒に居てよ」
シルヴィアはまた涙を流していた。
俺は本当に最低なやつだ。大事な友達を、それも女の子を泣かせているんだから。それも2度目。
今思えばすごく大胆だったと思う……俺はシルヴィアを抱き寄せた。綺凛にする時のように
「シルヴィアはごめん。本当にごめん。もう勝手なことはしない。ちゃんと君と話し合う……だから許してほしい。もう君を絶対に傷つけないから」
「……シルヴィ」
「えっ……?」
「これから私のことシルヴィって呼んでくれるなら許してあげる」
「……分かった。シルヴィ」
「……うん! よし! これで仲直り! 綺優、私もごめんね! これから私たちちゃんと話し合っていこ? もう抱え込むのは無し! いいね?」
シルヴィアは……シルヴィは本当に凄い存在だ。
俺が怖くて踏み出せない一歩を彼女は踏み出せる。俺の手を引いて、踏み出す勇気をくれる。色んな人の気持ちを明るくしてくれる、とても魅力的な女性で1人の人間として尊敬できる方だ。
この時俺は決意した
「──シルヴィ、俺がアスタリスクに来た理由。
「うん。聞かせて?」
以前はシルヴィに濁したこと。話せなかったこと。
それを全部話した。自分が不甲斐ないせいで、綺凛と俺を守るために父親が犠牲になったこと。
親父を救うために、アスタリスクにやって来たことを。
そして──
「──シルヴィ、2年だけ待って欲しい」
「え……?」
「《
「い、いやちょっと……ま、参ったな。えぇ? も、もしかしたら私誤解しちゃってないかな? 綺優ダメだよそんな思わせなこと言ったら。せっかく仲直りしたのにまた──」
「──シルヴィ。俺は君を尊敬している。君に惹かれている。1人の人間として、そして1人の異性として」
「っ……いいの? 私、その気になっちゃっても?」
俺は頷いた。するとシルヴィは一度帽子で深く自身の顔を隠すと、落ち着いてからいつもの明るい笑顔を浮かべてこう言った
「2年後私も《
「そういえば……」
「あれ本当だから。綺優、私のこと知ってるよね? あんまり遅いとこっちから迎えいにいくんだから。なるべく早くね?」
「……はは。いや《
「まーたそうやって! いいの! こっちの方がロマンチックでしょ!」
俺たちはおかしくなって2人で笑い出した。
すると外からクローディアとペトラさんが入って来て、ペトラさんは目尻を指で押さえていた
「綺優。あなたは本当に13歳の子供ですか? 見た目も言っていることも、とても中等部の子供には見えませんよ」
どうやら中で話していたことは外にダダ漏れだったようで、全部聞かれているみたいだった。
それがすごく恥ずかしくなって、俺もシルヴィも顔が赤くなる
「綺優……最後の最後で日和ましたね。ヘタレ」
俺はまだ13歳だ。冷静に考えて欲しい。女性の扱い方なんて知らない
「──え、嘘? そうなの?」
「そうですよ。もちろん居ないことに越したことはありませんが、問題はないです。嘘だと思うならもう一度契約書を見直してみてください」
俺とクローディアが話している間、シルヴィとペトラさんも何か話していたみたいだ。
内容はよく分からない……というより何も分からない。
なんとなく聞いたらダメにやる気がした。
それと護衛の件だけど、一度解約したためまた復帰するのは難しいとのこと。
ここでペトラさんが個人的に雇ってもいいけど、それはそれで統合企業財体の中で色々と問題になるかもしれないらしいので、辞めた以上、復帰は無理そうだ。
遠くから見守ろうと思う。警備も《
ひとまずこうして騒動は終わった
ふぅ……いや日記長すぎだろ
俺悪く無いのに……
冬休みが始まった。
本来なら今日から実家に帰る予定だったけど、明日までシルヴィの護衛の予定で明後日の26日から実家に帰る便に変更している。
その護衛もやめてしまったので、暇人になったわけだけど……もっと自分を鍛えることにした。
《
「……ふぅ」
今まで刀藤流を対人戦では封印して来た。
理由は俺は後継者でないから。
刀藤の産まれの剣士でありながら、刀藤流を継がない俺にその資格は無いと思っていた。
でも叔母様は気にするなと言ってくれた。絶対に負けられない理由が増えた。
強くならなければならない理由も増えた
「絶対に勝つ」
俺が使える全ての手段を使って勝つ。
まず今俺に必要なのは《
刀藤流剣術、《
「刀藤流は正直あとは練度の問題だから《
前回は込めすぎて訓練場を壊してしまった(正直あれは訓練場の管理ミスだと思う)
だから今回は6割ぐらいで抑える。少し調整を間違えるだけで暴発する恐れがあるから集中。
そして極限までに集中力が高まり《
──Prrrrrrrrrr
訓練場に備え付けてある電話が鳴った。
それに一瞬を気をとらわれてしまった俺は、最後の最後で力を込めすぎてしまった──その結果
──────ー
轟音が鳴り響く。
床がえぐれ、地面が捲り上がり、崩壊してしまった。
前回みたいに天井が崩れたり、壁を破壊することはなかったけど、これはこれで大惨事だ。
とりあえず俺は──
「──もしもし? クローディア? あのさ、訓練場が壊れた」
電話が鳴ってたので電話に出て、クローディアに訓練場が壊れたことを伝えた
訓練場の片付けをクローディアに命じられた。
「あなたが壊したのですから、片付けぐらいやってください。片すのも直すのもタダじゃないんですからね?」
今は業者も休みで年明け後に来てくれるらしい。
休むの早すぎ。海外だとこれが普通なのか?
てか訓練場が崩れた原因はいきなり電話をかけてきたクローディアにも非があると思うんだけど……美人の無言の笑顔は怖いから言わなかった。
片付けを(俺1人が)しながら、シルヴィのライブを見た。
メインではない前座の立ち位置だったため、早めのプログラムだったけど、シルヴィのライブは凄かった。
きっとそう思ったのは俺だけじゃ無いはずだ。
このライブが終わったらきっと多くの人がシルヴィを使いたいと思うだろうな。
俺も頑張らなくちゃ
「──ハーイ、綺優。着いて来ちゃった」
空港に行くとシルヴィが居た。もちろん変装して。
どうやら俺の実家に行ってみたいらしい
「綺優は5日までいるんだよね? 私は3日には先に帰る予定なんだよね〜」
「え、本当に着いてくるの? 宿は?」
「ん? 綺優の家で泊まるつもりだけど」
「待って。それは流石に家の人に聞かないと──」
「大丈夫、もう許可もらってるよ」
……行動力……。
もう既に話は通してあったみたいで、家に帰ると完全にお迎えムード。
マジで話し通してあったんだな……
「え、綺優あの子誰? もしかして綺優の妹?」
「綺凛。おいで」
「は、はい!」
人見知りの綺凛は襖からこちらを覗いてて、呼ぶと俺の隣まで来て俺の右腕を掴んだ(可愛い)
そしてシルヴィに軽く会釈し挨拶をした(超可愛い)
「は、初めてましてです! お、お兄様の妹、刀藤綺凛です! よろしくお願いします!」
「──いい」
「え、えっ?」
「かわいい!」
「はうっ」
シルヴィは保護欲に駆られたようで綺凛を抱き寄せた(まじ可愛い)。
綺凛が可愛いのは純前たる事実なため、今更再確認するのも無いが(ハイパー可愛い)。
こうして綺凛を可愛いって言ってもらえると嬉しくなる(最強に可愛い)。
綺凛はされるがままにシルヴィに撫でられていた(無敵に可愛い)。
今は2人で一緒に大浴場のお風呂に入っている。シルヴィも色々あったから、うちで息抜きができるといいな。
それと叔母様から聞いたけど、どうやら来年から師匠──沖田総司がアスタリスクへ、《
また時間があれば稽古をつけて欲しい。
師匠との稽古が懐かしいな。また腕の2本や3本、切り落とされるかな? もしかしたらお腹にまた風穴を開けられるかも……重傷を負わずに稽古を終えれるよう頑張ろう。
さてと、2人がお風呂から出て来たようなので俺もお風呂に行ってくるか
最後まで読んでくださりありがとうございました!
前作ではシルヴィの誤解が解けるまでに12話も使っていた記憶です()
しかも原作前編を20話近く使った記憶…今回は10話〜15話以内で原作に入れるように頑張ります
活動報告の方でも色々お伝えできればと思います
またよろしくお願いします