貞操観念逆転世界で100日童貞を守る   作:奈落ナド

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12日目

 

「それじゃあ、乾杯!!」

「乾杯ー」

「乾杯」

 

4月24日金曜日。約束通り本日は安藤と前原との飲み会だ。

学校を終えた後、暗くなるまで時間を潰し指定された居酒屋へとやってきた。

 

「こうやって三人で飲むのも新鮮だな」

「私は今日を楽しみにしてたよ!」

「まぁ、あたしも」

 

安藤と二人きりとなると幾ばくかの不安も残るが、三人となれば大丈夫かな。

 

「今日の講義難しかったね」

「あぁ、しっかり聞いておかないと」

「試験も不安になるよ」

 

届いた料理をつまみながら雑談をする。

 

「あっ、萩野君ビール空になってるね、次頼む?」

「頼むわ」

 

今日は暑かったためにビールが進む。

 

 

 

「それにしても・・・」

「ん?」

 

ビールを何杯か飲んだ頃に安藤が切り出した。

 

「萩野君ってずいぶんと可愛い子達と仲良いんだね」

「それはあたしも驚いた」

「まー成り行きでな」

「へー成り行きで・・・」

「気になるか?」

「気になるよ!この前はびっくりしたもん!」

「確かにあの日は俺も驚いた」

「萩野って学科では静かだし、こう言っちゃあれだけどあんまり知り合いも少ないかと思っていた」

 

前原がなかなかにぐさりとくることを言ってきた。

 

「確かにあんまり目立つような事はしないつもりだし、事実あの人たち以外の知り合いはほぼいないからな」

「みんな可愛い子ばっかりだったしさー」

 

どうやら安藤はその事実があまりお気に召していないようだ。

 

「でもあの時は率先して発言してくれたじゃん」

「それは・・・あの場で空気壊すのもって思って」

「そこはまぁ朱莉らしいよな」

「でもでも!内心ではヒヤヒヤもんだったんだよ!」

 

そう言いながら安藤もグラスを空にする。

さっきから飲むペースが速くなっていないか?

 

「萩野はさ?自分がモテてるって自覚ある?」

「・・・多少は」

「ならさ、立ち回りも考えた方がいいかもね」

「ってもなー、俺恋愛とか苦手でさ、自分でもどうすればいいのか分からない事が多いんだよな」

「へー、それは意外だね」

「複数の好意に対して今はまだ混乱してるよ」

 

俺も酒が進んで口が軽くなっているのを感じる。

 

「それなら!」

「どうした朱莉?」

「ささっと一人を決めちゃえばいいんだよ」

「その一人が決められないから悩んでいるんだよ」

「・・・私」

「ん?」

「私じゃダメかな?」

「・・・」

 

酔いが一瞬で覚める感覚がした。

 

「確かに他の子もみんな魅力的だったよ?でも私だって負けてないと思う」

「おい朱莉!」

「それに私は誰よりも萩野君のこと好きだって思うよ」

「・・・」

「私を選んでくれたら、きっと幸せになれるよ」

「・・・」

「ねぇ、この後二人きりにならない?」

「朱莉!!」

「なに?」

「流石にそれはやりすぎじゃない?」

「これは私と萩野君の問題なの、ひかりは関係ないでしょ」

「・・・っ!」

「それとも、ひかりも萩野君を私に取られたくないの?」

「・・・ああ」

「へー」

「あたしも、萩野を自分の物にしたいと思ってる」

「だと思った」

 

・・・

あの、助けてください。

さっきまで楽しく飲んでいたはずなのに急にギスギスが始まったんですが。

正直この状況に耐えられなさそう・・・

 

「なぁ、その話はまた今度にして今は楽しく飲まないか?」

「「ダメ」」

「・・・はい」

 

撃沈。

 

「萩野君、私を選んで。なんだってするよ?」

「あたしを選べ、悪いようにはしない」

 

えっ?ここで選ばなくちゃいけないの??

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」

 

周りは騒がしいはずなのにここだけ静かだった。

 

「・・・俺は」

 

結局俺が決めないとダメなのか。

 

「二人の気持ちは嬉しいよ。でも、今は決められない。」

「・・・」

「前も言ったかも知れないが、誰か一人に決めることはしない。贅沢な事だとは思うが今はまだ皆との交流を深めたいと思っている。それは勿論二人ともだ」

「・・・」

「だけど、いつか必ず決着はつける。だからそれまで待っていてくれないか」

「・・・」

「はぁー、分かった。萩野君が決めるのを待っているよ」

「あたしも待つよ」

「二人ともありがとう・・・」

「でもね、私を選んでくれるよう沢山アピールするからね!」

「待つだけはしないから」

 

とりあえずこの場をやり過ごすことはできて良かった・・・

 

「さて、せっかくの機会だし楽しくやろうぜ!」

「そうだね!あっでも!」

 

何かを閃いた安藤は対面の席から俺の隣の席へと移り身を寄せてきた。

 

「こうやったら萩野君もドキドキするよね?」

「・・・はい」

 

安藤のやつめ、相変わらず手強いぜ・・・!!

 

「ひかりはいいの?」

「あたしも!!」

 

今度は反対の席に前原が座ってきた。

 

「ふふ、萩野君両手に花だね」

「・・・悪い気はしないよ」

 

その後は特に問題もなく楽しく話しながら飲むことが出来た。

両隣からは良い匂いと柔らかさを感じ終始ドキドキしっぱなしだった。

 

 

 

「今日はありがとう、楽しかったよ」

「私の方こそありがとう!」

「あたしも、ありがとうな」

 

そして会もお開きになり解散の時。

 

「じゃあ俺はこれで」

 

別れのあいさつをして家の方に帰ろうとした時

 

「萩野君!」

「ん!?」

 

安藤が思いきり抱きついてきた。

一瞬思考が停止した。

 

「朱莉ー!」

「えへへ、アピール成功!」

「あわわ」

 

急なハグに心臓はバクバクしっぱなしだ。

 

「じゃあまたね、萩野君!!」

「待て朱莉!」

 

そして二人は去って行った。

 

色々あった飲み会だったが、最後にしてやられた。

安藤、やはり手強い女だ。

 

 

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