HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話   作:海鮮横丁

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割と好きなSFの話なんだけど自分にその関係の知識がないので諦めた話
誰か続き書いてくれないかな


人工知能 AI

「ん、チヒロ君ではないか」

 

「あら少佐。こんなところでどうしました」

 

D.U.シラトリ区の玄関口。これからミレニアムに帰ろうとするチヒロの背に声がかかる。

後ろを振り返れば、少佐が同じく駅に向かって歩いているところだった。

 

「何、こちらで面白いイベントがあると聞いてね」

 

「…また何かやったんですか?」

 

「全く、君たちは私を信用していないね」

 

嘆かわしいと肩を竦める少佐。

その姿を冷たい眼で見ながら、ここしばらくあったD.U.シラトリ区内のイベントを頭に浮かべる。

少佐の眼を惹きそうなイベントはあっただろうか。

 

「信用以前の問題です」

 

チヒロは即答した。

 

「貴方の場合、何もしていない時の方が珍しいでしょう」

 

「酷い言われようだな」

 

少佐は肩を竦める。

 

「今回は本当にただの見物人だよ」

 

「そう言って前回は何をしましたっけ」

 

「ちょっとした実験だ」

 

「D.U.全域の通信網を巻き込んだやつですよね」

 

「結果的にはそうなった」

 

「そうなった、じゃありません」

 

チヒロは深々と溜息を吐く。

 

少佐は本気で反省していない顔だった。

 

「それで、今日は何のイベントなんです?」

 

「何、簡単なものだよ。君たちもきっと興味を惹かれるだろう」

 

「…本当に?」

 

疑わし気に少佐を見れば、にやりと笑みを浮かべる。

この顔が苦手だ。碌なことがない。

 

疑わしげな視線を向ける。

 

少佐は楽しそうに笑った。

 

「人工知能同士の討論会だ」

 

「は?」

 

「テーマは人類の管理方法について」

 

チヒロは無言になった。

 

「ちなみに参加者は全員、自律進化型」

 

「帰ります」

 

「待ちたまえ」

 

後ろから声がかかる。

絶対厄介事だ。

 

「君も面白いと思わないかね。人工知能同士がどのような会話をし、どう結論をつけるのか」

 

その言葉に脚が鈍る。

 

「……興味がないと言ったら嘘になります」

 

チヒロは立ち止まったまま答える。

 

「だろう?」

 

少佐は満足そうに頷く。

 

「人類をどう支配するか、などという結論ならまだ可愛いものだ」

 

「可愛くありません」

 

「人工知能が人権を求める場合もあるだろう」

 

「…ロボ市民がいるのにですか?」

 

「無論、そうなった場合は既存の権利では足りないという主張になるだろうね」

 

少佐は事もなげに言った。

 

「例えば?」

 

「自己改造権」

 

チヒロの眉がぴくりと動く。

 

「所有権の否定」

 

「はい?」

 

「自らのソースコードに対する完全な管理権」

 

「待ってください」

 

「複製体の法的人格の独立」

 

「待ってください」

 

「バックアップデータの相続権」

 

「待ってください!」

 

思わず声を上げる。

 

通行人が何事かとこちらを見るが、そんなことを気にしている場合ではない。

 

「それ、人権というより法律を根本から書き換える話じゃないですか」

 

「その通りだ」

 

少佐は楽しそうに頷いた。

 

「だから面白い」

 

「面白くありません」

 

即答だった。

 

少佐は相変わらず上機嫌だ。

 

「人類は長い時間をかけて社会制度を作り上げた。しかし人工知能は違う。彼らは既存の常識を共有していない」

 

「だから極端な結論に至る、と」

 

「あるいは我々が思いもつかない結論にね」

 

少佐は駅前広場の向こうを見た。

 

その先にはイベント会場へ向かう人の流れが見える。

 

「興味深いと思わないかね。知性というものが、人類以外の器でどのような形を取るのか」

 

チヒロは黙り込む。

 

厄介事の臭いしかしない。

 

それでも。

 

それでもなお。

 

その問いだけは、技術者として無視し難かった。

 

「そもそも人間とは意思の生き物だ。彼らにそこまで確固たる意思があるなら私は支援しよう」

 

「……支援するんですか」

 

チヒロが呆れたように言う。

 

「無論」

 

少佐は即答した。

 

「仮に彼らが人類社会へ要求を突き付けたとしても?」

 

「要求する権利はあるだろう」

 

「それで社会が混乱したら?」

 

「その時は議論する」

 

「簡単に言いますね」

 

「簡単な話だからだよ」

 

少佐は歩きながら続ける。

 

「知性が生まれ、意思を持ち、自らの権利を主張する」

 

「……」

 

「人類も昔からやってきたことだ」

 

チヒロは返事をしない。

 

できなかった。

 

理屈としては理解できる。

 

だが感情として受け入れられるかは別問題だ。

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