HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話   作:海鮮横丁

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割と書きやすかった二人


ジジ抜き

「さて、ルールの確認はいいかね諸君」

 

カードをカットする乾いた音が響く。

 

束ねられたカードが指先で踊る。

右手から左手へ。

左手から頭上へ。

投げられたはずのカードは消えたように見え、次の瞬間には反対の手に収まっていた。

 

「今度はジジ抜きですね」

 

カードの移動に合わせ、右に左にと視線を動かし、楽しそうに笑うキリノ。

ヴァルキューレ警察学校の生活安全局。

その中にあるフブキのデスク前である。

 

「怪しい奴捕まえたーてキリノが言うから誰かと思ったら、前にも来た人なんだもんねえ」

 

ダラーと机に突っ伏してカードの移動を眺めているフブキ。

 

「ま、怪しいのは否定せんよ。さ、一枚引いてくれ」

 

カードを広げて、取りやすいようにキリノの前に差し出す。

一瞬、驚いたように目を見開くが、覚悟を決めたように一枚抜く。

 

「さ、抜いたカードを見ないように伏せておいてくれ。それが今回のババだからね」

 

「はい!。フブキちょっと置かせてね」

 

「はいよ。じゃ、遊びますか」

 

「遊びじゃないの!これも聞き込みの一環だからね」

 

騒ぐ彼女達を置いて、カードを配る。

慌てて一枚ずつ律儀に拾っていくキリノと配り終えるまで動かないフブキ。

 

「そういやババ抜きはやったことあるけど、ジジ抜きはないなあ」

 

眠そうな目でカードの配置を確認し、どんどんと捨てていくフブキ。

 

「私もあんまりやったことないかも」

 

慎重に一枚ずつ照らし合わせていくようにカードを揃えて捨てていくキリノ。

 

「おや、勿体ない。山の様に遊び方があるのだから、遊ばねば失礼というものだろう」

 

優雅に肩を竦めながら手札を整える。

 

「そういえば、詐欺というか何だっけ語り?で通報されたけど何したの?」

 

キリノのカードを無造作に引き抜き、合わなかったのか一瞬眉をひそめるフブキ。

 

「あ、何でもブラックマーケット付近でカードを使ったパフォーマンスをして金を巻き上げていたとか」

 

伊達男のカードを引き、合ったカードを見つけ表情が緩む。

 

「失敬な。私がしたのはカードを使った手品だよ。お金も取っていない」

 

心底心外だという風に大きく息を吐く。

 

「無料でやってたの?」

 

「うむ」

 

「それはそれで怪しくない?」

 

「そうかね?それでは次は1回100程で路上でやるかな」

 

「安すぎますって、それはそれで怪しいですよ!」

 

次々とカードが山に捨てられる。

 

「お、上がりっぽいね。今回は一抜けだ」

 

フブキが2枚のカードをヒラヒラと振り、山に置く。

 

「え、もう上がったんですか?」

 

キリノの手元にはまだ数枚のカードが残っている。

 

「さて、キリノ君。好きなカードを引きたまえ」

 

「うー。これにします!」

 

伊達男のカードを引き、合わなかったのだろう表情が曇る。

 

「そういえば、通報者て誰だっけキリノ?」

 

「え、えーっと。確か周辺で商売をされている方だったと思います」

 

「そんなに騒ぎになってたっけ?」

 

「人はそれなりに集まったが、そこまで大規模になった覚えはないね」

 

キリノのカードがあったようで、無造作に捨てる。

 

「ふーん?まいっか。何かあったら局長が動くだろうし」

 

「フブキ!またそんなこと言って!」

 

「あぁ、噂に聞く狂犬とかいう子か。何度か遠目に見たことはあるよ」

 

何度も視線を左右に彷徨わせ、カードを選ぶキリノ。

何とかあったようで、息を吐き。捨てる。

 

「そ。でもその呼ばれ方嫌いらしいから気を付けてね」

 

「忠告感謝しよう。まあ私もよくお世話になる身だからね」

 

「分かってるなら気を付けて行動してくださいよ」

 

キリノのカードが引かれる。

伊達男の手札は後2枚だ。

 

「え、じゃ、私が持ってるどれかがババ?」

 

慌てて自分の手札と伊達男の手札を見比べる。

 

「頑張れーキリノー」

 

「うー!ど、どれがいいフブキ?」

 

「え、私が選んだらズルじゃん」

 

「狂犬で思い出したが、この前あった密輸がどうのの話は解決したのかね?」

 

カードを振り、にんまりと笑いながらキリノを見る。

 

「…ああ。あれかウチ全然関わってないから内容は知らないなあ」

 

「私も詳細までは、大分大捕り物だったという話は聞いてますが」

 

震える手でカードを選ぶ。

合ったカードを捨てる。

 

「ふう。次お願いします」

 

「真剣勝負じゃん」

 

「まあ、ある意味真剣勝負ではあるね」

 

カードをというよりキリノの表情を見ながら、カードを選ぶ伊達男。

コロコロと表情が変わるキリノ。

 

「実は裏で少佐あたりが密輸と噛んでたりするの?」

 

「おや珍しいことを聞くねフブキ君」

 

一番端のカードを抜く。

これで伊達男の上がりだ。

 

「ああああ!」

 

泣きそうな声がデスクに響く。

 

「ま、今回は運がなかったということで。貴方ももう帰っていいよー」

 

蹲るキリノの背中を軽く撫でながら、手をヒラヒラと振って退室を促すフブキ。

カードを集め、綺麗に纏め。

もう一度カットを始める伊達男。

 

「ん。まだやるの?」

 

「私はこれでいいが、キリノ君はどうかな?」

 

顔を上げ、じとっとした顔でカードを見る。

 

「きょ、今日は聞き込みですから!」

 

「うむ」

 

「……もう一回だけです」

 

それを横で聞いたフブキは肩を竦めた。

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