HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話   作:海鮮横丁

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アリウスで暇潰し

「ここがアリウス?」

 

廃墟から再生しつつある街並みを上から眺める。

 

目に付いた一番高い建物に登り、何ともなしに眺める。

 

「結構復興してる気がするなあ。やっぱ人間てすごいや」

 

うんうんと勝手に頷き、楽し気に眺める。

 

「やっぱ少佐と違って先生は真面目だなあ」

 

遥か下で生徒と共に汗水流す先生を眩しそうに見詰める。

 

「引っ搔き回すの面白そうだけどねえ。後で恨まれそうなのはメンドイなあ」

 

仕方なしに別の場所に移動する。

 

ブラックマーケットの近くに出たようで、随分と騒がしい。

 

「ありゃミスった?ああ、あってた」

 

「あ、前にお菓子をくれた人です!」

 

「…ヒヨリ、怪しい人から物もらうなって言われたばっかだよ」

 

物陰に隠れながら応戦していたアリウススクワッドの3人に手を振る。

 

「で、今度は何したの?」

 

「何もしてない!あっちがお金払わなかったの…」

 

「へえ、大変だったね」

 

のんびりと地面に胡坐をかき、銃撃戦を眺める。

 

「ん、どったのアツコ。へえ、ボクは高いよ」

 

アツコが指で何かを示す。

それに頷き、姿が掻き消える准尉。

 

銃声が一瞬だけ途切れた。

 

いや、正確には「途切れたように錯覚した」と言ったほうが近い。

 

次の瞬間、撃ち合っていたはずの敵陣営のあちこちで、小さな爆ぜるような混乱が連鎖していく。

 

「……は?」

 

誰かの間抜けな声が、ブラックマーケットの喧騒に混じって落ちた。

 

弾薬箱が勝手にひっくり返る。

通信が途切れる。

照準が狂う。

そして、さっきまでこちらに銃口を向けていた者たちが、なぜか互いに「誰が味方だ?」という顔をし始める。

 

「た、助かりました?」

 

ヒヨリが地面に座り込む。

 

「みたいだけど、姫?説明してよ」

 

アツコにミサキが詰め寄る。

その隣に最初から居たといわんばかりの自然さで准尉が立っている。

 

「あれ、まだ逃げてないんだ。何まだ足りない感じ?」

 

「ん、もういいんだ」

 

風にふかれる木の葉のような気楽さで姿を消す准尉。

 

「姫?」

 

「面倒だったから」

 

ふいと首を明後日の方に振るアツコ。

 

「取り敢えず逃げましょうか。えへへ。大変ですね。またお尋ね者ですね」

 

ヒヨリの言葉に肩を落とし、重い足取りで逃げを選ぶ。

 

 

「で、アツコは何をボクにしてくれるの?」

 

ブラックマーケットからある程度離れた倉庫街。

殆どの建物はガラスも割れて酷いものだが、雨風はしのげる。

そんな建物の一つにアリウススクワッドの3人が身を隠した。

 

さも当然のように3人の目の前に現れる准尉。

 

アツコの方も当然のように受け止め、ガスマスクを外す。

 

「今日はありがとう」

 

「いいよいいよ。基本的に君達が何をするのかボクたちは興味があるだけだから」

 

何でもないように肩を竦め、何処からか買ってきた食料を配り始める准尉。

 

「…毎回くれるけど何の目的?」

 

「毎回聞いてくるけどそれ必要?」

 

猫のように目を細めてにいと笑う。

 

「前に言ってたように必要になったら、手伝う。それで足りる?」

 

「あーそこら辺は少佐に聞いてみるかな。前にもらったロイヤルブレッド?の血も何か神秘の含有量がどうのてドクが言ってただけだし」

 

「姫ちゃん。そんなことしてたんですね」

 

ガサゴソと袋を漁り、お湯を沸かし始めるヒヨリ。

カレーに目を付けたようだ。

 

「姫?」

 

「どうせマダムに使われるくらいなら、もっと役立てる人に使って欲しかっただけ」

 

ぷいと顔を背けるアツコ。

 

アツコの態度に溜息を零し、ヒヨリから袋を奪うミサキ。

 

「あ、何するんですか!」

 

「うっさい!アンタこの前独り占めしてたじゃん!」

 

ベーコンと野菜セットを取り出し、食パンに挟む。

がぶりと一口。

 

「前に頼んださっちゃんの件はどう?」

 

ヒヨリからカレーをよそってもらい食べながら、今はこの場にいないリーダーの行方を聞くアツコ。

 

「ん、ああ。彼女は昨日か一昨日はホテルの警備してたよ。滅茶苦茶強いね」

 

その言葉を聞き、胸を張る3人。

 

「流石リーダーですね」

 

「…頑張ってるじゃん」

 

「私たちも頑張らないと」

 

うんうんと頷き合う。

 

「ま、結局ホテルが倒壊してお給料払ってもらえなかったみたいだけどね」

 

さらりと爆弾を投げる准尉。

カレーのお代わりを勝手によそい、食べ始める。

 

「どういうこと?」

 

ミサキの低い声が准尉に刺さる。

 

「知らないよボクは。全部見てたわけじゃないし」

 

スプーンを咥えたまま喋る准尉。

 

「リーダーに怪我はないんですか?」

 

「あ、そっちは大丈夫。衣装が破けたか何かだけだったかな」

 

ほっと息を吐く3人。

 

「じゃあ、やることは一つだね」

 

アツコの瞳が光る。

 

「シュレディンガー。どこの会社か教えて?」

 

「はいよ。カイザー系列の警備会社だね」

 

その名前を聞いた瞬間にミサキとアツコの手が銃に伸びる。

 

「アンタそれ見てただけなんでしょ?」

 

「当たり前じゃん。ボクには何の関係もないよ?アツコが定期的に血を渡すって契約をドクとしたから、ついでに見てるだけだし」

 

ミサキがハンドガンを向けるが、それを気にした風もなく食事を続ける。

 

「…シュレディンガー。さっさと案内して。ヒヨリ?」

 

「は、はい。もうちょっとで食べ終わるから待ってください!」

 

ヒヨリが急いでご飯を掻き込む。

 

「あ、ボクも参加する感じなんだ。分かったから頭に銃突きつけるの止めてよ。知ってるだろうけど、結構痛いんだよそれ」

 

頭を振り、アツコの銃を少しだけずらす。

 

「シュレディンガー」

 

段々と声に冷たさが増す。

 

「うわあもう。こういう時のアツコは面倒だなホントに」

 

いやいやながら立ち上がり、服の埃を払う准尉。

 

その晩、カイザー系列のとある警備会社の本社が襲撃を受け、壊滅的な打撃を受けた。




実は誰一人アリウス持ってないという
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