HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話   作:海鮮横丁

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ユウカがすごい保護者感がある


少佐とカロリー

「少佐。食べ過ぎじゃないですか?」

 

「何を言うんだねユウカ君。デブは一食抜くと死ぬという言葉を知らないのかね」

 

「いや、初耳ですが」

 

「それにだね。人類の歴史とは即ち飽食の歴史なのだよ」

 

少佐はそう言いながら、山盛りのポテトに更にケチャップを追加した。

隣ではユウカが額を押さえている。テーブルの上にはハンバーガーの包み紙、空になった紙コップ、そして追加注文されたらしい揚げ物の山。どう考えても二人分ではない。いや、三人分でも怪しい。

 

「歴史に謝ってください」

 

「謝るものか。私は今、歴史の最先端に立っている」

 

「最前線の間違いでは?」

 

「うむ。脂肪の最前線だ」

 

ドヤ顔で腹を叩く少佐。ぽん、と良い音がした。

 

ユウカはじっとその腹を見る。

見れば見るほど危機感を覚える丸みである。

割と歩いているのに痩せる様子を見せないのはどういうことだろうか。ミレニアム中をふらふら徘徊し、階段も平気で使い、何なら変な時だけ妙に機敏ですらある。なのに結果がこれである。

 

ユウカは真顔で少佐の腹を見た。

 

「……摂取量が消費量を上回ってるんですよ」

 

「つまり私は経済を回している」

 

「脂肪も回ってますね」

 

「循環型社会というやつだな」

 

何一つ上手くない。

 

少佐は満足げに頷きながらハンバーガーを頬張る。

その動きに合わせて腹も揺れた。何だろうこの生き物。

 

「少佐」

 

「何かね」

 

「健康診断とか受けてます?」

 

「勿論だとも」

 

少佐は胸を張る。

 

「去年など実に素晴らしい評価だった」

 

「へえ」

 

「“再検査”という特別待遇を受けた」

 

「全然素晴らしくないじゃないですか!?」

 

ばんっと机を叩くユウカ。

周囲の生徒がちらりとこちらを見た。

 

少佐は気にした様子もなくポテトを摘まむ。

 

「だが問題ない。医者にも言われたのだよ。“少し食事を控えましょう”と」

 

「その結果がこれなんですか」

 

「控えているとも。以前はポテトLを三つ頼んでいた」

 

「今いくつです?」

 

「二つ」

 

「誤差ですね」

 

ユウカは頭を抱えた。

 

すると少佐は不意に真面目そうな顔になる。

 

「しかしだねユウカ君。食事というのは心を豊かにする」

 

「それは分かりますけど」

 

「美味いものを前に理性ばかりでは人生は寂しいだろう?」

 

少佐にしては妙にまともなことを言う。

少しだけ感心しかけたユウカだったが、

 

「だから私は理性を捨てた」

 

「駄目な方向に突き抜けないでください」

 

即座に回収した。

 

その直後、店員が新しいトレーを持ってくる。

 

「お待たせしましたー。追加のチーズナゲットになります」

 

「?」

 

「?」

 

ユウカがゆっくり少佐を見る。

 

少佐はすっと目を逸らした。

 

「……少佐」

 

「いや、これはだね」

 

「いつ頼みました?」

 

「君が説教している隙に」

 

「子供か!!」

 

少佐は怒鳴られながらも、しっかりナゲットを確保していた。

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