HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話   作:海鮮横丁

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風邪引いた中尉はエロいと思う


リップヴァーンの共同任務

散歩するような気楽さでビルの屋上を飛び回る。

 

雨に煙る市街地では、逃走中の武装集団をC&Cが地上から追い立てていた。

 

「全く、雨とはついてませんねえ」

 

珍しくC&Cと共同任務に呼ばれたリップヴァーン中尉だ。

 

まだ雨脚は弱いとはいえ、確実にこちらの体力を奪っていく。

 

手早く済まそうと飛び回りながら銃を撃ち、雨宿りできる場所を探す。

 

雨粒を裂いて飛んだ銃弾が数秒遅れて着弾する。

 

遠方で爆発音。

 

「おや」

 

どうやら当たったようだ。

 

「お邪魔します」

 

適当なビルの屋上の扉をこじ開ける。

 

髪を適当に払い、水気を出来るだけ落とす。

 

下の階には何の気配もない。どうやら無人のようだ。

 

ひとまず雨風は凌げる。

 

「全く、雨の中走って喜ぶのは犬かスミレさんくらいでしょうに」

 

通信機を取り出し、C&Cのチャンネルに繋ぐ。

 

『はい、こちらアカネです。先程の攻撃ありがとうございました」

 

「はいはい。今、こっちは適当に雨宿りしてますけど。まだ手を貸しましょうか?」

 

『うーん。敵の配置を見る限りほぼ終わりだと思いますが、一応警戒といった感じでしょうか』

 

「了解」

 

通信を切り、階段へ向かう。

 

シャワーが浴びたいが、まだ我慢しないといけないだろう。

 

「さて、ネルさんのあの感じだとここから南西に追い込んでますよね」

 

一応確認のため数階ほど降りるが、人の気配はない。

 

嫌々ながら踵を返した。

 

雨脚がさっきより強くなっている。

 

ビルの側面を滑るように駆け上がる。

 

数秒後には再び屋上へ戻っていた。

 

そのまま爆発音と戦闘音がする場所を目指して、飛んでいく。

 

「あー、風邪引いたら嫌だなあ」

 

ぶつくさと文句を言いつつ、戦場の真上に飛び出す。

もう殆ど残党処理の段階に来ている。

 

「ふむ。どうしますかね。敵の隠し玉でもあればまだ面白いですが」

 

雨を気にも留めず屋上の縁に立ち、戦場を俯瞰する。

ネルが元気よく走り回り、アスナの動きに敵が翻弄されている。

要所要所でカリンの銃撃が刺さり、また一人と減っていく。

 

「今日は私要らなかったな。任務聞いたときはもっと大規模だったはずだけど」

 

敵にしても装備が報告より貧弱だ。

あれでC&Cを相手するのはまあ無理だろう。

 

リップヴァーンの耳に何か駆動音が届く。

 

「お?親玉ですかね」

 

そちらの方を見ると、巨大な何かが起き上がっている様子が映る。

 

「…はー。巨大ロボって流行ってるんですかね」

 

デザインは一時期ドクが集めていた超合金なんたらとかいうのに酷似している。

 

起動演出でもしているつもりなのか、悠長にポーズを決めているロボに銃を向ける。

 

「ま、関節でも壊して様子見ましょうか」

 

途中で何度も弾道を変えながら、ロボの死角となるだろう後ろから迫る。

 

肘の装甲に着弾した瞬間、金属片を撒き散らしながら内部まで穿つ。

 

「あら、思ったより脆いですね」

 

さて、次は膝でも落とすかと思っているところに通信が入る。

 

「はい。何かありました?」

 

『実は、そのロボの話なんですが、どうやら武器を売った資金を爆薬に替えて、あの中に全部詰めているそうなんです』

 

通話越しにくぐもった声が聞こえる。

 

どうやらアカネの方はうまくいったらしい。

 

「自爆狙いですか」

 

ロボの全身に目を通す。

塗装が上手くいってないのか、ペンキが悪いのか所々剥げている。

そう言われれば、胴体部分が膨らんでいるようにも見える。

 

「これネルさんたちには?」

 

『共有してます。爆発させるとこの区画が吹っ飛ぶくらい詰め込んだと言ってますね』

 

カツンとアカネのヒールの音がする。

その後怯えたような気配が続く。

 

「それはまた景気の良い話ですね」

 

通話越しからアカネの笑い声が漏れる。

 

『リーダーと同じことをいいますね、中尉は』

 

通話を切り、ネルたちを探す。

ネルを担ぎ上げたカリンの姿が目に入る。

 

「あーネルさんらしい」

 

解体する気だったのか壊す気だったのか。

 

「まあ、雨でよかったですね。火が燃え広がることもない」

 

今度はしっかりと銃を構える。

狙いは頭部。

ドクが何度も頭部が大事だと言っていたから何となくだ。

 

何の気負いもなく引き金を引く。

 

雨粒を散らしながら銃弾が空を滑る。

 

ビルの影を縫うように軌道を変え、頭部へ迫る。

 

「ま、最初は削りましょうか」

 

何か乗り込むスペースがあるそうだ。

ドクが言っていた。

だから見てみたい。

 

頭部に弾丸が刺さり、途中で軌道を変える。

最初はペンキから、次は装甲とどんどん奥に進んでいく。

 

「…あー?あーあれが何か見せてくれた何かですか」

 

全然名前が出てこないが。

ロボの頭部部分には確かに何かの機械が乗っていた。

あれが制御装置になるのだろうか。

 

「なるほど。ちゃんと乗る場所あったんですね」

 

一人納得したようにうんうんと頷く。

 

「さて、これを壊して止まるといいですが」

 

弾丸が、何かの機械のガラス部分に刺さる。

紙を引き裂くより簡単に貫通し、内部で無秩序に暴れ回る。

 

ロボットはというと悲鳴のような音を周囲に響かせている。

 

「効いてるんですかねこれ?」

 

攻撃なのか悲鳴なのかよく分からない。

 

しばらく悲鳴が続き、急にぐったりと動かなくなる。

 

「お?正解ですかね」

 

一応、警戒してビルから降りず。

弾丸を空中で静止させる。

 

「…ドクの話だと操縦者がとか言ってた記憶がありますけど出てきませんね」

 

暴走の心配もなくなったロボをのんびりと眺めながら、次の行動を待つ。

 

「出てこないですね」

 

肩を竦める。

 

「運が無かったということで」

 

通信が入る。

どうやら任務が終わったようだ。

 

 

「中尉も風邪引くんですねー」

 

任務から帰ってからくしゃみが止まらず仕方なしに風邪薬を買って帰るところをコユキに見つかった。

 

「…雨の中走り回ればそうなりますよ」

 

鼻声だ。

 

「にはは。後でC&Cの先輩方がお見舞いに来てくれるそうです」

 

「…そうですか」

 

大した熱は出てないが、身体がひたすらに怠い。

 

「ま、私は移されたら困るので退散しますねー」

 

ぴょんと飛び上がり、雑な敬礼を一つ残してコユキは走り去っていった。

 

何とか部屋に辿り着き、薬を飲み込み、ジャケットをそこらに放りベッドに潜り込む。

直ぐに眠気がやってきて、意識が落ちる。

 

「あら、起こしてしまいましたか」

 

柔らかい声が頭の上から聞こえる。

 

「…あー?アカネさんか。そういや見舞いがどうの言ってたな」

 

「ええ。体調は昨日よりよさそうですね」

 

心配そうにリップヴァーンの身体を眺め、一応だろう熱を測る。

 

「食欲があるなら何か作りますが?」

 

ベッドから軽く起き、無理がない程度に頭を振る。

眠気を追い出し、アカネと共にキッチンに向かう。

 

「野菜たっぷりのうどんをこの前作りまして」

 

「まあ!いいですね。座って待っててください。直ぐ準備します」

 

キッチン内を縦横無尽に動き回るアカネをぼうっと眺める。

 

「…そういや皆さん来るて聞きましたね」

 

「ええ。辛そうなら止めようという話にはなったんですが」

 

鍋をセットし、火を起こす。

野菜を切る。

流れるような動きだ。流石はメイド部。

 

「リーダーがあれだけ派手なことやったのに風邪なんて引くなーって怒りまして」

 

「どういう理屈ですかそれ」

 

呆れたように机に突っ伏す。

机の冷たさが微妙に気持ちいい。

 

「数日かけて私達C&Cがお世話しますから」

 

「え、普通に迷惑です」

 

くすくすと上品な笑いを零しながら、うどんを茹でていくアカネ。

 

ま、たまにはこんな日もいいか。

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