HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話   作:海鮮横丁

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スイーツを一緒に

何だこの大人は。

 

久しぶりに放課後スイーツ部としてではなく一人で好きなお菓子を食べようと前から楽しみにしていたお店に行くと。

ひどく目立つ大人がいた。

小太りで眼鏡をかけた真っ白いスーツを着た男性だ。

その男性が優雅にマカロンを食べている。

 

アイリかナツならもう声をかけて一緒に食べているはずだ。

それくらい美味しそうに食べている。

 

「で、君はいつまで呆けているつもりかね?」

 

目が合った。

真っ直ぐで歪んだ目だ。

 

「え、私に声かけてる?」

 

「君以外に客はいないと思うがね」

 

周りを慌てて確認すると、あれだけ居た客が全員いなくなっている。

気付けば店内には私とその男しかいない。

店員さんも奥に逃げてしまったのか姿が見えない。

 

「えぇ噓でしょ…」

 

「どうせなら一緒にどうかね?一人で退屈していたところだ」

 

「…絶対何もしない?」

 

「私はこれでも紳士を自称していてね」

 

「先生もそうだけどアンタ相当怪しいわね」

 

「これはありがたい。かの聖人に並べられるとは」

 

精一杯顔を歪めて威嚇する。

相手は子猫がじゃれついてきた程度にも思っていないようだが。

思い切り溜息を吐いて、自分のトレイを持ってその男性の席に向かう。

私も丁度寂しいと思い始めていたところだ。

 

「私は少佐と呼ばれている者だ。これでもミレニアムで教師をしていてね」

 

「アンタも先生なの!?はーやっぱ先生ておかしい人しか出来ないんだ」

 

「あー私は伊原木ヨシミ。トリニティの1年生で放課後スイーツ部で今日は一人で下見というか何というか…」

 

自己紹介をしながら目的を話すも途中で言葉が詰まる。

下見でも何でもなくただたまには一人で食べたいと思っていただけなのだ。

 

「それは結構なことだ」

 

「そう?」

 

「誰かと食べる菓子は美味い。だが一人で食べる菓子もまた別種の美味さがある」

 

「…アンタ。ナツみたいなこと言うわね」

 

「部活の友達かね?」

 

「そ。いっつも訳わかんないこと言ってる子。あ、悪い子じゃないからそこは勘違いしないであげて」

 

何が面白いのかにんまりと笑いながらマカロンを一つ頬張る少佐。

この店限定品のそれを美味しそうに食べる姿に少しだけ警戒心が薄れる。

 

「君は随分と友達思いのようだ」

 

「は?そんなことないって。私は普通にことしか言ってないし」

 

「素晴らしいことだと思うよ。それは君の得難い個性だ。大切にしたまえ」

 

「…急に先生みたいなこと言うの止めてくれない?」

 

調子が狂う。

照れ隠しに私も注文したケーキを食べる。

今日は何となくチョコケーキの気分だ。

優雅にティーカップを傾ける少佐を眺め、その姿勢から実はいいとこの出身かキチンとした教育を受けたのではと当たりを付ける。

 

まぁそんなことは関係ないのだ。

ケーキが美味しい。

相手もまぁ面白い。

それで何も問題はない。

 

パチンと少佐が指を鳴らす。

その所作もまぁ綺麗なこと。

実は昔俳優か何かしていたのだろうか。

 

慌ててやってくる店員にお茶をお代わりして、こちらに視線をよこす。

 

「あ、私も?ならオレンジジュースのお代わりください」

 

店員がテーブルの空いた皿とコップをいつもより緊張した様子で下げる。

それを何ともなしに目で追いながら、客が全く入ってこない店を疑問に思う。

ここはそこそこ人気店だったはずだけど。

 

少佐に顔を向けるとワクワクとした顔で注文を待っている。

子どもかこの男は。

 

「そういえば放課後スイーツ部だったかね。君たちの部活は」

 

「ええ、そうよ。トリニティ内で色んなお菓子を食べて友達と喋ってるただそれだけの部活」

 

「何、それはそれで青春だよ」

 

「それはそうと、この店は随分と当たりだった。生憎とトリニティは全くの門外漢でね。君のような熟達の戦士に教えを乞いたいのだが」

 

「…ようは美味しいお店教えて欲しいってこと?」

 

「そうとも言うね」

 

変な大人だ。

まぁこのお店を出るまでなら付き合ってあげよう。

何ならカズサやナツを紹介しても面白いかもしれない。

 




ヨシミ好き
少佐に絶対振り回される
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