HELLSINGの少佐がミレニアムで教師をしている話 作:海鮮横丁
「おお、貴方が少佐?ヨシミから気になる人が出来たと聞いて楽しみにしていたよ」
「おお、それでは君がナツ君かね?ヨシミ君からとても大切な友人だと聞いているよ」
「うっさい!そんなこと言ってないでしょうが!!」
喫茶店の席に座るなり、ナツが少佐にいつもの態度で絡みにいく。
それを受けて少佐は朗らかにこちらを示しながら応じる。
「…アンタが私とナツだけ呼ぶから何かと思えば」
カズサが届いたばかりのマカロンを口に放り込む。
ヨシミは額を押さえながら深いため息を吐いた。
「まさか初手から意気投合するとは思わなかったわよ……」
「意気投合?」
ナツが眉をひそめる。
「そんなまさか、私が初対面の男性と意気投合するなんて…」
「そんな面白いことがあっていいのか。これぞロマン…」
ナツは信じられないものを見るような顔で首を振る。
「君は昔のロマン主義というよりは」
少佐は顎に手を当てて少し考える。
「珍しい現象を見付けると喜ぶ博物学者に近い気がするね」
「おお」
ナツの目が輝いた。
「それはなかなか高評価では?」
「高評価だとも」
少佐は頷く。
「未知のものに興味を抱くというのは知性の根源だ。素晴らしいことだよ」
「ほら見ろヨシミ」
ナツが得意げに胸を張る。
「私は知的好奇心に満ちた人間だった」
「はいはい。良かったわね。くそう会わせたの失敗だったかもしれない」
「…しかしナツと波長が合う人間がこの世にいるとはねえ」
カズサが感心したように呟く。
「失礼な」
ナツが即座に抗議する。
「私だってそれなりに友人はいる」
「それなりにね」
ヨシミとカズサの声が揃う。
ナツが不満そうに眉を寄せる。
少佐はそんなやり取りを眺めながら紅茶を一口飲む。
「いや実に良いことだ」
「友人とは得難いものだ。それがこうも意見を言ってくれる存在なら更にね」
大事にしたまえと言いながらティーカップを傾ける。
「おお、私は得難い友人を得たようだぞ」
「うっわ。ダメな大人がナツをそそのかした!」
ヨシミが頭を抱えて呻く。
流石に可哀そうに思ったのかカズサがマカロンを一つ差し出す。
それを口の中でもごもごさせながら少佐を軽く睨む。
軽く肩を竦めて今度はカズサに目線を合わせる。
それを敏感に感じ取ったのか一瞬警戒するような光が目に宿る。
「カズサ君。君は随分と優しいようだね」
「…は?」
口から洩れる音が随分と低かった。
「よく分かっているね。少佐。我らがキャスパリーグが実は非常に優しいということが」
「その呼び名で呼ぶなって前から言ってるでしょうが!」
ナツの軽口にカズサの怒声が被る。
しばらく二人の口喧嘩を面白そうに眺めていた少佐が肩を震わせる。
「いや実に面白い。君たちはとても良い関係だね」
拍手をしながら、喜劇を見て笑う観客のように楽し気に二人の喧嘩を褒める。
「…アンタ性格悪いってよく言われない?」
「ノア君にはいい性格をしていると言われるよ」
まだまだお茶会は始まったばかりだ。