個性"不死"のヒーローアカデミア   作:ただねこ

1 / 5
【FILE:01】死なないということ

『君には雄英に入ってもらいたいんだ。できるかい?』

「……」

『沈黙は肯定と受け取るよ、永井くん

「黙れ腐れ金玉」

『おお、怖い怖い……でも僕は君より強い』

「チッ」

 

永井とは、俺のことだ。永井(ナガイ)生助(キスケ)

 

個性は”亜人”。単純明快、死んでも生き返る。ただそれだけ。

 

それで、この電話越しに話してる人はオール・フォー・ワンと呼ばれる、ヴィランと思われる存在。

裏社会の、さらに奥深くで暗躍してきた存在らしく、俺はこの個性のせいで捨てられたところをこの金玉に拾われた。金玉になったのはつい数年前の話だが。

 

「先生、いいのか?」

 

横にいる死柄木弔とは友人だ。気が合うというわけではないが、嫌でも顔を合わせる。

 

『ああ。弔にはまた別の役割があるからね』

 

「そーかよ」

「……わかった、雄英に行こう」

「気ぃつけろよ、永井」

「ああ」

 

『では、よろしく頼むよ』

 

 


 

 

「……意外にも楽で助かった」

 

3種の仮想敵を”行動不能”にすればいい。必ずしも壊すわけじゃないので、そのあたりは少し助かった。気味悪がられずに済む。

 

「……あれが、0ポイント」

 

ビルよりデカい図体を持つ機械が、試験会場を破壊しながら練り歩く。

 

(俺には到底倒せないな)

 

踵を返す。入試なんだ、落ちてアイツに個性を奪られたらそれこそ人生終了だ。

 

「うう……」

 

(……うめき声?)

 

ふと、誰かの声がした。多分、女の。

 

「どこだ」

「右!右向いて!見えないけどいるから!」

「右……?」

 

右を向いても、あるのは受験生とロボットの破壊した瓦礫ばかり。

 

「……本当に見えないのか」

「うん!個性が透明化で……!」

 

ああ、不自然に浮いた瓦礫がある。位置はわからないが、声はある程度鮮明に聴こえる。くぐもってない。

 

「ひゃあっ!?」

「……首?」

「ちょ、くすぐった……!」

「悪い」

「大丈夫だよ!」

 

瓦礫に圧し潰されかけている……苦しいだろうに。

 

「それじゃあ、瓦礫を持ち上げる。出る準備をしておけ」

「わかった!」

 

……敵のはずなのに、何やってんだろ。アイツに個性を奪われたくなくて、無意識に力を使った時から……。

俺はずっと、人に興味なんてなかったのに。

今こうして、ヒーローというものになるために雄英に出向いている。

いや、違う。アイツの命令だろ。何考えてる。

 

「助けてくれてありがと!私、葉隠透!」

「……永井生助(キスケ)だ」

「永井くんね!それじゃ、お互いに頑張ろ!」

「……ああ」

 

葉隠とやらと別れた直後に終了のアナウンスが鳴った。

 

(……受かっただろうか)

 

やれることはやった。それでいい。

 

(ヒーロー)

 

俺が出逢うことのなかった、民を守る存在。

 

(もしも出逢えたら、サインでも貰おうか)

 

くだらない思いを抱えて、アジトに戻った。




永井生助

個性”亜人”

この個性で、近隣住民に気味悪がられ、面子を気にした両親に捨てられる。後にオール・フォー・ワンに拾われ。弔と黒霧と共に暮らしている。

個性にこの名前を名付けたのは、両親から言われ続けた言葉によるもの。


彼の名前は「長生き」から持ってきてます。絶対死なないから長生きできるね、良かったね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。