「個性把握……テストぉ!?」
「入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ」
「……」
あの小汚い男は”抹消ヒーロー”イレイザー・ヘッド。本名相澤消太。
見ただけで個性を消すことが出来るそうだ。
そして……恐らく合理厨。行事などクソ食らえとでも言わんばかりに、初日に個性把握テストを押し込んできた。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」
「じゃあ個性使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ」
思いっきりな、と相澤先生の言葉で、爆豪と呼ばれた男が投げの姿勢に入る。
「んじゃまぁ……死ねェ!!」
……死ね?
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
……705.2m。単純に10倍以上。
見た感じは爆破の個性。掌限定か?
球威に爆風を乗せるなんて……器用なことするな。
「なんだコレ!面白そう!」
「700ってマジかよ……」
「個性思いっきり使えるんだ!流石ヒーロー科!」
「……面白そう、か……」
先生の様子が……
「ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
「!?」
「よし。トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し──除籍処分としよう」
「な……!?」
「生徒の如何は俺達の自由。ようこそこれが……雄英高校ヒーロー科だ」
「次、永井葉隠」
「あ、入試の時の!」
「ああ、久しぶりだな」
「うん!よろしくね!」
「時間の無駄だ。早く走れ。」
俺は果たして、どのような個性に分類されるんだろうか。見た目は普通の人間でも、常時発動している。
その区分で行けば、俺は異形型になるだろうが……
『4秒81』
……異形型の個性、消せるのか?
(後で頼んでみよう)
・・・・・
(……永井生助)
個性”亜人”。常時発動型若しくは条件を満たした時に強制的に発動する個性。効果は──
(死んでも生き返る、ね……)
実質不死。ただ、それはヒーローになったとしてどうやって活かす?
自爆特攻を仕掛けるにしても、そのような状況は指の1、2本で数える程度。
自殺をするとしても、殺傷力のあるサポートアイテムは認可が下りにくい。
(さぁ、どうする?)
・・・・・
「緑谷くんはこのままだとマズイぞ……?」
「ったりめーだ無個性だぞ」
──無個性?彼は無個性なのか?
にしては飯田とやらの反応がおかしいが……。
「──46m」
「な……今たしかに使おうって」
「個性を消した」
成る程、そういう感じね。
緑谷が個性を用いようとした瞬間に、抹消を発動。そのまま通常の結果になったというわけか。
……個性を制御できない、赤子のような状態。また行動不能になって誰かに助けてもらうようじゃ、ヒーローとして失格。緑谷がそのつもりでなくとも、周りが合わせざるを得ない。
ごもっともだ。緑谷出久は、個性が発言したての赤子。それ以上でも以下でもない。ならば、除籍を喰らうのは当然だろう。
(……早速、1人落ちるか)
「個性は戻した。とっとと投げな」
──『もしも危険な個性や有用な個性があったら、リストに記載しておいてくれ。弔にも有用なリストだ、早めに作ってくれよ、永井くん』
……緑谷はリストに入れなくてもいいか。
「見込み、ゼロ……」
「──今」
SMASH!!!
「!!」
指が赤黒く腫れ上がって……ああ、なるほど。今まで腕全てを犠牲にしてきたであろうものを、インパクトの瞬間に、かつ一部分のみに留めたのか。
(……相澤先生の目が変わった)
「まだ、まだ動けます……!!」
「こいつ……!」
……というか、たかだかテストで指を犠牲にするか?リカバリーガールがいるとは言え、そう簡単に投げ撃てるものじゃない。
俺のように不死でないなら、尚更。
(……オールマイト?)
こっそり観に来てたのか。ならば何故あんな片隅に……いや。
(緑谷を観に来てたのか……?)
腐れ金玉から聞いたが……オールマイトの個性はワン・フォー・オール。DNAの譲渡で個性を継承する事のできる個性であり、オールマイトは八代目。
……もし、緑谷が九代目なら?
全てつながる。
個性が発現したての赤子のようなことも。
ヒーロー志望にしては十分に鍛えられていない身体も。
(……これは、要報告だな)
「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
……は?
「はーーーーー!?!?!?」
「これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類があるから目通しとけ。緑谷はリカバリーガールのとこ行って治してもらえ。明日からもっと過酷な訓練の目白押しだ」
「いやー、ビックリしたわマジで!」
「ほんとにね……」
「にしても皆凄いね。私なんて全然だったよ」
「えっと……耳郎さんの個性って何?」
「私はイヤホンジャック。耳が良いのと、このプラグを伸ばして、増幅した心臓の鼓動を放てる。コンクリなら壊せるよ」
「凄っ!私の個性はね──」
……女子は早速仲良くなってるな。
男子も混ざって個性の話をしてる。
「ね、永井の個性はなんなの?全体的に良かったってことはやっぱ増強?」
「俺か」
「声平坦すぎ?」
「そうか?」
「そう」
「そうか」
……不死の個性。死んでも生き返ることを伝えてしまったら、また離れてしまう。それは、怖い。
「ああ、シンプルな増強だ」
「やっぱか!でもシンプルだし対策しづらいよね……」
「そうでもないだろ。緑谷のような自壊する超パワーには劣る」
「それでも強いって。自信持ちな?」
「……そうだな、そうするよ」
「あ、もう帰る?」
「じゃあね!」
「ああ」
『そうか……オールマイトが』
「ああ。ただ力が大きすぎる。使うたびに腕を犠牲にするような状態だ」
『わかったよ、永井くん。……ありがとう』
「礼なんかするな、気色悪い」
『冷たいね』
「話しかけるな腐れ金玉」