「個性は聞いた。さっき先生と話してたろ」
「へぇ、耳良いなアンタ。そういう個性か?」
「さぁな、当ててみろよ死柄木弔」
……ムズいな。赤の他人のふりをし続けながら、脳無の警戒と作戦会議って。
(弔、ある程度膠着したら脳無を使え)
(あ?それこそイレイザーの自由を封じるために使ってんだよこっちは)
(教師にとっては、生徒の死が何よりの落ち度だろ)
(……わーったよ。オールマイトが来たら、またイレイザーの拘束に使うぞ)
(それでいい)
「チッ、鬱陶しいなお前……」
「俺は強いぞ、死柄木弔」
「ぐっ……げほっ」
「身体細いなー。少しくらい鍛えろよ」
「てめぇ……!」
いい感じに繋げられたな。
「脳無!!!このガキを殺せ!!!」
(にしてもよ、良いのか?殺しても)
(ああ。あの腐れ金玉が何か企んでやがるからな。乗ってやるだけだ)
(……そうかよ)
脳無が動き出す。いや、動くとかいうもんじゃない。速い。見えない──
「ゔ……!」
脇腹抉られた……!やっぱ肉が飛び散るのは何回見ても慣れないなあ。
「永井!」
「先生は死柄木を!」
「……!!」
……”アレ”を使うか?いや、”アレ”の存在はまだオール・フォー・ワンには知られていない。ここで情報を渡すくらいなら死んだほうが良い。
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」
一度手を鳴らせば、脳無がこちらを向く。
もう一度手を鳴らせば、俺は殴り飛ばされる。
痛みに耐えて手を鳴らせば、俺の足が空中に消える。
「あ゙ーー……いってぇな」
死んでも生き返るってだけで、痛み自体はあるんだからな?ったく、加減はしろっての。
「永井くん!!」
「永井!!」
誰の声だ?失血が酷い。どれくらい血を失った?今何Lだ?
「悪いねイレイザー。あいつは死ぬ。俺と雑魚共とやりあいながら、そこで見てな」
「クソ……!!」
……さて、身構えようか。
雄英高校に来てから、一度目の死。
あいつらは、どう受け取るだろうな。
じゅわ
「え……?」
粒子が舞う。
じゅわ
「…何が起きてる」
血が、肉が、骨が、皮が造られていく。
「これが、お前の個性か……?」
じゅわ
「おはよう」
コンティニューだ。
「がっ……!?」
「……本当に、生き返るのか」
「ええ。どんな状態だろうと、一度死にさえすれば」
「……とんでもない個性だな」
「それはもう言われ慣れました」
……。
(あいつら、驚いてるな)
緑谷と芦戸と麗日と……葉隠も。
(……軽蔑の視線……は、無い)
多少の畏怖はあるだろうが……それでもあいつらは、俺のことを「人間」として見るらしい。
死なない異形ではなく、人間として。
「じゃあ、少しは気合い入れなきゃな」
やろうか、脳無。