拓銀令嬢世界で女神転生のデビルサマナーをするのはちょっと大変   作:一宮 千歳

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ボツネタXに投稿してから6日も経ってた(あぜん)
何やってたかというとPSP版デビルサマナー再プレイしてました
vitaストアからメーカー別アトラスで検索したら買えます2420円。


初めての剣合体

 

訓練の合間、父に言われたのが。

 

「練気の剣と悪魔を合体する?」

 

「ああ。もういいだろう。練気の剣からは一般的に【霊鳥スパルナ】を合体させて『小狐丸』、女サマナーはさらにそれに【霊鳥フェニックス】を合体させて『雷神剣』にするのが昔からの定番だな」

 

「小狐丸って、太刀じゃなかった? 持てないよそんなの!」

 

「はっはっは。伝承に残る実際の刀はそうだが、練気の剣の剣合体はおおむね『のようなもの』だ。『小狐丸』も『雷神剣』も、完成品は今の短刀型とそう変わらんはずだ」

 

----

 

というわけで電車を乗り継ぎやって来ましたヨコハマ業魔殿。

 

「業魔殿にヨーソロ……」

 

「……」

 

ヴィクトルさんとメアリちゃんは見た目が変わらないなあ。

 

悪魔がメガテン由来なら、この二人もお嬢様の言ってた『メガテン』に出てくる人物なんだろうか。人間じゃなかったりして。

 

さておき、ヴィクトルさんとお話。

 

「剣と悪魔を合体したいんですけども」

 

「ふむ、剣合体を行う時が来たか……時が経つのは早い」

 

と言っても一年なんだけどなあ。

 

でもヴィクトルさん曰く、その一年の間に帰らぬ人になるサマナー、引退するサマナーも少なからずいるとのことだ。

 

私はそーゆーふうにならないようにしないと。最低でも高校卒業まで。

 

ぐいんぐいんと悪魔合体用の魔法陣がうなる。

練気の剣に、スパルナだったものが絡みつく。

 

「ところでこれ、悪魔合体時に人が混ざったらどうなるんです?」

 

「人×悪魔の合体か……精神力が強ければ人の意識を保ったまま力を得る。合体結果はランダムだな」

 

「……間違っても魔法陣内に入らないようにします」

 

「それが良い……さておき、これが小狐丸だ……続けて合体するのだな?」

 

「おー、本当に短刀だ。はい、よろしくお願いします!」

 

「まずはフェニックス作成からだな。時間がかかる、メアリと話しているがいい……」

 

「はい!」

 

----

 

はい、と意気揚々と返事したものの、メアリちゃんとお話し……何を?

 

共通の話題で盛り上がるか?共通の話題ってなんだ。

 

「メアリちゃんは、普段何してるの?」

 

「清掃と、業務補助を」

 

無機質に返事され、話が終わった。ええい、話題は尽きておらんよ!

 

「この広さの掃除って大変じゃない?」

 

「それが与えられた仕事なので、やるのみです」

 

「そうかあ。えらいんだね」

 

「それが与えられた仕事なので」

 

くっ、話が広がらない!

 

「仕事以外には、興味ない?」

 

「……考えたこともありませんでした」

 

よし。ここだ。ここから話を広げる。

 

「業務補助と、清掃だけなら、外に出ることはないの?」

 

「外、ですか?」

 

メアリちゃんが首を傾げた。

 

「そう、外。きっと何か、仕事以外にも楽しいことも見つかるかもしれないよ」

 

「私はそのように命じられていないので……」

 

「でも、外にでちゃダメ、って命じられてる?」

 

「それ、は……」

 

「たまに出てみてもいいんじゃないかな。ね?」

 

今日出ろ、というわけではない。外に出るという可能性をメアリちゃんに植え付ける。それで十分だ。

 

「それにね、外にはこんな美味しいものもあるよ。はいこれ」

 

「……?」

 

メアリちゃんの手を無理やり取り、油紙に包まれたワッフルを押し付ける。ピクシーへの貢ぎ物の残りだが、冷めても香るほのかなバターと砂糖の甘い匂いが、陰鬱な空気を弾き飛ばす。

 

本来の業務と何ら関係がないおやつを手渡されたことで、メアリちゃんはフリーズした。そうだろうそうだろう、客からお菓子を手渡される体験なんてしたことなさそうだからな。

 

「あの、これは」

 

「食べて」

 

「……食べるとは」

 

「口に含んで、噛んで、舌で味わって、飲み込んで、『美味しい』を実感してください。冷めてるけど。」

 

二度目のフリーズ。

 

すると奥からヴィクトルさんがやってくる。

 

「待たせたな。フェニックスの作成、および第二段階の剣合体が完了した……メアリ、手のそれは?」

 

「あずさ様から、いただきました」

 

「お菓子です!メアリちゃんに食べてもらいたいなって!」

 

私がそう主張すると、ヴィクトルさんがぴくりと反応した。

 

「食べる、か。私は人間の創造を考えておきながら、食べることを教えていなかった」

 

ヴィクトルさんはそんなことを言い、メアリに指示を出した。

 

「構わない。食べなさい、メアリ」

 

「いま、ここで、ですか」

 

ぱちくりと目を瞬かせるメアリちゃん。

 

衆人環視でワッフルを食べるというのも変な話だと思うが、そうかヴィクトルさん赤マントを着込んでるような変人だった。変人が変なことを言い出しても何ら問題はない。

 

主人の命令に格上げされたことで、メアリちゃんがワッフルを口に運ぶのは既定事項となった。

 

もふ。メアリちゃんの一口は小さかった。

 

「糖分と脂質の味とはこういうものですか」

 

「言い方」

 

「美味しい、を理解できた気がします。ありがとうございます」

 

「どういたしまして」

 

「ふむ、実に興味深い。さてあずさ、メアリの教育もいいが、本題を忘れないように」

 

そうだ、雷神剣。

 

ヴィクトルさんが差し出してきた剣は、長さこそ30cmほどで大して変わらないように見える。が、オーラが違う。まだ鞘に収まっているのに、そのまま敵を切れそうな迫力がある。

 

「受け取るがいい、これが『雷神剣』だ」

 

両手を差し出し、受け取る。

 

黒塗りのシンプルな鞘から、少しだけ刀身を引き抜く。

音もなくすらりと抜けた刃に、ぱちぱちと電流が走る。

 

まるで剣が意思を持つかのように。よろしく、と言われているような気がした。

 

「よろしく、雷神剣」

 

電流による火花が大きくなった。

 

ところで、これ目立ちませんか?

 

「目立つな。」

 

普段の隠匿方法を考えないといけなくなった。マジかよ。

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