拓銀令嬢世界で女神転生のデビルサマナーをするのはちょっと大変   作:一宮 千歳

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他の自作宣伝していい?だめ?はい


少女漫画にありがちな突然の転校生枠

地下上水道の初陣からしばらく経ったある日。

 

「転校ぉ?」

 

「ああ。帝都学習館学園、初等部に転校だ。」

 

父が突然の転校を指示してきた。

 

「いや、お父さんが言うなら、是非もないんだけど。なんでまた。」

 

「本家からのお達しだよ。『年頃の娘がいるのだろう?瑠奈の護衛として派遣しろ』とね……」

 

「……政治だあ」

 

私はげんなりした表情を隠せなかった。

 

「ああ。瑠奈お嬢様が絡む、誘拐未遂事件があったそうでね。それに伴い、カシオペアも再構成される。追加で、【ラクカジャ】【スクカジャ】【ディア】を組み込むことになった」

 

「【タルカジャ】【アギラオ】は残るの?」

 

「うん、残る。残るが、万一の悪魔を用いた襲撃、それがあった際に瑠奈お嬢様をサポートする役割が主になる」

 

「サポート……戦闘ではないよね」

 

「ああ。あずさが身代わりになってでも、瑠奈お嬢様を逃がす。そう言う捨て石の役割だ」

 

私だけが知る事実をぶっちゃけて言えば、瑠奈お嬢様は物語の主人公だ。その瑠奈お嬢様は、ピンチには陥るが死にはしないだろう。なんなら、高校生までの間は生存が確約されている。

 

いまだ権勢華やかなりし華族の没落。その象徴であるためだ。リーマンショック(2008年9月15日)までは、死なない。web版原作第一話にもそう書いてある。

 

……まあ、悪魔の跳梁跋扈は、原作にない要素だけど。

 

「とはいえ、それではカシオペアが人目につく事になるのでは?」

 

「……そこなんだよな。どうも隠匿性を無視している」

 

「はあ……」

 

父がぴ、と指を立てる。

 

「そこから考えられる可能性は一つ。上の本来の意図は、『そもそもそんな事態になる前に敵を片付けろ』だ」

 

「……無茶な」

 

「お前には非実体の魔的なものを見る"眼"があるだろう。できる、と判断されてしまったようだ」

 

私は頭を抱えた。

 

「COMPはどう隠すんですか……」

 

「ランドセルと、あと伊達メガネを改造する、そうだ。メモリも増量になる」

 

「嬉しいようで嬉しくない……仕事が辛い……」

 

というわけで、常時ランドセルを背負う伊達メガネ少女が爆誕することになった。キック力増強シューズがあったら死神になるところだった。私の場合悪魔としのぎを削るので、割と笑えない。

 

いいことに目を向けよう。メモリの増設、カシオペアのスキル拡充。これで戦闘で判断しなければいけない事項も増えたが、カシオペア以外の仲魔を勧誘できるようになったことを意味する。

 

問題は、授業中の護衛だ。なににつけてもランドセルを取りに戻る必要性が出てくるし、そのランドセルを背負って現場に駆けつける必要がある。体育館での体育の授業中だったら?怖気がする。

 

「父さん、ランドセルをCOMPにするのはいいんだけど、ランドセル必須はいかにもまずいです。たとえば、伊達メガネから遠隔召喚ができるようになりませんか?」

 

「技術部もそのぐらいは検討している……召喚はできるが、COMPから直接召喚するのに比べて、1分ほどの時間差が生じるそうだ」

 

「1分か……」

 

スパルナとの戦いも、20秒弱でケリがついたように思う。その上で1分は悠長に過ぎる。格上相手なら3回死ねる、と言うことだ。

 

「容量を食う、造魔だからだよね? 低級悪魔、【妖精ピクシー】や【地霊ノッカー】ならどう?」

 

「それなら遅れはあるものの、数秒で済む。……契約するのか?」

 

「うん、そいつらなら、そこらにいるから。転校は、いつ?」

 

「明後日だ。ランドセルと伊達メガネは明日届く」

 

「……急すぎ! 契約してくる!」

 

慌てる私に、父が引き留めの言葉をかける。

 

「待て。ピクシーなら、私が契約している。主人(マスター)権譲渡契約の交渉を、ここでしろ」

 

父がCOMPを操作し、SUMMONコマンドを実行すると、約20cmの羽の生えた人型が、ふわり、と実体化した。

 

『話は聞いてたよー。義直チャンの娘チャンに契約更新するの? 良いけど、私は高いよー』

 

「じゃあ、この、裏が表で表が裏の、とってもレアな10円玉は?」

 

『なにそれすっごい! わかった、契約する! 私は妖精ピクシー、コンゴトモヨロシク!』

 

「……おい」

 

「なあに?」

 

「……いや、いい。本悪魔が納得しているなら、な。」

 

ピクシーは10円玉を転がしてご機嫌だ。

 

裏が表で表が裏、要は普通の10円玉だ。まさか簡単な子供騙し一発でなんとかなるとは思わなかった。

 

「10円玉以外にも適宜報酬は用意しておけ。妖精は物欲を満たされれば満たされるほど忠誠を誓う。……若い頃は、しこたま小遣いを毟り取られた」

 

……ピクシーに一生懸命貢いでいる父の姿を想像してしまったが、すぐに打ち消した。

 

『ねえねえあずさチャン、この10円玉、ちゃんと私専用として取っておいてよね!』

 

「はーい」

 

COMPを操作し、ピクシーの能力を確認する。

 

【ジオ】【ジオンガ】【ディア】【ハピルマ】【羽ばたき】【スクンダ】【スクカジャ】……ふうん。レベルは8。

 

「おつかれさま、しばらく休んでて……RETURN」

 

「分かっていると思うが」

 

「重要なのはハピルマとスクンダとスクカジャ、あと目眩しの羽ばたき、でしょ」

 

わかっているならいい、と父が頷く。

 

なんでもこのピクシー、大正時代から桂華院のサマナーに仕えてきた由緒正しいピクシーなんだとか。

MAG消費を抑えるため、どんなサマナーでも扱えるようにするための、あえての低レベル。御霊合体によって追加された補助スキル。魔改造ピクシー、といったところか。

 

「まずはハピルマとスクンダで相手の足止め、そのあと羽ばたきで目眩し。それで1分稼げば、カシオペアも呼べてなんとかなる……かな」

 

「学生のサマナーは数が少ないし、今からの育成も厳しい。当分の間一人で踏ん張ってもらうことになる」

 

「責任重大過ぎる……」

 

「まあ、一般公安も動いている。そのお陰で単なる不審人物なら弾けるから、悪魔を使役して遠隔で攻めてくるダークサマナーに注意すればいい」

 

遠隔かあ……どう言う手を使えるのか、まずは相手の気持ちになってみるのが必要かな?

 

----

 

帝都学習館学園初等部への手続きはすでに終わっていて、

話を聞いた翌々日にはわたしは初等部の制服を着ていた。かわいい。

 

そして転入のあいさつ。瑠奈お嬢様とおなじクラスになった。ウンガイイナー。

 

瑠奈様が珍しく単独でお手洗いに行ってくれたので、そこについて行って、こそこそと話しかける。仲良しグループに割って入るのも一苦労だ。

 

「本家から霊的警護を仰せつかりました。大原あずさです」

 

「小学生に警護って……それも、霊的? オカルト路線からも警戒しなきゃいけないってこと?」

 

「本家は、瑠奈お嬢様をそれだけ案じている、と言うことかと」

 

ぶっちゃけ私は直接そういった話を聞かされていない。が、本家筋ならどう考えたって仲麻呂様の意思は入っているだろう。

 

「……」

 

「というわけで、大変心苦しいですが、学校にいる間はそれとなく付き従わせていただきます。お手洗いもご一緒します。あ、私が行きたい時もついて来てくださいね?」

 

瑠奈お嬢様の口がぱくぱくと開閉を繰り返す。熱帯魚かな?

 

「繰り返しになりますが、私は霊的防御を担当いたします。瑠奈お嬢様が単なるお嬢様(・・・・・・)で収まるのであればここまでの備えは不要かもしれませんが……耐えていただけますか?」

 

逡巡ののち、瑠奈お嬢様は頷いた。

 

「……分かったわ。私の友達を紹介するから、その子達とも仲良くしてちょうだい」

 

「はい。それはもちろん。小学生女児としては、友達が増えるのは楽しみです。ですが」

 

「護衛対象の際限のない増加につながる、ね。分かってるわよ。分かってるけど、交友関係は好きにさせて」

 

……原作の交友関係、そりゃあ尊いものなので、"わたし"としては口出しする気はないのだが、護衛難易度が跳ね上がるのはとても困る。

 

幸い、伊達メガネによる校内スキャン結果は白。今のところ、外部からの侵入以外は警戒しなくていいわけだ。

 

それならまだ、やりようはあるか?

 

「わかりました。まとめて守れるくらい、強くなりますね」

 

「よろしく」

 

私と瑠奈お嬢様の歪な友情は、ここから始まった。

 

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