二本指の下剋上   作:落ちこぼれの3級フィクサー

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思いっきり戦闘回です。興味ない方は最初と最後だけでも読んでくださいまし。

究極の一閃と言えばやっぱり ️良秀の【空間斬】ですけど、技で好きなのはヴァレの【処分】とロジオンの【処断】なんですよね


究極の一閃

天罪星刀を床に突き刺し、杖代わりにしてなんとか立ちたがる。

 

視界で繰り広げられるのは推定──夜の錐アランとねじれと思われる化け物による一進一退の攻防……いや、ややアランの方が優勢だ。

 

スティレットは二つの光の輪を纏い、その短い刀身を踊るようにうねらせ、化け物へと刺さり,抉り、黒い体液を撒き散していた。

 

「夜の錐、アランだな。なぜ僕の前に出てきた」

 

夜の錐が親指に追われていることくらいアランも既に判っているだろう。

なら、なぜ親指の制服を着ている俺を助けようとしたのか……それがわからない。

アランは再度化け物の腕にスティレットを突き刺すと、無理やり腕をねじ千切り、一度逃げるようにこっちへと跳んできた。

 

「……それに出すべき解があるならば、俺の身勝手で(おろ)かな復讐だろうな」

 

自嘲するようにそう短く返すと、アランは降りかかってきた化け物の腕にスティレットを右脚で軽く蹴り飛ばし、力強く地面のアスファルトを踏みしめると、ジェット機のような速度で化け物へと向かっていく。

 

格が違う、率直な感想だった。

 

倒しきったと勘違いして油断したとはいえ、回避しきれずにたったの一撃で満身創痍な僕と、確実に襲いかかる無数の攻撃をいなし、攻撃を加えるアラン。

 

さらに、その力の差を象徴するのが(マン)の数だ。

ずっと昔に見た天罡星(てんこいせい)の五望を見よう見まねで作った不完全な一望の僕に対して、どこか神秘的にすら思える神々しい光輪を二つ持つアラン。

最も簡単に僕とアランの戦力差を表すものだろう。

 

アランは僕の前に立ち、化け物の突進、拳の振り下ろしや振り上げ、吐きだす液体さえもすべて弾いていた。……たった一人でも勝てそうなほどの強さだ。

 

……逃げよう。

この満身創痍な五体じゃ身をかわすことも、刀を振ることさえも叶わない。

幸い、今あの化け物はアランの方に気を取られている……今の隙に────

 

逃げるべく足を向けた瞬間、背後から風切り音がした

僅かに、気のせいとも思えるほどの小さな音。

ただ、今までの死合(しあい)と殺しの経験が僕に告げた。

……避けなければ死ぬ、と───────

 

折れた左足にはアラス工房製の加速装置が内蔵されている。

化け物の突進のせいで骨も露出し、足は使い物にならないけど……加速装置は無事なようだ。考えている暇はない。死んだあとに後悔なんてできないのだから、だから。

加速装置を起動した─────

 

刹那、加速装置はブルン、と鳴き、数メートル先にあったゴミ箱の上へと僕の体を投げた。

視線を後ろに寄せる……さっきまで僕がいた場所は、大量の黒い液体で溢れ、溶け出している。

……あの化け物は、僕のことを逃す気はないということだろう。

 

ゴミ箱から立ち上がって、左足を引きずりながら前線へと戻る。

……今の僕には何が出来る?

顔を化け物の方へと向ける───アランの動きには先ほどまでのような機敏さはなく、攻撃も一発では化け物の体に穴を開けれなくなってきているようだ。

 

腕は(きし)めど、幸い刀は問題なく振るえる。

左足は、加速装置を起動したせいで足首が飛んでなくなった。

 

ここでミスをしたら間違いなく死ぬだろう。

“俺“はここで死んでいいような人間じゃない───死ぬことが赦されているような人間じゃない。

“俺“は大罪人。この天をも貫くほどに伸びている罪の一片も返さずにこの生を断ち切ってよいような存在じゃないんだ。お前もそう思うだろう?なあ───【天罪星刀】。

だからこそ、お前はこんな時にだけ俺に力をくれるんだ。

 

天罪星刀を鞘に戻す。

同時に鞘には一つの力強く、神々しい光輪が纏われる。

 

深呼吸。

一閃───一撃必要で仕留める。

正面から、もう再生できないように、跡形もなく。

 

柄に手を置き、その刀を───引き抜いた。

 

 

開闢(かいびゃく)殲断(せんだん)

 




1〜3話までソルダートのことソルタードで書いてました……
にわかですごめんなさい。
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