二本指の下剋上   作:落ちこぼれの3級フィクサー

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天罪星刀が盗まれました

そこで、目を覚ました

 

「……ここは?それに、あの化け物も」

 

「よっ。やっと目ぇ覚ましたか」

 

……話しかけてきたのはカグラだ。随分と久しぶりに会ったような気がする。

 

「……今は、どういう状況ですか?」

 

結局、僕はあの化け物を倒すことができたのか。夜の錐アランはどうなったのか、気になることは山ほどある。

 

「ここはK社の巣の中にある病院だ。お前はあのねじれと(おぼ)しき化け物の死体前で気絶していた。……わたしが増援としてきたときには全身ボロボロの死にかけだった」

 

振るえる声でカグラはそう言う。……随分と心配をかけてしまったのだろう、少し申し訳ない。

 

「それで、夜の錐アランは…?」

 

「……私たちの方ではアランはおろか、夜の錐にすら接触も確認もしていない」

 

「……やっぱりそうだよな。カエデ一人であのねじれを倒せるはずがない。アランと接触し、共闘……いや、助けてもらったとかだろう?なんでアランが親指のお前を助けたかは知らんが」

 

しまった。口が滑ったか……どうやら東部親指はまだアランの尻尾(しっぽ)を掴めていなかったらしい。

 

「……はい」

 

「やっぱりな。まあ、咎める気もない。ソルダートが一人で相手できるようなものではないからな……今はただ、生き残ったことを誇りに思えばいいさ」

 

「ありがとうございます」

 

しかし、そこでふと気になったことがある。僕の足をどうなったのかということだ

 

「その……質問が多くて申し訳ないんですけど、僕の足って……」

 

言い終える前にカグラは答える

 

「足だけじゃなく右手もだ、ものの見事に千切れていたぞ。アンプル……K社アンプルで治した。あまり良いモデルのは買えなかったけどな」

 

「たかだかソルダートⅠ風情に、親指が金を出してくれたんですか?」

 

「……さあな。ゴッドファーザー様やアンダーボス様の意中を問うのは親指の禁忌にも等しい」

 

……そんな筈がない。K社アンプルは外部の人間が買う場合、最も安いモデルですら翼の職員の数年分の(アン)が必要になる。例え、この作戦で僕の行動がどれだけ評価されようとも、ソルダートごときにそんな大金を使うわけがないのだ。……つまり、それが表しているのは────

 

「本当に、ありがとうこざいます」

 

「気にするな、わたしが弱くてお前を助けられなかったのにも責任はある」

 

カグラと僕はそのまましばらく雑談をしていたが、報告書を作らないといけないとかでカグラを病室を出て行った。

 

「……ふう、それにしても僕の記憶違いでなければ、最後に出したのは【一,五望】…だよな。そんなものが存在するのかは分からないけど」

 

確かに、黒金色に染まった天罪星刀にその光輪を宿した記憶がある。

……そう、天罪星刀に。

……そういえば、天罪星刀はどこにあるんだ?

待てよ、僕が気絶した時には確かに握っていたはずだ。

 

あれは、遺物。ソルダートが所持しているわけがないのだから、親指にそのことは訊かれるはず。……なのに、カグラからその話をされなかったということは───。

 

「盗まれた……よな」

 

あの場にいたのは僕とアランのみ。……間違いなく、僕が気絶している隙にあの男がとっていったのだろう。

 

「ふざ、けるなよ」

 

天罪星刀は……星刀とは、小指である(あかし)そのものだ。故に、これを失った僕は──。

 

顔から血の気が引いていくのが分かる。

次の梁山泊での会談までには絶対に取り戻さないといけない。……小指は、小指に関する情報を禁忌として扱う。そう簡単に逃してはくれないだろう。

 

……というより情報漏洩を防ぐために。恐らく僕は殺される。

 

「……はっ。はははっ」

 

夜の錐アラン、助けてもらった恩はあれど……次会う時は、必ず、……殺す。




もし指に入るなら、僕は中指がいいです。
なぜなら、巨乳ドンキちゃんがいるからです。
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