貞操逆転世界でお金のためにホストになったら、神様が生んだ『子』と呼ばれるようになった   作:主義

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ホストは高校で告白される

ハルさんと連絡を交換してから数日が経った。

 

ハルさんは美晴さんと真逆でちょっと多すぎるぐらいに連絡をしてくれる。

 

 

逆に僕の方が反応できなくて、ハルさんを待たせてしまうこともあるぐらい。

 

 

 

教室に行き、席に着くと違和感に気付いた。僕の机の中に紙らしきものが入っていた。紙を取り出して確認してみるとそこには屋上に来て欲しいという言葉と時間が記されている。

 

 

時間は午後17時10分。その時間だと学校に残っているのは部活がある生徒ぐらいだ。最後の授業が終わって1時間ぐらい経った時刻のため、僕は授業がおわり、LHRが終わった後もここに残らないといけない。

 

こういうものを貰った経験がないからあんまり分からないけど、これを『ラブレター』と言うのかな。前世のうちにこういう経験をしておけば今こんなに悩まなくて済んだのに…なんて思った。

 

今までの告白は全て、口頭で来て欲しいと伝えられていたから。

 

 

 

 

昼休みに岩佐さんと食事をして、午後の授業も受ければすぐに放課後になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり、指定された時間になるまで図書室で時間を潰した。普段はあんまり図書室に来ることはなくて、読みたい本があれば図書館に行くのがいつもだ。

 

 

そして所定の時間よりも数十分前に指定された、屋上に行った。相手を待たせるわけにはいかないためだ。折角、呼んでくれたのでせめて

 

 

 

屋上の扉が開き、姿を現したのは僕のよく知る人物だった。

 

「…岩佐さん」

 

 

「義幸くん、ごめんね、お待たせしちゃって」

 

 

「ううん。大丈夫だよ。僕がただ早く来すぎただけ」

 

岩佐さんは深呼吸をしてから僕へと向き直り、距離を縮めて来る。それに対して僕も真剣に受け入れるため。静かに彼女だけを見つめる。

 

 

お互いに握手ができるぐらいまで近付いたら、岩佐さんは歩みを止めた。そして彼女は僕の目を見つめながら、言葉を紡いでいく。

 

「今日は来てくれてありがとう」

 

ここで何か相槌を打つことは躊躇われた。

 

 

「私はあんまり回りくどいことが得意じゃないから、自分の気持ちを正直に伝えるね」

 

すると岩佐さんは一度目を瞑り、数秒して目を開けた。どうやら何かの覚悟を決めたようだ。

 

 

「私は義幸くんのことが大好き。最初は一目惚れだったの。でも男の子とどんな風に仲良くなればいいのか分からなくて、色々と考えたんだ」

 

彼女の両手は握りこぶしが出来ていて、いかに勇気を出しているのかが分かる。自分の気持ちを相手に伝えることがどれだけ勇気のいることかが。

 

それでも彼女は少しずつ言葉を紡いでいくのだ。

 

 

「だからちょっと勇気を出して、一緒に食事をしようって誘ったの。あの時「いいよ」ってくれて本当に嬉しかったよ。そこから義幸くんと一緒に過ごすようになって、好きな気持ちが高まっていった」

 

 

「こんなことを言われても義幸くんが迷惑なのは分かってるの。でも、このままこの気持ちを持ち続けて義幸くんと接するのはやっぱりキツいんだ。だからしっかりと義幸くんに答えを聞かせて欲しいんだ」

 

一呼吸おいてから、彼女は気持ちを伝えてくれた。

 

 

「改めて言うね、私は義幸くんのことが大好きです。よければお付き合いしてください」

 

 

彼女は頭を下げて、片手を差し出していた。

 

 

 

 

そんな彼女を前にこの言葉を言うのは心が痛い。だけど、ここで曖昧にするようなことはしたくない。勇気を出して告白してくれた彼女に対して、それは失礼な行為だから。

 

 

「気持ちを伝えてくれてありがとう。岩佐さんからの気持ちは嬉しいけど、僕は誰かと付き合うことは考えていないんだ」

 

僕はホストとしての仕事がある。これは女性と接する仕事だ。こういう仕事をする時から、僕は誰かと付き合うことはしないと決めている。

 

 

別にホストだからといって付き合うのがいけないわけではない。ただ今はホストという仕事に集中したい。

 

いや何より岩佐さんに対する、僕の気持ちはたぶん友達なのだ。彼女の愛に応えられるビジョンが今の僕には湧かない。

 

 

これが一番の理由だ。

 

 

「だからごめん」

 

 

しばらくして彼女は顔を上げた。その目には自然と雫が溜まっていた。それでも彼女は出来る限りの笑顔を作ってこう言った。

 

「ううん。答えてくれてありがとう」

 

 

 

彼女は屋上を去っていった。

 

僕はそんな彼女の背中を見ることしかできなかった。ここで僕が何か声を掛けるのは違う気がした。

 

 

だって彼女をあんな風にしたのは僕なんだから。僕が振ったから彼女は涙を流しているんだ。

 

「はぁ…やっぱり告白を断るのっていつまで経っても慣れないな」

 

告白されることが初めてではない。それでも毎回思う。断った時の相手の表情がずっと頭に残る。

 

特に岩佐さんは必至に笑顔を作ってくれていた。あれはここで泣きだしたら、僕に迷惑が掛かると思って必死に我慢していたんだと思う。

 

 

あの笑顔が…離れない。

 

 

 

 

 

今まで僕は彼女の気持ちを知らなかった。いや正確に言えば、彼女から悪いイメージは持たれていないとは思っていた。だって普通に考えて一緒に食事をしようって誘ってくれたから。

 

でも、好意を抱かれているとは。

 

 

そう思うと今までの自分がいかに相手の気持ちに向き合えていないのかが分かる。僕は岩佐さんと食事をするよりも、男友達と食事をしたいと思ったこともあった。彼女がどれだけこの食事を楽しみにしているのかを知らずに。

 

 

 

「本当に僕ってだめだな…」

 

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