貞操逆転世界でお金のためにホストになったら、神様が生んだ『子』と呼ばれるようになった   作:主義

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小林綾乃Side

私は色んな男を見てきた。

 

甘い言葉で近付いてきて金銭を要求してくる男、女を恫喝することに快楽を覚えている男、暴力で全てを支配しようとする男。

 

 

今まで出会って来た男は総じて『クズ』と呼ばれるような人間だったと思う。

 

 

 

それでもこの世界で『男』は貴重な存在だ。多少横暴な性格やクズでもこの世界は男を中心に回っていることもあり、女は受け入れるしかない。

 

というかそんな男でも引き手数多だ。どんなクズでも男と結婚できるだけでかなりのステータスだ。簡単に言えば『勝ち組』と評しても良いぐらいに。

 

 

 

元々、私はただのOLだった。少しずつお金を溜めて、35歳になるタイミングで会社を退職して起業した。

 

私が起業したのはホストクラブだ。

 

 

この世界に女がいる限り、ホストクラブは絶対に成功する。絶対に儲かるんであれば皆、起業する。でも、一つだけどうしても付きまとう問題がある。たった一つだけど、もっとも重要な問題。

 

それが人材だ。ホストクラブという名が付いている以上は『男』がいなければいけない。接待してくれるものがいなければ、接待される側も来るはずがない。

 

 

ホストクラブの起業をするのは簡単だが、勤めている男を探すのは本当に難しい。何故ならこの世界の男は別に働かなくても生活ができる。それなのに好んでホストになるような男はほとんどいない。いたとしてもほとんど暴力を振るったりするような人間だ。

 

ホストクラブは接待する場所と一応言われているが、そういう場所ではない。ただ男と会える場所だ。ホストクラブで客が暴力を振るわれたりする話は珍しいことではない。それでもホストクラブに行く女は絶えない。それでもいいのだ。暴力を振るわれたり、恐喝されたとしても、男と会えるのだ。

 

それだけでもホストクラブに足を運ぶ。

 

 

 

私も人材に関しては悩んでいた。さすがに求人は出しているが、連絡は未だに来ていない。ホストクラブで働こうと思っている男がこの世界にまだ残っているのか。

 

 

 

 

 

それから数日して運命の履歴書が届いた。最初に履歴書を見て思ったのはちゃんとしているだった。

 

しっかりとどの欄も埋められていて、文字も綺麗。

 

 

その日のうちに履歴書に書かれていたメールアドレスに『合格』と送った。それからは初出勤の日と場所も送ったりした。

 

正直、今の段階では履歴書を送ってくれたのはこの履歴書の子だけだ。どんな子であってもこの子は雇うしかない。ホストクラブとしてやっていく以上は。

 

 

 

 

 

予想以上に工事が遅れていて、開店できると思った日にはどうしても無理そうだ。でも、勤めてくれる予定の子には一度お店の外観や内観、顔合わせもしておきたかったので初出勤の日の訂正は送らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

約束の日に来たのは…可愛い子だった。

 

今まで見てきた男にはいないタイプで、挨拶もしっかりできて、物腰も柔らかい。こんな男がこの世界にいるのかと怪しんでしまうほどに。

 

一つ一つの動きもサラリーマンかなと思う程にしっかりしている。履歴書には高校三年生と書かれていたので、もっと荒れている子が来ると思っていた。明らかに女は下に見て、暴力を振るってくるような。

 

 

少し話して、この子は本当に女のことを下に見ていないし、抵抗感もないことが分かった。今までたくさんの男と会ったことがあるからこそ、余計に分かる。

 

 

この子は本当に純粋で、女を一人の人間として扱ってくれている。

 

 

 

そして笑顔で接してくれているし、この子と出会えたのは本当に奇跡だ。私もホストクラブを立てる上で何個かの店を訪ねたけど、どこも接客は最悪、明らかに下に見ているのが伝わってくるような男ばかりだった。

 

この子みたいなホストは聞いたことがない。こんなに言葉に棘がなくて、笑顔で接客してくれるんだったら絶対に人気でる。

 

 

 

何より彼は本当にホストに向いている。だって私に向かって、ナチュラルに『何より綾乃さんとお会いできたので』と言えるような子だ。

 

彼は私と一回りぐらい年齢が違うけど、そんなことを優しい笑顔で言われたら、体の体温が上がっていくのを感じる。まだ出会って少ししか経っていなのに、彼のことをもっと知りたいと思ってしまっている。

 

 

 

私はあくまで彼を雇う立場の人間だ。

 

接待を受けたりすることはできない。それにこの感じから察するに彼は優しいから、私を持て成して欲しいと言っても受け入れてくれるだろう。

 

 

だけど、さすがにそれはできない。オーナーという立場でこんな純粋無垢な子に迫るわけにはいかない。

 

そんなことをしたら、私が嫌いな男たちと同じになってしまう。

 

 

 

 

彼はちょっと不安を感じているみたいだった。まぁ、普通に考えればそうよね。どんな事情があるのかは分からないけど、高校生でこんな純粋無垢な子がホストとして働くなんて余程のことがあるんだと思う。

 

だから少しでも安心させる発言をすることにした。

 

 

『大丈夫よ。絶対に私はあなたを世界で一番のホストにして見せるわ!』

 

 

 

素材は一級品。これだけ恵まれた人材が私の開店する予定の店を選んでくれたのは本当に奇跡で、この子をホストとして成功させてあげられなかったら私の責任だ。

 

これから頑張らないと。

 

 

 

もう少し自分が若かったら、彼のことを狙えたわね。

 

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