ナザリック地下大墳墓――玉座の間。
漆黒の玉座に座る
アインズ・ウール・ゴウンは、守護者たちを前に静かに立ち上がった。
左右に並ぶのは
アルベド、
デミウルゴス、
シャルティア・ブラッドフォールン、
コキュートスを始めとした守護者たち。
アインズは告げた。
「私はこれより、モモンガではない」
一同が息を呑む。
「我が名は」
「ギルドそのもの――」
「アインズ・ウール・ゴウン」
「今後は、その名で私を呼ぶように」
静寂。
次の瞬間。
歓喜が爆発した。
「ははぁ!!」
守護者たちが一斉にひざまずく。
その名は至高の四十一人の象徴。
ギルドそのものを背負う宣言だった。
デミウルゴスは感涙し、
シャルティアは恍惚の笑みを浮かべ、
コキュートスは深々と頭を下げる。
アルベドもまた跪いた。
だが胸中は複雑だった。
(モモンガ様……)
彼女にとってその名は特別。
愛そのもの。
だが主が選んだなら従うしかない。
アインズは続ける。
「そして我らの目的は一つ」
「この世界全てに」
「アインズ・ウール・ゴウンの名を知らしめることだ」
玉座の間が震えるほどの歓声。
忠誠が渦巻く。
その後。
アインズはカルネ村での出来事を語った。
宮本武蔵との出会い。
アルベドとの交戦。
ガゼフ・ストロノーフ。
そして、陽光聖典との戦い。
話が終わると。
デミウルゴスが眼鏡を押し上げた。
「ふむ……」
深く考え込む。
「その武蔵とかいう人間」
「監視せねばなりませんな」
冷静な分析だった。
未知。
規格外。
制御不能。
その存在は危険でもあり、価値でもある。
シャルティアがくすりと笑う。
「しかしアルベド」
「おぬしも大したことないでありんすなぁ」
にやり。
明らかな挑発。
アルベドの眉が吊り上がる。
「何ですって?」
「貴様……!」
黒翼が開く。
殺気。
今にも激突しかける。
だが間に割って入ったのは
コキュートスだった。
「止メヨ」
低く重い声。
場が静まる。
アインズはそのコキュートスを見た。
「お前はどう見る」
「武蔵について」
コキュートスは腕を組み、考える。
「直接見テオリマセヌ」
「故ニ断言ハデキマセヌガ」
一同が耳を傾ける。
「ダガ」
「話ヲ聞ク限リ」
「レベルハ我々ト同等」
その言葉だけで空気が変わった。
守護者たちが緊張する。
人間。
それが守護者級。
あり得ない。
シャルティアの笑みも消える。
デミウルゴスの目が細まる。
アルベドは拳を握る。
だがアインズはさらに問う。
「さらに剣を持たせた場合は?」
コキュートスが沈黙した。
珍しく。
答えに迷った。
やがて。
「……」
「ハッキリ言イマショウ」
玉座の間が静まり返る。
「私一人デ勝テルカ自信ガナイ」
その言葉は衝撃だった。
武神たるコキュートスが。
剣の達人たる守護者が。
勝利を保証できない。
それはつまり。
宮本武蔵という存在が、ナザリックにとって初めて現れた“純粋な武の脅威”であることを意味していた。
玉座の上でアインズは静かに考える。
(仲間にできれば最高)
(敵に回せば最悪)
その価値を、誰より理解していた。
そしてその頃。
武蔵は森の中で一人。
新しい獲物を探していた。
知らぬまま。
世界最強の地下大墳墓全体に、自分の名が知れ渡ったことを。
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玉座の間に、重い沈黙が落ちた。
コキュートスの「勝てるか自信がない」という言葉は、それだけで守護者たちに十分な衝撃を与えていた。
その時。
静かに一歩前へ出たのは
セバス・チャンだった。
白髪の老執事は背筋を伸ばしたまま、落ち着いた声で言う。
「コキュートス様と、私が同時にかかれば」
「なんとかなるやもしれません」
その言葉に玉座の間がざわめく。
アウラ・ベラ・フィオーラが目を見開いた。
「同時!?」
守護者二人がかり。
それも武の頂点であるコキュートスとセバス。
それほどの評価。
隣で
マーレ・ベロ・フィオーレが青ざめていた。
「お、お姉ちゃん……」
不安そうにアウラへ抱きつく。
アウラもさすがに軽口は叩けなかった。
デミウルゴスが静かに結論を述べる。
「つまり我がナザリック地下大墳墓としては」
「正面から直接ぶつかれば、損耗は避けられないということ」
損耗。
その言葉が重い。
ナザリックにとって守護者は絶対戦力。
一人の損傷ですら重大。
まして複数。
たとえ勝てても代償が大きい。
デミウルゴスは眼鏡を押し上げた。
「であれば」
「監視、観察、分析」
「これを優先すべきでしょう」
一歩進み出る。
「シャドウ・デーモンを武蔵につけます」
「よろしいですか、アインズ様」
シャドウ・デーモン。
潜伏・追跡・監視に特化した悪魔。
戦闘能力は低いが、隠密性能は極めて高い。
今の段階では最善だった。
アインズは玉座で腕を組む。
(正しい)
武蔵は危険。
ならまず知るべき。
情報こそ力。
アインズは静かに頷いた。
「うむ」
許可が下りる。
デミウルゴスが深々と頭を下げた。
「はっ」
アルベドは内心悔しさを噛み締める。
(次は……必ず)
シャルティアは楽しげに笑う。
「面白くなってきたでありんすねぇ」
コキュートスは腕を組んだまま目を閉じる。
(武蔵……)
純粋な武。
己が剣がどこまで通じるか。
その戦いを思うだけで体が震える。
セバス・チャンも執事でなく戦闘者として
(立ち合いたい)
龍の血がたぎる。
そのころ森の奥。
宮本武蔵は焚き火の前で野菜を焼いていた。
「……塩が欲しいな」
ナザリック総出で警戒されていることなど、知る由もなく。
そして、その背後の影の中。
一体の
シャドウ・デーモンが、静かに目を開いていた。
監視開始。
(武蔵は塩を欲している) 最初の報告だった
ご覧いただきありがとうございます。
最終回「刃牙道」武蔵が霊媒BBAに魂を抜かれて その魂がどうなったのか
「異世界 烈海王」のような雰囲気で生成構築しました
ここまでは「オーバーロード」ノベル第1巻 アニメ カルネ村編をもとにしました。
次回から第2巻 エ・ランテル編 展開もノベル版やアニメとは少し異なります
読んでいただいておかしな点疑問点があればどんどんご指摘ください 質の向上に努めたいと思います。
それでは今後ともよろしくお願いいたします