武蔵転生記   作:masasoukoku

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土日祝は2話あげようと思います


第二十二話

ンフィーレアに一言だけ告げる。

 

「奥へ行ってくる」

 

「えっ!?」

 

止める間もない。

 

武蔵。

 

モモン。

 

ナーベ。

 

三人はそのまま森の奥へ進んだ。

 

途中。

 

武蔵はついでのように薬草も摘んでいく。

 

モモンが思う。

 

(この人、本当に手慣れてるな)

 

やがて。

 

森の空気が変わった。

 

鳥が鳴かない。

 

風が止む。

 

静寂。

 

重い圧。

 

武蔵が足を止める。

 

「ここか」

 

モモンも立ち止まる。

 

感じる。

 

強い気配。

 

ナーベも身構える。

 

その時。

 

声。

 

森の奥から響く。

 

「お主たち」

 

「ここがわしの縄張りと知って入ってきたでござるか」

 

モモンの内心が高ぶる。

 

(喋る!?)

 

高位知性体。

 

魔獣か。

 

異種族か。

 

この世界の重要サンプルだ。

 

どんな姿か。

 

どんな種族か。

 

ワクワクしていた。

 

武蔵もまた笑っている。

 

(ようやくか)

 

久しぶりの強者。

 

血が騒ぐ。

 

茂みが揺れる。

 

ズシン。

 

ズシン。

 

大きい。

 

かなり大きい。

 

木々を押しのけて現れた。

 

モモンは目を見開いた。

 

武蔵も目を細める。

 

そこにいたのは――

 

ハムスター。

 

巨大だった。

 

2mほどもある。

 

ふわふわ。

 

丸い。

 

頬袋ぷっくり。

 

黒い目がつぶら。

 

沈黙。

 

武蔵。

 

モモン。

 

ナルベラル。

 

全員止まる。

 

(ジャンガリアンハムスター!?)

 

(……大鼠?)

 

(…ネズミね)

 

賢王は胸を張る。

 

「我こそは!森の賢王!」

 

「この森を統べる知恵の王!」

 

武蔵はしばらく見つめたあと。

 

ぼそり。

 

「……かわいいの」

 

ナーベが吹きそうになるのを堪える

 

モモンは真顔を維持するのに必死だった。

 

だが。

 

アインズの感知ではわかる。

 

この存在。

 

見た目に反して。

 

かなり強い。

 

そして武蔵もまた。

 

笑みを浮かべた。

 

「よい」

 

「見た目はどうあれ」

 

「強ければよい」

 

森の賢王――が鼻を鳴らした。

 

「無礼者」

 

「ならば試してやろう」

 

森の空気が張り詰める。

 

モモンは興奮していた。

 

(さて)

 

(武蔵さん、どう出る)

 

-------------------------------------------------------------------

 

森の奥。

 

対峙する二つの存在。

 

宮本武蔵と賢王。

 

武蔵はその丸い姿を見ながら。

 

ふと昔を思い出していた。

 

ピクル。

 

巨大で。

 

強く。

 

どこか無垢で。

 

そして孤独だった。

 

(そういえばあやつも……かわいかったの)

 

武蔵の中で奇妙に重なる。

 

(わしと同じで独りぼっち)

 

目の前の賢王もまた。

 

この森で独りなのだろうか。

 

だが。

 

情は情。

 

立ち合いは別だ。

 

「さて」

 

武蔵はモモンから借りた刀を抜く。

 

静かな抜刀。

 

狙いは明確。

 

ピクルと同じ。

 

角を取る。

 

急所を断つ。

 

その瞬間。

 

賢王が叫ぶ。

 

「わしを舐めるなでござる!」

 

巨大な身体を丸める。

 

圧縮。

 

回転。

 

突進。

 

ゴオオオオッ!!

 

地面をえぐりながら転がる。

 

武蔵の目が見開く。

 

「ほ、これは」

 

「ピクルにはなかった」

 

瞬間。

 

半歩。

 

たった半歩ずれる。

 

回転体がかすめる。

 

そのまま背後の巨木へ――

 

ドゴォン!!

 

粉砕。

 

木片が吹き飛ぶ。

 

ナーベも目を細める。

 

(あの威力……)

 

だが終わらない。

 

ハムスケが身体を戻し。

 

その勢いのまま尻尾を振るう。

 

鞭のような高速。

 

空気を裂く。

 

バシィィィン!!

 

武蔵の頬をかすめる。

 

わずかに血。

 

その瞬間。

 

武蔵の脳裏に蘇る。

 

本部以蔵に分銅で斬られた時の感覚。

 

「お」

 

口元が上がる。

 

「ん~」

 

「ピクルよりは強いの」

 

武蔵は即座に見抜いた。

 

筋力。

 

反応。

 

技術。

 

獣でありながら技を持つ。

 

ただの魔獣ではない。

 

そして。

 

武蔵は刀を納めた。

 

カチリ。

 

ハムスケが止まる。

 

「?」

 

警戒。

 

次の一撃を待つ。

 

だが武蔵は戦意を引いた。

 

横を見る。

 

モモンへ。

 

「モモン殿」

 

モモンが目を向ける。

 

武蔵は笑う。

 

「あの鼠」

 

「一度戦った方がいい」

 

「戦士としての技量が上がる」

 

ナーベが絶句した。

 

譲った。

 

こんな相手を。

 

モモンも内心驚く。

 

(……私に?)

 

武蔵は腕を組む。

 

「よい相手じゃ」

 

「斬るには惜しい」

 

賢王は怒る。

 

「鼠ではないでござる!」

 

「森の賢王でござる!」

 

武蔵は笑う。

 

「そう怒るな」

 

「強いぞ、おぬし」

 

その言葉。

 

賢王は少し嬉しそうだった。

 

モモンは前に出る。

 

双剣を抜く。

 

ギィン。

 

アインズの中の戦士としての興味が燃える。

 

武蔵が勧めるほどの相手。

 

なら。

 

試す価値はある。

 

賢王もモモンを見る。

 

「次はお主か」

 

武蔵は木にもたれて観戦態勢。

 

「よく見せてもらおう」

 

こうして。

 

戦いは次の局面へ移った。

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